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10春闘 遠藤一郎さん(全国一般全国協議会書記長)に聞く 社会を背負うのは労働者だという気概が必要だ (かけはし)
http://www.asyura2.com/10/senkyo81/msg/692.html
投稿者 ダイナモ 日時 2010 年 3 月 04 日 20:56:47: mY9T/8MdR98ug
 

http://www.jrcl.net/frame100308d.html

生きるために雇用と賃上げを大企業は社会的責任を果たせ

 厳しい生活破壊の現実が、そして募る不安が労働者の心を締め付けている中で一〇春闘が始まった。この春闘にどう挑むのか、労働組合に、またわれわれ個々の労働者に多くの課題が突き付けられている。これらについて遠藤一郎全国一般全国協議会書記長の考えを聞いたので以下に紹介する。なお、以下は遠藤さんの話を編集部の責任で構成したものである。


今こそ労働運動は
志を高く持とう

 二〇一〇年春闘はどのような歴史的位置にあるのだろうか。まずそこから始めたいと思う。
 二月三日、「けんり春闘」発足集会が東京で開催され、元東京大学社会科学研究所教授の田端博邦さんが「歴史の転換と労働運動」と題して講演した。資本主義、特に戦後資本主義の大きな展開を振り返りながら、時代は変わるという点を強調し、新自由主義的グローバリゼーションの完全な破綻を受けた今を明快に、歴史の転換期と解き明かした。
 その転換期を次に向けて切り拓く者は誰なのか。田端さんは、不十分な点はいろいろ残っているとしても労働者運動が敢然と立候補してもらいたい、労働者運動には少なくともその資格があり、潜在的には能力もあるはずだ。今春闘を皮切りにそのような構えでの闘いをと、期待感を表明された。
 この基本認識をわれわれも共にしなければならない。対照的に日本経団連はどうなっているのか。あたかも日本を背負っているかのような態度で、またマスメディアなどもそのように扱う大企業、そしてその司令部である日本経団連はどのような社会的な発信を行っているのだろうか。極めてみすぼらしく情けない状況ではないか。徹頭徹尾、自分のことしか考えていない。それはある意味で、彼らには未来を拓く資格がなくなっていることを告白しているようなものだ。
 そうであるからこそ、今このとき労働者運動の側が志高く乗り出していこう。そのような挑戦がもつ意味は非常に大きい。あるいはそれなしには、広範な人々に襲いかかっている生活破壊に、現実的な歯止めをかけることもできない状況にある。したがって当然、そのような労働者運動の立ち上がりは社会的波及力を持つ。実際、昨年の日比谷年越し派遣村は、その点で大きな教訓を残した。
 今春闘を闘う上でまず、社会を背負うのはわれわれ労働者だとの気概を秘めた闘いが必要であり、それにふさわしい内容の追求が求められていることを改めて確認したい。

企業の「自己防衛」
がすべてに優先

 その上で日本経団連の現状を考えてみよう。
 恒例の経営労働政策委員会報告は一月十九日に発表された。どうして例年より遅れたのだろうか。一月末の自民党大会に御手洗会長が欠席したことも注目される。海外出張のためなどというのは明らかに見え透いた理由であって、尋常ではない。新政権との定期協議も昨年暮れになってようやく成立した。これらを合わせてみれば、経労委報告の発表遅れからは、新政権との距離感をめぐる調整に手間取ったという事情が透けて見える。要するに、現在の情勢全般に対する日本経団連のある種の準備不足であろう。
 第二に、経労委報告の内容もひどい。メインタイトルは「危機を克服し、新たな成長を切り拓く」というものだが、現実の失業や貧困化の進行など社会全体の問題には何一つ言及がない。社会的発信という点では、その気はさらさらない。結局「危機」とは彼らにとっての「危機」でしかない。
 その上で、相も変わらず労使は共同するパートナーであり、賃金カットを含めて論議を尽くしていく、という。しかし、その「労」とは何か。経団連はもともと、連合以外の要請は受け付けないという対応だったが、いまもって「労」は「連合」でしかない。昨年の春闘では、経団連と連合の枠組みで一月十五日に「雇用安定・創出に向けた労使共同宣言」が出され、三月三日には政府に対する労使の「共同提言」、そして三月二十三日に「雇用安定・創出の実現に向けた政労使合意」となった。
 雇用危機の社会的な圧力を受けて、麻生政権は「第二のセーフティネット」への取り組みや雇用調整助成金の増額などを行っていった。そのような政府対応に派遣村などの要求も一部反映されたことは事実だが、しかし、いろいろ理屈はつけたとしても企業にとっては雇用維持のために税金をどう出させるかであり、自分の方は一切出さないということが本質だった。この流れに「労」も同調する。これが労使パートナーの意味であって、今年の「報告」も同じだ。どこまでも関心は自分たちだけで、自分たちをどのように救い出すのかに問題を収斂させている。
 個別的にもそれが如実に出てくる。「報告」では「雇用の多様化」つまり非正規労働者の増加の要因を四つ挙げている。サービス産業の成長、多様な主体の労働市場への参入、働き方に対する意識の変化、最後に企業側の要因として「経営環境が激変」したため「望むと望まざるとにかかわらず弾力的な生産体制の構築に迫られた」、と。あたかも企業の責任はせいぜい四分の一、しかも最も小さいかのように見せかけている。しかし、雇用の非正規化は九五年の「新時代の日本的経営戦略」を基礎にして、一貫して経営自身がシフトしてきた問題だ。
 今さら言うまでもないが、サービス産業だからと言って非正規雇用でなければならないなどという理由などどこにもない。「多様な主体」も同じ。「考え方の多様化」という問題でも、中にはごく一部いるだろうが、非正規雇用というあり方を誰が望んでいるのか。すべてが企業の意志が作り出している問題だ。例えば年金受給までの高齢者雇用の問題一つとっても、われわれは安定雇用を保障しろと要求している。しかし臨時雇用や嘱託にして、賃金も大幅カットしているのは企業の意志だ。問題を隠し、ごまかし、責任から逃れようとの姿勢がここにある。
 その上で派遣法改正についてもごまかしが歴然だ。公労使三者がとりまとめたものであり、ギリギリの調整を経た流れを受けた答申は今後の国会審議で最大限尊重されるべきもの、としている。文面を見る限り反対とは書いていない。しかし、「ただし」として登録型派遣は云々、製造業派遣は云々、みなし雇用は云々などと続く。つまり中身は反対と言っている。だから真意は、答申を少しでも変えれば全部壊す、というところにあると見てよいだろう。この点に関わって、政労使合意システムの尊重、というかけ声が、去年から連合・日本経団連定期協議の中で何回も確認されてきたことに注意が必要だ。それ自体の真意は推測するしかないが、その延長にある限り、連合はあの答申で十分ということになる。
 また依然として、自主的・自律的時間管理を可能とする新しい仕組みという言い方で、ホワイトカラーエグゼンプションをあきらめていない。逆風だから今積極的に押し出していないが、その主張は少しも変えていない。
 最賃の見直しにも抵抗はかなり露骨で、三年間四十円の引き上げに大騒ぎだ。しかし小泉時代の一桁が異常だったのであり、それ以前は十円、二十円と上がっていた。貧困が問題になっている今このときに、経団連は三円や五円の話をするつもりなのか、「日本を背負う者」の器が問われるということだ。
 そして賃上げより雇用安定重視、しかし場合によっては雇用維持も困難、リストラもあり得る。ベアなし、定昇も実態に即して話し合う、時短にも応じられないという。要するに自分たちの方からは何も出すつもりはない、という姿勢が貫徹されている。これでは雇用安定の保証もない。
 ただ言葉だけだが、非正規雇用労働者の処遇について「同一価値労働同一賃金」と言い始めた。同じ仕事でとんでもない賃金格差、という非正規雇用の実態に対する社会的批判が無視できないほど高まっていることに対して、経団連も対応を迫られていることとして注目すべきだろう。もっとも中身はとんでもない。雇用流動化の責任は企業にはないという前述した言い方と同じ類で、基礎はあくまでパート労働法で規定された「均衡処遇」だ。仕事のやり方を正規雇用社員と同等に、例えば転勤まで同等にできる労働者にのみ「均衡処遇」という虫の良いもので、まさに言葉のもてあそびによるごまかしだ。これには厳しく批判を加えていく必要がある。

連合に加わる
社会的圧力

 さてそこで連合だが、ベアより雇用確保という身内の論理で基本的に前述の経営側に同調する姿勢となっている。何も出すつもりはないという経営側に、これでは雇用維持すら不可能ではないか。これが一点目の問題だ。
 ところで連合内には二つの傾向がある。一つは、労組は組合費をもらっている組合員のために活動するものだという立場。ゼンセン同盟が代表だが、この傾向は、非正規労働者など個人加盟型の労働相談に対して、先ず組合員を守って労使関係をきちっと作ることが優先という主張を対置している。それに対して連合には全労働者を代表するという建前の流れがあって、組織的には後者の方が大勢になっている。そのような事情を背景に、古賀会長は一月二十六日の経団連会長らとの懇談会で、非正規雇用問題を優先的に改善努力すべきだと要求した。またパートについて連合の要求は時給三十円引き上げだ。連合が非正規雇用問題に触れ始めたときは時給十円要求だった。それから見ると確かに変わってきている。非正規雇用の問題から逃げにくくなっている。このような変化に運動の現場でどう攻勢的に切り込むか、これが二点目の問題だ。
 三点目として、例えばエコポイントなどで企業の生産が回復した場合、景気後退で短縮された労働時間を元の長時間労働に戻すのではなくて、雇用へ回せという要求を出している。これ自身は非常に大事な要求で、今年の連合要求の中では着目しておく必要がある。問題はこれを本当に追求できるかだが、考え方としてこのような要求を出すことは重要だ。
このように連合の意識の変化あるいは転換を見据えて、われわれの運動によってくさびを打つことが大事な課題となっている。

労働者の生活破
壊はさらに進行

 一方で労働者の実情を見れば、極めて深刻な実態が進行している。
 賃金は八年連続の低下だ。昨年冬の一時金は一五〜二〇%ダウンであり、中小企業では支給なしが増えている。結果として、年収二百万円以下の労働者が〇八年で千六十七万人、〇九年は千百万人を超える可能性大だ。また年収三百万円世帯は三九・七%にも上っている。
 労働時間では〇七年で千八百八十五時間となっているが、それはあくまで非正規労働者の増大があるからだ。正規労働者だけで見れば二千二十四時間、一日十時間以上働く労働者が四〇〜六〇%だ。このことがまず、過労死や増え続ける精神疾患の大本になっている。
 失業率は高止まっている。失業給付切れのまま仕事が見つからない労働者が増えている。生活給付付き職業訓練などで必死に求職しても仕事がなく、悲鳴が上がっている。しかしそれが可視化できていない。
 官製派遣村はそれを象徴するものとなった。ハードは国が準備しソフトは自治体というやり方だが、東京都をはじめいくつかのところで実施した。ただ東京都の場合、民間福祉サービス事業体に丸投げだった。結果として、労働、生活、医療、法律など全般の相談態勢はできていなかった。旧派遣村有志で作った「ワンストップサービスをつくる会」が相談態勢を組んだが、都と連携できず、むしろ対立しながらの実施という状況だった。この官製派遣村を訪れた失業者は八百三十三人というが、実はもっと多くの失業者が来ていた。入りきれない人がいたのだ。現在の失業状況のほんの一部なのだが、それでも若者や各種給付が切れていても仕事がない労働者の増加がそこにはっきりと示されていた。貯蓄ゼロ世帯が増加している中で、ストレートに路上に出るというのではなく、じわじわ生活に窮していく年齢的にかなり若い層だ。
長期の失業率高止まりの中で、その層がアパート代滞納、友人間の渡り歩きなど、ギリギリのところで漂って滞留し始めている。これが社会的に見えにくい。官製派遣村ではそれが可視化できなかった。それをどうするのか。運動の現場からいくら問題提起しても受け止めるべき行政にその想像力、発想がない。先のような都の姿勢では、都が実情を掌握することすらできない。逆に都は、ワンストップの会がよけいな入れ知恵をしなければ、住む所と食を出しただけで感謝されたはずだ、何が悪い、という認識だ。そうではなく、そういう所が必要な人がたくさんおり、そこから本当にやり直す道をどうサポートできるか、そこまでやらなければ一時的に収容する場所を作っても意味がない、という認識に変えなければならない。
去年は日本のセーフティーネットのひ弱さを暴き出し、これは放置できないという所まではやった。今年の官製派遣村では、事態はもっと進行していることが明らかとなった。しかしそれが社会的には十分可視化されなかった。そして行政にも適切なプランは用意されていなかった。
これにどう対応するか。運動の側にとっては通年の運動が課題となっている。例えば越年闘争の取り組みの中で、神奈川の寿では、従来から取り組まれてきた生活、医療、法律相談と合わせた労働相談窓口の設置が神奈川県共闘の参加で実施された。寿ではこれを通年化しようとの動きも出てきている。これを含め今後の課題だ。

大企業に雇用創出
基金を要求しよう

 そこで今春闘を具体的にどう闘うか。全労協、全国一般全国協の取り組みを軸に提起したい。
 先ず賃金について。今のような状況だからこそ、とにかく生活できる大幅な賃上げの要求が絶対に必要だ。同時に、最賃の大幅引き上げと公契約条例の推進に力を入れる必要がある。最賃については去年十円引き上げられているが、無理に平均した数値であり、まったく上がっていない県もある。地域間格差は広がっているのが実態で、経営側の抵抗を何としても打破する必要があり、その観点からもトヨタなど大資本の下請け単価切り下げの強要を社会的に問題化しなければならない。公契約条例では、野田市でできたことを全国化するという観点で各自治体に要求し、地域的運動にしよう。
 仕事保障の闘いでは、先ず派遣切りさせない、解雇させないという職場の闘いを基礎にして、すべての労働者に安定した仕事をという基本方針の下に、社会的キャンペーンとして反失業・反貧困各地区キャラバンなどの取り組みを春闘の中でこそ追求する必要がある。東北は昨年に続いて今年もそれに挑戦すべく準備が進んでいる。
同時に九三年から続いているジョブセキュリティマーチ、マーチインマーチの全国化。同じ形態とはならないだろうが、先の反失業・反貧困運動と結合させて、これもキャンペーンが必要だ。時短と雇用を結合させる観点の積極的な押し出しという点では、前述した連合の要求もある意味で活用すべきだ。
 この問題では、大企業に雇用創出基金を要求する主張を大々的に巻き起こす必要がある。全労協パンフレットを参照していただきたいが、大企業の内部留保は二百四十兆円。それは誰が生み出したものか。そしてその一割、二十四兆円でもどれだけの仕事を興せるかを考えれば、今こそ内部留保を社会還元させるという要求には何の不合理もない。その場合、国や自治体が職を用意せよとの要求とセットにすべきだ。
政府は各自治体に「ふるさと雇用再生特別基金」を交付している。「地域の実情や創意工夫に基づく雇用機会の創出」が目的だ。ところが基金は少額だからやれることはごく限られ、ほんの小手先のプランで終わってしまっている。ここに二十兆円単位の金が加われば話が全然違ってくる。政府予算も自治体の予算も組み合わせれば、内需を軸にした、生活基盤と結合した経済のあり方というものをじっくり育てられるのではないだろうか。
 それとの対比で言えば、例えば宮城県はこの間、企業誘致を産業政策の柱とし、トヨタの生産子会社である神奈川のセントラル自動車を先頭とする誘致のためにインフラ整備を進めてきた。隣接する東北自動車道のインターチェンジ新設に二十億円、通勤のための一般道も拡張する、物流のために仙台港でも造成事業を、転勤家族のために住宅も提供など、相次ぐ関連事業に膨大な県財政が投入される。誘致企業への各種奨励金も用意される。県は昨年春、国のエコカー補助金に加算して公用車購入を予算化したが、トヨタ車が大半だった。誘致負担は市町村財政にいっそう重くのしかかる。それだけやって生み出される地元雇用はどれほどか。しかも自動車産業の雇用はどんどん減っているし、製造大企業の「派遣切り」の経緯を考えれば雇用が維持される保障はない。
このようなあり方を逆転させることが必要だ。大企業の内部留保を還元させ、社会的に一体化させる。国の財政支出も思い切ってシフトさせる。こういうことを含めて、雇用創出について本気で議論し要求していく時期に来ている。特に政権交代という事態を前に、新政権が打ち出している建前を積極的に突く闘いというものを、われわれなりに突き出すべきではないだろうか。いずれにしろオバマでさえ大手金融機関に十兆円の税を課そうとしているのだから、日本で同様のことができないことはない。
 重要課題としてさらに労働者派遣法抜本改正の闘いがある。この問題では、労政審の見せかけ改正答申に基づく法改正ではなく、最後まで連立政権三党へ働きかけ、政治主導で真の抜本改正のために闘うことが極めて大事だ。さらに、二十六「専門」業務や常用雇用の厳格適用など、縛りをかけるための国会闘争など闘いは続く。より良いものにし成立させるため、最後まで大宣伝と大衆的キャンペーンが必要だ。規制緩和にストップをかけ、有期雇用の入り口規制や労働契約法改正など次の動きに攻勢的につなげるためにも、不可欠の闘いとして取り組む必要がある。
 そしてセーフティーネットの課題がある。全労協春闘パンフレットを参照していただきたいが、労働組合的に一番近いものとして、雇用保険、社会保険の改革、いわゆる「第二のセーフティーネット」の改善などが入り口になりやすいかもしれない。ここでは反貧困運動との結合を意識的に考える必要があるだろう。
その上で必ずぶつかるものとして財源問題があるが、消費税増税に対する反対をきっちりとした構えで確立しておこう。何よりも先ず、高率累進所得税と特に大企業に対する法人税引き上げ、大企業優遇の租税特別措置の撤廃、あるいは相続税などの資産課税引き上げを要求しなければならない。
 そして忘れてならないことに沖縄普天間基地の問題がある。ここでは詳細は省かせていただくが、その無条件撤去を春闘のもう一つの大きな柱として訴えていくことに、未来に向けた春闘として格別の意味があることを強調したい。

転換期を担う
労働運動を

 今春闘では総じて、労働運動の戦略的作り替えの課題が提起されている。「成長戦略」の議論があるが、社会として職をどう作るかという問題においては、端的に言ってもはや成長には依存できない。その点と密接に関わって、富の社会的再配分と一体になった大独占規制の問題が不可欠になっている。富の社会的再配分に関しては、国際的なものとして、例えば日本総合研究所の寺島実郎会長などが国際連帯税構想に積極的だ。しかしそうであれば、今この状況で国内的再配分も当然あっていい。勝手に海外に逃げる企業に対して、その際は雇用創出基金として相当なものを国内に残させる義務など、労働者運動として大胆に議論を巻き起こしていく必要が今こそある。それを一国主義、あるいは保護主義などと見なす向きもあるかもしれないが、しかしそのように身勝手な行動をする企業は海外でも同じ行動をとるのだ。それをさせないためにも、今操業している所できちんと責任を果たせという要求は不可欠のはずであり、それもまたアジアの労働者に対して日本の労働者が果たすべき義務だろう。
 それらについて要求としてどのように整理するか、また、実現の道筋をどう作っていくか、二つの方向で課題を探らなければならない。例えば仕事をよこせという要求を草の根の要求として確立するという場合、地域的問題として深刻だという現実に立てば、生徒の就職難に直面している教員も巻き込んで労働組合が先頭に立って地域運動化する。それを横につなげて全国化する、という発想は現実的かもしれない。
あるいは時短と職の創出を結合する問題も、日本では現実のものとすることがなかなか難しかったが、もう一回本気で考え議論を広げなければならない局面だ。連合の要求はその点で一つの材料ではある。そして連合の組合はどこも時短など要求していないにもかかわらず、日本経団連は今年、時短拒否と打ち出した。去年の要求を意識したということが直接の背景だとは思うが、それも客観的には雇用に対する無責任さを示すものであり、われわれの方から攻勢的に打ち返す切り口となる。
いずれにしても今春闘を全力で闘い、要求実現にかじりつき、この間つくり変えられたものをどうひっくり返すかということではなく、新しい事態に新しい規制を広げるという発想をもって、春闘の成果を次に引き継ぐ糧としていくことが求められている。
 

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