http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010030602000074.html

普天間移設先１０候補に　政府　社・国案８日受け取り
2010年3月6日 朝刊

　米軍普天間飛行場（沖縄県宜野湾市）の移設問題で、政府は五日、与党との検討委員会を八日に開き、社民、国民新両党の移設案を受け取ることを決めた。移設候補地は十カ所に上りそうだが、政府は米軍キャンプ・シュワブ（同県名護市）の陸上部に移す案を軸に水面下の調整を本格化。両党案の提出は県内決着へのアリバイづくりの雰囲気も漂う。　　（政治部・三浦耕喜）

　社民党の移設案は、米領グアムなどに移す国外案が第一候補。日米政府で合意している在沖縄海兵隊八千人のグアム移駐に加え、飛行場の機能も持ってもらう案だ。だが、沖縄から二千二百キロ離れたグアムでは、北朝鮮などの有事で即応性に欠け、米政府は拒否する構えだ。

　社民党は第二候補として沖縄県外の国内に移す案も示す。既存の自衛隊施設などを活用し、飛行場の移設先は七案を提示。地上部隊の移設先として陸上自衛隊相浦駐屯地（長崎県）などを挙げる。訓練を分散させ、本土全体で負担する内容だ。

　普天間飛行場は閉鎖後も残し、訓練などの使用を認めて、実質的な継続使用へ“抜け道”も用意している。

　ただ、いずれも移設先の地元自治体の同意が必要。既に具体名の挙がる自治体から反対され、党本部にも抗議が殺到している。政府が結論をまとめる期限とする五月末までに同意を得るのは非現実的との見方が強い。

　そこで、注目されているのが国民新党案だ。同党はシュワブ陸上部に千五百メートルの滑走路を建設する案を示す。シュワブ沿岸部に移す現行計画のように海を埋め立てない上、新たな民有地もいらない。同党は米軍嘉手納基地（沖縄県嘉手納町など）との統合案も示し、県内決着を急ぐ。

　これにも大きな壁はある。沖縄県議会は先月、県外移設を求める意見書を採択。仲井真弘多知事も「決まったからこうだ、と言われたら反対するしかない」と強硬だ。

　鳩山由紀夫首相は五日、官邸で記者団に「（県外移設を求める）沖縄の皆さんも、（現行計画を主張する）米国の皆さんにも理解を求める協議をする必要がある」と述べるほかなかった。

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