民主党は無料化を「段階的」に進めているが、これに反対する既得利権者の反論がかまびすしい。高速道路無料化は当然であると筆者は思う。過去に遡り、また、先進国の状況をも踏まえて高速道路無料化を訴えたい。

なお、無料化が温暖化対策に逆行するという意見は、道路無料化とは無関係である。
温暖化対策の基本論の中で、全体のバランスを考慮して、論議すべきである。

■道路建設特定財源関連法律は５０年以上前の国土再建途上における臨時立法である。
田中角栄議員が、焦土と化した国土を再建し、高度工業化社会を実現させる目的で、議員立法した。

しかし、東名・名神高速道路のからの膨大な利益が自民道路族を誕生暗躍させ、同法を継続させた。そして、小泉政権は、膨大な利益を経団連傘下企業が押収できるように道路公団を民営化した。

しかしながら、この民営化はまやかしである。建設リスクは全額国民税負担。黒字部分だけが民営化企業の所有である。つまり「ピンはね民営事業」。この構造は国鉄民営化と全く同じである。

■過去の経過に遡って議論したい。
１）揮発油税を道路建設特定財源としたが、償却後は無料が約束
道路整備事業財政特別措置法は、1953年に田中角栄議員らの議員立法により、「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が成立し、揮発油税が道路特定財源となった。この時点では、償却が終わった有料道路は無料化する約束であった。

２）自民道路族が誕生暗躍させた東名・名神高速道路のからの膨大な利益
しかし、自民党の道路族は、償却の終わった東名・名神高速道路のからの膨大な純利益を自分達の票田に投下する違法な利益誘導を適法化するために、2003年に「道路整備費の財源等の特例に関する法律」に改題して、東名・名神高速道路の膨大な純利益を暗に担保にした債権を多発して、高速道路の整備を促進した。

３）道路公団の民営化で膨大な利益を経団連と道路官僚が押収
2008年になると、「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に再度改題して、道路公団の「民営化」後も東名・名神高速道路の膨大な純利益を高速道路建設に利用でき、道路建設債権の発行も継続できるようにした。

麻生政権による休日１０００円化は、道路官僚と結託した、小ざかしい陰謀である。ＥＴＣ利用者を一挙に増やしておき、民主党の高速道路無料化に対してＥＴＣ利用者の猛烈な反発を起させるためである。

■先進国では原則無料、日本はやりたい放題の域
ニュヨークのケネディ国際空港内でレンタカーに乗り、ボストンのローガン国際空港で乗り捨てた。３００Km走って支払った通行料金は合計１ドル（９０円）。

有料は長い吊橋と海底トンネルの二箇所で、各々５０セント。吊橋は償却が済むまで、トンネルは造り替えが終わるまでと公表されていた。ヨーロッパでも有料はイタリアのみと聞いている。東名の東京から名古屋間は９０００円で、１００倍高価。もはや、やりたい放題の域に達している。

■民営化しても建設リスクは全額国民税負担。
黒字部分だけが民営化企業の所有である。つまり「ピンはね民営事業」。国鉄民営化と全く同じ構造である。

国鉄民営化＝労働組合をつぶし、社会党を潰す政略に私物化
高速道路民営化＝東名・名神高速道路のからの膨大な利益を経団連傘下企業が私物化
郵政民営化＝３００兆円の貯金・保険をアメリカ金融資本が私物化

今まで行われた「民営化」の目的は、全て「私物化」である。

本来、高速道路は無料なのである。東名・名神高速道路のからの膨大な利益は、自民の道路族によっていいようにされ、現在は経団連傘下企業によって私物化されている。 　

コメント
01. 2010年3月17日 16:22:21 国鉄民営化＝労働組合をつぶし、社会党を潰す政略に私物化 高速道路民営化＝東名・名神高速道路のからの膨大な利益を経団連傘下企業が私物化 郵政民営化＝３００兆円の貯金・保険をアメリカ金融資本が私物化 今まで行われた「民営化」の目的は、全て「私物化」である。・・・・本当そうだね。
02. 2010年3月17日 17:07:50 道路建設が盛んなヨーロッパ各国の道路費(年度)について、 イギリス・フランス・ドイツ・イタリア、この４カ国を合計 しても日本にはとおく及ばない。 このことだけでも、異常だったことがわかる。
03. 2010年3月17日 17:33:41 ＞現在は経団連傘下企業によって私物化 後ついでに、輸送費を叩いてトラック業界に安く上げさせる『シワ寄せ』してるのも、経団連傘下の私企業です。
04. 2010年3月17日 17:38:45 その内に自衛隊も消防署、警察も民営化しようなんて言わないで欲しい。　N.T
05. 2010年3月17日 17:48:29 米国の民間傭兵会社は、軍隊民営化の第一歩。
06. 2010年3月17日 17:55:38 無料化に対してよく見かける反対論に、鉄道業界、フェリー業界、高速バス業界などが大打撃を被るとあるけど。なんか眉唾もの。バスなんて元々車を運転してない人が利用してるし、無料化したら料金安くなるだろうし。フェリーなんて、前々から傾いてるだろうし、鉄道も言わずもがな。もう、高速料金は払いたい人だけ払えよって感じ。
07. 2010年3月17日 22:28:50 １０００円高速で赤字だから廃止すると届出たが、地元の要望により存続するという茶番劇(あるいは補助金狙い)をテレビが大々的にやってましたね。 地球温暖化については、太陽の活動が低下し、地磁気が太陽を１回転するのが２２年から２８年かかるようになり(地磁気の移動速度が活動低下が原因で落ちたと考えられる)、黒点数もゼロとなった。 太陽の活動が落ちているのに、なぜ温暖化だけ問題にするのか。地球はこれから寒冷化の可能性の方が高いのではないか。温暖化で温まっていた海水が徐々に低下すれば本格的な寒冷化が数年で訪れるのではないか。
08. 2010年3月18日 02:00:09 この記事自体、去年投稿すべきような記事で、 今の事情からすると古すぎるんじゃないのか？ 文中の「自民党」を「民主党」に読み替えれば通用するのかもしれないが。
09. 2010年3月18日 11:39:50 高速道路の無料化は段階的に進めるのが現実的だと思う。 問題は､これまで高速道路を建設してきたコストと､それに群がる数多くの団体だろう（もちろん多くの天下りを受け入れているんだろうが）たとえば高速道路のガードレールを固定しているボルトにしても１本ごとに指定のマークが付いている。 ということは､指定の製作所で制作して特定のルートで納入されることになる。 別にJIS規格に合格していれば､市販の大量生産品のほうが安いのは明らかだ。 １００メートルごとに設置してある距離表示の看板とか、中央分離帯の植樹とか数え上げたら切りがない。 現実問題として今後まったく道路を造らないわけにはいかないと思うが、高速道路の規格ではなく、高規格道路並みで良いのではないか。 交差点を立体交差にして自動車専用道路にするだけでも充分機能すると思う。
10. 2010年3月19日 02:19:54 　書かれていることはおおよそ正しいと思うが、無料化論者は、無料化によって新たな利権が発生し、それが今以上に国民の大多数にとってひどくならない対策を考えるべきだと思う。 　無料化論の急先鋒である山崎養世氏は、元ゴールドマンサックスの役員で、彼の人脈には恐ろしい人間がいっぱいいる。猪瀬副知事が、石井紘基元議員の理論を自分の利権につながるように「変形」して高速道路民営化を進めた例もある。無料化論を言う言論人や財界人の裏に隠された戦略を見抜ける人はいないものか。

11. 2010年3月19日 13:45:58 元々、高速道路とは建設費用を回収するまでの間だけ期限付きに有料にしていたことを忘れてはならない。 費用を回収した後は無料にするという約束を反故にされただけでなく過去に何度も値上げをされた。 我々の払った税金で作ったものを使うのにさらにお金を払い続けて何も疑問に思わない思考停止でお人よしの日本人。 その金の行き先は政、官、業、暴力団、カルト等である。 それでもまだ有料でいいと言うのだろうか・・・

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