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議論の早い段階からの透明性を開示すれば、こういう事態が起こってくるのは当然である。前政権のように、秘密裏の根回しと族議員の調整を終えて議会にポンと提出される案件ならば、国民にとってはうまい料理だけを出される「お客」のようなものだ。議員に選挙以外の発言権のない人たちにとって、「料理」を選ぶ楽しみは皆無だし。
しかし鳩山政権は議論途中の状態から国民に見せている。前政権に慣れた人ならば、「そんなみっともない姿は見せるな」と怒るであろう。「いったいまとまるのか？」と不審の念を抱くであろう。心配はもっともだ。今まで業務に精通した「官僚」が行っていた取りまとめを、政務に就いて半年の「議員」が行っているのだから。
「取りまとめ作業段階」を開示あるいは知られてしまうことは、大きな危険を伴う。例えば「廃棄処理場」の設置で考えてみよう。どこの住民であれ、処理場が近くにできることには反対だろう。そして「わが町には造らせない」の声が上がり、候補地は次々に消える。しかし処理場はどこかに必要なのは皆分かっている。それではどうする、多数決か？
あるいは強権か？ 補助金の「飴」か？
次に「候補地の住民」を各省庁に置き換えてみよう。省庁は自分の専門分野で国民に責任を負っている。であるからそれに抵触する法案に対しては、当然異議を唱える。あるいは修正を要望する。これを「省庁エゴ」とは言えない。防衛省が「国土防衛」の視点で考え、外務省が「日米外交」の視点でものを言うのはまっとうな行為だ。
だから議論が百出して当然なのだ。国民がそれを見たいと言ったのだから。あとは「摺り合わせ」をし「比較」をして絞り込む作業だけだ。前政権では、ここまでの作業が不透明だった。国民は「テーブルに座ったお客」で満足していた。去年の９月までは。
しかしろくな料理が出てこないのに腹を立て、現政権を選んだのではなかったか。自分でメニューを見て料理が注文できそうだ、あるいは好きな料理が多いから、この店を選んだのではなかったか。料理が出来てくるのが遅いからとか、コック同士が調理方法で揉めているからとかで、怒ってまた店を出ていくのか。また店を探し回るのか。
政治の世界では１００％同意などというものはありえない。５１％以上の妥結結果が得られれば、組合は「勝利宣言」を出すのだ。それを「弱腰だ」と言ってるような非現実的な人間には、政治は永遠に「不純」なものだろう。
いずれ議論が収束してひとつの法案にまとまった時、なぜその形が「よりましな」結果なのかを鳩山総理は説明しなければならない。国民総てが納得するかしないかは別として、「説明」がなければ国民はまた席を立ち始める。
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