「ゆうちょ限度額引き上げ」については賛否両論だが、どうも民業圧迫やら官の肥大やら、偏った面からの批判が多いように思える。

この問題について、植草一秀氏が別の切り口を提示していた。
以下、「植草一秀の『知られざる真実』」（http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-bd3d.html）より一部引用。

------------------------------------
今回、限度額引き上げが提示された背景は、日本郵政が担うべきユニバーサルサービスを追加財政負担なしに賄うための財源を安定的に確保するという、まったく異なる視点からの検討にあった。

（中略）

地方に住む国民にとってかけがえのない貴重なサービスとコミュニティーの核を提供してきた特定郵便局ネットワークが、冷酷に切り捨てられることを推進するのが小泉竹中郵政改革の実相だった。

こうした現実を踏まえ、所管の閣僚が与党関係者と協議を重ねて練られたのが亀井郵政相の提示した政府原案だった。

（中略）

国民の生活を支えるとは、日本経済の回復を確実に維持することである。
------------------------------------
（引用以上）

国民の生活基盤が安定しなければ、いくら資金をばら撒いても経済回復には繋がらない。その点では、予算追加無しで郵便ネットワークを整えようとする今回の案は評価されても良いと思う。

そもそも、ゆうちょに資金が流れることを「民業圧迫」だと言うことにも違和感がある。
「田中良紹の国会探検」（http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2010/03/post_214.html）では以下のように述べられている。

"また日本の銀行を「民業」と言う認識にも驚いた。日本の銀行は民間ではあるが、１９２７年の銀行法制定以来、厳しい官の統制下にあり、官僚に手取り足取りして貰わないと何も出来ない。それが「メインバンク制」という企業を官僚組織の支配下に置く装置として使われた。世界に名だたる「日本株式会社」の特殊構造である。"

これらの事実を踏まえずして、今回の郵政改革を批判ばかりするのは国益に叶っていないのではないだろうか。

もちろん、今回の法案が完璧などと言う気はないし、批判の中にも的を得たものはある。
ここで言いたいのは、「良い点も悪い点もきちんと検討しなければ、本当に国を良くする政治は実現し得ない」ということだ。

一般的な報道に流されず、ネット上でこういう議論を発展させることが一つの道筋だと思う。 　

コメント
01. 2010年4月01日 22:03:07: hAbIr 郵政民営化はドイツポストが日本より先行していて、その問題点から、小泉郵政改革の結末はある程度見通すことが出来ました。ドイツもユニバーサルサービスを法律で義務付けました。ドイツの三大銀行は、今やドイツ銀行一つだけになりまた。 ポストバンクは３大銀行のいづれかと（ドイツ銀行が最有力でしたが）合併する手筈になっていました。ドイツ銀行は、サブプライムローン問題に端を発する金融危機で実質債務超過になり、形式上は、ドイツ銀行がポストバンクを吸収したのですが、実態は、ポストバンクによって救済されたのです。 さて、郵貯限度額引き上げについて、地方の銀行、信組は大変心配しているようですが、ある地域で持っている地銀信組のノウハウは貴重なものであり、それを持たないゆうちょ銀行には、大変魅力的なはずです。亀井大臣もそのような考えを表明していましたが、ゆうちょ銀行と地銀、信組が相補って発展していければベストではないかと思います。 最後に郵貯限度額引き上げの目的について大胆な推測をしてみます。海外に投資されていた、日本の資産の安全な避難所を提供するのが、その目的です。 現在は、米国にもＥＵにも安全な投資先はないのです。私の推測が正しければ、民業圧迫は生じません。むしろ、海外から戻ってきた資産の投資先開拓が必要なのです。
02. 2010年4月02日 03:17:23: 92fz4 郵貯は100兆円近く減った 100兆円穴埋めする為に、限度額を増やすに決まってるだろｗｗｗ 郵貯を頑丈にしなければ外債なんて買う主体になれない 外債とは米国の債権のこと ＦＲＢがＭＢＳなどの買取を止めるので、郵貯が変わって外債を買い支ろと指示が下った 米国イエスマンの小沢は、当然それに邁進する 小泉は民営化で、 能無し郵便局員が財投・国債に丸投げしていて資金運用を 外資に任せ外債購入に充てようとする 民主は民営化で、 能無し郵便局員が財投・国債に丸投げしていた資金運用を 国家の指導の下に国債・外債大幅購入に充てようとする 米国の債権の買い支えという最大目標は変わっていない 米国経済が破綻するとき、それはアジアと日本の経済が破綻するとき 中国と日本は、死ぬまでババ抜き合戦に興じなければならない
03. 2010年4月02日 03:36:04: 92fz4 小泉民営化では、100兆円目減りは想定内 能無し郵便局員が扱えるだけの額まで減らした方が健全運用できる リーマンショック以降は、100兆円目減りなんて以ての外 際限なく増え続ける国債・外債を買い支えなければならない
04. 2010年4月02日 03:54:00: 92fz4 金融庁員 信金が預金保障を郵貯と同じにしろと言っていますが 亀井 郵貯と同じように国家指導による国債・外債運用が大前提だ それを呑むなら、郵貯と同じにしてやる ギリシャ危機で騒いでいるが 米国の方が悲惨な状況で、日本もお尻に火が付いてしまったか

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