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国家・社会・官僚・帝国(米)と小沢氏を鋭く分析する佐藤優氏 〔ライジング・サン(甦る日本)〕
http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/838.html
投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 4 月 07 日 19:13:41: qr553ZDJ.dzsc
 

http://ameblo.jp/kriubist/entry-10502409942.html
2010年04月07日

【転載開始】


国家・社会・官僚・帝国(米)と小沢氏を鋭く分析する佐藤優氏 


副島隆彦氏の「学問道場」 日本政界情報メモ より転載します。
http://www.snsi-j.jp/boards/bbs.cgi?room=trafics

佐藤優氏と魚住昭氏の対談文ですが、佐藤優氏の小沢氏と国家・社会などに対する分析が非常に勉強になります。   みなさんも読んで色々考えて見て下さい。

(転載貼り付け開始)

[4248]「佐藤優氏と魚住昭氏の対談(最終回)」

「ウェブマガジンG2」から貼り付けます。


(転載貼り付け開始)

「佐藤優氏と魚住昭氏の対談(最終回)」

国家と社会の裂け目

―帝国主義は止められないが、その内容を変える程度のことはできる?

佐藤 その可能性に賭けてみる必要があります。小沢さんを考える場合、もう一つ忘れてはいけないのは西松建設献金事件です。日本の保守政治家はマルクス主義の影響を受けていないから、国家と社会が一体化している。例外的に国家と社会の裂け目を意識する人は検察にやられた人だけなんです。自分が国家の側にいる間は国家というのは、少なくとも自分との関係においては、守ってくれる暖かいもので、その本質が暴力装置だということは気付かない。ところが小沢さんや鈴木さんは、それに気付かざるを得ない状況に置かれてしまったんです。

国家と社会。私の解釈では「社会」は「世間」に近い概念で、「国家」は官僚機構に支えられた「政府=議会」だ。「国家」は「社会」の上に乗っかっている装置に過ぎないのに、日本では往々にして社会と国家が混同される。ジョン・ロックが、政府の圧政に対して人民の革命権を対置したのも、その基底に国家と社会(市民社会)は別物という考えがあったからだ。

さて、社会に国家が介入する場合の最も象徴的なことは何だろう。文芸評論家の柄谷行人の『近代文学の終り』(インスクリプト・〇五年刊)から援用しよう。〈国家というものは(中略)収奪によって成立する〉。収奪とは国民や法人、つまり社会に対する課税のことだ。〈しかし収奪を継続するためには、再分配をしなければならない。つまり収奪する相手を保護し育成する〉。これが社会福祉政策であり、かつての護送船団方式による企業の保護、統制だったといえる。佐藤のいう社会や共同体は、官僚機構と一体化した国家とは別の論理で自律的にまわっているか、自律的であろうとする者たちの集合体だと解してもいいだろう。

―そういえば「参院のドン」といわれた村上正邦さんもKSD事件で小沢氏や鈴木氏と同じような経験をして、変わりましたよね。

佐藤 そう。その経験がない限りは国家と社会は一体なんですよ。

―『改造計画』では国家と社会に加えて小沢さんの自我も一体化している。小沢自民党幹事長個人の湾岸トラウマがそのまま日本国家・社会のトラウマとみなされている。


佐藤 そう思います。だから今の小沢さんに『日本改造計画』を書けと言ったら、こういうふうには書けない。何故ならば検察が自分の方に牙をむいてきたから。1年前の小沢さんだったら同じ書き方をした。その意味で西松建設献金事件以前と以後の小沢さんは、別の人ですよ。だから私は、そこに期待がある。

―なるほど。それは良くわかる。

佐藤 だから小沢さんが事件後に言い出した企業・団体献金の禁止を、みんなはこんなものはカムフラージュじゃないかと言っているけど、そうではない。彼が一律禁止を言い出したのはやっぱり西松建設献金事件の意味を深く考えたから。と同時に、国家の暴力性を彼自身はヒシヒシと感じ始めた。田中角栄や金丸信が受けた仕打ちが何だったか、初めて皮膚感覚でわかったということなんです。

―私も小沢という政治家に本当に興味を持ち出したのは、あの事件からですね。

田中派への弔辞

―とすると佐藤さんが最初に言われた、小沢さんは普通の経世会の政治家と大して変わらないということと矛盾しないですか。

佐藤 いや、例えば橋本龍太郎の経済同友会三原則の中でのユーラシア外交は米国一辺倒ではなく、勢力均衡論に基づいている。金丸信の自民・社会両党訪朝団による、北朝鮮の国交正常化プロセス。あれも東アジアにおける戦力バランスの変化を目指している。それから田中角栄の日中国交正常化、あるいは田中・ブレジネフ会談によるシベリア開発の試み。経世会は一貫して、スマートなやり方じゃないんですが、日米関係の見直し、つまり帝国主義的な再編を試みています。冷戦構造下でも、それ以後でも戦後の大きな流れの中で日米安保体制に異議申し立てをしているのも、常に経世会です。清和会は戦後レジームの脱却と言いながら、実は全然その方向で動いていない。

―外交だけでなく、内政面でも経世会の敷いた路線は非エスタブリッシュメント出身者たちによる「土着的社会主義」あるいは日本的社民主義の色合いが濃い。外向けの帝国主義と、内向けの社民主義がセットになっている。常識的には、経世会より清和会のほうが帝国主義的なイメージは強いですけどね。

佐藤 帝国主義的イメージは強いけど、実際はアメリカのアンブレラの中での発想しかない。それは清和会が東西冷戦期の切った張ったの時期に権力を持っていなかったから、本当の権力の文法がわからない。経世会が日米関係の見直しで行き過ぎると、清和会が軌道修正をする。田中角栄が、中国やロシアに接近し過ぎると福田政権が出てきてアメリカとの関係を強める。あるいは中曽根政権が出てきてアメリカとの関係をより強める。そして、経世会の橋本・小渕で対ロ外交がとても積極的に展開されるようになると、清和会の小泉政権が現れて、そこを締め上げて、また元の親米主義的な方向に持っていった。

―確かにそうですね。

佐藤 安倍さんが戦後レジームからの脱却と言っても、その方向性は基本的には戦後レジームの維持です。そういうことを掲げない経世会の方が、実質的なところで日米関係を動かしていますよね。経世会というのは胃袋で考えるグループです。それに対して清和会は頭で考えるグループですよ。

―その胃袋には国内的な胃袋と国外的な胃袋があるんですか。

佐藤 それは一体化していますね。あと自分の胃袋も、政治家としての。


―なるほどね(笑)。

佐藤 経世会はその意味では唯物論的ですよ。飯を食うところ、つまり利権からスタートする。それに対して清和会は観念からスタートする。小沢さんは大きな意味で、日本国家が危険な方向に向かっている中での危険な政治家の一人です。ところが他の政治家と比べた場合、その危険を極小化する力がある。

となると何が重要かというと有識者、世論の声ですね。今起きていることを、どう見るかという分析があまりにも少ない。それから、こいつだって汚いことをしてるじゃないかというような、旧来型のスキャンダリズムに基づいた形での政治資金を巡る批判。しかしそれは、同じ基準でやった場合に、三分の二の政治家が確実に消える。では残りの三分の一は何かといったら、何の役にも立たないような政治家。企業が、献金の必要すら感じないようなレベルの政治家です。

小沢さんの抱えている問題は何かというと、それは政治と金の問題です。やっぱり田中角栄型の、最後の政治家なんです。小沢さんの歴史的な使命っていうのは、田中型政治の弔辞を読むことだと思う。小沢さんは、そこに気が付き始めた。自分自身のところに火が付いて。それが何かと言ったら、企業献金・団体献金の全面禁止。

その結果何が起きるかということになると、個人献金だけでやらないといけないと。

要するに企業献金というのは、どういうことかと言うと、上場企業だった場合には、無私の精神でやりましたと言ったら、株主に対する背任になるわけですよね。それで何かの目的がありましたと言ったら、贈収賄になるわけですよ。こういう状況から政治を解放しないといけない。そうすると田中型の構図は完全に崩れるんですよね。

では、直接的な利権システム、再分配システム以外のところで、どういうような政治を立てるかっていうことは、これは未知数です。ただ、彼はそれに成功しなければ叩き潰される。これは検察によって叩き潰されるんじゃなくて、デモクラシーによって叩き潰される。だから小沢さんにとっての最大の課題というのは、検察が言うのとは別の意味の政治と金ですよ。ただそれは歴史的に、田中派の出身者しか、この弔辞は読めないんです。

たぶん彼らの中には、どこかに知恵があると思う。そこのところを崩しても、新しい形での集金メカニズムを作って政治を継続することはできるという知恵を出す。


大衆の反逆


―最後にお聞きします。いま日本で起きているのは、良い悪いは別にしても、ある種のビロード革命だと思うんです。

佐藤 その通りです。革命です、これは。その中で、やっぱり鳩山由紀夫・小沢一郎をハブとした形で政局が動いている。

―でもチェコには大衆運動の盛り上がりがあったが、日本にはそれがないのでは。

佐藤 いや、今回の選挙の大衆的な盛り上がりは、すごいものだったと思います。選挙という形で大衆的なエネルギーが吸収された。最近の日本では、沖縄県を除いて、選挙で大衆エネルギーを吸収するメカニズムが明らかにできています。これはやっぱり小泉さんの影響ですね。二〇〇五年の郵政選挙も大衆的な盛り上がりがあった。少なくとも民主主義というフィクションは機能しているってことですよね。

だから六〇年安保のような街頭活動をしなくても、選挙で一票を投じることで革命ができる。これはデカイです。特に保守層の支持者は既得権益も全部投げ捨てないと今回の政権交代はできなかった。明らかに短期的には自分達には不利な状況が生じるわけですね。にもかかわらず民主党を支持したのは、このままではこの国が壊れるという草の根の無意識が作用したからでしょう。

―その革命的な政権交代が、小沢という国家主義者を軸にして起きたのは不思議ではないですか?

佐藤 でも、チェコのビロード革命もハヴェルという、どんな状況でも権力奪取をあきらめなかった作家に指導された。彼は六八年の「プラハの春」が弾圧された後、何度も逮捕・投獄されてもあきらめずにやってきたわけです。日本のビロード革命もそれとそっくりで、どう叩かれても権力奪取をあきらめなかった小沢という人格と結び付いています。

―小沢氏のキャラクターが大衆的な危機感の受け皿になった?

佐藤 そう。より正確に言うと受け皿ができる「場」を作った。さっき魚住さんは小沢さんの理念の中身が見えないと言われたけど、確かに小沢さんの思想は「無」なんです。でも大衆の情念を右から左まで受け止める「場」を作り出す力がある。これって過去の経世会の誰かに似てませんか?

―あっ、金丸信元副総裁ですか?

佐藤 そう。アバウトで思想がなくて、自社大連立を唱えた「政界のドン」です。金丸さんは「場」を作り出す能力において非常に優れていた。小沢さんはその金丸さんの系譜を引いた政治家なんです。

今の日本では明らかに大衆の反逆が起きている。みんな疲れきっているんですよ、競争社会に。受験とか会社で業績を上げることとかに。だからどこかに回帰したい。だけど天皇とか靖国とかいう表象を自民党は消費しすぎたから、そこには戻れない。小沢さんら民主党が頭がいいのは、例えば派遣村を正面から受け止めて、村長の湯浅誠さんを内閣府参与として体制内に入れた。これは、あれが体制に対する異議申し立て運動じゃなく、居場所探しの運動とわかっているからですよ。国民一人一人にどこか居場所を見つけてあげることが国家体制の再編で必要だと分かっている。

―結局、小沢氏が目指すのは、内政でも外交・安全保障でも、帝国主義の時代に対応した国家体制の再編だということですね。彼の思想の「無」と「場」が大衆の不安や危機感を吸収しながら、ドラスティックな変革が進んでいる。ただし、その変革が他国を踏み台にして自分たちの胃袋を満たすためだけのものなら、戦前の二の舞で終わってしまうのではないかという危うさを感じます。

佐藤優の切れ味鋭い分析のおかげで曖昧模糊としていた小沢思想の輪郭が見えはじめた。私たちが彼の思想のなかに希望を見出すとすれば、それは彼が「国家と社会の裂け目」を意識し、権力を社会の側に引き寄せようとする姿勢をもっているからだ。しかし、その一方で、彼が「大きな意味で日本国家が危険な方向に向かっている中での危険な政治家の一人」であることも間違いない。

現在進行中の日本版ビロード革命は、私たちやアジア諸国の人々に再び惨禍をもたらす可能性をはらんでいる。どうしたら私たちはそれを阻み、自由と平等と平和という戦後民主主義の理念を達成できるのだろうか。小沢一郎と日本の新しい政治をめぐる旅はまだ始まったばかりである。


(転載貼り付け終了)


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