今日、立ち寄った古本屋で「道義」という本を買った、分厚い本である。
　私は昭和二十年代後半生まれですが、「三丁目の夕日」を彷彿とさせる、当時の我々日本人の生き生きとした心情を窺わせる名文が目白押しである。
　この本には　ジャーナリストの反骨精神がある。
　懐かしい古き良き日本の時代であった。

　社会の木鐸としてのプロたる大手マスコミ報道人よ、私のような一市民に言われたのでは、お終いである。

　日本人として、恥を知れ！

「道義」編者　藤生安太郎
発行者　国政審議調査会議
昭和四十年八月二十一日発行　非売品

【転載開始】

恥を知る心

　戦前の国民は、世界の一等国たる日本人としての誇りと自尊心とを持って、国連の隆盛に努めた。これを想って戦後の日本を観るとき、何人も嘆息を禁じ得ないであろう。
　現在の日本には、日本人にして日本人に非ざる人間以下の動物的人間が雑居している。即ち人に嘲笑されても、平然として恥を知らない、厚顔無恥な人間が政界に、官界に、又財界にも尠くない。
　われわれが、日本人よ日本人に還れ、という前提としてまず日本人よ人間に帰れと、人間復帰の必要を主張する所以は、この恥を知らない人間が、余りにも多いからである。
　いうまでもなく人間と動物との相違は、恥を知る心の有無にある。動物は欲情を満足させる事だけに、汲々として少しも恥としないが、人間は之を恥として秘かに慎む。
　この恥を知る心が、深刻なる反省により、鍛練陶冶されて、日本人たる面目を知り、その面目のために責任を重んじる心にも、生長するのであって、之を生活行為の上に、強く実践するのが道義である。
従って道義の高揚とは、恥を知る心、責任を尊重する心を喚起し実践して、道義的制裁の風習をさかんにすることであると信ずる。（昭和33年3月号）

　放送と道義

近頃のテレビ、ラジオの低俗化を一億白痴化という、正に踊る阿呆に見る阿呆、唄う阿呆に聞く阿呆である。
然し、中には良心的、道義的に少からず感激させられるものがある。日立製作所提供の「小判一両」の如き、言わば泥沼の花として推奨してよいものと思う。その筋はこうである。

　タコを盗んで逃げようとする子供を、タコ売りが捕えて殴りつける、それを安七というザル屋が助ける、安七はその子供が、貧しい浪人の子供であることに同情して、父親の形見として大事に持っていた一両小判をやってしまう、その様子を見ていた浅尾という武士が、安七の善行に感激して、料亭で酒を御馳走しながら、金をやろうとするが、安七はどうしても受取らない。そこで安七と武士は、お互いに美しい心情を感じ合い、貧しい浪人を慰めようと、裏長屋に訪ねてゆく、ところが浪人は、「今日という今日、己の姿を己で見た」と、書置きして身の不甲斐なさを、自ら自己の良心に恥じて、自害しているのである。

今の世の中に欠けているものは、この安七の貪しき者、弱き者に対する犠牲的な同情心と、この浪人のように、命にかえても己の恥を知るという、強い道義心である。
　日立製作所の長尾課長に、このドラマは社長の意図によるものかと、聞いてみたが「社長は知らないことです、ただ私共が五十年の信用を持つ日立として、のれんを傷つけるようなものは、出せないと思って考えたものです」といっている。この課長のように、誇りと自尊心をもって、会社ののれんを傷つけまいとするその努力と、その心組で、放送番組が編成されるならば、放送道義も確立され、一億総白痴化も防止されるであろう。

　日立は人も知る通り、戦災によって致命的打撃を受けた。それが今日の如く隆々と復興し、今後の大発展が注目されるのは、日立の社員が、その自尊心と誇りを持ち、社名とのれんを重んずる誠意に負うものが多いであろう、しかもその社員の努力と心構えは、倉田社長の人格の反映である。（昭和33年3月号）

【転載終了】 　

コメント
01. 2010年4月27日 07:05:17: 85QDKsppcI 全く同感だ！　今のマスゴミの酷さと言ったら、それこそ戦前の戦争に反対する国民を非国民と言って非難したり戦争が正しい事のように報道したりした様子と同じように思えるほど酷い。恥を知れ！と言いたい。
02. 2010年4月27日 08:33:26: N0f7TfviJQ 今朝のNHKラジオで 内橋氏の話をしていたが、 NHKにしては珍しく？ 最近のジャーリストについて 異常な報道ぶりを嘆いていた 去年の藤崎大使呼び出し？事件 ワシントンポストのコラムの異常な取り上げ方 組織ジャーナリストの 言論の自由はあるのかとまで言っていた 担当のアナウサーの聞き方も珍しく良く NHKがそこまで言わせていいのか？と聞いている方が 心配するほどであった。 さっそくNHMに励ましのメールと電話する。 マスコミ批判ばかりではなく いいときにはしっかり褒めようと思う。
03. 2010年4月27日 09:03:55: CSCkxzoktQ ０２さんへ。 悪い時は注意を促し、良い時は褒める。 何か、子供に躾するみたいで空しい。 社会の木鐸たる役割を捨てた、メディアの腐敗した末路を見ているようだ。 投稿者には、企業倫理を強調したいとの趣旨が読み取れる。 経団連の指揮官だった、奥田・御手洗の腐れコンビに是非一読させたいと思う。 これは、イデオロギーの問題でなく、まさしく人間性・価値観の問題と云えるからだ。 だとすれば、既得権益にシガミツク愚かな集団（官僚・旧政権党・財界・記者クラブメディア）にも、同じ事が云えるだろう。
04. 2010年4月27日 11:25:26: EcrMNT2Hf6 【社会の木鐸を捨てた大手マスメディアにより天下国家の国づくりは失敗した】 昨今の大手マスメディアにおいて、政治的利害関係やしがらみがからまったために人間的なあたたかな人間関係がうすめられ、やがてふみにじられてゆく姿を見るのは悲しいことである。社会の善意は踏みにじられ人と人との結びつきも、利害関係によってくっついたり離れたりしている。利害関係を無視して産業、報道社会が動き得ないことは冷静な事実である。彼ら大手マスメディアは結局、弱者を小ばかにし、搾取されたり、虐げられたりするのは当然だと思っている。所謂、選民意識である。 TBSの朝ずばで司会者みのもんたが,小沢さんが圧力掛けている報道していた、圧力掛けているのはあなた方，大マスコミでしょう,国民に悪を正しいと大ウソを誘導し，過去我々はあなた方に身も心も家庭も崩壊させられてきた,正義人を侮辱して悠々自適の生活をしてきたのは,貴方達,大マスコミではなかったか,政権交代して今,民主的な世の中に少しずつ向かっている,私は忘れることはない，自民党と大マスコミが作り上げた無関心貧困化社会を二度とさせてたまるものか。
05. 2010年4月27日 22:16:12: 9UW5dbOztc 戦前の国民は、世界の一等国たる日本人としての誇りと自尊心とを持って、国連の隆盛に努めた。→そして戦争に突入して、亡国の憂き目を見た。恥の部分には意義はないが、この書き出しには嘘くささを感じる。もっと単純にバブルの時代に、日本人は思いやりも、優しさも、そして恥も全て捨てたと断じるべきだと思う。そして続いたのが小泉・竹中路線という戦後まれに見る売国的政権であったが、その時、日本人の大多数が諸手を挙げて歓迎したのをすでに忘れている人だらけで。(政権交代があったから、こういったら言い過ぎとおもうでしょ？）だが、いまはいまで、政権交代からたったハントしすぎ高すぎない内から、その政権を見放す人だらけ(という報道)。 もうこうなったら、恥が外部だといわない方がいい。そんなものは今の日本人には無関係だ。自分だけがよければよいという人だらけ（まず、議員でしょ、官僚でしょ、裁判官たら弁護士たらでしょ。そしてあなたです！） ７０年も生きてくると、こんな愚痴でも言わなくちゃね。今日の検審の結果に本当に絶望的になる。が、参院選ではいままで一度も入れたことのない、民主党に絶対投票する。
06. 2010年4月27日 22:48:23: cSzRBQUUZo 今日の検察審査会のメンバー全員が《同意見》の裏に見えてくるものは何。告発者が誰かも、審査会１１名の名前も年齢も職業も明らかにされないまま。起訴相当と宣言される。たまったものではない。市民感情で裁いたと言うが、この一年間『彼は悪人だ大悪人だ』と報道合戦では、密室の中でも誰か強い意見で誘導したのではないかと疑ってしまうのは私だけでしょうか
07. 2010年4月28日 01:39:53: IpaukqIkmg マスゴミは恥を知るほどのたまじゃない。 こやつらに天誅を下すためにも、夏の参議院選挙は、私を含め知り合い１００人が民主党に投票するように頑張る。 何が何でも頑張ってやる。 私は民主党員でもなければ、小沢信者でもない。 普通に、日本と日本人が大好きな、日本人だ。
08. 2010年4月28日 02:33:11: J0o6rialnc こんな理不尽が通ったら、世も末だ。 兎に角何時の世でもマスコミとは国民を洗脳する極悪だ。 洗脳はオームの時マスコミは洗脳の恐さをよっぱら報道していたが、何のことは無い、そのズ〜と前、戦前からマスコミの専売特許だったんだな〜。 しかし、今回はマスコミ、検察、反民主勢力は民主党支持者の力を見事に一つにまとめてくれちゃったな〜。 これでまた先の衆院選の時のように、いやもしかしたらもっと、今回は党員、サポーターまで増やして、このまま勝利に突入だ〜。
09. 2010年4月28日 07:31:54: 3w3vKRJ5aQ 本当に国民は、マスコミに洗脳されたB層なのでしょうか？ 私でさえ覚醒してしまったのですから、きっと他にも多くの人達が、気付き始めていると信じます。テレビや新聞で煽れば煽るほど、私の小沢氏支持の気持ちは固くなっています、勿論選挙は民主へ投票します。
10. 2010年4月28日 11:45:48: V7hBj15w8U 野坂さんの証言を聞いて、ふっと思いました。 マスコミと自民党との関係は、企業と総会屋との関係とそっくりではないですか。 企業献金は総会屋さんとの付き合いは禁止、なのに大手マスコミさんはやりたい放題。

11. 2010年4月28日 13:57:43: 68NATi8EII メディアのすべてが敵ではない(数は少ないが） ワイドスクランブルの河村さんが生方や大沢ヤメ検弁護士に 小沢幹事長の「起訴相当」の事でかみついていた。 事が起こった時にジャーナリストの本質が問われる。 ジャーナリスト達は小沢幹事長憎しの評論家とは違い 今の現状を良い事と思ってないのでは？ 初心を思い出して恐れず真実を追求してほしい。
12. 2010年4月28日 15:54:07: XJ9eMlz9vk マスゴミに天誅・・・・なんとよい言葉、いい響き！！ 下してやりたいな〜。 そう思う人の輪を、広げていきましょう。広がりますように！
13. 2010年4月28日 17:40:58: Gla0zIUOUT 原口総務大臣が偏向放送放置してるのだからどうしようもない。
14. 2010年4月30日 14:42:51: FHVyh15Kso ３０日放送のテレ朝「スーパーモーニング」の出だしの話題は普天間移設問題だった。 その話題で、週刊朝日の山口編集長が「米軍基地反対問題は沖縄の問題ではなく、日本人全体の問題だ」と主張していた。 正論だと思う。他のコメンテータの発言はほどほどにＣＭに移った事から、番組の台本から逸脱したコメントだったかもしれない。 他局は、中野美奈子の上海旅行を垂れ流したフジ・とくダネは論外にしても、ＧＷの話題でお茶を濁した作りの中、 普天間問題で迷走中という鳩山批判的な内容の作りを、山口編集長は、冒頭のコメントで、逆手に取った訳だ。 結局、伝え手がどういう考えで臨むのか、によって伝えられる内容は変わってゆくという典型だろう。

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