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鳩山、小沢に関する政治資金疑惑はあるとしても、彼らは同時に日本の改革の方向性を訴えて、先の衆院選にも大勝し、その政策の実施に当たっている最中である。
彼らの政治資金疑惑を見逃せといっている訳ではない。
これに対して両人とも一応の弁解はしているではないか。
この上に、彼らを失脚にまで追い込む根拠はなにから発されているのであろうか。
一つは有権者の倫理的潔癖感であることは間違いない。
それも認めるとしよう。
けれども有権者として考えるべきことはそれだけで良いのか。
政治に必要なものは何であるのか。
我々が、今一番求めているのは何であるのか。
日本という国の先行きのことではないのか。
子供たちの将来を考え日本を変えたいのではなかったのか。
鳩山や小沢に代わるより良き政策を示しているものがあれば、まだしも、そんな大切な問題を、政治資金的な疑惑一つで忘れてしまう判断の基準は何であるのか。
近年の民意というものの性質を考えるとき、民意というものが個人的思惑（好悪）の対象になっているのではないか。
政治的な民意とは、あくまでも社会的価値から発されるべきではないであろうか。
こういう民意というもの基準の混沌が招いている、民主主義のようで民主主義でもない、単に興味本位の野次馬根性を、民意として民主主義を標榜するならば、まさしく衆愚の時代とみなすべし。
衆愚と解っていて、衆愚を認めるならばそれも良かろう。
我々の国は、日本民族はそれまでのものであるということだ。
最後に、ヘレニズム社会（紀元1〜3世紀）の批評家が嘆いた下記の文章を紹介しよう。
＞現代に生まれた人間の精神生活の癌の一つは、精神的緊張の低下であって、ごく少数の選ばれた人びとを除き、我々はみな、弛緩した日々を送っている。仕事においても、気晴らしにおいても、我々がもっぱら目標にしているのは、人気取りと享楽である。全心を自分のしている事に打ち込み、本当に手に入れる価値のある承認を勝ち取ることのうちに見いだされる、真の精神的財宝を得ることに、少しも関心をもたない
＜
まさに我が国は、このようなことを実践しているのである。
やがて滅びる運命を知らずに。
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