「抑止力」と弁明　官僚支配 脱せず　首相「県内」表明
2010年5月5日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161681-storytopic-25.html

鳩山由紀夫首相は米軍普天間飛行場の返還問題で、前政権での日米合意と同じ名護市辺野古沿岸部への移設に向けた取り組みを示した。衆院選前に「最低でも県外」と明言した自身の言葉も「党の公約ではない」と姿勢を後退させた。負担の軽減と「県内移設」を一括実施する「パッケージ」で理解を求める姿勢も強調した。官僚の手あかにまみれた「抑止力」「日米同盟の維持」の重要性を最後まで繰り返した。辺野古移設に強固な反対姿勢を強調する稲嶺進名護市長と地元意向を尊重する態度の県。首相の考えに地元との溝は埋め難いほど大きい。

　普段の表情とは異なり、まゆをつり上げ緊張した面持ちで高嶺善伸県議会議長らとの面談に臨んだ鳩山首相。玉城義和副議長から、辺野古移設について問われた際も、目も合わさず自信なさげな様子で聞き入った。それが名護市長との面談を終えると一転。声にも張りが出て笑みまで漏れ、沖縄本島縦断の「県内移設」説明行脚を終えた安堵（あんど）感がにじみ出ていた。

■“公約”撤回
　「公約は選挙時の党の考え方だが、（「最低でも県外」は）党としての発言ではなく、私自身の代表としての発言だ」。昨年来、各閣僚が県内移設に収れんする中でも、あくまで「県外」を主張してきた鳩山首相だが、県民が期待を寄せてきた政治姿勢の柱を「公約」ではなく「個人発言」だったとあっさり撤回し、政治責任を問う質問をかわした。
　普天間飛行場周辺の住民らを集めて開いた普天間第二小での対話集会。一刻も早い返還要求と併せ、参加者らは県内移設への反対を訴えることを忘れなかった。
　その後の名護市長との面談で鳩山首相は「普天間の基地を早く移してほしい、難聴になって大変だとの声があった。騒音の問題も含めて危険の除去を一刻も早くしないといけない。（解決を）１４年も延び延びにしている政府の責任を痛感した」と述べ、「危険除去」を追求する自身の姿勢を補強する材料として引用した。

■パッケージ論再燃
　「県外」断念の理由に鳩山首相は、「海兵隊の抑止力」の必要性を何度も強調した。鳩山首相の口から「抑止力」の言葉が出始めたのは、自公政権下で辺野古移設案決着に奔走した元外交官の岡本行夫氏との接触があって以降だった。沖縄への基地負担の集中を「理解」した上で、まだなお沖縄に負担を置く。その言葉にはある種の確信犯的な響きがある。
　「県内移設」推進の一方で「トータルの県民負担軽減」を強調してみせる首相。県などが求める訓練海域の一部返還や日米地位協定の環境条項締結を、普天間移設と明確にリンクさせた。本来個別に取り組むべき施設返還などの負担軽減を「県内移設」とひとくくりにした「パッケージ」の文言も繰り返し、普天間移設でヘリ部隊と陸上部隊との一体性も強調した。前自公政権による日米合意での思想をそのまま引き継いだ形だ。
　「官僚支配だからだらしないという気持ちは分からないわけではない」。官僚支配から脱しきれない鳩山政権の横顔がのぞいた。
（滝本匠）

コメント
01. 2010年5月05日 12:07:08: A95K8fhJKA 盛り上がりかけた機密費問題もこれでフェイドアウト。 タイミングも悪い。
02. 2010年5月05日 12:26:18: Qos5b6UPKo 鳩山はやはりボンボンでしかないのか？　国民の期待を裏切るのは許されないぞ！
03. 2010年5月05日 12:50:01: lHKg08X3Rk 完全に丸め込まれちゃってるなあ 嘉手納と違って普天間は返還しても抑止力はかわらんのに
04. 2010年5月05日 13:08:07: lFtrGPhedw 南西諸島に自衛隊配備＝北沢防衛相が検討表明、対中国で http://www.jiji.com/jc/zc?k=201004/2010043001142 総理、あれ海兵隊に抑止力があるなら何故自衛隊を配備するの？
05. 2010年5月05日 13:28:00: TQ53qW7Gjk 小沢総理誕生を望む。
06. 2010年5月05日 13:30:04: q4OUlga90E （失望しないで！）　 ブロガーのみなさんも、ここは冷静に判断しなければならない。 沖縄訪問はプロセスの中のひとつの儀式であり、５月末にむけた 環境作りだということ。国外移転期待の高まりをいったん冷却する ためです。あえて県民を失望させ、自身が非難をうけとめてみせる 度量と胆力は、たんへんな役者というべきです。あと２週間が勝負、 潜行する日米事務レベル会議は驚嘆の結論を出すと思います。 マスコミに踊って、鳩山を二枚舌だの、お坊ちゃんだの、総辞職だの、 って騒ぐのはＢ層すぎる。
07. 2010年5月05日 13:43:49: xDSRSBQsrs 鳩山は抑止力の内容を全く言っていない。 明らかに意図的に触れていない。 だから後になって「私が抑止力と言ったのは特定の国に対してではなくテロに対するものです」と言う可能性もある。 現時点では何でもありうる。 ただ沖縄の独立運動の気運だけは確実に高まっている。
08. 2010年5月05日 14:07:37: RjrAJkPhmQ 上杉隆あたりが言っていたと思うが、鳩山には最後に話を聞いた人の意見に従うという"法則"があるそうな。 以下のように、「海兵隊の抑止力」は岡本行夫の持論だが軍事常識ではあり得ない、というのが軍事ジャーナリスト神浦元彰の見解。 （ついでに言えば、小沢の「第7艦隊で十分」発言は米国の方針に合致しているという。） 沖縄訪問　市長、住民ら反発　首相「県外」断念　海兵隊の抑止力　理解が「浅かった」（毎日新聞 5月5日朝刊）　へのコメント（抜粋） http://www.kamiura.com/whatsnew/continues_415.html > なぜ鳩山首相は、海兵隊基地（統一運用可能な）を沖縄に置くことが（中国への）抑止力になると信じるようになったのか。 > > そんな軍事論は正常な軍事常識ではありえない。これは間違いなく、岡本行夫氏（外交評論家）の持論を説得されて信じ込まされたからである。
09. 2010年5月05日 14:32:48: 78b9sAEmUY 岡本行夫が北沢の紹介で会っていたな。
10. 2010年5月05日 17:00:58: F4WuXvT8G6 岡本氏に、「機密費言論買収」の疑いはないのか？

11. 2010年5月05日 20:39:50: PBxD43ggYM 在沖海兵隊は日本にとってなくてはならない「抑止力」だったんですね。 沖縄には他にも「嘉手納飛行場（米空軍）」、「ホワイト・ビーチ地区施設（米海軍）」、「トリイステーション（米陸軍）」、「自衛隊那覇基地（陸海空）」などの基地や施設があるのですが、米海兵隊がいなくなるとそれらは「抑止力」にはならないということなんですね。ということはそれらは必要ないということになりますね（笑）。
12. 2010年5月05日 21:30:57: wBIc7ZRQLw 昨年、海洋給油継続について自民がやいのやいの盛んだった頃、岡本行夫氏は親米派として新聞記事やNHKのインタビューに政権が変わってもこれまでの継承をしないと日米関係は大変悪くなると言う内容の発言ばかりでした。何でこんな人を傍に置くのでしょう。 それだけでなく、普天間移設を担当していた役人達をはずし新たにしましたが、結局彼ら役人が動かず、元の担当者にもどして中途半端な修正案に成りつつあります。官僚達は巧みに大臣を巻いているようですが、そのしたたかさに大臣は気づかないで一生懸命尽力してくれていると思っているようです。うーん。 奇跡でも起こってくれるといいのですが、それはそれとしてテアニンはウエルカムなのに、何でダメなのでしょうか。 これまで外国の米駐留軍は、政権交代を機に撤退することになる。日本の場合、日本（前政権）が居てほしいような話もありますよね。 鳩山首相も裏ではなくて表の交渉でアメリカに対し国民の耳に聞こえるよにハッキリ言ってほしい。それがもめても日米で打開策を見つけ出すのが筋だと思うのですがね。 またこの連休中、仙石、前原、それぞれ米、中国訪問後、ベトナムで合流するそうです。反小沢派は民主党の乗っ取りの方が大事なようです。

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