アメリカ側は先日、辺野古沿岸部の杭打ち方式をテロ攻撃に対して危険性があるとの理由で拒否したが、回りを沖縄住民の敵意で囲まれたとき基地の安全性は万全なものとなるのであろうか？　例えば、北朝鮮の日本語を流暢にしゃべる工作員が基地内に潜入して爆破を試みようとしたとき、その手引きをするとは言わないまでも見て見ぬふりをされる恐れはないのだろうか。

　日本人ならイントネーションのわずかな違いで「？」と気が付いても、アメリカ人にはおそらく判別はできないだろう。その日本人が非協力的だった時、誰が敵かどうして知るのだろうか。平和な日本の中で片っ端から射殺していったら、それこそ駐留部隊の自殺行為だ。基地から一歩も出れなくなる。ベトナムやイラクでも似た状況ではなかったのか。

　だからアメリカが「地元の合意が前提だ」と言ってるのは、ある意味で当然だ。沖縄の基地は「戦場」にあるのとは違う。あえて強行して基地を建設することは可能だが、民間人の思惑を蹴散らすことになる。そして現代は数十名の反対闘争が、あっという間に全国に伝播する。たちまち基地建設予定地の周辺から市町村単位、県単位に非協力者のネットワークができてしまう。基地の孤立化をアメリカは望んではいまい。

　案外これが１３年間も代替施設の建設が滞っていた理由ではないのか。そして同様の懸念が「今ある基地」にも広がっていこうとしている。日本にある米軍基地が「テロに対して安全」とは言えなくなるとしたら、アメリカはそれでも「強気」を押し通すだろうか。日米同盟の堅持を双方の国が言っているが、いくら国同士が手を握り合っても国民の協力意識が離れてしまっては部隊の作戦行動に支障を来たすのは確実だ。

　「じゃあ現行案に戻しますよ」アメリカは何も言わないだろう、一番望んだのだから。「地元の同意も気長に取り付けますよ」これも相手の言うままだ、いつになるかは分からぬが。「でも反米感情だけは、当方ではどうしようもないですからね」いいですね。「あと全基地の環境基準は米本土並みでよろしく」これで普天間基地は事実上使用停止だ。だって『嘉手納基地周辺の騒音を低減』なんて条件をもし呑むんだったら当然だわな。

　鳩山首相、これぐらいの「捨てゼリフ」は言ってきてくれ！　それで相手がゴネたら、遅れたのは相手のせいにすればいい。使用人がご主人様の外出着を選んでる、のとは訳が違うんだから。
　

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