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政権交代によって何が変わったのか―民主党の子育て・教育政策:大内裕和 (Infoseek 内憂外患)
http://www.asyura2.com/10/senkyo90/msg/350.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 7 月 11 日 11:19:54: twUjz/PjYItws
 

http://opinion.infoseek.co.jp/article/941

【参院選】政権交代によって何が変わったのか―民主党の子育て・教育政策
2010年07月10日 21時00分

大内裕和

 2009年8月の政権交代により、子育て・教育政策にはどのような変化が起こったであろうか。人々の関心を最も集めたのが、民主党2009年衆議院選挙マニフェストの目玉である「子ども手当」である。子ども手当は、子育てを「家族の責任」から「社会全体の責任」へと転換するという目的をもって、マニフェストで記載された。

 自民党政権下において実施されていた児童手当の予算は少なく、子育てへの政府の財政的支援は極めて貧困であった。日本の「家族関連の社会支出」は、GDPのわずか0・75%(2003年)であり、スウェーデン3・45%、イギリス2・93%を大きく下回っていた。日本社会の子育ては、家庭に過度に依存していた状態であったといえる。

 民主党2009年衆議院選挙マニフェストで、子ども1人当たり年31万2,000円(月額2万,6000円)を中学卒業まで支給すると明記し、2010年はその半額を実施するとした。2010年6月、子ども手当の支給が開始された。

 子ども手当が子育てにどのような影響を与えるか、少子化対策として有効性を発揮するかどうかについて、支給後約1ヶ月の現在、判断することは不可能である。しかしこれによって、子育てへの経済的支援が自民党政権時よりも大幅に充実したことは間違いない(予算1兆6,156億円、2010年)。

 民主党の2010年参議院選挙マニフェストでは、子ども手当について、「財源を確保しつつ、すでに支給している『子ども手当』を1万3,000円から上積みします。上積み分については、地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられるようにします。」と記載された。民主党2009年衆議院選挙マニフェストの月額2万6,000円という支給額は、2010年参議院選挙マニフェストで修正されたといえるだろう。

 これには、2010年度予算編成において、子ども手当の半額実施を行うことが容易ではなかったという事情が反映している(2010年度の子ども手当予算の一部は地方自治体が負担)。また子育てにおいては、現金給付だけでなく現物給付も重要であるという議論は、子ども手当実施前からも盛んに行われており、その点をも考慮してのものであろう。そもそも子ども手当月2万6,000円という額の根拠は明確ではなく、現物給付との組み合わせを含めて、今後適切な額の設定へ向けてさらなる議論が必要だろう。

 教育政策において重要なのは、高校教育の実質無償化である。民主党2009衆議院選挙マニフェストでは「公立高校生の授業料を無償化し、私立高校生には年12万円〜24万円を助成します」と記載された。自民党政権下において高校授業料は「受益者負担」の名の下に年々引き上げられてきた。安いと言われてきた公立高校の授業料も年間10万円を超えるようになり、授業料の未払いや学費支払い困難による高校中退といった現象も広がっていた。

 民主党の高校授業料の実質無償化は、家庭の教育費負担を軽減し、教育の機会均等を目指すものである。2010年4月より、公立高校の生徒一人に約12万円、私立高校生徒一人にも約12万円、低所得世帯の場合にはその1・5倍、あるいは2倍の支給が行われた。この政策が高校教育を「受益者負担」から公的負担へと転換する上で大きな前進であることは間違いない。

 今後、公立高校と私立高校との格差是正、授業料外教育費負担の軽減、朝鮮高級学校を無償化から除外する排外主義を克服することなどが重要な課題となる。

 政権交代後、民主党は子ども手当の導入と高校教育の実質無償化によって、子育て・教育予算を拡充させた。それは教育改革を盛んに唱えながらも、子育て・教育予算を増額してこなかった自民党とは大きな違いである。しかし、それは一部の領域で始まったに過ぎず、十分なものとは言えない。

 保育所や学童保育などの子育てにおける現物給付の充実、授業料以外の教育費負担の軽減、そして高校・大学に通う生徒への給付型奨学金の設置・拡充、国公立・私立ともに大学授業料の値下げや授業料免除の拡大といった政策がさらになされる必要がある。それらがなされなければ、子育てを行う家庭に過度の私費負担を強いる構造を変えることはできない。財源確保の困難とともに、党内に新自由主義推進派を多く抱えている民主党が、新自由主義を本格的に転換する構想をもつことができるかという難問がそこには存在している。

 さらに、「ゆとりと個性」というスローガンを唱えながらも、実際には教育現場、教員、子どもの「ゆとりと個性」を奪ってきたこれまでの新自由主義政策を転換できるかどうかは今後の課題である。それは予算増だけでなく、過度の競争と統制に追い込まれている教育現場のあり方を変えられるかどうかにかかっているといえるだろう。

 それに関わるものとして民主党は教員政策や教育行政についても教員養成6年制(修士)や学校理事会の設置など様々な政策を提案しており、2011年度以降それらについても改革を実施することを目指している。詳しくは大内裕和『民主党は日本の教育をどう変える』(岩波ブックレット)を参照してほしいが、この点については子育て・教育予算以上に問題点が多い。このままの政策では教育の新自由主義が継続してしまう危険性が高い。

 子ども手当と高校教育の実質無償化によって、子育て・教育予算の増額という点では貴重な一歩が進められた。しかし自民党が進めてきた教育における新自由主義政策が転換するかどうかは、民主党政権に対する世論・運動の働きかけとその力にかかっているといえるだろう。

 

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コメント
 
01. 2010年7月12日 11:08:01: GHzsq1HqN6
民主党政策は間違いなく、いい子としているんだがなあ。これが日本ではなくよその国だったら拍手喝采英雄にされてるはずだ。

バラマキと日本国民からは揶揄されても、よその国ではいい子とやるじゃないかと新聞テレビがまず応援するよ。きっと。

沖縄の基地をアメリカにはっきり断った。これも大歓声だろう。比島なんか海軍基地を断ったのだから。同盟より主権を選んだ。日本は主権を売り渡しても同盟重視。なぜ孤立するのが怖いから。


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