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参院選に惨敗した民主党。１２日の役員会で菅首相が続投を声明し、枝野幹事長などの党執行部の交代をさせる考えがないことを明らかにした。戦国時代の負け戦なら、大将は首を取られる。三方が原で武田信玄に敗れた徳川家康は、浜松城に逃げ帰った直後、死の恐怖に怯える自分の姿を絵師に描かせた。それからはこの絵を見てから、戦に臨んだ。敗戦の反省（＝敗因検証）を何時も忘れないから天下人になれた。
三方が原では家康の命を守るために、歴史に名は残らない数多の武将が討ち死にしている。何が言いたいか。現代の選挙戦では敗れても命は失わない。だが、参院選で敗れた党首の首を守りたい（続投を望む）なら、部下は討ち死に（辞任）をして代表を守れと言うことだ。それを「首相から職務を全うしてほしいとの指示があった」と言って、のうのうとその職に留まる。武士（議員）の風上に置けぬと言うことだ。
処が、帷幕に当たる枝野幹事長が、「わたしと安住選挙対策委員長が中心となって、執行部として、今回の選挙の総括を行いたい」と述べた。これに対して原口総務大臣は、「執行部だけに総括を求めても解決にはならない」と言い、また、「落選した議員や候補者を含めて総括すべき」と言う声もある。参謀本部が机上で総括しても意味は無い、第一線司令官の敗因分析の方が、より重要なのは当然のことである。
ましてや安住選対委員長は、１１日の深夜民放番組で「（菅政権が）スタートして４０日での選挙。責任があるとは思っていない」と話した。責任感の欠落した人間に総括させても、候補者や前任の幹事長・選対委員長に責任転嫁するだけだ。なお、この発言に対し視聴者から、「誰も責任を取らない民主党」「日本の政権運営に責任を取らないということですね」など、辛らつな批判があったことを付け加えておく。
処で、選管の発表によると、選挙区での民主党の獲得票数は全国で２２７５６千票。獲得議席は２８。自民党の獲得票数は１９４９６千票。議席は３９。比例区で民主党が獲得した票数と議席は１８４５０千票と１６議席。自民党のそれは１４０７１千票と１２議席。国民の支持は、獲得議席とは逆に民主党の方が自民党より多かった。この事実を前にして枝野幹事長と安住選対委員長は、どう総括するのだろうか。
民主党は、定員２名以上の選挙区に複数候補者を立てたので、選挙区では死票が増えたと言うだろう。では選挙区で得た２２．７百万票が、どうして比例区では１８．４百万票と４百万票以上も減ったのだろう。２百万票以上が国民新党と社民党に、約２百万票がみんなの党に流れたのだろう一方、自民党は比例区の１４百万票に、選挙区では５百万票も上乗せしている。これは公明党の比例区と選挙区の票差（７６３９−２２６５＝５３７４千票）とほぼ一致する。
民主党は一人区で８勝２１敗である。この２１敗の内８選挙区は、自民党と互角か、みんなの党に食われて、自民党に僅差で敗れている。次に、１２ある二人区では、全て民・自で分けている。「共倒れ」した選挙区は一つもない。「小沢の２人擁立は完全に裏目だった」と言う者がいるが、「共倒れ」がゼロなら裏目とは言わない。
一人区で敗れたのは負けるべくして負けたのか、それとも何が足りなかったのか。党本部はどのような支援をしたのか。また、二人区の二人目の候補が掘り起こした民主党の票をどう評価するのか。二人目の候補に対する党本部・県連の冷たさを怒り、選挙区から比例区では国民新党やみんなの党などに票が流れた。そう云う投稿もある。
枝野幹事長・安住選対委員長は、それらをどう総括、自省するのだろう。１２日から１３日にかけ、閣僚や党幹部が「政治とカネ、普天間問題などがあった」と前政権への責任転嫁を匂わし、「今、党内で責任論を展開することや、党内抗争は厳に慎まないといけない」と執行部への批判を封じる発言をした。その党内抗争を起こさないため、総括が済めば自ら身を引くと言うべきだ。その潔さと、責任転嫁して開き直り党内抗争を招く。そのどちらが、国民に好感を与えるかは明らかなことだ。
今年の春、枝野幹事長はわざわざテレビカメラを呼んで、大宮駅前で「それぞれ大事なポジションにある人は、考えて行動されると思っている」と演説した。公然と後方から小沢前幹事長に鉄砲を撃った。処が今は、自分がその大事なポジションに居る。当然、考えた行動をするのだろう。政治家の政治責任とは、そう云うことだ。
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