http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100801-00000538-san-pol

「歴史的」と自賛した政権交代から１０カ月余り。もはや今の民主党に当時の輝きは見いだせない。党所属議員の怒りと困惑、そして狼狽の表情。はて、どこかで見たような気がするな…。そう、落城前夜の自民党政権とそっくりではないか。

　自民党の政権からの転落は、平成１９年の参院選大敗北に始まった。これで衆参両院は大きくねじれ、その後の自民党政権は民主党の攻勢に苦しめられることになるのだが、安倍晋三首相（当時）を追い詰めたのは野党ではなく自民党だった。

　反主流派は参院選の敗因について激しく「総括」を迫り、前任の小泉純一郎首相が敷いた構造改革路線までもやり玉に挙がった。小泉氏の「郵政解散」で政治生命をつないだのは一体誰だったのか。「若手のホープ」だった安倍氏の人気にあやかろうと総裁選に担ぎ出したのは一体誰だったのか。まったく自民党内の理解不能な「魔女狩り」は結局、安倍氏が病に倒れ、退陣するまで収まることはなかった。

　次の福田康夫首相はなかなか嗅覚が鋭く、不穏な空気を察知すると「あなたとは違うんです！」と捨て台詞を吐いて唐突に退陣し、難を逃れたが、後を継いだ麻生太郎首相は哀れだった。衆院任期がぎりぎりに迫る中、両院議員総会での「総括」を求められ、所属議員を前に頭を下げた。その後自民党は歴史的大敗を喫したが、麻生氏のせいなのか。それとも個々の自民党議員のせいなのか。

　今は亡き中川昭一元財務相が当時、怒りに震えながら吐いた言葉が忘れられない。

　「総括ってなんだ。自分たちが選んだ総裁に自己批判しろって言うのか。そりゃ自己否定じゃないか。何の意味があるんだ。そもそもいつから自民党は左翼政党になったんだ！」

　「大辞泉」（小学館）によると、「総括」とは、「（１）個々のものを一つにまとめること。全体をまとめて締めくくること（２）労働運動や政治運動でそれまでの活動の内容・成果などを評価・反省すること」−とある。永田町の「総括」は明らかに（２）の方だろう。

　かつて連合赤軍は「総括」と称して凄惨な私刑（集団リンチ）を行い、多くの犠牲者を出した。永田町の総括も基本的にこの集団リンチと変らない。つい先日まで礼賛し、こびへつらっていた相手を親の敵のごとく突き上げる。どんなに自己批判しようが謝罪しようが、容赦せず、倒れるまでいたぶり続ける。

　あまりに惨く、あまりに醜い。この醜態を世間にさらけ出せば、国会議員への尊敬や敬愛の念が消えるのは当たり前だろう。こうして自民党の権威は地に堕ちていった。

　さて、民主党だが、７月２９日の両院議員総会の様子を見ると、もの凄く早いペースで自民党と同じ軌跡をたどっているように思える。連合赤軍と同じ全共闘世代であり、学生運動の闘士だった菅直人首相や仙谷由人官房長官は「総括」の場に引きずり出され、どう感じたのだろうか。しかも反執行部勢力の黒幕とされる小沢一郎前幹事長は姿を見せずじまい。かつて仙谷氏は事業仕分けを「文化大革命」に例えたが、少しは劉少奇の気持ちが分かったのではないか。

　菅首相の唐突な消費税「公約」宣言、なし崩し的な発言の修正、衆院選マニフェストへの反省のなさ−などはあまり関心できないが、さすがに今回は同情を禁じ得ない。民主党議員は本当に菅首相や枝野幸男幹事長らのせいで参院選に負けたと思っているのだろうか。それならば鳩山由紀夫前首相や小沢氏を辞任させなければよかったではないか。

　今の民主党の陰惨な姿を世間をさらしていたら、参院選はどうなっていたか。おそらくもっともっと敗北していただろう。むしろ参院選中に民主党の本性が国民にバレなくてよかったと喜ぶべきではないか。

　繰り返しになるが、「総括」の嵐が吹き始めると、トップが倒れるまで収まることはない。ひとたび収まっても近いうちにまた息を吹き返すだろう。そして仲間に相互不信が芽生え、組織は決して元には戻らない。

　では、菅首相はどうすればよいのか。事態を打開する手は一つしかない。消費税増税発言が信念に基づくならば決して曲げぬことだ。決して妥協しないこと。そして決して謝らないこと。それで「付いていけない」という人には党を去ってもらうしかない。それでも騒ぎが収まらないならば、衆院を解散して国民に「信」を問えばよい。首相にそんな「覚悟」と「気迫」があるかどうかを、国民はいつも凝視しているのだから。（石橋文登）
　

コメント
01. 2010年8月02日 01:38:45: E7ypjUhkpQ 　　９月には代表選挙がある。 それをあなた　なにをトチ狂って解散しなきゃならないの。 これは民主党を分裂させようとの下心丸見え。 論理的一過性もなければ情において人をゆすぶるものも無い。 イワンとしてることは消費税を増税せよ、民主党が割れて自民党が過半数復活があったらいいなと、そんとき俺が予言したと言いたい下衆根性のみ。 どこのブログから拾ってきたかわからないけどひどいもんだ。
02. 2010年8月02日 01:56:59: O7DqlgFQUg 国民が凝視しているのは、衆院選で300議席を与えたときの民主党の公約「国民の生活が第一」を貫き通すかだよ。 それが揺らぎそうに見えたから、ノーを突きつけたのだ。 鳩山が辞任せざるを得なかったのは、普天間の約束が守れなかったから。 国民が凝視しているのは、消費税増税などでは断じてない。 惨刑は何をとち狂ったことを言っているのか。
03. 2010年8月02日 02:15:57: FSyPN1ESQM たしかに賛同できるところが少ない文章です。 ただ、菅氏と麻生氏は似ていると思います。ともに自信過剰です。 二人とも与えられたミッションは「選挙に勝つこと」だけでした。でも、総理の座につくと、欲がでてしまいました。「自分のカラーが出せるのではないか」「自分はワンポイント・リリーフなんかじゃないことを証明してみせる」。その誘惑に勝てませんでした。 麻生氏は、ズルズルと解散を伸ばし、菅氏は消費税増税を前面に出してしまいました。そしてたったひとつのミッションも達成できませんでした。
04. 2010年8月02日 03:15:10: EskKvdRDZ6 ０２様 あなたのご意見に何の反対するところはありません。 質問をお許しください。 惨刑なんの関係があるんですか。 どこかのバカジジイが惨刑の記事からデータをコピペしてブログに書いたんですか。
05. 2010年8月02日 04:39:06: j8R62Ka8yk マッカーサーがこの場にいたら、こうコメントをするでしょうね。 「あなた達はまだ１２歳の子供のままなのか？」
06. 2010年8月02日 05:18:57: GPnQo3WyqE >>04. 石橋文登は、産経新聞政治部の記者ですよ。
07. 2010年8月02日 07:09:06: s8Gfp8ZL6M 自己批判（当事者の責任をとることが最大の自己批判）を、然らずんば総括を、だよ。 下らないつまみ食いの意見だ。責任もとらない、総括もなければこれは菅一味の独裁・北朝鮮化を許すことになる、、、。
08. 2010年8月02日 07:10:47: eGCQ4OY5M6 >>04 リンク先の記事を嫁、ボケ
09. 2010年8月02日 08:02:45: y2SPy6IwBg 産経新聞の記事で論議しては時間の無駄 （石橋文登氏を検索すると、自民党のお抱え記者のような存在で、安倍、麻生元首　相、渡辺恒雄氏とも繋がりあるとのこと）
10. 2010年8月02日 08:30:54: YegbQPrDgc 都合の悪いことは忘れるというのがこの国のマスコミの特徴だ。 小泉後の安倍、福田、麻生政権が持たなかったのは総括云々より小沢一郎が代表になって大勝した参院選のネジレに抗しきれずグダグダになって潰えていっただけだ。 安倍にしろ福田にしろ参院選の負けの総括を、安倍はストレスで腹を下して退散、福田は大連立を持ちかけて下手打ってこれが祟って逆キレ辞任。いよいよ解散総選挙を迫られて麻生が率いた内閣はとにかく民主党、小沢代表の喉下に匕首を突きつける露骨な脅迫のスキャンダル攻勢で首は獲ったが、もはや国民にとって及びでない自民党とあまりにもゲスなやり口が怒りを買って下野した。 参院を野党に取られるということがどれほど与党にとって神経を使うか、自民党のドタバタを見れば明らかだ。30日条項があって衆院に差し戻されれば再議決できるんだからでは済まない。他にも審議する法案が目白押しでそのたび後ろに法案の審議がどん詰まって大停滞を引き起こすからだ。 これを乗り切るには尋常ならぬ駆け引きの出来る人物を中枢に置くほかない。 それが出来る人物が誰なのか改めて言う必要もないだろう。マスコミは政局がらみで好き放題書くが国民生活にはそんな無駄な騒ぎに付きあっている暇などない。 総括なんてタダの通過儀礼。リンチなどというほどの物ではない。 菅は麻生と同じく参院選に勝つ代打として、小鳩辞任支持率6割強アップの土産までつけて手を上げて選出され、余計なことを言わず粛々と参院選に臨んでいれば何も問題もなく今頃は左団扇で9月の代表選？そりゃ菅直人で決まりだろうという自負心で党内もマスコミも納得せざるを得ない状況ができていたはずだ。 それがこのざまだ。万死に値するとは菅内閣のことを指して言うのである。

11. 2010年8月02日 12:46:23: Bo9HfYwpKA じゃあ小泉の詐欺改革で集団リンチされた国民はどうなる？
12. 2010年8月02日 18:31:19: OU45NNHkXI >>00 この投稿者は何をいいたいのかわからない。ただ、記事を引用しただけ？ 産經新聞の記事なんて、もともとどうでもいい記事だ。どうこう言うような 記事ではない。
13. 2010年8月03日 09:10:58: IiVR3pvUbw ｇikou、自公ってんだから、なんみょうか？　つまらん。

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