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書評『誰が日本を支配するのか!? 政治とメディア』佐藤優+魚住昭責任編集(マガジンハウス)
http://www.asyura2.com/10/senkyo93/msg/574.html
投稿者 ますらお 日時 2010 年 8 月 31 日 13:57:43: tlXAsMLYVhTKo
 

元記事http://news.livedoor.com/article/detail/4978083/

 【PJニュース 2010年8月31日】8月中旬に「検察と正義」「沖縄と国家統合」とともに出された三部作の一つで、数人の論客が民主党政治の本質を多角的に分析している。表紙には記されていないが、2006年にえん罪事件で逮捕された植草一秀氏の論考も収められ、異彩を放つ。

 構成は第1章が起訴休職中の外交官、佐藤優氏とジャーナリストの魚住昭氏との対談、第2章が現役政治部記者「菅山一郎」(仮名)氏と魚住氏との対談。第3章が元共同通信ソウル特派員の青木理(あおき・おさむ)、第4章が植草氏のそれぞれ論考になっている。

 佐藤氏の話は相変わらず難解で、貨幣から国家、差別、官僚制へと展開していく。納得したのは、民主党が「全体の代表」であり、誰の利益も代弁していないこと。そのトップにいる菅直人代表は、権力基盤を固めるために財務官僚にすり寄ったという。

 現役記者「菅山」氏と魚住氏との対談は、菅内閣誕生の舞台裏を探る。小沢一郎前幹事長と鳩山由紀夫前首相の辞任劇の経緯を「仮説A」「仮説B」として描くが、外圧の介在は視野にない。これは第1章の佐藤氏による差別論や社会変動論にも共通する点で、不満だ。

 「菅山」氏は「政治と金」や議員定数削減を騒ぎ立てるマスコミを問題だとしながらも、「言論の自由自体は確実にある」と胸を張る。では、なぜどの新聞も書けないのか。マスメディアが支配装置であることに気付かないのは、権力の意向を内面化しているためだろう。章の最後に地方分権を礼賛しているのは、その証拠ではないか。

 青木氏は「国策逮捕」の問題を取り上げ、大メディアの危機を警告する。本来、在野で権力や既得権益層に監視の矢を放つべきメディアが、官僚などとともに既得権益を固執する側に回っているのではないか、との理屈だ。わたしも異存はない。

 しかし、文章の半分以上が田中角栄元首相や中村喜四郎元建設相、新井将敬衆議院議員らを逮捕に追い込んだ「実績」を誇らしくつづる。特捜検察とマスコミとの共闘として。長らくマスコミ界で禄(ろく)を食(は)んできた半生を否定したくないのだろう。こうしてわが国の独立を目指す政治家は、ことごとくつぶされてきた。菅生(すごう)事件は問題にするが、鈴木宗男氏の逮捕は「実績」リストに入れている。植草事件はどう思うのか。マスコミ出身者の限界を感じる。

 「誰が日本を支配するのか」の表題に応えようとしているのは、対談相手の魚住氏と第4章の植草氏だけである。植草氏は「『最小不幸社会』の政治経済学」の章題で、戦後日本政治を支配してきた基本構造を「米官業」と分析する。「米」は米国。GHQが去った後も政治工作を継続してきた。「官」は官僚。登用制度は戦前から変わらず、その淵源は律令時代にさかのぼる。「業」は大資本。政治権力との癒着を生み出す原動力は企業献金であり、1970年に八幡製鉄政治献金疑惑で合法判決が出され、政治腐敗を正当化してきた。

 植草氏によれば、「米官業」による支配構造を名実ともに完成させたのは小泉政権である。この支配構造を刷新する方向で誕生したのが、2009年の鳩山政権。「主権者国民による政治支配」を目指したが、翌年の「6.2クーデター」で悪魔の支配が復活した。

 「最小不幸の社会をつくる」という言葉は、菅氏の首相就任演説で出たもの。しかし、同書を読むと、菅氏の掲げた経済政策における「第三の道」は全くの欺まんだと分かる。菅首相は公共事業を中心とする「第一の道」を捨てた理由を、バブル以降、有効な効果を上げなくなったからだと説明した。

 これに対し、植草氏は1990年以降の日経平均株価の推移と財政出動の状況をグラフに示し、反証する。95年と98年の2回、財政出動によって景気がはっきりと改善しているのが分かる。経済が軌道に乗りかかると必ず財政当局が緊縮財政政策を発動し、不況が再発する。税収減から、財政赤字も拡大させてきた。

 消費税増税と法人税減税は、菅内閣が唱える「強い財政」の中核だが、わが国における企業の税負担は国際的に見ても高くない。この20年間、税収が60兆円強から37兆円弱に落ち込む中で、消費税収は倍増し、法人税収は4分の1に減った。この事実が、菅政権の本質を示すと指摘する。この局面で消費税を上げれば、株価暴落の後半戦が始まるのは確実とも。

 民主党の代表選を控える中、国民が主権を「米官業」から完全に奪い取るために同書は必読である。植草氏の明快な論考を読むだけでも、買う価値は十分ある。【了】

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