菅内閣は“奇兵隊”ではなく“新撰組”!? ｜田中秀征
首相が失ってしまった「政治主導」の精神
http://diamond.jp/articles/-/9323

政権交代への期待を裏切った菅首相の重大な変節

　本欄で何度も強調してきたように、私が昨年の政権交代に期待した理由は2つあった。

（1）税金の無駄遣い、特に行政内部の無駄遣いを根絶して、一方で中・長期の成長戦略を打ち立てて、財政再建への道筋を開くこと。
（2）官僚人事の人事権を、官僚から政治に取り戻し、“官意”ではなく、“民意”を反映させる政治主導の仕組みに転換すること。

　民主党はこれらをマニフェストでは明確に打ち出したものの、本気でこの公約を実行するかどうかは、正直言って半信半疑であった。

　それにもかかわらず、なぜ私がいささかでもそれを信じて期待したかというと、それは、このテーマをライフワークにしてきた菅直人氏が民主党の幹部として存在したからであった。

　しかし、何と彼は、鳩山政権下においても全くその努力をしないどころか、自民党よりもひどい官僚主導の方向に転ずる主役となった。それが最後には、参院選前の消費税10％発言になり、自ら志を捨てた姿を明らかにした。

　菅内閣は、自らを高杉晋作の「奇兵隊」と称して出発した。
長年、彼は自民党政権を「霞ヶ関政権」と断定して攻撃の先頭に立った。それなら幕府に挑戦した奇兵隊と言ってもよい。

　ところが、菅奇兵隊は、何といつの間にか“霞ヶ関幕府”を警護する“新撰組”に大変身してしまったのである。

　私はかつて、これほどひどい政治家の変節を見たことがない。私の期待は失望に変わり、今では絶望を経て、退陣要求に至っている。
民主党の代表選挙も後半戦に突入。一騎打ちの激戦が続いている。

　先日私はテレビで、「菅・小沢両氏とも降りるべき」と発言した。

　特に、菅首相は、既に参院選で、首相に不適格と判定されている。“脱官僚”どころか“没官僚”になっている。

　ここまで来ると、とても原点回帰はできないし、その気持ちも感じられない。

　半信半疑であることは、小沢氏に対しても同じである。

　しかし、ダメだとはっきりした人と、ダメかも知れないが、そうでない可能性が残っている人と、どちらかを選べというなら、棄権するか後者を選ぶ他はないだろう。

　小沢氏は、首相になったら、無駄遣いの根絶に大ナタを振るう期待ができる。「逆立ちしても鼻血が出ないほど無駄を絞る」と公言して変節した菅氏とは違うだろう。

　問題は、公約を忠実に実行すると言って、バラマキ政策をマニフェスト通りにやるのかという不安である。あくまでも、原点回帰は、政権交代時の精神であり、政治主導の姿勢ではないか。この点では、バラマキ政策の修正を掲げる菅氏に分があり、小沢氏支持に二の足を踏む人が多くなる。

　ただ、代表選の結果がどうあれ、「大政局」の号砲は鳴った。この中で新しい政治と行政の構図が展望できれば、歴史的にも有意義なものになろう 　

コメント
01. 2010年9月09日 02:36:11: RtX6kJlfcA 自分の権力欲から出た逆恨みを続ける武村よりはマシと褒めてやるが いい年の爺のくせして、ナイーヴな事言ってるんじゃねーよ どこがバラマキ政策なのか？ 地方に権限を委譲すると言ってるんだから 国会議員とゼネコンなどの企業の利害関係も無くなっていく 子供手当てや農家への保障の方が、効果として優れていると思う 仮に選挙対策と考えても、許容範囲 何なら自民党政治に戻すか？
02. 2010年9月09日 06:50:53: suTTFOUbRQ 小沢さんを代表選に勝ってもらうために、何か体で起こすような行動は できないのか。 昨夜は、鈴木さんのことで無性に腹が立ち、結局寝ていない。 誰か先導して欲しい。 何処にでも馳せ参じます。
03. taked4700 2010年9月09日 06:59:50: 9XFNe/BiX575U : rkz36ijLqn 農家への所得補償は、本来ずっと昔に始めておくべき政策だった。食料価格は高くするわけにいかないので、日本のような地形では小規模農家しか存在しえず、農家の所得補償は国がやるしかない。 今、農業従事者の平均年齢は６０歳を大きく超え、７０歳をも越えようとしているはずだ。今の状態を放置すれば、日本は農業も、そして工業も無くなったただの老人国家になってしまう。貯金の食いつぶしでは、多分、１０年も持たないだろう。 団塊世代が本格的に年金受給に入るこの３年から４年が、日本の長期的な将来像を決めていく。 報道各社は、民主党だけでなく、野党も入れ、できれば、学者、一般市民も含めた形での政策論議を毎日数時間ほどはやってもいいぐらいだ。 この数年で、日本の将来が決まると言っても過言ではない。
04. 2010年9月09日 07:17:41: FziCKcf3D2 新選組に例えるのはヤメテ欲しい。 新選組には美学があるからです。 私は菅政権が出来てから一貫してこれは歴史で例えるとこれだと思っているのは 菅政権＝彰義隊 菅直人＝天野八郎 です。
05. 2010年9月09日 08:23:10: lhE2cK9hhM 日本人必見 - 菅首相に隠し子 韓国人ホステスと(台湾ニュース) http://www.youtube.com/watch?v=NijI_8xSzTI&feature=player_embedded
06. neuron555 2010年9月09日 11:03:37: XeFxsax8xi94g : Hx5aZYZIA2 田中氏は、殆ど論理矛盾をきたした、姑息な論理を展開している。 菅氏については、「脱官僚”どころか“没官僚”になっている。ここまで来ると、とても原点回帰はできないし、その気持ちも感じられない」として、支持できないとしている。その一方で、小沢氏については、原点回帰の可能性が残っているので、期待できるとしている。ところが、一番重要な原点回帰はバラマキではなく、政権交代時の精神であり、政治主導の姿勢だから、「バラマキ」の可能性がある小沢氏の支持に二の足を踏むことになり、菅氏に分があるといっている。これは、殆ど論理矛盾である。田中氏は、一番重要な原点回帰は政治主導であり、「バラマキ」は重要性が薄いと言っているのだから、普通の論理でいけば、小沢氏の方をより支持するとなるはずである。しかし、そうは言わない。その逃げ口上として、「半信半疑だが、原点回帰の可能性が残っているので、期待できる」としている。多くの人が小沢氏を支持する理由は、正に、脱官僚依存を実行してくれるというその実行力にあるのにも関わらず、そこに敢えて？をつけることにより、菅氏支持の目を残すことを企んでいるのではないか。これは、殆ど論理矛盾をきたした、姑息な論理である。
07. 2010年9月09日 13:13:21: 0ruzAX9hXM ０２さんへ 　拍手欄でもアクセス欄でも良いのですが、そこの「大林宏検事総長の小澤起訴なし」をクリックし、プリントして知り合いまたは支持している議員に送ってください。お願いいたします。私も送っています。頑張りませんか。
08. 2010年9月09日 16:51:29: 4n8TXmKFgU 新選組を貶めてはいけない。 新選組を権力の犬と見立ててきたのは、菅氏と同じ長州が作って 今日に至るまで国民を苦しめている薩長・明治官僚政府なのだ。 明治政府による歴史の改ざんで幕末の志士とか持ち上げられている 連中こそ、テロリズムで幕府の優秀な頭脳を斬って捨ててきた。 新選組の末裔たちが、やがて多摩の自由民権運動の中心になっていく 事実を知れば、市民派と称している菅氏の正体がわかるだろう。
09. 2010年9月09日 20:04:44: NACWnWorjc 菅直人の市民運動。 菅直人の市民運動はしらない。市川房江の選挙を手伝ったのは知っている。市川房江の地盤を受け継いで、衆議院議員になったことは知っている。 もしかしたら、衆議院議員になった一連のことを市民運動と言っているのかな・・・・。 キチンと運動やってれば、ここまでひどい人間にはならないはずだ。 今回の菅の行動は、民主党内の松下政経塾と小沢、鳩山派の反目に乗って民主党内でボナパルチズムを発揮しようとしたのだが、本人にカリスマ性が全くない・ものだから、両方の板挟みになって、惨めな姿を晒しているのではないかな。 この惨めさの原点は菅のやってた・市民運動が偽物だったということだな。最初から自分のための選挙運動だったんだな。

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