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民主党の国会議員に訴える - プラトンの衆愚政治批判を想起せよ(世に倦む日日)
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投稿者 black9 日時 2010 年 9 月 13 日 16:19:05: gWkPHV3D8TzCo
 

民主党の国会議員に訴える - プラトンの衆愚政治批判を想起せよ(世に倦む日日)
http://critic6.blog63.fc2.com/blog-entry-375.html

衆愚政治_1
先週、TBSのニュース番組を見ていると、菅陣営の柚木道義が態度未定議員の事務所に押しかけ、切り崩しをかけて成功する多数派工作の場面が放送されていた。訪問を受けた女性議員は小沢系と見られた1年生議員で、あまりに幼稚な会話の末に一瞬でカメラの前で菅支持に落ちたため、ひょっとしたらこの撮影は敵を油断させる高等戦術のフェイクではないかと疑うほどだった。柚木道義の主張は、世間の風向きに沿うのが議員の得策だというもので、菅陣営が中間派を切り崩すキラートークになっている。マスコミはずっとその流れの報道を続けていて、次の選挙を控えて有権者の目が恐い1年生議員の心理が動揺し、多数意思に従えと説得する菅陣営とマスコミの攻勢が功を奏して、菅支持の議員が増えている「現状」を伝えている。

しかしこの図は、政治学原論的に見れば、典型的な衆愚政治のありさまであり、柚木道義とマスコミが議員を諭している「道理」は、衆愚政治の薦めの言説である。民主主義は、統治するに相応しい資質と判断力を持った者が有権者にならないと衆愚政治の禍に陥ると批判したのはプラトンだったが、今ほど民主党の議員がプラトンの警告を想起し、民主主義おけるリーダーシップの重要性に思い至るべき時はない。昨年の西松事件から続く検察の捜査は、マスコミの政治宣伝とそれに踊らされる大衆を捉えたとき、ソクラテスの受難劇に似た相貌を帯びなくもない。  

衆愚政治_2
民主政治は、その歴史的原点から衆愚政治に転倒する矛盾を抱えて出発している。そのことは政治をする者の常識だ。国民代表である国会議員が、衆愚政治の薦めに頷き、衆愚政治を衆愚政治と識別できないほど判断力を喪失している実態こそ、まさに今の日本の政治の劣化と退廃の極致が示されている。民主主義だから多数意思に従えばいいとは簡単にはならない。多数意思の中身を疑う必要がある。マスコミが世論調査の報道で出している多数意思なるものを、果たして民意と判断してよいのかどうかという問題が最初にあるはずだ。国会議員たちには、あらためてファシズムの歴史を思い出してもらわなくてはいけないし、ヒトラーが民主主義の中で合法的に権力を手にした事実を確認するべきだろう。

ヒトラーの過去でなくても、衆愚政治の材料はわれわれの5年前の経験にある。5年前の 9/11に権力を手にしたのは小泉純一郎だったが、民主党の国会議員が「小泉劇場」の狂気と倒錯を忘れたはずがあるまい。今年ほどではないが、あの年も暑い夏で、9月に入ってからも厳しい残暑が続いていた。あのときの世論はどうだったのか、マスコミは選挙をどう報道したのか。亀井静香や小林興起がどんなリンチを受けたのか。そのマスコミ報道や多数世論は正しかったのか。正しかったのなら、小泉改革を続けなければならないはずだ。

衆愚政治_3
あの選挙をファシズム状態にした小泉応援団の連中が、今でもマスコミを牛耳って、これが多数世論だと言い、国民世論は圧倒的に菅支持だと宣伝し続けている。岸井成格と古舘伊知郎がそうだ。5年前、小泉改革は絶対的な正義だった。あのときも民主党は揺れたが、その後、「国民の生活が第一」を旗印にして小泉改革を否定する方針を掲げ、民主党は選挙に連勝して政権の奪取に成功した。5年前のマスコミによる熱狂的な小泉礼讃報道は、結果的に間違った方向に国民を扇動していたことになるし、国民は自らの生活を不幸にする選択に誘導されていたことになる。眼前の代表選の現実は、5年前の郵政選挙とそっくり同じ政治状況が再現されているではないか。

マスコミの世論報道は、小泉自民党支持が圧倒的多数だった。「改革」の続行を支持していた。世論が多数だったから、世論の多数を理由にして、有権者は小泉自民党に投票するべきだったのか。同じ問題が民主党の議員に問われている。世論が多数かどうかを政治判断の基準にしてはいけない。民主主義においては、民主主義だからこそ、多数世論の正当性を無前提に鵜呑みにするのは危険だ。基準はあくまで政策の中身でなくてはならない。議員たちには衆愚政治という言葉を思い出していただきたい。国民はマスコミによって情報操作されているのではないか。情報操作によって誤った観念を植え付けられ、正しい判断ができなくなっているのではないか。

衆愚政治_4
国会議員の国民代表たる所以は、国民の御用聞きという意味ではない。国会議員は、国民の意見を集めて多数意見を選ぶ仕事ではない。もし、マスコミの世論調査に従って政権が政策を選択しなければならないと言うのであれば、国会議員など不要で、世論調査だけで政策を決めればよいではないか。議員の任務は、大衆の意見を聞いて拾い集めることではなく、指導者として政策を訴えて国民を啓蒙することだ。議員は御用聞きではなく政治の指導者である。たとえ国民大衆の9割が戦争賛成だと言っても、それに抗して断固反対を貫く勇気を持ち、説得によって少数を多数に変える能力を持つのが政治指導者のあるべき姿である。

国会議員たる者は、そうした見識と資質を持った人間でなくてはならない。テレビの報道を見ながら不思議に思ったのは、党員サポーターの方が先に投票が締め切られているのに、その選挙区の代表である議員が態度を示していないことだった。議員は選挙区の支持者の顔色を窺っているのだが、逆ではないのか。地域の党員やサポーターは、選挙区やブロックの議員がどう判断し態度決定したかの情報が重要であり、またそれが必要なのではないのか。代表選が始まってすでに10日も過ぎ、政策に関する両候補の対立軸は十分過ぎるほど明らかになっている。判断に迷うほど情報過小ということはない。なぜ態度決定できないのか。自分は判断を控え、先に党員サポーターに判断させて平然としているのか。

衆愚政治_5
先週の水曜(9/8)の時点で態度を保留していた議員は、国会議員として失格だ。指導者としての自分の選択を党員とサポーターに言い、理由を説明するのが当然で、それを党員とサポーターの判断材料に提供すべきだった。最悪なのは、勝ち馬に乗ろうとする姿勢であり、全体の風向きに靡く判断である。何のために政治家をやっているのかわからない。両陣営からのカネとポストを待っているという意味だろうか。いずれにせよ、明日のこの時間には選挙の結果は出ている。結果が出て、そこからまた政治が始まるが、民主党の議員たちが考えるべきは、政策だけでなく、選挙を考えてどちらが党首に適当かという問題だった。この点が争点として論議されなかったことを、議員たちはどれほど自覚しているだろうか。民主党の関係者や支持者からすれば、選挙に勝って党勢を伸ばせる有力な党首を選ばなくては意味がない。

その能力は、必ずしもマスコミ報道で出る人気(支持率)とは異なるものだ。2007年の参院選を思い出しても、当時は代表が小沢一郎だったが、決して人気のあるリーダーではなかった。政治とカネの問題も抱えていた。民主党は中央では政権与党だが、地方では自民党に劣って野党に甘んじている県も多い。党勢の基盤は未だ十分とは言えない。そして、次の衆院選で負ければ野党に転落する。代表選は首相を選ぶ選挙ではあるけれど、同時に民主党の次の選挙の指揮官を選ぶ選挙でもある。マスコミ報道で人気の高いとされた指導者が、必ずしも選挙で勝てる指揮官にはならないことは、3年前の安倍晋三や今年の菅直人の例で示されていると言えるだろう。

衆愚政治_6
常在戦場。選挙は常にマスコミの順風が吹くわけではない。逆風の中でも勝つためには、最も有能で有力な指導者を戴く必要がある。最後に、民主党の国会議員が代表選に当たって地元から拾うべき国民の声は、マスコミ報道の反応ではなく、国民の現実の暮らしの状態であり、政治に何を求めているかの情報である。それを聞くことが第一で、そして国民の要求を政策にストレートに反映させた場合、どちらの候補の主張が妥当かは、議員自身の政策判断でやればよいのだ。国会議員はテレビ局のレポーターではない。マスコミ報道では、有権者はマニフェストの変更にも柔軟に対応せよという声が多数だという「事実」になっている。だが、それは本当だろうか。最近のテレビの世論調査では、消費税増税にも賛成が多数になっていた。しかし、その調査を本当に信じてよいのだろうか。3か月で民意が一変するだろうか。

参院選の前も、菅直人が最初にそれを打ち上げた直後は、賛成が多数と報じた新聞の記事があったのを覚えている。それが、地方紙(北海道新聞)の調査で打ち消され、いつの間にか中央紙の報道でも増税反対が多数に変わって行った。今、総選挙があったなら、果たして国民は消費税増税に賛成の意思を示すだろうか。マスコミが肯定的に報道する政策は、どれも自民党が主張する政策ばかりである。民主党の国会議員が疑うべきは、マスコミが自民党の政策を支持していて、民主党の政策を自民党と同じにする目的があり、そのため菅政権を応援しているののではないかという基本的な問題だ。

マスコミの論調の変化で国民の意識は変わる。しかし、国民の暮らしにマスコミは責任を負わない。
 

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コメント
 
01. 2010年9月13日 19:00:14: 0ruzAX9hXM
 全て納得の投稿です。
 自民党は、管さんとなら手を組んでもよい、と石原幹事長が言い出すように、なめられた政党に落ちてしまいました。マスコミ迎合の信念のない議員はこのコメントから学ぶ必要があります。
 管さん一派の稚拙な政治はお終いにしなければなりません。小澤さんのこれまでの苦労を無にしてはなりません。これは国民の義務です。あと1日、国会議員に働きかけられる人は、今夜からでも小澤一郎氏への支持を説得しなければ・・・。

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