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憲法生きる民主社会実現へ/レッド・パージ裁判の今日的意義/橋本 敦(しんぶん赤旗)
http://www.asyura2.com/10/social8/msg/354.html
投稿者 gataro 日時 2011 年 5 月 18 日 16:57:13: KbIx4LOvH6Ccw
 

レッド・パージ裁判の原告3名中、2名は面識のある方で1名は、私が若き日に団体機関紙を編集していた頃、お世話になった方である。

そういった関係もあって都合のつく限り裁判の傍聴に出かけたが、いよいよ5月26日に判決が出る。

<参照>

レッドパージで全国初の国賠訴訟 神戸の3人/「国家犯罪許さない」 レッドパージ訴訟の原告

<レッドパージ裁判>第4回公判/原告側準備書面 ― 国には原告を救済する責務あり

レッド・パージ/占領軍と政府は共同実行者/研究者の明神氏が証言

神戸新聞「正平調」レッドパージ裁判結審す/助けてくれとは言わない。ただ基本的な権利を守ってほしい

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憲法生きる民主社会実現へ/レッド・パージ裁判の今日的意義/橋本 敦
「しんぶん赤旗」 2011年5月18日付 学問・文化欄(9面)

一 日本戦後史の一大汚点正せるか

 朝鮮戦争前夜、レッド・パージの嵐が吹き荒れてから60年、今や90歳を迎える3名の犠牲者が、「生きているうちに名誉回復を」と提訴した神戸地裁のレ・パ裁判が、この26日に判決を迎える。

 思想・信条の自由を踏みにじるレッド・パージは、日本共産党をはじめ、わが国民主勢力に加えられた憲法違反の暴挙であって、それは戦前の治安維持法弾圧の再現とも言うべき戦後史の一大汚点である。これをたださずして、日本の戦後史は終わらない。

二 政府の責任が各企業以上に重大

 レッド・パージの歴史的経過をみると、労働者を解雇した各企業の責任以上に、全国的国家的体制をとってレッド・パージを強行した日本政府の責任が重大である。

 この神戸裁判で証言された北海道教育大学の明神勲名誉教授は、裁判所に提出した意見書で「国家の犯罪」とも言うべきレッド・パージの歴史的特質を次の通り論述されている。

 「思想・信条そのものを処罰の対象とするレッド・パージは、本来、憲法をはじめとする国内法の容認するところではなく、かつ最上位の占領法規範であるポツダム宣言の趣旨にも反するものであったが、占領下においては超憲法的権力であったGHQの督励と示唆により、それを後ろ盾とした日本政府、企業経営者の積極的な推進政策により強行された。レッド・パージという不法な措置を実施するにあたり、GHQ及び日本政府は、事前に裁判所、労働委員会、警察をこのために総動員する体制を整え、被追放者の『法の保護』の手段を全て剥奪した上でこれを強行したのであった。違憲・違法性を十分に認識し、法の正当な手続を無視したレッド・パージは、『戦後史の汚点』とも呼ぶべき恥ずべき『国家の悪事』であった。」

 そこで、神戸レッド・パージ裁判は、この「国家の悪事」を正面から追及するため、これまでの裁判と違い、国を被告としてその責任を問い、原告らの名誉回復と損害賠償を求めているのである。

三 思想・信条の自由保障が不十分

 過去の歴史のあやまりをただす運動は、スペインのフランコ政権による迫害をただす「歴史の記憶に関する法律」(2007年12月)や、ナチスに抵抗して国家反逆罪に問われた犠牲者を救済するドイツの「包括的名誉回復法」(09年6月)などで明らかなように、今世界でも大きく前進している。

 しかし、日本には思想・信条の自由がまだ十分に保障されていない現状がある。

 そのため、日本共産党の市田忠義書記局長がレッド・パージ反対全国センター第5回総会(09年11月)への激励メッセージで、次のように述べられていることが重要である。

 「みなさん方のたたかいは歴史の一大汚点を正すという点で大きな意義を持つにとどまらないで、現在も根絶されていない職場における思想差別を克服する労働運動、民主運動の大事な一翼を担う今日的な意義を持ったたたかいだと思います。」

 このように、レッド・パージ反対のたたかいは、犠牲者の過去の名誉と権利を回復するだけでなく、思想・信条の自由を保障するわが憲法が生きる民主社会を実現する今日的課題のたたかいなのである。

 憲法と法の正義にもとづく神戸レッド・パージ裁判の勝利判決を心から願う。

 私が神戸の裁判の弁護団に加わったのは原告の皆さんから「私たちはこの裁判のたたかいを神戸だけでなく広く訴えていきたい。そのために神戸で佐伯雄三弁護士を団長に弁護団を作ってもらったが、東京からは坂本修弁護士に、大阪からは橋本弁護士にぜひ参加してほしい」との要請を受けたからであった。

 私は弁護士になって五十余年、いくつもの困難な事件にも加わってきたが、なかでも大阪市立大学本多淳亮名誉教授が「占領軍当局の巨大な魔手におびえて司法権の独立を放棄した」とまで言われている最高裁の共同通信社事件などの不当な判決によって担当したいくつかのレッド・パージ裁判が全部敗訴した無念は今もなお痛切であった。いつかはこの無念をぬぐい去りたいと心に期していた私は、即座にこの要請に応じて神戸の裁判の弁護団に加わったのであった。

(はしもと・あつし弁護士)

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レッド・パージ

米軍占領下の1949年から50年にかけて、日本共産党員とその支持者を職場から追放した占領軍と政府による反共攻撃のこと。官民あわせて数万人の労働者が犠牲になったといわれています。


*写真(上)=橋本敦弁護士 写真(下)=明神勲・名誉教授 いずれも公判後の報告集会にて

 

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コメント
 
01. gataro 2011年5月18日 17:01:16: KbIx4LOvH6Ccw : FwMBPf5y36
追記

橋本敦氏と明神勲氏の写真は「しんぶん赤旗」記事にはない。gataroによるもの。


02. 有島実篤 2011年5月18日 20:06:52: JnUMLBjEgL1oc : 6S61AaGxQ2
レッドパージも治安維持法も、国民の大半は無関心ですもんねえ。
いまだにナチ協力者を追及しているドイツと、雲泥の差ですね。

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