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足達英一郎 サステナブルな視点 エクエーター原則の再改定、国内の金融機関にも影響
http://www.asyura2.com/10/social8/msg/420.html
投稿者 sci 日時 2011 年 8 月 01 日 12:04:05: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20110727/107020/
足達英一郎 サステナブルな視点

2011年7月28日
エクエーター原則の再改定、国内の金融機関にも影響 

 7月18日、「エクエーター原則の再改定」が事務局から正式にアナウンスされた。エクエーター原則は、開発などにともなう環境負荷を回避・軽減するためにプロジェクトファイナンスにおいて、環境社会影響のリスクを評価・管理する金融機関の自主ルールだ。

 2003年にシティバンク、ABNアムロ銀行、バークレイズ銀行、ウェストエルビー銀行のイニシアチブで、原則は誕生した。これ以前、石油・ガス開発、鉱山開発、発電所建設、ダム建設、森林伐採といった大規模開発プロジェクトが、環境破壊や地域社会への悪影響を及ぼすとする批判が相次いでいた。批判の矛先は、資金を融通する金融機関にも向かった。

 こうしたプロジェクトでは、計画内容や実施方法によって、自然環境や地域社会に大きな影響を与える可能性があるという認識にもとづき、ガイドラインを充足するための対策の遵守を融資条件とするという申し合わせを、金融機関が作ったのである。

 「この原則は、金融機関自身、借入人、現地ステークホルダーに大きな恩恵をもたらす」「この原則で、金融機関として、責任ある環境管理、ならびに、社会的責任を有する開発を促進するという役割を果たすための大きな機会を得られる」「エクエーター原則を実施するための各採択銀行の環境社会方針および手順を、借入人が遵守しないまたは遵守できない場合、プロジェクトに対して融資を行わない」と、原則は明確に述べている。
2012年3月に改定へ

 当初4行で始まった自主ルールも、2011年7月現在、72の金融機関が採択するところまで広がった。日本の3大メガバンクも、プロジェクトファイナンスの有力なプレーヤーであり、既にエクエーター原則の採択を果たしている。

 改定は2003年に原則が誕生してから、2回目となるものだ。この改定の経緯を振り返ると、サステイナビリティを巡る世界の議論の進化が投影されていて興味深い。前回の改定は2006年7月だった。内容は、対象プロジェクトの規模の変更(総コストが5000万ドル以上から1000万ドル以上への引き下げ)、採択している各金融機関への年次報告の義務付けなどが中心となった。

 今回は、(1)原則がカバーする範囲の拡大、(2)原則を適用した状況の報告と透明性確保の制度化、(3)原則を採択できる金融機関の資格基準の明確化、(4)ステークホルダー・エンゲージメントの実践が改定の中心議題になると事務局は明らかにしている。

 作業計画では、まず7月から9月にかけて、採択金融機関の作業部会で、改定対象になるテーマを吟味し、論点を整理する(フェーズ1)、次に9月から11月にかけて、採択金融機関によるコンサルテーションを実施するとともに、主要ステークホルダーとの事前の協議、改定後の原則の枠組み原案作成を進める(フェーズ2)、12月から来年2月までに、60日間のステークホルダーとの公式のコンサルテーションを実施し、パブリックコメント期間を設ける(フェーズ3)、最終的には、2012年3月を目途に、新しいエクエーター原則をスタートさせる(フェーズ4)という段取りになっている。

 既にステークホルダー側からは、(1)原則の適用に関する第三者監査の導入、(2)最低限の適用レベルに合致しない金融機関の署名の無効化、(3)気候変動、人権、生物多様性といった課題に関する国際金融公社との協力強化、(4)各々のステークホルダーグループの代表から構成される助言機関の設置などが俎上に載せられており、原則の適用範囲を従来の、一定規模のプロジェクトファイナンス案件から拡大すべきとの提案も出ている。具体的には、50%以上の額が単一の資産のために融通されるコーポレートファイナンスも対象に追加すべきというものだ。

 特に、エクエーター原則署名の金融機関の行動をチェックしている国際NGOとしてBankTrackという団体の問題意識をどこまで反映させるのか、原則を適用するプロセスに何らか位置づけるのかが焦点になるだろう。
国内の銀行取引にも影響

 こうした議論の行方を占う際に、昨年11月に発行したISO26000の内容が頭をよぎる。規格は社会的責任を、「組織の決定及び活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、次のような透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」として、「健康及び社会の繁栄を含む持続可能な発展に貢献する」「ステークホルダーの期待に配慮する」「関連法令を順守し、国際行動規範と整合している」「その組織全体に統合され、その組織の関係の中で実践される」という行動を列挙した。

 これを金融機関に当てはめれば、「金融機関の決定及び活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、次のような透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任」であり、「次世代を犠牲にすることなくという考え方を前提に」「株主だけでなく、顧客、従業員、地域社会、政府、NGOなどの期待に耳を傾けて」「グローバル化において現地の法律を守っていることに甘んじず」「本業を通じ、サプライチェーン全体を通じて取り組む」行動ということになるだろう。

 エクエーター原則は、こうした文脈からは金融機関が社会的責任を果たす実践的なツールと呼べるだろう。

 国内で、今回の「エクエーター原則の再改定」で影響を被るのは、必ずしも3大メガバンクだけではない。既にある地方銀行で、生態系の破壊が懸念される融資案件に関連して、赤道原則に対する認識が問い質されるといった事例も生じている。また、将来、原則がコーポレートファイナンスの一部にも適用が拡大されるなら、国内の銀行取引にも影響は避けられない。国内の金融機関や企業にも、議論の行方に是非、関心を払っていただきたい。  

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