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Re: テスト
http://www.asyura2.com/10/test20/msg/626.html
投稿者 SOBA 日時 2010 年 11 月 18 日 19:12:10: LVbi13XrOLj/s
 

(回答先: Re: テスト 投稿者 SOBA 日時 2010 年 11 月 18 日 19:05:27)

第68-69代 防衛庁長官、第4代 防衛大臣だった石破も去年3月30日に「暴力装置」と言ってるよ(笑)
http://soba.txt-nifty.com/zatudan/2010/11/68-69-4-330-926.html

物事の本質を把握するためにはそのものズバリの言葉を使った方が良いに決まっている。
警察や軍隊が「暴力装置」でなくてなんの存在意義やある。自衛隊は軍隊であり「暴力装置」だろうが、(笑)。

以下は石破の大臣歴で、下記記事中「暴力装置」と言った時には49代農林水産大臣だったが、石破は第68-69代 防衛庁長官、第4代 防衛大臣と歴任している男だ。

去年3月30日第7回朝日アジアフェロー・フォーラムで、農林水産大臣石破が「暴力装置」と発言した時に、一体自民党は問題にしたのか、マスゴミは大騒ぎしたのか。

以下、石破茂の大臣歴。

92代 麻生内閣 2008年9月24日から2009年9月16日 で、
石破は、第49代 農林水産大臣 任期が2008年9月24日から2009年9月16日

第1次小泉内閣第1次改造内閣
第1次小泉内閣第2次改造内閣
第2次小泉内閣と
87代から89代の小泉内閣 2002年9月30日から2004年9月27日で、
石破は、第68-69代 防衛庁長官 任期が2002年9月30日から2004年9月27日

第91代 福田康夫内閣 2007年9月26日から 2008年8月2日で、
石破は、第4代 防衛大臣 任期が2007年9月26日から2008年8月2日


第7回朝日アジアフェロー・フォーラム
集団的自衛権と国連観に違いがみえた
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu090414d.html
2009年03月30日
(略)
条件整え集団的自衛権行使できる国に
【石破】  嫌なことをお聞きになるなと思いながら聞いていました。これは私の中で答えが出ていないことが多いので、あえてお話をしなかったんですが、9・11があったときにブッシュが「これは戦争だ」と叫んで、そうではありません、そうではありませんと、だれが言ったかしら、コンドリーザ・ライスが言ったのか、それともアーミテージが言ったのかちょっと忘れてしまいましたが、あのときはアフガニスタンにタリバン政権というものがあったので、本来これは犯罪であり警察権で対応すべき事柄であるが、アフガニスタンのタリバン政権が犯人をかくまって警察権の行使をディスターブしているので、まずはこれをたたかなければだめだというロジックができて、これに対する自衛権の行使として、安保理決議が行われ、NATOは米国の自衛権行使に対する集団的自衛権で動き、ANZUSも集団的自衛権で動いたと、こういうことになったわけです。

 これはたまたまそういうロジックができたのですが、そうじゃないときにどうするのということに国際法の世界は答えを出していないわけで、主権国家を中心とした今の国際法の世界をどうするのだという問いかけがなされているのだろうと思います。

 破綻国家においてどうしてテロは起こるのかというと、警察と軍隊という暴力装置を独占していないのであんなことが起こるのだということなんだろうと私は思っています。国家の定義というのは、警察と軍隊という暴力装置を合法的に所有するというのが国家の1つの定義のはずなので、ところが、それがなくなってしまうと、武力を統制する主体がなくなってしまってああいうことが起こるのだと。そしてまた、テロは貧困と圧政によって起こるというのは、それはうそで、貧困と圧政の見本みたいな国が近くにありますが、そこでテロがしょっちゅう起こっているという話はあんまり聞いたこともない。そこでテロは起こらない。

(以下略)


あらためて全文。

第7回朝日アジアフェロー・フォーラム
集団的自衛権と国連観に違いがみえた
http://www.asahi.com/international/aan/hatsu/hatsu090414d.html
2009年03月30日

【若宮】  ありがとうございました。大変具体的なお話で、論点もかなり明確になった部分があるのではないかと思います。

 今の岡田さんの話の中から、石破さんにちょっとコメントなり反論をしていただければと思うんですが、岡田さんは、集団的自衛権まで認めてしまうと、60年前の反省というものが生きないのではないか、とおっしゃる。おそらくその背景には、さっき石破さんからも出た田母神さんのような、これは石破さんも非常に危惧されているんだけれども、ああいう認識の人が自衛隊のトップにもいるという中で、集団的自衛権まで認めて全く普通の軍隊にしていいものか、という危惧だろうと思うんです。

 それからもう1点は、国連については、小沢さんとは違うまでも、ある程度、NATOのような縛りにかわる縛りとして、国連を国際協調の証として、国連のオーケーがあれば自衛隊をもう少し使っていいよ、という意味で国連を大事にしたほうがいいのではないかというあたり、そこを中心にちょっとお話を……。

【石破】  ありがとうございます。この集団的自衛権の私と岡田さんとの議論は、何も今日始まったものではなくて、新進党当時だから、もうどれぐらい前かしら、もう10年ぐらい前になるのかしら、その話、そのころから新進党の中でも議論をして、なかなか交わらないなと、どっちが正しいとか間違っているとか、そんな話ではなくて、そう思ったんです。

 私は、日本の安全保障は、あんまり抑止力の意味を持っていないんじゃないのかという気がしております。つまり、自分の国に何ができて、何ができないのかということを国民も知らないし、政治家も知らない。何でこんなおそろしいことが起こるのかというと、最後はアメリカが何とかしてくれるだろうという話だとしか思えないんですね。

 「基盤的防衛力構想」というのをご存じの方がひょっとしたらいらっしゃるかもしれません、専門の方はご存じでしょう。日本の防衛力を整備するにあたっての考え方、これは米ソ冷戦構造ばりばりのころにつくられたものですけれども、我が国の防衛力の整備は、どこか特定の脅威に対処する、特定の脅威に備えるのではなくて――、とのっけからそう来るわけです。特定の脅威に備えるのではなくて、我が国が防衛力の整備を怠ることによって、我が国周辺にエアポケットのような力の空白地帯が生じて、よって周辺の安全保障環境を崩すことがないようにということが目的なんです。目的は、日本の周辺で米ソの軍事力がバランスしているのに、日本の周りだけエアポケットになってしまうと軍事力のバランスが崩れてしまうかもしれないので、そんなことがないようにすると。「じゃあ、何なんよ」と聞くと、答えは、「独立国として必要最小限の防衛力を整備する」という、何が答えなんだかよくわからないんですよね。
突き詰めて考えない恐ろしさ

 そういう物事の考え方なものですから、何のために、どのようなものを、どれだけ持って、それをどこに置くのということを突き詰めて考えたことがない。例えば、何で北海道にあんなに新鋭戦車がいっぱいあるんですか。ロシアが戦車で攻めてくるんですか。見通し得る将来、そんなことはないですよ。ほんとうは冷戦時代でもそんなことはあり得なかったと思うんですけれども。なぜならば、極東ロシアには輸送艦が置いていなかったからです。戦車は飛行機でそんなにたくさん運べないので、バルチック艦隊みたいに戦車を搭載した艦船がぐるっと遠くから回ってくるのだったら、その間に対処ぐらいできますからね。でも、そういう発想をだれも疑わなかった。

 だから、今でも、日本の防衛力に何ができて、何ができないかわからない。日米安全保障条約は国益が重なっているときだけ続きますので、国益が重ならなくなれば、それは当然向こうからも破棄されるべきものです。日英同盟を見ればわかるとおりのお話で。そのときにこんなはずじゃなかったと泣いてもわめいてもしようもないお話なんです。私は、日米同盟というのは続けるべきだと思う。日本が核を持つなんて愚かな選択だし、原子力航空母艦なんか持ったら、それは軍事予算が幾らあっても足りませんし、そんなことは国民経済にとって何もいいことはありません。だけど、まずは自分たちに何ができて何ができないのかを把握できないと、在日米軍も何のためにどこにいるのかということもわからない。そんなおそろしいことがあっていいのか。独立主権国家でありながら、自らの領土を条約上の義務として供しているなんていう国がほんとうにあっていいのか。そして、自分の国に何ができて、何ができないかわからないから、太平洋戦争なぞというものを始めたのだとも私は思っています。「日本は神の国だ」「アメリカは民主主義の国で堕落しているのだ」「緒戦でたたけば国民世論が沸き起こって戦争をやめるに決まっている」なんて本気で言っていたわけですからね。そういう意味では、戦前の日本と今と何が違うんだとも思うわけです。

 私が集団的自衛権行使を認めるべきだと言っているのは、これは日本が世界のために何をするか、ということに直結するからです。PKOに出している人数だって他国に比べれば全然足りないんです。PKOも出さない、集団的自衛権も行使しない、それで国際社会における責務をどう果たすのか。ほんとうにその国がどこまでやれるかということはあるのですけれども、それよりも何よりも、日本人が日本人の頭で物事を考えないということが非常におそろしい。それはまた同じことを繰り返すに違いない。だから、手を縛っておくという考え方が正しい選択肢なのかどうなのか。

 私はその集団的自衛権を無制限に行使しろなんて言っていません。ベトナム戦争では、アメリカは軍事的介入を集団的自衛権の行使だと主張しました。傀儡政権を使って助けてくれという要請を出させるなどというのは、それは集団的自衛権のあり方とは違うものです。あるいは、ソ連はドプチェクのときにプラハに侵攻した。これも集団的自衛権の理論を使いました。敵が外にあるときに使うのが集団的自衛権、敵が中にあるときに使うのが集団安全保障、ここが全然違うので、プラハ侵攻のケースは集団的自衛権の考え方にそもそもなじまない。アメリカのグレナダ侵攻も集団的自衛権行使とは認め得ない。このように、どういう場合がだめで、どういうときはいいのかということをきちんと法的に吟味するということをせずに、集団的自衛権はいいとか悪いとか、そんな議論をしてもそれは全く無意味であると私は思います。

 国連はどうなのか。拒否権を持っている国が五つあるということを直視するべきだと思います。中国やロシアだけではありません。それはイギリスだって、フランスだって、合衆国だってそうです。拒否権を持っている国があるというのが国連安保理の際だった特徴であって、私たちは、合衆国政府を選んだ覚えもなければ、中国政府を選んだ覚えもなければ、ロシア政府も、イギリス政府も、フランス政府も選んだ覚えはありません。つまり、自分たちが選んだわけでもない国の政府が決めることによって国益が左右されるということは、独立主権国家としてほんとうにあっていいのかというそもそも論を私は申し上げているのです。また、国連の決議がなくても、直ちに日本単独でやるという話にはならない。国連決議がなくても、幾つもの複数の国が共同で行う制裁措置ということであれば、そのときの行動は国際的な警察権の行使なのか、自衛権の行使なのか。自衛権の行使であるとすれば、それは集団的自衛権の議論をその前にクリアしなければいけないのであり、警察権の行使だとすれば、なぜそれは我が国憲法上いけないのか。その理由が私には理解ができない、という話でございます。

【若宮】  ありがとうございます。岡田さん、今の、特に結局のところアメリカ頼みという、日本の政治はほとんど自分で物を考えてこないで、最後のところはアメリカ頼みではないのか。あるいは、国連、国連と言うけれども、結局のところ、拒否権を持った五つの国にゆだねられているのではないか、との指摘について。

【岡田】 もちろん国連というのはそういう存在ですけれども、私が言っているのは、国連で決めたから必ず日本はやらなければいけないということではなくて、一種の客観的な担保として国連の決議というものを考えるということですから、そういう中で日本がやること、国益に沿ってやる場合もあれば、やらない場合もある。最終的には日本の判断ですね。しかし、ドイツにおいてNATOの決定という枠の中でドイツが行動するということがあるように、日本も自分だけの判断で軍は動かさないということであれば、それは現時点では国連しかないじゃないかと。それから、周辺国との理解の度合いから見ても、あそこまでやったドイツですらNATOの枠の中でしか動かさないときに、日本が自分の判断でというのは、おそらく通らないと思います。

 それから、同盟関係というときに、日本は、石破さんもおっしゃったように、極東有事のために日本の国土を基地として提供しているわけです。それに加えて、アジア太平洋というか、あるいはアメリカの世界戦略のために基地を使用することも是認しているということですから、それだけのプラスがあって、しかもアメリカが引き続きアジアに関与したいと思えば、やはり有力な同盟国というものを必要としているわけですから、日本が集団的自衛権を認めて、場合によってはアメリカを守るために武力行使をしなければ同盟関係が壊れるというふうに考える必要は私はないと、そういうふうに思っています。

【若宮】  ありがとうございました。この論争は、二人でやると延々終わらないのではないかと思います(笑い)。それでは、ちょっと今、集団的自衛権とか、安全保障にフォーカスされましたけれども、かなり幅広いお話もあったので、しばらく自由に質問なり、意見を皆さんのほうから出していただきたいと思います。

【藤原帰一・東大教授】  よろしいでしょうか。

【若宮】  では、真っ先に藤原さん。
現代の戦争と核について明確にしてほしい

【藤原】  直球で失礼します。お二人とも私が尊敬する政治家でして、機会があれば、政策でもお手伝いしたいと思うみなさんです。でも、率直に申し上げるなら、今日は少し、もうひとつ広げて議論を立てていただきたかった。日本がこれからどうするかというお話なんですが、世界がどうするのかという視点が欲しかった。お二人とも、今の世界で何が必要なのかというところから話をされていないんです。

 もちろん日本の政治家は日本国民が選ぶわけですから、日本の針路を第一に考えて当然でしょう。でも、世界有数の大国であるだけに、日本が世界にとって意味のある役割を果たす必要もあります。そこから議論しないと、どうしても国内消費用の議論に終始する危険を感じるんです。

 安全保障のことから考えてみると、安保か憲法かという長い論争を我々は続けてきました。そのためにある種の原則論から安全保障を語ることが増えてきたのは事実でしょう。そして、お二人とも、その原則論で押し切ることのない、現実に対応した選択を考えてこられた方々です。でも、きょうのお話ではその現実の方がちょっと見えなかった。確かに集団的自衛権についてのお二人の判断の違いが鮮明になりましたが、その話に今は入りたくない。安保か憲法かという議論の延長の中で、集団的自衛権が議論の的になることは十分理解できる。だけど、それが今、ほんとうに問題なんだろうか。

 自衛隊はどこに派遣されているのかといえば、それは例えばイラクであり、インド洋であり、あるいはアフリカ沖であり、モザンビークやスーダンやネパール。このなかにはさまざまな紛争がありますが、国家対国家の戦争というタイプの、いわば古風な戦争はほとんどありません。国家を主体とし、こっち側とあっち側が明確に分かれており、それぞれの軍事力もほぼ拮抗している、そんな、いかにも伝統的な戦争は、実は私たちの戦場ではありません。でも、その問題を直視しないで、伝統的な戦争であるかのように捉えてはいないのか。脅威の性格を適切に捉えるのでなく、我々が選んだ敵に沿って戦争を考えてきたのではないか。心配です。

 米ABC放送の記者に、前に、「イラクに自衛隊を送って、おまえは何を守っているんだ」と聞かれたことがあります。日本の安全とはとてもいえませんから答えに窮して、「日米同盟を守っているんだよ」と言ったところ、「そうか、わかった」と彼は引き下がりました。これで彼が納得するのもかなり問題だと思いますが(笑)、ここでの問題は、紛争を国家と国家の戦争に置き直して議論する態度でしょう。そこでお二人にお伺いしたいのですが、破綻国家をどう考えるか。そして、破綻国家に対してどう取り組むか。これはテロへの取り組みと似たところはありますけれども、別の問題です。破綻国家は国家としての力を失っているわけですから、国家と国家の戦争というイメージからその紛争を捉えることはできない。そして、これを戦争ととらえ、テロ対策をテロ支援国家との戦争にすりかえてしまえば、問題を解決できないばかりか、かえって悪化させる懸念もある。また、外から政府を倒したら問題が解決するなどと考えることがいかに破滅的な間違いを生み出すか、イラク戦争の事例で、我々はつい最近見たばかりでしょう。

 そうしますと、海外派兵を憲法や集団的自衛権から議論しても現実からは遊離してしまう。アフガニスタンに兵隊を送る、送らない、イラクにどうするとかいった話を憲法とか集団的自衛権の軸から議論するのは国内政治では重要なんでしょうが、現実に兵士が戦うことになる戦場とはまるでズレてしまう。ですから、安保条約や憲法などのルールとは別に、アフガニスタンでは何が必要なのか、この紛争地域において実効的な手段として我々が何をとっているんだということを議論しなければいけない。その話をぜひお伺いしたいと思います。

 あと二点申し上げます。ひとつは核問題。岡田さんが非核地帯のお話をされたのはとても結構だと思いますが、私は前から非核地帯という構想には疑問を持ってきました。理由は簡単です。核保有国による核管理と核削減という、一番重要なところを取り逃しているからです。さらにいえば、日本も含めて、核兵器を保有していない諸国が大国の「核の傘」に依存することも珍しくない。核兵器に頼りながら非核地帯を叫んでも意味は少ないんです。まして現在のように、核保有国の核削減が現実の可能性になろうというときに、敢えて非核地帯だけを叫ぶ理由が、私にはまるで理解できません。

 そもそも、核兵器に反対する側が、核兵器を削減する可能性を本当に信じているのか。それどころか、自分が生きている間には実は核兵器が減ることなんかあるわけないというふうな確信はないのか。絶対なくなるはずがない兵器に対して減らせ減らせと言うのであれば、デカダンスになってしまいます。非核地帯構想には、そのような予め絶望を見込んだユートピズム(注:ユートピア的な理想主義)の影がある。そして現実の政策としてみれば、核兵器の管理と削減は、それ自体が緊張緩和政策という側面を持っています。そうしますと、アメリカに向かって減らせとか、廃絶とか、叫ぶというスタイルではなくて、中国もアメリカも北朝鮮もというプロセスを考えなければいけない。この東アジア諸国とアメリカを含む核兵器削減のプロセスを、私は以前、『論座』という雑誌で発表し、平和運動を支持する人々から批判を受けたことがあります。削減ではなく廃絶をいうのでなければダメだというご批判なのですが、私はそう考えない。最終的にゼロになればもちろん結構ですが、兵器を廃絶するためには削減が必要であり、削減するにはそれが可能な状況をつくらなければならない。高い目標ではなく具体的な政策プロセスを示さなければいけないわけですが、その状況をつくるというプロセスが残念ながら非核地帯の構想にはまだ十分に見られない。これは問題ではないかと思います。

 それから、岡田さん、アジアに関して非常に重要なことをおっしゃった。アジアの内需、ですね。ここで貿易から内需にというふうにおっしゃったら私は信用しないところです。これだけ輸出部門に頼っている国がどうやって一挙に内需に頼ることになるんですか。だから、アジアの内需というご指摘が生きるわけですが、それをおっしゃる以上は、早速政策としてお伺いしたい。まずそのときの貿易を支える金融の仕組みをどう考えるのか。どの通貨によってどこの金融機関が貿易への信用供与を行うのか、ぜひおうかがいしたいと思います。

 また、それに関係してですけれども、アジアの内需という場合に、マーケットとしてどのようなマーケットを考えていらっしゃるのか。そして、それがどこまでアメリカ市場の縮小に対して役に立つのか。現実的問題なんです。そこに持ってくると、初めてアジアの内需という掛け声が政策になってくると思うんです。

 最後に、石破さんに伺います。日本の政治について、自分の頭で考えなければというお叱りはごもっともですし、よく胸にしみるんですが、問題はその先なんです。ひとくちにまとめていえば、選挙は何を選んでいるのか。政党を選んでいるのか、政策を選んでいるのか、人を選んでいるのか。1票には、党、政策、人と書いてあるわけではありませんから、その区別はつかないのですが、やはりここは重要だと思う。

 というのは、政治再編が政党党派の再編とか、人の入れ替えとか、それだけでは問題の解決にならないからです。そうじゃなくて、政策が国民の信頼を獲得するプロセスが不可欠なんですが、そこが弱いんです。政策で失敗したから政治家を落とすという、もっとも基本的なところが動いていない。政治家が自分の頭で考えることと、政策によって信用されるということはまるで違います。また敢えていえば、よい政策が国民からは支持されないという懸念さえどこかに隠れて見えます。これはもう、マスコミが変な騒ぎ方をするからだというふうに切って捨てることができる問題ではありませんね。政治家の信用に関する最後の問題でしょう。というわけで、最初から不愉快なお話を続けて申し訳ありません。

【若宮】  藤原さんが、今日は司会を避けた意味がよくわかりました。(笑)これだけ戦闘的に物を言いたかったということだろうと思います。

 もう少しフロアから質問を出していただいて、少し整理してお答えをいただいて議論したいと思います。

 では、国分さん。
日本が一体どこを目指すか、話してもらいたい

【国分良成・慶応大法学部長】 クリアなご報告で、非常に勉強になりましたし、また今の政界のまさに中心のお二人でありますから、大きな刺激を受けました。お二人に質問したいと思います。

 ひとつは、石破大臣ですが、現在の日本の争点といいますか、対立軸を集団安保という点で説明されました。それは憲法にかかわるわけですが、もう少し日本の政治という観点で考えると、小選挙区制のお話がございました。小選挙区制にしたことの意味は、それはお話にございましたように、より国民に近い視点で政治を展開するということですが、やはり1つの大きな問題というのは、どうしても選挙民との距離というか、それがより近くなった結果として、選挙にどうしても全力を投球しなければならないという問題が出てくるわけですね。そうすると、圧倒的なリーダーがいるときは別でありますけれども、どうしても国益あるいは日本国全体にかかわるようなテーマ、今のようなまさに世界的な金融危機の中で、ある意味では一種挙国的なことも必要な状況が起こるわけですが、そういうときに国益的な全体のテーマが語れないという、そこにあるのは、藤原さんも言われましたけれども、やはり政策論争ができるかどうかということだと思うんです。そのときの対立軸の原点にある根本的なテーマが集団的自衛権かどうかというのは、ちょっと私も疑問がありまして、もちろんそれは歴史的経緯から見ても重要なんですけれども。しかし今、例えば日本の中の対立軸が政党制度の中に反映されているのかどうかというところが最大の問題なわけですね。そのときに考えるべきことは、日本が一体どこを目指しているのかということです。

 日本の国家ビジョンは最終的に一体どこを目指すのだろうといったときには、日本では、国民は年金を中心に社会保障の問題に強い関心をもっているわけですから、これはまだ政府に期待していることの裏返しです。つまり、日本は欧州の福祉国家的なものを目指すのか、あるいは、そうではなくて、まさに新自由主義は過激な部分は失敗したけれども、やはり基本は米国型自由競争の原理の中でやっていくのかという点です。これは政府の大きさの問題に関係するわけで、このあいだ与謝野さんが自民党は実は社会民主党に近いんだと言われましたよね。これは非常に象徴的だと思いますけれども、つまり、その辺の部分の国家論というか、それがもはや社会主義とか共産主義ではないでしょうが、おそらく自由競争は原理として原点にあると思いますけれども、そのときの政府の役割とか、その辺のところでの実際の政党政治が相当にねじれているという感じがするんですね。この辺をどういうふうにするかという根本的議論がないと、国防とか防衛とかの問題も実は議論できないのではないかと。もちろん財源の問題があり、税制の問題があって、それをいまやっているひまも余裕もない、選挙だという話になるのでしょうが、その辺のところがうやむやに永遠に続くのではないか、これが1点目です。

 2点目は、お二人のお話でクリアに分かれた部分というのは、憲法9条から戦争の反省というところで、岡田さんは、まだ、なお手を縛るべきだというお答えがございましたね。つまり、戦争からの距離というのは、すでに60年以上もたったわけですけれども、そうすると、じゃあ、まだ手を縛っているとしたら一体いま何をすべきなのかという部分がひとつあるんですね。石破大臣のほうには、戦争からの距離という問題については、もう既に終わったと考えられるのか、そこのところの認識の問題と、今の日本に対する一種の自信といいますか、ぜひその辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

【若宮】  大きく分けてふたつのテーマ、安全保障にかかわる部分と、もう1つは、選挙に絡んだ政党の対立軸の話が提起されているんですが、それぞれとりあえずお答えしていただいていきましょうか。
 それでは、岡田さんからいいですか。

【岡田】  核の話を藤原先生からおっしゃっていただいたんですが、私は先ほど言いましたように、核を持っていない国、今でも非核地帯条約というのはかなりあるわけですけれども、それがどれだけ規範として意味があるかどうかは別にして、核保有国以外の国々が非核条約を横につなげていけば、一種の核保有国に対する包囲網ができるというふうに思っているわけです。先ほど言いましたように、核を持っていない国に対して核兵器を使用することは違法であるという1つの規範ができれば、核の使用というのは核を持っている国だけの間の話になると。そういうことの中で、持っている国々が減らすということに対するプレッシャーになるというふうに私は思います。

 中国の話が出ましたが、今、これから始まる議論の中で、米ロで例えば合わせて1,000発とか、そういう次元になってくれば、当然そのほかの核保有国も含めて次のステップは議論せざるを得ないわけで、中国もフランスもイギリスも、あるいはそのほかの国も含めて、全体を含めてじゃあ何発という議論に次は必ずなると、というか、そうしないと意味がない……。

【藤原】  いや、イギリス、中国についてもうちょっと早く進むかもしれません。
手を縛るが、国連決議前提にPKO積極参加を:岡田

【岡田】 いずれにしろそういう意味で、私は現時点ではアメリカとロシアの間ですけれども、その次のステップは、ほかの核保有国も含めた話になるという前提でお話をしているわけであります。

 アジアの内需ということですけれども、これからアジアの中間層というものが厚みを増していく中で、そこに対して日本が輸出をしていくということ、具体的に想定しているのはそういう絵柄であります。

 それから、貿易金融をどうするか。何が望ましいかという議論はできると思いますけれども、私は、この話がなければアジアでの内需の話が進まないということではないと思いますので、少し独立した問題として考えていったらどうかというふうに思います。

 福祉国家か自由競争かというのは、私はそういう問題の立て方はあまりいたしません。要するに、経済の分野というのは基本的に競争を基本として考えればいい。しかし、経済以外の分野はたくさんあるわけですから、そこは政府がもっと積極的に役割を果たしていかなければいけないということで、あまり市場か、それとも福祉かというような、そういう二者択一な話ではないというふうに思います。分野が違うというふうに、経済の分野はやはり市場というものが中心になって役割を果たしていくべきで、もちろんそれなりの市場がうまく機能するための規制というのは必要ですけれども、基本的には市場、しかし、社会保障、教育その他、そういう市場では解決できない問題がたくさんあって、そここそ政治が果たすべき分野であるというふうに思っております。

 手を縛って何をすべきかというのは、私は手を縛ることで自衛隊を海外に勝手に出さないと、特に武力行使に至るようなことはしないという、それだけの意味です。国連の決議のもとでの、例えばPKO活動など、苦労してPKO法をつくったときの志はどこかに行ってしまって、現状はほとんど何もやっていないに等しいわけですが、もう少しPKO5原則を国連決議ということを前提にして緩めてでも積極的に参加をすべきだというふうに考えております。

【若宮】  対立軸のところで、二者択一でないというのはわかるんですが、そうすると何が大きな一番の対立軸になりますか、自民党と民主党を考えたときに。

【岡田】  私は対立軸という問題設定はしません。それは東西対立の時代のイデオロギー対立ということにあまりにもとらわれた議論であって、相対的には政策の束としての違いはもちろんあるんですけれども、あるいはもう少しわかりやすく言えば、おそらく民主党というのは多様な価値観というものを重視する。自民党はどうか知りませんけれども、そういうところが違うのかなと思いますけれども、あんまりスパッと切れるような55年体制のような、そういうものとして対立軸をとらえることはいかがなものかと、むしろ対立軸はないと、決定的な違いというものはないというふうに考えるべきだというのが、私が1年生議員のときに佐々木毅さん(注:元東大総長の政治学者)を中心に3年間議論して我々がたどり着いた結論です。

【若宮】  ありがとうございます。それでは、石破さん。
条件整え集団的自衛権行使できる国に

【石破】  嫌なことをお聞きになるなと思いながら聞いていました。これは私の中で答えが出ていないことが多いので、あえてお話をしなかったんですが、9・11があったときにブッシュが「これは戦争だ」と叫んで、そうではありません、そうではありませんと、だれが言ったかしら、コンドリーザ・ライスが言ったのか、それともアーミテージが言ったのかちょっと忘れてしまいましたが、あのときはアフガニスタンにタリバン政権というものがあったので、本来これは犯罪であり警察権で対応すべき事柄であるが、アフガニスタンのタリバン政権が犯人をかくまって警察権の行使をディスターブしているので、まずはこれをたたかなければだめだというロジックができて、これに対する自衛権の行使として、安保理決議が行われ、NATOは米国の自衛権行使に対する集団的自衛権で動き、ANZUSも集団的自衛権で動いたと、こういうことになったわけです。

 これはたまたまそういうロジックができたのですが、そうじゃないときにどうするのということに国際法の世界は答えを出していないわけで、主権国家を中心とした今の国際法の世界をどうするのだという問いかけがなされているのだろうと思います。

 破綻国家においてどうしてテロは起こるのかというと、警察と軍隊という暴力装置を独占していないのであんなことが起こるのだということなんだろうと私は思っています。国家の定義というのは、警察と軍隊という暴力装置を合法的に所有するというのが国家の1つの定義のはずなので、ところが、それがなくなってしまうと、武力を統制する主体がなくなってしまってああいうことが起こるのだと。そしてまた、テロは貧困と圧政によって起こるというのは、それはうそで、貧困と圧政の見本みたいな国が近くにありますが、そこでテロがしょっちゅう起こっているという話はあんまり聞いたこともない。そこでテロは起こらない。

 何でそうじゃないところでテロが起こるかといえば、結局、いろいろな願望というか、欲望というか、それが通常の手段では達成不可能になってしまった社会システム、これはもうテロをやるしか自分たちの思いは遂げられないという、あえて言葉を無理やり選べば、期待値と実現性の乖離みたいなことがテロという手段になってきたのだと。別にテロは21世紀の新発明でも何でもなくて、これはおそらく人類発祥以来、テロというのはあったはずなんですね。ただ、それが非常に大がかりになってしまって、少なくとも20世紀には国家でなければなし得なかった破壊行為を国家でない主体がなし得るようになってしまった。このときに国連はほとんど無力なんですね、ユナイテッド・ネーションズですから。そして、それが宗教がかってきたときには抑止力がほとんどきかなくて、それをどうするのという議論をきちんと立てないといかん。貧困を解決し、圧政を解決すればテロはなくなるかというと、そうではない。ただ、その貧困とか食料難とか、そういうものが1つの要因であることは確かだから、その解決のために何ができるかということは、今真っ先にできることだと思います。

 それから核兵器の対応は、私はかなり悲観的なところがあって、例えばインドとかパキスタンみたいにやった者勝ち、あるいはイスラエルみたいにNPTに入っていなければもともと議論のらち外というようなことは、もうダブルどころでないトリプルスタンダードであって、「何が悪いんだ、そういうものなんだ」と言われたらそれまでなんですね。

 さらに、国家主体はそれなりに統制できても、テロ集団が核を持つというのは統制のしようがない。むしろ怖いのはそっちなのだと思っております。そうすると、結局私は、実務家としては、「核を持っていても意味がない」という状況をつくり上げなければしようがないのだと思っておりまして、ミサイル防衛というのはそういうことなのだということを私は言ってきております。それは、核を持っても必ず撃ち落とされて意味がないのだという拒否的抑止力の構築ということです。今までは、「核を使われても我が国の国民には被害が出ない」ということで民間防衛というものが持っていた拒否的抑止力、懲罰的抑止力や報復的抑止力ではない拒否的抑止力について、もっときちんと考えその確度を上げていくべきではないだろうかということだろうと思っております。

 選挙では何を選ぶんだということなんですけれども、結局、この人ならば間違いないとか、この政党なら自分を裏切らないとか、結局最後はそこに行くのではないかという気がするんですね。自民党も民主党も、実は突き詰めていくとそんなに政策は違わないので、岡田さんのおっしゃるとおり、何回かやっているとすごく似てくるのだろうと思っています。似てくるのだろうと思っているんだけれども、そこでどっちを選ぶかというのは、要は、どっちが自分の考え方に近いか、どっちが国民を裏切らないか、自分の期待を裏切らないか、最後はそこに行き着くのではないかという気がしておりまして、国分先生がおっしゃる小選挙区になってどうなってしまったのということなんですけれども、それは小選挙区になって結構肉体的にはしんどいです。中選挙区のほうが肉体的には楽でした。ただ、精神的にはやっぱり小選挙区のほうがいいです。同じ自民党同士で誹謗中傷、それはほんとうに精神的にいやでしたから。県会議員とか町長とか、そういうのが何々派とかいって分かれて、めいっぱいサービス合戦するというのはとってもいやでした。

 ただ、小選挙区の議論をしていたときから「奄美大島現象」というものをどうするんだという話はありました。中選挙区の中で唯一の実質的小選挙区が奄美群島区で、定数1を壮絶な戦いで奪い合う。それから保岡・徳田戦争というのがあって、それもすごいところでしたからね。ああいう金権選挙のようなものになってしまうのではないのと。大体市町村長とか知事なんてみんな定数1に決まっているんですけれども、それは金は乱舞するようなすごい話になりかねないので、そうならないためにはどうするのというと、やっぱり主張がはっきり分かれるということと、それから、住民の意識啓発がきちんと行われるしかないのだろうと。というわけで、どっちがましかと言われれば、まだ小選挙区のほうがましだと思っております。

 大連立という手法は、例えばドイツでもやっていますし、オーストリアでもやっているわけで、緊急避難的と申したのはそういう意味でございます。大連立はあり得ることですが、小選挙区制の趣旨からすれば、あくまで緊急避難だと思います。

 また、対立軸が集団的自衛権だけとは私も全く思っておりません。ただ、このことを実際的に議論しないまま、神学論争だけが延々と続いてきたのはとっても愚かなことで、集団的自衛権というものを認めないがために、国土の一部を合衆国に、自由に使わせておるというのは、あまり健全だとは思わないのです。
身の丈にふさわしいあり方を目指そう

 また、先ほど申し上げた基盤的防衛力構想というのはふたつのヘッジがかけてあって、ひとつは、防衛力はエキスパンドするのだと、こういう話になっているんです。しかし申しわけないですけれども、エキスパンドなどしようがありません。戦車が突如として1カ月で大量生産できるはずもありませんし、一般にいう予備役、予備自衛官がこれだけ少ない国で突然に防衛力がエキスパンドするはずがないんです。エキスパンドするという一種の虚構をそこに挟んでいるわけです。

 もうひとつは、この大綱でカバーできないものは政治的リスクであるということを言っているんです。つまり、これでだめだったら、それは政治が責任を負うよということなんですけれども、我が国に何ができて、何ができないか知っているからこそリスクを負えるのであって、それすら政治が知らなければリスクの負いようもないでしょうという話であって、やはりこれはかなり国家の根本的なところになるのではないかと思います。

 それから、この国はどうなるのということなんですけれども、私前から言っているんですけれども、有史以来ずっと長く栄えた歴史を持っているのは、それは名こそ変われ中国のはずです。あるいは、スペイン、ポルトガル、イギリス。そういう、いわゆる覇権国家ではない日本がこんなにうまくいっていることのほうが、歴史的には極めて例外的なのではないかと思うのです。

 それで、日本がなんでこんなにうまくいったかと考えると、東西冷戦の、この言葉は使ってはいけないのだそうですけれども、「漁夫の利」という面があったんだろうと私は思っているのです。面積は狭い、資源はない、軍隊はそんなに強くない、食料自給はできない、そんな国が世界第2位の経済力を持てたというのは、それは日本国民の努力も相当なものだったのだが、中国やソ連というものがほとんど自由市場に参加していなかったので、そういう夢のようなことが起こりましたという面があったのではないか。米ソ冷戦構造が崩壊した、それは日本がそういう夢から覚めるときだったというふうに思っております。ですからこれからは、ほんとうに勤勉に働き、高度な技術を持ち、資源は水以外に何もない、というような国家の身の丈にふさわしいあり方というのを目指すべきではないかと私は思います。

 集団的自衛権を行使すること自体が日本の自信につながる、とは私は全く思っておりません。しかしながら、それを考えないできたことが結果的に日本人の知的怠惰みたいなものを誘発した、知的思考というもの、自分の頭で物を考えるということを間違いなく奪ってきたと思っております。そのことをきちんと考えれば、さきの大戦によってほんとうに時の日本から大きな被害を受けた国々にまず日本の集団的自衛権の行使のあり方を理解してもらう必要がある。それが、絶対理解できない、そんなこと信用できないと言われているうちは、日本だけが勝手に自信を持っていても何の意味もないと思います。
実のある対北朝鮮政策が語られていない

【國廣道彦・元駐中国大使】  藤原先生が、世界が何をしようとしているかという視点からの問題提起があるべきだと言われました。私も賛成ですけれども、その前に、日本が何を必要としているかという問題もあると思うんですね。今の日本人が何を求めているのか、一つは北朝鮮との関係をどうするんだということがあると思うんです。しかし、集団的自衛権がこれだけ議論されながら、北朝鮮が核を持とうとしているということについての日本の対策は何か全然語られていなかったので、私はあえてそれを指摘したいと思います。

 もっと言いますと、集団的自衛権の前に、個別自衛権というのはどうなっているのかということです。北朝鮮がもし日本にミサイルを撃ったら、日本は何もしないのか。自衛権の行使はどうしてするのか。飛行機も片道しか飛べないし、ミサイルもないし、それをつくらないのがこれまでの政策だったんですが、それでいいのかどうかというような議論がもうちょっとあったほうがよいのではないかと思います。そういう議論をしないままにミサイルを打ち込まれて感情的な反応をするのは危険ですから。

 それから、先ほど岡田先生がおっしゃったアメリカの需要に頼れない、アジアはそういう覚悟をしなければいけないということは大変鋭いご指摘でありますが、それでは日本の内需拡大がアジアの面倒を見られるかといえば、これは見ることができないということは、過去20年間私もずっと苦労しましたけれども、できずに今日に至っています。これからも少子高齢化でできそうにもないです。ただ、おっしゃるように、中国に中産階級が増えて、中国の需要は増えるだろうとは言えると思いますが、それを日本の外交が頼りにするというのもちょっとおかしな話であって、日本がこれから果たす役割というのは、そういうことよりも、もっと違ったことを考えるべきだと思います。先ほど環境の話も出ましたが、もっとソフトパワーの面で日本が役割を果たすようなことを本気で考えないと、日本は経済大国で成功したんだからそれでアジアの模範となるんだという時代は終わりつつあるという事実認識が必要だと思います。

 それから、国分先生からのお話にあった「日本はどういう国になりたいのか」ということにつきましては、福祉国家を目指しているようだというのは、逆に言うと、今持っている1,500兆円の貯蓄を使い果たしたら、もうどうするんだということにもなるわけですね。そうではなくて、科学立国の話も含めて、とにかく将来にわたって日本がどういうふうにして、まず日本人が幸福だと思い、それから周りの国にも役に立つ国だと思われるような国のあり方を考えるべきだと思います。

 もう一言。「今何を日本が一番必要としているか」で、先ほど北朝鮮との関係に触れましたが、ほんとうは日本の国民としては、地方の疲弊というのが言われながら少しもよくならないということが大きな問題だと思うんですね。格差とか言えば簡単に聞こえますが、国が全体でこれだけ大きな借金をして、それを使っているんですから、東京はいいように見えますけれども、日本全体が借金で生きているわけで、そのしわ寄せが地方に行っているということは紛れもない事実です。だから、日本は戦後、農地改革で日本の農村が豊かになり、これが日本のソフトパワーであるというふうにずっと言われてきたし、私もそのようなソフトパワーを持ち続けたいと思うんですが、それがだめになりつつある。アジアの国の人たちが、日本のような国になりたいと思わなくなる、これが最大の問題だと思います。既に私が出てきた田舎はすっかりさびれています。やっぱりこれでは日本はいい国にならない、早急に何かしなければいかんというふうに思います。

 具体論には入りませんが、今まで承って、そういうことにご注意を向けていただけたらいいのではないかと思って発言させていただきました。

【若宮】  ありがとうございます。すでに國廣さん、質問というよりご意見という部分もかなりあったと思うので、そういうふうに、これからは必ずしも質問ということではなしに、自分はこう思うということで結構です。

【小此木政夫・慶応大教授】  破綻国家の問題ですが、確かに日本の近辺に圧政と貧困の国があるんですが、その圧政と貧困の国に振り回されているのはどこなのかということを考えますと、やや暗澹たるものがあります。しかも、ここ1年や2年の話ではありませんから。

 オバマ政権に変わってから、アメリカの北朝鮮評価に変化がないかと注意深く見ているつもりですが、情勢評価に関しては、ほとんど変わっておりません。国家情報長官(Director of National Intelligence)の年次の報告を見ていますと、ブッシュ政権のマコネル長官のものと、今のブレア長官のものとほとんど同じです。北朝鮮の軍事的脅威に関して、いつも私が考えていることをそのまま情報長官が言ってくれています。

 その内容ですが、北朝鮮の核兵器やミサイル開発は、戦争遂行能力よりも、抑止力の構築と強制外交の手段を獲得するためのものだというのです。それが米国本土や海外の米軍基地に対して使用される可能性はほとんどないと断定的にいっております。唯一の例外は金正日政権が崩壊の淵に立たされたり、統制力を失ったりするときだというのです。ブッシュ政権でもオバマ政権でも、同じ指摘がなされています。

 ですから、これから打ち上げられる人工衛星にしろ、ミサイルにしろ、私はそれほど心配していないのです。なぜかというと、それによって北朝鮮の軍事脅威が著しく高まることはないし、北朝鮮の側も、アメリカの側も、交渉しようと思っているからです。そもそも発射台に固定され、何週間も露出しているような初歩的な液体燃料ロケットが米国にとって直接的な脅威であるはずがありません。現在展開されているのは、交渉の舞台設定のための駆け引きにすぎません。北朝鮮は自分たちのミサイルに高い値段を付けて、交渉の価値をつり上げようとしているんです。それを知っているから、アメリカも大げさに反応しないように注意しています。日本にとっては、大気圏外を超えて行くテポドンよりも、すでに実戦配備されているノドンが大きな脅威です。

 ヒラリー・クリントン国務長官のスピーチや記者会見の発言から、そのことが非常によくわかります。もし北朝鮮がミサイルを発射した場合にどうするのかという質問に対して、それを挑発行為だとするものの、6者会談の早期再開のために努力するとも明言しています。安保理事会での対応と6者会談は別物であって、混同してはいけないと、こう言っているのです。

 つまり、破綻国家がそういう形で挑発をしても、できるだけその挑発に乗らないようにするのがオバマ政権の姿勢であって、これはブッシュ政権の強硬政策の失敗から学んだものです。ミサイル問題を国連決議で一挙に解決しようとしても無理だから、むしろ6者会談による非核化やミサイル交渉を重視していこうという結論だと思います。

 そこで気になるのが、やっぱり最近の日本の動きでして、すでに安保理事会でだめならば独自に強い制裁をやっていかなければいけないという声が強く出ています。これは気持ちとしてはわかるし、世論に対して受けがいいかもしれませんが、ほんとうにそれでいいのだろうか。2006年10月の核実験のとき、安保理事会は制裁を決議しましたが、2カ月後には6者会談が開かれて、3カ月後には米朝直接交渉でベルリン合意が成立したのですから、そのことが再現される可能性も考えておいたほうがよろしいのではないかと思います。これは質問なのかコメントなのかわかりませんが、もしお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

【畠山襄・国際経済交流財団会長】  まず、石破大臣にうかがいたいのですが、さっき、農政について民主党寄りと批判を受けていると言いました。しかし、私の理解では石破大臣は農政改革のチャンピオンの一人であって、本音をおっしゃれば、例えば専業・中核農家には助成するかもしれないけれども、それ以外には助成しないというほうだと思うんです。それに対して岡田元代表、あるいは新代表かもしれませんが、どういうお立場か知りませんが、少なくとも小沢さんはばらまきで、全部の農家に助成する、そういうことだと思うんです。その中でどうして石破大臣が農政は民主党寄りだと非難されているのかをお教えいただきたいのが第1点であります。

 第2点は岡田さんの、100年に1度の経済危機と総理は言ってはいけないというコメントに関してです。そのご意見はわかるんですけれども、去年の12月の日本の輸出はマイナス35%でした。それだけ落ちたのは過去いつかということを調べてみますと、必ずしも統計はつながらないのですが、1942年の6月はマイナス59.4%。これは言うまでもなく第二次世界大戦が始まった翌年です。それからその前はいつかというと、大恐慌の1930年の8月のときはマイナス41.4%。それで12月の後、今年2月ですが、今度は日本は49.4%落ち込んだ。だから、1930年の記録をしのいでしまったわけです。80年近く前で、100年に1度というのはそんなに違っていないから、そういう認識を持つのはいいんではないかと思います。これはコメントでございます。

 最後に、地球環境問題の中期目標はどうなっているのだと中国に言われたと岡田さんは言われた。長期目標が、さっきメンションされたように、2050年に半減ということになっているわけです。これは、「世界全体の」排出量の半減なんです。各国の排出量が半減ではないわけです。だから中期目標も、各国別の削減目標ではなくて、世界全体の排出量をいくらにするのかということを先ず議論すべきだと思いますが、その点についてどう思われますか。以上です。
日本がリーダーシップを取り続けるのは難しいのではないか

【李志東・長岡技術科学大学教授】  今日はありがとうございます。日本のリーダーシップという言葉が出てきて、よく考えたらリーダーシップをとるための条件として、例えば日本の経験ですと、昔は経済実力があった。さらに技術優位性があった。また、ほかの国と比べると、先ほど國廣大使がおっしゃったようなソフトパワー、対策システム等々が非常に機能できるように整備できた、といういろいろな前提条件があったから、過去、国際世界において日本がかなりリーダーシップをとれるようになったんです。しかし、これからのことを考えると、今のような状況ですと、とてもではないですが、日本が国際社会でリーダーシップをとるのが無理だと私は思っているんです。

 例えば、経済実力は、今のような状況ですと、確実に中国に追い抜かれ、場合によってこの10年か20年かわかりませんが、インドによっても追い抜かれる。技術優位性のことを考えても、今、日本が国内では技術優位性を持っていると感じている人がかなりいるかもしれませんが、例えば日中比較で考えると、それほどではないのです。

 一つの例を挙げますと、水素・燃料電池自動車あるいは電気自動車、ハイブリッド自動車などについては、確かに中国と比較したら、絶対的に日本の技術がリードしています。ところで中国の場合はどうなっているかというと、技術はそこそこあって、ただし、今の段階では普及を意識して、大規模な実験をやり始めたのです。つまり、市場に投入しながら技術を改善していくというプロセスに中国は既に踏み出したのです。そういうことを考えたら、せっかく日本が技術優位性を今持っているんですが、市場を確保できるような政策、システムをとっていないがために、技術優位性はもう維持できないと私は思っています。

 そういう視点から考えると、現在のようなやり方では、リーダーシップをとるというのはなかなか難しくて。これは言うのは簡単ですが、とるためにはどうすればいいのかというといろいろやらないといけないですが、例えば、先ほど来出てきた地球環境問題において、日本がもう少し率先垂範的なことをやらないといけないです。アジアのことを意識するならば、日本と韓国だけがOECD先進諸国になっているから、温暖化問題の対応に関して、中国、インドなどの途上国の代表格をあまりいじめないような対策をとったほうが得ではないかと実は思っています。これがひとつです。

 もうひとつ、日本が持っているエネルギー環境分野の技術優位性を今の段階で使わなければ、もうなくなってしまうんです。中国、インド、あるいはほかの東南アジア諸国が日本に対して技術協力してくださいと言ったときに、日本側が協力してあげるというスタンスだと、うまくいかない。むしろ連携してやっていくというぐらいの気概でやらないと無理です。つまり、技術で途上国に対して協力することによって、日本の技術というものが途上国で認知されるようになるのです。これは市場を開拓できるというのと全く同じ意味です。日本の技術に対する市場。今の技術を途上国で売って、稼いだ資金をもとにして新しい技術を開発していく。これは結局、日本が将来リーダーシップをとるための戦略ではないかと私は思っています。
今日はほんとうはもう少し戦略的な話を聞きたかったのですが、勉強になりました。ありがとうございました。

【若宮】  ありがとうございます。中国からの極めてシビアな、しかし愛情にもあふれたご意見かと思いました。井上先生。
農業と食糧がちゃんとしなければ、全ての議論は無駄になる

【井上真・東京大大学院教授】  おそらくこの中で、私は農学部に所属する唯一の人間だと思います。食糧安全保障の問題について、お考えをお聞きしたいと思います。鈴木宣弘(注:東大大学院教授、農業経済学者)という私の同僚がいるんですが、本を出していまして、そこで私は学んだのですけれども、一般的に日本の農業というのはすごく過剰に保護されていて、貿易についてもかなり閉じられていると思われている。しかしそれは違うのだということを書いております。

 例えばアメリカにしろヨーロッパにしろ、基幹となるような重要な産品、農業製品はちゃんと保護している。その上で、ある意味では隠された輸出補助金のようなものを使ってWTOもクリアしているという戦略をとっているわけです。それに対して、日本はそうでない、既にかなり開かれているから食糧自給率もこんなに低いのだという議論を展開しております。

 我々は食糧がちゃんと確保できないと、今後すべての議論は無駄に終わってしまうだろう。つまり、どのようにほかの産業を振興しようとしても、食糧で首根っこを絞められたらもうだめなわけです。そのあたりを、お二人にどういうふうに考えておられるのかを教えていただきたいと思います。

 以上です。

【若宮】  それでは、広瀬先生までお話しいただいて、こちらに戻します。

【広瀬崇子・専修大教授】  ありがとうございます。私はインドとパキスタンの政治を専門にしているものですから、その観点からちょっとお聞きしたいのですが、まず、あの地域を専門にしていますと、どうしても関心事項というのはテロと核問題になります。

 それでお二人にひとつずつお聞きしたいのですが、まず石破大臣は、先ほど貧困と圧政がテロを生むことはないというふうにおっしゃいましたが、私から見ていますと、やはりそれは大きな要因のひとつであると思います。

 まず、アフガニスタンあるいはパキスタンでどうしてあれだけテロが頻発するかということを考えますと、そもそもの政策はアメリカの抗ソ戦にあったわけです。そのためにムジャヒディンを育てると。そこで武器を与え、しかもイスラムを武器にして戦えということを教え込んだのは、アメリカの戦略であったわけです。

 それが、アメリカが、ソ連の撤退後、興味を失って、そして残されたパキスタンが結局テロを支援し続けてタリバンを育て、そしてなぜそんなにみんながテロリストになったかというと、やはり貧困なんです。イスラムの宗教学校のマドラサというのがございまして、そこは無料で面倒を見るわけです。貧困家庭の多くは子供をそこに送ります。ですけど、そのうちの1割ぐらいのマドラサでは、テロリスト養成をやっているわけです。そういう中で9・11が起きて、今度はタリバンを征伐しなければならないというアメリカの政策の転換があったわけですが、このような事情を考慮した上で、日米同盟というのは一体どういう意味を持ち、日本は一体何をすべきなのかというところです。テロの対策を考える上で、アフガンに兵を送るとかそういったことが果たして一番重要な問題なのか、あるいは日本としてもう少し何かすべきことがあるというふうにお考えか、その辺をお聞きしたいと思います。

 それから、岡田さんには核の問題をお聞きしたいのですが、米印合意のところでインドはNPTに加盟すべきというのは確かに非現実的なコメントだと私も考えています。インドはもともと核ドクトリンというものを宣言していまして、まだ一応ドラフトの段階ですが、どこの政府も全部認めています。その中で、先制不使用と非核保有国に対しては使用しないということをみずから宣言しております。それに対してパキスタンは先制不使用に同意しませんので、なかなかそれ以上に拡大しないのですけれども。

 それからもうひとつは、インドはもともと、「NPTは差別条約であるために、みずからは調印しなかった。いまだに世界的な規模での核軍縮というものには依然としてコミットしている」との立場をとっており、インド政府や外務大臣などが今でもはっきりと公言しております。

 先ほど岡田さんがおっしゃった、こういうことをすべきだというようなことをことごとくインドはみずから宣言しているわけですけれども、米印協定について日本としてどのような立場をとるべきとお考えかということをお聞きしたいと思います。

【若宮】  全部にお答えいただく必要はないと思いますが、ここまでのところでコメントなり、お答えをお願いします。石破さんからいきましょうか。
この国で何ができ、何ができないかを明確にすべきです

【石破】  すべてにお答えできるかどうかわかりませんが、国会答弁に類似いたしておりますが、北朝鮮が今から東京に向けてミサイルを撃つのだよと宣言をして、実行に着手し不可逆的な段階に入り、そこをたたく以外に日本の独立あるいは国民の生命、財産を守る手段がないということでありとせば、それは個別的自衛権の行使として北朝鮮の基地をたたくということも憲法上許容されると、これは政府の見解でございます。言葉どおり正しいかどうかわかりませんが、そういうことです。座して死を待つのは憲法の予定するところではないという答弁がありまして、そしてその準備に入っただけでたたくのは早過ぎる。被害が起こってからでは遅い。では何なんだというと、着手し、かつ不可逆的な状態に入ったときには、それは何となくこう…… 実行の着手みたいな話ですね、着手以降、既遂未満というんでしょうか、それは法理論としてはそれでいいんです。

 ただ、そんな能力を持っているかというと、持っておりません。持っておらないのはおっしゃるとおり、国家の選択としてやってまいりました。例えば、我が国の持っております唯一の国産輸送機、C−1輸送機を開発しますときは、まだ沖縄が返還になっておりませんでしたので、沖縄まで行って帰ってこれない飛行機をつくれという話で開発したのがC−1輸送機でございます。輸送機は遠くまで飛べるほうがいいに決まっていますし、いっぱい載せられるほうがいいに決まっているんですが、そういう不思議な飛行機をつくりました。戦闘機もそうで、わざわざ遠くまで飛べないようにするというほどひどい話ではないですが、いわゆる「ストライク・パッケージ」というのはそう簡単なものではありませんで、策源地攻撃能力を備えているとは言い難い。

 だから、何ができて何ができないか知らないのは恐ろしいのだと私は言っているのです。こういうときになると北朝鮮をたたけとか、ミサイル基地を先につぶせと勇ましいことを言う人が出るのですが、私は長官のときにも答弁をしていますが、対電子戦機もなく、対地レーダーも不十分、そんな状態で自衛官に任務を遂行しろなどというのは無責任きわまりない話で、何を持つべきかという議論をちゃんとやっていないからこんなことになるんです。トマホークを持つことも検討すべきだという趣旨のことを言ったらまたたいそう非難されましたが、トマホークは基本的に無人飛行機みたいなもので、弾道ミサイルではございませんので、比較的スピードが遅いのです。では、トマホークを保有したとして、それを撃つときに一体どのようなプラットフォームに搭載し、それが巡航速度どれだけを出し、その間に北朝鮮の弾道ミサイルがどこまで飛ぶかということまできちんと議論しないと、この話もあまり意味がないと思っております。

 地域間格差について、むしろ今、問題は、日本の農業のあり方なのだと思います。日本農業は、社会政策としては大成功をおさめた。しかし、産業政策としては成功であったとは言いがたいと思っております。その社会政策を成功あらしめたのは、兼業機会がきちんと確保されたためで、結果的に社会政策としてうまくいった。ところが、工場や建設会社などの地方の兼業機会が喪失されると、いわゆる限界集落というところはほんとうに消えてなくなってしまう。こういうことで、格差是正のためには兼業機会をどうするかという議論に集中しなければだめだと私は思っております。

 小此木先生のおっしゃることは全くそのとおりでありまして、こういうときに過剰反応といいますか、単独制裁だとか、あげくの果てに向こうをたたけとか言う人が出るのは、それだけ普段からちゃんと考えていないということなのであります。ただ、これも先生から教えていただけることかもしれませんが、金正日なる人は、なぜソ連が倒れたか、なぜルーマニアが倒れたか、なぜイラクが倒れたかということを全部きちんと勉強してやっているはずで、ソ連が倒れたのは情報統制ができていなかったからだ、ルーマニアの独裁政権が倒れたのは軍をきちんと優遇しなかったからだ、イラクが倒れたのは核とミサイルを持っていなかったからだ、ということを考えているはずです。だとすれば、アメリカまで届く核やミサイルを持とうということになりますし、アメリカはさればこそ、ミサイル防衛というものを一生懸命やっているのであって、そういうことをよく考えた上で、日本は過剰反応しても何もいいことはないよということはそのとおりであります。

 農政について民主党寄りだということは、こういう意味でございます。要は、どの国も農業を保護しているわけで、その財源として納税者の負担によるべきか、消費者の負担によるべきかというお金の持ち方の問題でございます。畠山先生おっしゃるとおり、仮に減反をある日突然全部やめると、ジェットコースターみたいに一時期急激に米価が下がるに決まっています。そうすると、ほんとうは残ってもらわなければいけない大規模専業農家から倒れるというよろしくない結果が招来される。では、むしろそちらに助成すべきということになるんですが、そのときにだれが負担したのかよくわからないという、消費者負担型というのはまずいだろうと私は思っておりまして、そこは納税者負担型であるべきだというところが、民主党寄りだと言われるゆえんであります。

 一方で、政策手法として、米どころか、麦だろうが大豆だろうがトウモロコシだろうが全部生産目標を決めて、それを守ったらお金は全部差し上げますよなぞということをやっていますと、ほんとうにこれ産業でなくなりますもので、私はそういうものにくみしているわけではございません。

 李志東先生のお話は、私は結局のところ、知的財産権をどう考えるかというお話だと思います。残念ながら、中華人民共和国においても、韓国においても、知的財産権がきちんと保護されていると私は認識いたしておりません。農業分野など特にそうでございます。例えば大韓民国で消費されるイチゴの85%は日本のものでございます。しかし、知的財産権を登録いたしておりませんので、それはもうある意味やりたい放題みたいな状況になっております。それは中華人民共和国でも似たような状況でございまして、いろいろな地名がブランドになって、勝手に登録をされていて、日本が抗議を申し込んだとしても、是正されるのに多大な時間を要しております。私は、日本が知的財産というもので相当やっていけるという自信は持っておりますが、それがアジア諸国において正当に評価をされない限り、日本の知的財産の意味がございません。ですから、知的財産の保護条約への加盟促進というものは、日本が中心になってやっていかねばなりませんし、おっしゃるとおり、日本はこれからもざくざくお金があるわけではございませんし、軍事的に強く出るというのも私は得策だと思いません。ただ、日本人のいろいろなテクノロジー、つまり知的財産がどう保護されるか。そのことについてアジアの諸国がどのように反応するか。日本としてそれをきちんと守るために国際的にどのように行動するかということに私は大きくウエイトがかかるのだろうと思っております。

 井上先生のお話はそのとおりで、私は鈴木先生の本は何度も読みましたし、先生とも議論はさせていただいております。もしほんとうに日本が農業を過剰に保護していたならば、こんな低い自給率になるはずがございません。ただ、保護の仕方が米とかコンニャクイモとか、そのようなものにものすごく特化をしておりますので、やはりたたかれる部分が多い。それからAMS(注:助成合計量。国内農業保護削減の指標)の計測方式をどのように考えるかということでございまして、例えば米として現在778%の関税を張っております。しかしながら、ミニマムアクセスが入っておりませんので、関税が日本に入ってくるわけではございません。ただ、消費者が778%の関税を張っていることによって、安い米を食べられないということをどう考えるかという議論は、もう少し自分の中でしてみたいと思っています。

 ただ、先生のご専門で申し上げれば、日本とオーストリア、日本とフィンランド、日本とノルウェーで何でこんなに森林の生産率が違うんだと。コストもそうですし、1人当たりの伐採量もそうです。50年前はこんなに格差は開いていなかったはずなんです。50年の間にものすごい格差になったんです。日本の自給率が低いとか、日本の森林のコストがものすごく高いというのは、やっぱり政策選択の結果なんだろうと思っております。これをこのまま放置すると、農業も大変なんですけれども、林業のほうがもっと深刻だという危機感を私は持っておりまして、ここのところをどう考えるかという議論を、あまりにしなさ過ぎた。それによって、地球温暖化防止に寄与するという地位を日本は相当に失いつつあると思っております。そこをよく考えるべきだと思っておりまして、食糧確保政策というのは、むしろ国際的にいろいろなことをやるということもありますが、日本の中の政策としてどうなのか、どうだったのかという検証もあわせてやっていかないと難しいのではないか。

 そして、冒頭に申し上げましたように、2年に6人も大臣がかわっているんです。外国で味方が増やせると思うほうがおかしいんです。日本の主張に賛同するアジアとかアフリカの国はたくさんあるんですけれども、例えば「石破の言うことおもしろいね」と思ってくれた国があったとして、次の会議のときにはもう石破はいないんです。そして、もっと味方を増やそうと思っても、国会の委員会で「大臣がいなければ審議なんかできない」と言われて、「大臣は外国へ行ってはいけない」、「副大臣が行くことも許さない」みたいなことを言われる。これでは味方なんて増えるわけがないわけのであって、これは何党が政権をとろうと一緒のことだと思っております。

 最後に、私は貧困と圧政がテロと無関係だと言っているわけではございません。ただ、貧困と圧政のみがテロの主原因かといえばそうではないのだろうと。日本みたいに豊かな国で、何でオウム真理教みたいなことが起こったのだろうかを考えてみたときに、それは貧困でも圧政でもなかった。彼らは民主主義で自分たちの願望を達成しようとしたわけですね、選挙に出たんだから。みんな法定得票に達しないで落ちました。かといって彼らの力と自衛隊や警察ではあまりに違いすぎるので、じゃあテロだと、こういう話になるわけです。テロの手段に訴えるというのは、対称的な軍事力はもてないから、非対称的手段で、弱者をねらって、いつ始まっていつ終わるのだかわからない攻撃をするわけで、そこはよく考えるべきなのではないか。

 テロ対策と日米同盟のお話は、だからテロ特措法をつくってよかったなというのが私の思いなのです。最初、周辺事態法でいこうという人がいて、ちょっと待ってくれ、周辺事態法をよく読んでくれという議論をしました。周辺事態法には、日米同盟の効果的な実行に資するためと書いてある。もしこれに基づいて出したとするならば、アメリカとしか協力ができません、それでは各国と協調したテロとの戦いなんて言えませんよ、ということでテロ特措法をつくったわけです。このテロとの戦いというのは、日本としてほんとうにどれだけ多くの国々と価値観を共有できるか、ということが一つあるんだと思っています。

 そしてパキスタン、インドのお話は、広瀬先生のご指摘になったとおりだと思います。私は上っ面の勉強をしただけですが、もっと深いお話をなさっておられるんだろうと思っております。アメリカが調子のいいときだけパキスタンを使い、調子のいいときだけアフガニスタンを使ったのは間違いない事実であって、でも、ソ連もそうであったわけです。その大国のいいかげんさというものをどう考えるかみたいな議論は、日本としてきちんとしておかねばいかんことなのだと思っております。ですから、「アメリカのおっしゃるとおりでございます、何でもお手伝いいたします」という志向ではない考え方をしていかなければいかんのですが、同時にそこにおいて確保する日本の国益とは何なのだというお話があまりになされていないので、そこのところもあわせてしなければいかんのではないか。何の答えにもなっていませんが、私としては少なくともテロ対策イコール日米同盟という考え方はなるべくしないようにしないように法律をつくってきたつもりですし、実際のオペレーションもそれでやってきたつもりでございます。

【若宮】  ありがとうございます。それでは岡田さん、お願いします。
高い付加価値の追求こそ日本の進む道

【岡田】  全部お答えする時間もありませんので、つまみ食い的に。 私は、北の問題には基本的には楽観的です──楽観的と言うと言い過ぎかもしれませんが、時間の利益は今やこちら側にある。こちら側というのは、金正日のほうにはないと思いますので、少し腰を落ちつけて交渉していけばいいのではないかと思っております。彼も、彼の時代の間に少し安定的な状況にまで持っていきたいと当然考えているはずだと思います。

 それから日本とアジアの関係ですが、日本は昔、製品輸入しない国だと随分責められましたよね。しかし、今や製品輸入比率もかなり高まって状況が変わってきたわけです。日本以外のアジアの国々と日本との間での垂直的な貿易構造というか、わかりやすく言えばレクサスを売ってタタを買うとか、そういうことは十分に可能だし、日本としては、さらにより付加価値の高い部分に特化していくというしか日本の進む道はないのだろうと思います。

 それから、先ほどの温暖化の話は結局、2050年全世界で50%というときには当然、先進国としてはそれ以上の削減、60から80ということになるんだと思います。そういうことであれば、必然的に2020年というのは25から40という考え方が、論理的には非常にわかりやすい議論だと思います。民主党が出した法案では2020年、1990年比25%削減ということになっています。1990年比プラス6%強という中で、25%削減というと、わずかの期間に3割以上落とさなければいけないわけですので、現実的かどうかという議論はあり得ると思いますけれども、過去10年間、1990年から今日までの間、大きな政策の失敗があったと私は思います。つまり、この10年間でプラス6.3とか6%を超えるプラスになってしまったこと、その90年比で増えた分のほぼ全量は、石炭火力の稼動によって説明できると。それはいろいろな理由はあります、原子力の調子が悪いとか。しかし、何も言わなければ電力会社は安くて安定的な石炭に向かうのは当然でありまして、そこは政策的に温暖化という視点をもっと入れ込まなかった政策の失敗であると私は思います。ドイツのような自然エネルギーにもっとかじを切れば違う姿になっていたはずだし、今からでも遅くないと思っております。

 それから農業の話は、私は専門家ではないのですが、民主党は所得補償方式ということを言っております。基本的に私もその立場に立ちますが、一方で、生産性を上げるための努力も必要で、そのうちの重要なやり方が規模の拡大ということだと思います。農地解放によって農地が細かく区分され、最初は手でやっていたのが耕運機なりトラクターになれば、農地そのものの規模拡大できないのであれば兼業になるのは経済学的には当然の結果でありまして、もっと早く農地の流動化を進めるべきだったと思います。これからそういうところにかじを切りながら、しかし中山間地域とか規模の拡大ができない部分については、所得補償方式をかみ合わせてやっていくということだと思います。

 ただ、規模の拡大というのはただ一つの道ではないので、一昨日、大分の大山町の農協に行って──もともとは大分の一村一品運動の発祥の地ですね、「梅栗植えてハワイに行こう!」というところから始まった話ですけれども、今でも所得1,000万を超える農家が結構たくさんあるわけです、五百何軒の農家の中で。中山間地域という山あいの、大きな田んぼのないような地域で、レストランを農協が経営したり、直売店を経営したり、さまざまなことをやりながらそれだけの成果を上げているわけです。組合長に「成功の秘訣は何ですか」と聞いたところ、「農水省の逆をやってきたことです」という非常にわかりやすい答えがありまして、規模の拡大だけではないのだなということを改めて感じたわけであります。いずれにしても、がんじがらめの今までのやり方で、さらに高齢化が進み、自給率は落ちていくということは明確でありますから、大きな政策転換が必要であることは間違いないと思います。
 それから自給率の話は、自給率を高めるという中で、思いきり米をつくって輸出することはほんとうに不可能なんだろうかという、石破大臣もそういうお考えをお持ちかもしれませんが、私もそういう誘惑に駆られます。国際価格との差が大分縮まってきた中で、将来的にも米の価額は上がるでしょうから、規模を拡大して、そして日本の米をアジアに輸出していくという絵はかけないものか。それ以外に自給率を高める答えはないような気がいたします。あとは、牛肉を食べないようにするとか、あとは草食った牛や鶏の肉しか食べてはいけないとか、そういうのはあるかもしれません。

 もう一つ自給率で大事なのは、エネルギーの自給率の問題です。それは先ほどの温暖化の話に関係しますが、原子力と自然エネルギーにより重点を置くというのは、エネルギー自給率を高めるための唯一の処方箋ではないかと思います。

 あと、インドの米印協定の話はとても難しいのですが、ただ、インドはNPTにも入っていません。NPTに加盟している核保有国というのは義務がかかっていますよね、軍縮義務。その義務も、インドは免れている。そして、今持っている核施設について、一部はIAEAの査察でカバーされますが、野放しになっている部分がある。こういう状況を認めますというわけには、私はいかないと思います。インドの政治家とも随分議論しました。中国との紛争が大きなきっかけになったということでありますが、でも、その論理を認めてしまいますと、中国が持っているからインドも持つ、インドも持っているからパキスタンも持つという連鎖に結局なってしまいます。今のNPTにインドを入れるということは非現実的と思いますが、インド、パキスタン、ちょっと北朝鮮は除きたいと思いますけれども、イスラエル、そういう核を現に持っている国全体をカバーするような新しい条約、そこに一定の制約をかけるようなものを考えていかざるを得ないのではないかと。NPTの枠の中で対応しようとしてもこれはちょっと無理なので、そういう発想でいくしかないのかなと思っています。

【若宮】  ありがとうございました。残すところもう2、3分ということで、時間的にも私の能力的にも、今日の議論を何かまとめるということはほとんど不可能であります。ただ、わかったことは、今日お二人に来ていただいて、少なくとも、永田町にも、自分の頭で考えている、あるいは考えようとしている政治家がいないわけではないということ(笑)。それから、考えるというのは自分の頭だけでは足りないわけで、人の知恵をかりるとか、あるいは人から刺激を受けて、また考えるということが大事で、そういう意味では今日のような場はもちろん我々にとって大変有意義でしたけれども、今日のご両氏とも、何がしか役に立っていただければありがたいと思います。また、対立軸は明確なものはないと言いながら、いくつか、少なくともお二人の間では鮮明な対立軸もありました。

 そうでなしに、与野党が一緒になって考えていかなければとてもやっていけないというような問題が多々あるということも、共通認識で改めて浮かび上がったような気がいたします。

 お忙しい中、お二人に今日来ていただいて、ほんとうにありがとうございました。

 最後に岡田さんに、みんなが聞きたいと思っていることを1問だけうかがいます。なかなか言いづらいことではありましょうが、小沢さんの去就が注目されている折、時が来れば逃げずにやっていくというご決意のほど、一言いかがでしょうか。

【岡田】  私はどこでも同じことを答えているんですけれども、結局民主党の過去を振り返ると、みんなで自分たちが選んだ社長おろしをやると。私はただ一人、自分の意思でやめた民主党の代表であります。こういうことを早くやめなければいけないという思いで今まで3年間、民主党の若手と言われる私よりも若い人たちに、私はずっと言い続けてきたつもりです。今回も小沢代表が、自分が政権交代を目指してやるとおっしゃるのであれば、それは最大限尊重しないと。小沢代表が「やる」と言われる限り、みんなでサポートしなければいけないと。ただ、きちんと説明責任を我々が果たさないと、8割を超える方が小沢代表の今までの説明に納得していないわけですから、朝日新聞の調査によればですね。ほかの調査もほぼ同じですが。3割4割ならわかりますが、8割の方が納得していないという状況の中で選挙をやって政権交代などあり得るはずがないので、これは小沢代表を先頭に民主党の説明責任ということが求められていると思います。

 以上です。

【若宮】  ありがとうございました。
 
 
 
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