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ウォルフレン講演-概略(2010年4月30日IIEA/YouTube)
http://www.asyura2.com/10/test21/msg/211.html
投稿者 okonomono 日時 2011 年 1 月 01 日 07:17:35: ufgCmUGS6CG6M
 

ウォルフレン講演概略(IIEA主催2010年4月30日YouTube)

Karel van Wolferen on the 'Possible implications for the world of Japans new government'
The Institute of International and European Affairs (IIEA)
30 Apr 2010
YouTube / IIEA
http://www.youtube.com/watch?v=EPge6aaqs8Q

「日本の新政権が世界にたいしてもちうる意味」

カレル・ヴァン・ウォルフレン

2010年4月30日ダブリン 
IIEA主催講演会 

[00:00 / 50:26] 今日の日本の話題はあまり注目されないが、アジアや世界の将来にもかかわる重要な問題である。

[00:45] 日本の政治システムは理解しにくい。

[01:30] 2つの話をする。1つは国内政治であり、もう1つは国際政治、とくに日米関係についてである。国際政治の話からはじめたい。

[02:10] 日米関係は歴史的に類がないほど独特なものだ。

[02:35] 米国は世界一の先進工業国であり、日本は第二位で米国と対等である。

[02:50] 日米の特殊な関係は日本の敗戦にさかのぼり、当時の国家指導者たちが予想しなかったものとなった。日本は米国の属国に近いあつかいを受けながら今日にいたる。

[03:55] この日米関係によって日本は戦後の経済成長をとげた。1945年の敗戦によって、日露戦争後の政策対立が再現した。ヨーロッパのような戦争と植民地支配による強国をめざすか、それとも経済成長を追求するかという対立である。敗戦後の日本には当然後者の選択しかなかった。

[05:15] 米国の盾によって、日本は中国やロシア[ソ連]の存在による地政学的な混乱に巻き込まれることなく、前代未聞の経済成長をとげた。

[06:20] この間日本は政治的には存在しない国だった。経済成長によって生じた政治的な問題を、政治的に解決することができなかった。

[07:03] 他国にしてみれば、日本からは交渉相手が出てこない。キッシンジャーなどは日本に来ると「あなたの上役に会わせろ」といつもいっていた。

[07:33] 政治的な調整を必要としない事柄に関しては、日本は他国とうまく協力できた。

[8:10] 日本は通常の意味でいう政府をもたない。日本人にとってはそれが快適だったのであり、世界もそれに慣れた。日本は国際政治というゲームに参加しなかった。

[8:45] 最近そこに変化が生じている。近年台頭したある政党による新政権は、外交的に自立し、東アジア諸国との関係を改善しようとしている。

[10:13] 問題は、米国がこの変化を喜んでいないことだ。

[10:45] ここで国内政治の話をしたい。日本が米国に従属する以前からの話になる。日本にとっていわば後見人である米国は、防衛戦略だけでなく、自由貿易圏での経済戦略についても日本の後ろ盾となった。

[11:55] 日本は政治的な説明責任を負う中央政府を必要としなかった。これが、日本の政治システムの根本問題である。このことは、基本的には国際関係においてのみ問題を生じる。

[12:55] この点で戦時中の日本とドイツは完全に異なる。ドイツには権力の中心があった。

[13:39] 日本の場合は、中央当局の統制に従わない将校や軍部が軍国主義と太平洋戦争をもたらした。

[14:25] 日本は2世紀半におよぶ鎖国のあいだ、外交機能を必要としなかった。19世紀末から20世紀初頭にかけての明治維新とよばれる上から革命を実行した寡頭制は、その体制を維持できず、方向性の異なるさまざまな集団や機関に分裂した。

[16:40] 江戸時代の将軍は参勤交代で大名を支配したが、大名は領地の支配権をもち、将軍の支配は限定的だった。

[17:37] あらゆる国にみられる政治的合法性の確立、中央集権化が、明治の寡頭制によっては達成されなかった。軍部とくに陸軍の統制逸脱の問題はここに生じる。

[18:58] 第二次世界大戦後は、政治的説明責任をもつ中央政府を確立するためのよい機会だった。システムに逸脱をもたらす過剰なものを統制できる政治システムをつくることが課題だった。

[20:00] 日本にあるのは、国家ではなく「システム」である。国家は政治的説明責任を負い、人体における頭脳にたとえることができる。

[20:45] 第二次世界大戦後、日本は政治的説明責任を確立することができなかった。それは米国の占領政策によって阻まれた。外務省が他省庁とやりとりをするのに米国を経由したりすることになった。

[22:02] 日本側の動きは、戦後初期の岸内閣とせいぜい池田内閣でしかみられなかった。佐藤内閣は、米国およびそれに合意した官僚出身の有力議員たちに支えられて成功した。

[22:38] 日本の政治システムは、明文化された規定を反映したものではない。憲法その他の法的な根拠を有するものではない。

[23:10] 公式のシステムの陰に実際のシステムがかくれていることはどこの国でもあるが、日本の非公式システムの場合はそれが制度化されていてしかもとらえどころがない。

[24:05] 日本の公式、非公式のシステムは、日常生活での「建前」と「本音」の使い分けに相当する。

[25:40] 非公式システムは制度化された強固なものなので、憲法や民主的な合意にのっとって日本を改革しようとしてもうまくいかない。

[26:13] 非公式システムに手をつけようとする平和時最大の挑戦は、現在の民主党政権によるものである。

[26:56] 2008年1月、ジャーナリストなどが小沢氏の民主党による政権交代とそれがもたらす政治の変化を期待して興奮していた。しかし、私は小沢氏のスキャンダルを心配した。

[28:05] 非公式システムは、過剰なものをスキャンダルで罰することにより、影響力の広がりをおさえ、システムを防衛する。

[29:25] 検察とマスメディアがスキャンダルで小沢氏を失脚させようとすることは予想できた。田中角栄氏のように大きくなりすぎた政治家や、江副浩正氏のように社会の安定をおびやかしはじめた実業家の場合と同じだ。

[31:05] 民主党が政権交代をはたすと、非公式権力を代表する検察は新聞とともに対処するだろう。新聞社の編集幹部は、日本の利益にかんして基本的には高級官僚と同じかんがえをいだいている。その基本は社会秩序だ。かれらは政治家を信用していない。

[33:28] 編集幹部たちは、どの社説にもだいたい同じことを書き、かれらに都合のいいように事実を伝え、かれらにとって望ましい意見を世論として報じる。こうしてかれらは、政治的現実をつくりだす。

[33:06] 民主党は現在、内閣主導で政治的決断をする政府をつくろうとしている。もしも成功すれば、これまでになかった革命的なできごとである。

[33:40] 戦後の日本は、生産力を高めて経済大国になろうと決断していた。

[34:24] 大蔵省をはじめとする非公式システムの全体が目標を共有していた。政策の変更は、この基本路線を維持し調整しようとするものだった。この決断は、政治的なものではなく、管理的な決断である。日本の管理的決断システムの能力は世界一だ。

[35:34] このシステムは、新しい政治的な路線を決断することができない。とはいえ、それは人々がかんがえる以上のものをもたらしている。「失われた10年」というのも、じつは無駄に費やされたわけではない。

[36:35] 世界のメディアによる日本についての報道が完全に間違っていることは興味深い。1つの原因として、東京から特派員がいなくなってしまった。そしてアメリカの特派員は、編集者が気に入るような記事を書かされている。たまにニューヨークタイムズ紙が民主党について正しく伝えるくらいだ。ワシントンポスト紙は、ソウルの特派員がやって来るだけで、だれも日本にいない。米国政府筋の話をもとに日本の記事を書いている。日本を担当している政府当局者は、大部分がペンタゴンの出身だ。

[37:58] 日本と米国は相互依存の関係にある。ドルが国際準備通貨であり続けているのは、日本が米国債を買ったりアメリカ経済にドルを流通させたりしているからだ。国際貿易でもっとも成功している日本人がもしもドルを支えるのをやめたら、米国はたいへんなことになる。

[39:05] 日本はこれまで米国政府のいうことをほとんど何でもきく国だった。ところが新しい政府が政治的外交的に自立したいといっている。これにたいして米国政府は、対日政策をペンタゴンの出身者にゆだね続けている。

[39:50] ヒラリー・クリントン氏は、09年春の来日で、どのような政権ができようとも軍事に関する日米合意の履行をもとめ、日米関係における沖縄の海兵隊基地の重要性を強調した。

[40:21] 米国政府筋は、「日本の新政権は何もわかっておらず、経験もない。アメリカの盾の恩を忘れて日米同盟を再検討しようとしている」という見方をメディアに流している。

[41:23] 日本は米国にとってアジアの最重要国である。その新政府の鳩山首相がオバマ大統領に会おうとした。数回におよぶ打診は、非礼なやりかたで拒絶された。コペンハーゲンで大統領に会えなかったものの晩餐会の席がクリントン国務長官の隣になった鳩山首相は、日本の記者の質問にこたえて、沖縄の基地問題について「前向き」な話ができたとのべた。国務長官は駐米日本大使を国務省に呼び出し、首相の発言は嘘だと強く抗議した。沖縄の基地移転に関する日米合意は、自民党政権時代にも進展しなかった。これは実行不可能だ。民主党政府が強行すれば、沖縄の抵抗で政府が倒れる。

[44:34] この問題の解決について、日本の有力政治家たちは、米国政府が折れるとかんがえていた。日米の交渉課題は多く、たとえば小沢氏の訪中団は日中関係に展開をもたらしている。

[45:53] 米国政府は日米関係が自民党政権時代にもどることを望んでいるが、自民党はもはや存在しない。民主党政権が倒れれば、今までよりも悪いことになるかもしれない。

[46:31] 民主党政府は、外からは米国政府、内からは検察によって攻撃されている。検察の標的は小沢氏から鳩山氏におよんだ。検察は違法行為についての判断を自らが行うことで、だれでも摘発することができる。政治家は政治献金についての抜け穴だらけの法律を利用して政治資金を集めているので、頭角をあらわした政治家をいつでも摘発して失脚させることができる。

[47:48] 新聞社やNHKは検察に協力する。自民党政権末期に毎年首相が交代したのは、新聞の力が大きかった。同じことをかれらは民主党政権にたいしても行おうとしている。

[48:40 / 50:26] かれらは民主党が何をしようとしているのかをよく理解している。しかし、そのことを報道する勇気がない。この事態を国民に伝えることのできる知識人や編集者が勢力をもたない。


投稿者コメント:

YouTubeで検索するとトップに出るウォルフレン氏の講演の概略である。IIEAというアイルランドのシンクタンク主催で2010年4月30日にダブリンでおこなわれたこの講演は、YouTubeの再生回数が現時点で260回しかない。もったいないのでテキストに書き起こした。この記事は、そのテキストの大部分をはしょって適当に訳したものである。

講演の内容は、2010年12月5日の日本橋ビジネスセンター講演や2010年3月の「中央公論」寄稿論文などと重なる部分が多い。ウォルフレン氏の基本的な見方についていえば、1989年に書かれた『日本/権力構造の謎』と同じだ。それだけに、それらをすでに聞いたり読んだりしていれば理解しやすい。フォローアップ記事の英文テキストとあわせて、ウォルフレン氏の講演をじかに聞く参考にしてもらえればありがたい。

この記事にはニュース性がないので、政治板を遠慮して雑談板に投稿させていただく。

公開されている動画にたいしてのこのような翻訳やテキスト起こしについても、著作権の問題があるのだろうか。もしも著作権違反についての指摘があれば、この投稿記事にかんして対処するなり今後の投稿の参考にするなりしたい。  

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