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原発事故でどうなる?福島の農業(後篇)福島の土壌はこうすれば生き返る
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/107.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 28 日 08:32:28: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5920 
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原発事故でどうなる?福島の農業(後篇)福島の土壌はこうすれば生き返る
2011.04.28(Thu) 漆原 次郎

 福島第一原発周辺の地域の農家は、事故以前の農業を取り戻すことができるのか。重要になってくるのが、放射性物質が多く降り注いだ地域の土壌汚染への対処だ。
 前篇では、放射線医学総合研究所の内田滋夫氏に、今回、原発から飛散した放射性物質の種類や特徴、さらに農作物への影響などを聞いた。半減期が約30年と長いセシウム137などは、土壌から農作物に取り込まれる経根吸収がこれからの問題となる。
 では、汚染した土壌を今後、どのように元の状態に戻していけばよいのか。福島の農業復活に科学技術の知見が求められている。
相馬中村藩の農業を救った二宮尊徳
 浜通りと呼ばれる福島県の沿岸地域は、江戸時代、相馬中村藩の領域だった。この土地の農民たちが、1755(宝暦5)年の「奥羽冷害」、1782〜1787年にかけての「天明の大飢饉」など、数々の難局に直面してきたのは前篇で紹介したとおりだ。
 天明の飢饉ののち、相馬中村藩の農業を救った人物がいる。かの二宮尊徳だ。当時、すでに「二宮仕法」と呼ばれる営農法を確立し名を馳せていた尊徳 は、相馬中村藩の藩士・富田高慶から「わが藩にて、荒廃復興のため二宮仕法をご伝授いただきたい」と再三にわたり懇願を受けた。
 弟子入りまでした高慶の意を感じた尊徳は、ついに相馬中村藩復興への指導を始めた。相馬中村藩で「御仕法」と言われた営農法の取り組みは、10カ年で3期も続く長いものとなった(3期目は戊辰戦争により7年で終了)。
 尊徳が取り入れた手法は、当時の最新理論の数々を駆使したものだった。農民に馬を支給して施肥と耕耘を行わせたり、用水を整えたり、荒れ地を開拓したり、あらゆる手段で相馬中村藩の復興を進めたという。
 時間はかかったが、成果は確実に見られた。第1期で明らかな回復が見られ、第2期では豊作だった年と同じ11万7000俵まで達したという。相馬中村藩の中心地にあたる福島県相馬市には、尊徳像や尊徳の墓、尊徳の木像が安置された地蔵堂などがある。

二宮仕法が行われた時代から150年。浜通りの農業は福島第一原子力発電所の放射性物質漏れという危機的状況に直面している。風や雨により降り注ぐ放射性物質は、農作物の葉に直接付くだけでなく、田畑の土壌から根を経由して農作物に吸収される。
 現代の科学技術は、危機に直面する農家たちに手を差し伸べることができるだろうか。
放射性物質と水田の粘土は「相性」がいい
 4月8日、政府はイネの作付け制限の基準値として、土壌1キロ中の放射性セシウムの濃度「5000ベクレル超」を定めている。これは、収穫するコ メの暫定基準値である1キロあたり500ベクレルの10倍だ。つまり、「土壌に含まれる放射性セシウムの1割がコメに移る」という計算から求められたもの だ。
 では、放射性物質はどのように土壌の中にたまるのか。
 放射線医学総合研究所研究基盤センター(千葉市稲毛区)の内田滋夫センター長ら研究班は、福島第一原発の事故が起きる以前より、放射性物質がどのように土壌中でふるまうか研究してきた。
 2007年には、「放射性セシウムの水田土壌への収着挙動における粘土鉱物の影響」という論文を発表している。その内容を内田氏に解説してもらった。
 「放射性セシウムは粘土鉱物に取り込まれやすいことが分かっています。2つの相性がいいと言いますか、粘土が放射性セシウムを取り込んで、なかなか離さないのです」
 粘土が放射性セシウムを捕まえて離さないため、農作物の根から放射性セシウムが吸収される率は、他の多くの放射性物質に比べて少なくなる。
 研究班は、粘土のうち「イライト」と呼ばれる鉱物がとりわけ放射性セシウムを掴んで離さないことを、この論文で発表した。共同著者の放射線防護研 究センター廃棄物技術開発研究チーム・田上恵子氏は、「セシウムのイオンの大きさは、イライトの層にはまって抜けづらいと考えられます」と、付け加える。
セシウムとヨウ素は土壌への浸透度合いが異なる
 今回の原発事故と同レベルの重大な原発事故は、過去にもあった。1986年4月、ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故だ。福島第一原発事故と同じ、国際原子力事象評価尺度「レベル7」の失敗から得られた成果も生かさなければならない。
 ここで前提として、福島第一原発事故とチェルノブイリ原発事故の違いを述べておかなければならない。チェルノブイリ原発事故では、原子炉火災の上昇気流によってセシウム137などの放射性物質が上空高くまで上昇した。これにより世界の広範囲に放射性物質が拡散した。
 一方、福島第一原発から放出された放射性物質は、原子炉格納容器の気圧を下げるためのベント開放の際に放出されたものが多い。「チェルノブイリの時よりも放射性物質が低く飛散するために、地形に影響されやすいという違いがある」と、田上氏は話す。
 チェルノブイリ原発事故を受けての土壌調査については、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)が行っており、2005年に「原子力施設事故等に伴う農作物・土壌の緊急放射能調査」という論文にまとめられている。
 報告された成果の1つが、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137が、どれだけ深く土壌に入り込むかのデータだ。
 研究チームは同研究所内の小麦畑の土壌を調査した。「セシウム134、セシウム137は表層1センチ以内に留まったのに対し、ヨウ素131は7.5センチまで浸透した」と報告している。
 ヨウ素131は半減期が8日と短いものの土壌深くまで浸透する。一方で放射性セシウムは半減期がセシウム137で約30年と長いが、土壌のごく表層に留まることが分かる。
進歩したモニタリング技術で汚染を測定
 内田氏は、環境モニタリングを強化する必要性を強調する。環境モニタリングとは、環境(土壌や大気、水など)の状態を監視・追跡するための調査のことだ。「環境モニタリングの数値をきちんと出して、政府がそれに基づいた指示を出すことが大切です」

放射線医学総合研究所内にあるゲルマニウム半導体検出器
 まず、長い期間にわたってモニタリングを継続することが重要となる。「仮に、原発からの放射性物質の放出が止まったとしても、セシウム137の半減期の長さを考えて、長い間、挙動を追っていく必要があります」
 頻度や観測地点を増やすことも、強化すべき点となる。4月6日と12日に福島県が計測した地点は、それぞれ70カ所と54カ所。今後は、現状の観測地点箇所は維持しながらも、特に濃度の高かった地点をさらにきめ細かに調査するなどの方法が重要となるだろう。
 そもそも、セシウム131やセシウム137といった放射性物質は、汚染原因物質の中でも比較的測りやすい。「放射性物質は危険という印象があると 思います。しかし、農作物に金属物質がいくら含まれているか分析する方が難しい。粉末状や液体状にせず、そのまま測定器にサンプルを置いてすぐに測れるの が、これら放射性物質の特徴です」(内田氏)。
 また、放射性物質の濃度のモニタリングは、計測技術の発達によって以前よりも高い精度で容易に行えるようになっている。
ゲルマニウム半導体検出器で計測されたヨウ素131(I-131)やセシウム137(Cs-137)、セシウム134(Cs-134)などの放射性物質。放射性医学総合研究所の敷地内で採取した環境試料を測定したもの。
 放射性物質の濃度測定では、かつて「NaIシンチレーション検出器」と呼ばれる装置が主に使われてきた。これは、ヨウ化ナトリウムの結晶が放射線 を受けて発する蛍光の強さから放射線量を検出するもの。だが、「分解能が弱く、例えば、検出されたヨウ素131とセシウム137の定量が難しい」(田上 氏)。
 放射性物質の種類を判別しづらいという問題を解決したのが、「ゲルマニウム半導体検出器」という装置だ。福島県での土壌モニタリング調査でも使われている装置で、放射線医学総合研究所内にも設置されている(写真)。
 この装置では、採取した土や野菜などのサンプルを容器に入れ、放射線を遮蔽する鉛の重い扉を閉めて計測する。放射線がゲルマニウムの半導体を通過 する時、マイナスの電子とプラスの正孔に分かれるので、これを利用して放射性物質が出したエネルギーの量を求め、そこから放射線量を測る。

 「分解能の精度は、以前の装置よりはるかに良くなっている」と田上氏は話す。測定技術の進歩が、今回の重大事故での対応に生かされたのである。
汚染した土を取り除き入れ替える
 放射性物質で汚染された土壌をどう処理し、どう農業再生への道筋をつけていくか。今後の大きな課題だ。
 過去の事例で参考になるのは、やはりチェルノブイリ原発事故での対応だ。
 チェルノブイリ原発事故では、集団農場(コルホーズ)の畑に対して「ラディカル処理」と呼ばれる総合的な土壌処理がなされた。
 表層の汚染を薄めるため土を掘り起こす、植物中の放射性物質を薄めるため追いまきをする、同じく放射性物質を薄めるために成長を促す化学肥料を与える、といった方法が取られ、一定の効果を得たとされている。
 内田氏は、過去の土壌汚染の修復法の蓄積という点で、「日本には、重金属で汚染された耕作地の修復について研究開発してきた歴史があります。そうした手法も検討しつつ、最適な方法を選んでいくことになるでしょう」と話す。
 内田氏が手に取って見せてくれたのは『日本土壌の有害金属汚染』(浅見輝男著)という本。ここに「カドミウム汚染水田土壌の修復」という章がある。示されているのは「排土客土法」と「上乗せ客土法」などといった手法だ。
 <排土客土法とは汚染土壌を除去し、非汚染土壌を客土する方法であり、上乗せ客土法とは汚染土をそのままにして、汚染土の上に非汚染土を客土する方法である。また、これら2法の変形として、埋込客土や土層反転などもある。>
 今回の放射性物質の土壌処理の仕方について、内田氏は「一概に言えないが、最も簡単なのは汚染された土を取り去って、入れ替えるという方法ではないでしょうか。最大でも表層から5センチまで入れ替えれば9割以上の汚染は除去できると思います」と話す。
 だが、この方法には大きな課題が残される。処理した土や農作物をどのように処分するかだ。
 「汚染された農作物を焼いてしまうと、再び大気中に飛んでいってしまうので避けたい。農作物に放射性物質が濃縮していることになるので、土に戻すのも土壌汚染につながるのでやめた方がよい」(内田氏)
 汚染物の処分にも長年にわたる管理が必要だ。汚染物質処理に詳しい専門家は、「チェルノブイリ原発事故で汚染した瓦礫が大量に発生した時、穴を掘って埋めたものの、どこがその穴だったか分からなくなったことがあった」という失敗例を示す。
 土壌処理には一貫した管理法が必要ということだ。内田氏は、統一的な方針を作ることが何より重要と指摘する。
 「科学的な問題ではありませんが、情報交換をして統一した方法を提示しなければ、農家の人たちが困ってしまいます。県ごとに対応が異なる場合も見受けられます。大切なことは、国と県で統一された方法を提示することです」
農業復活へ、今こそ「知」の結集を
 今から約150年前、相馬藩の農業を復活させたのは、二宮尊徳という1人の天才だった。農地荒廃という問題に対して、当時の最新の科学的手法や農業的手法を駆使して、農民たちに復興という希望を灯した。
 150年後の今、福島で起きている問題に、二宮尊徳のような超人は現れていない。将来への道を照らし出すリーダーがいないとも取れるし、今回の事故が人智をはるかに超えたものだとも取れる。
 2回にわたって、放射性セシウムの土壌へのとどまりかたのデータ、チェルノブイリ原発事故での土壌処理で得られた知見、環境モニタリング技術の進化、そして、土壌処理の方法の可能性などを見てきた。
 これらの研究成果は、各々の研究者が個別の目的のために進めてきたものだ。
 科学にも解明されている点と、解明されていない点がある。さらに、科学的データを持ち出すだけでは解決できない問題がこれからいくつも起きるだろ う。それ以前に、いまだ解決されていない原発制御をしなければならない。今回の記事では触れなかったが、風評被害というもう1つの問題とも相対さなければ ならない。
 浜通りで農業をしていた人々が、過去の日々を取り戻すにはいくつもの困難を超えなければならないだろう。
 解決のために科学ができることは研究成果の結集だ。散らばっていた知のピースを集め、大きな問題に対処すべき時が来ている。

漆原 次郎 Jiro Urushibara
1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。 科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャー ナリスト会議理事。

食の安全
食の安全に対して国民の関心が高まっている。国民が健康を意識しているのはもちろんだが、今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。このコラムでは、日本や世界における食の安全への取り組みを様々な角度から取り上げていく。
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コメント
 
01. 2011年10月09日 16:16:05: jKZEUQkLBo
2011年10月3日福島県安達郡の農耕地にイライト60%含有のイライト鉱石のセシウム除去実験に行きました。表土は9・997μSvあり、その表土1cm厚を500g程削り取りイライト鉱石(こぶし大)を1個蓋付き容器に入れ35分後に計測したところ 1・77μSvに低減し、
短時間で79%も削減できる事を実証してきました。
今後、1000メッシュの粉末、砂状、砂利状のものと、それらを入れた水溶液で各種試験をしようと考えています。何かアドバイスを頂けたら幸甚です。take-i@firstandwell.com

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