★阿修羅♪ > 原発・フッ素10 > 201.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
原発基礎資料9  小佐古敏荘内閣官房参与 2011年4月29日付「 内閣官房参与の辞任にあたって」 
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/201.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 30 日 08:13:14: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://kito.cocolog-nifty.com/topnews/2011/04/2011429-jishin-.html
2011.04.30
原発基礎資料9  小佐古敏荘内閣官房参与 2011年4月29日付「 内閣官房参与の辞任にあたって」 

これまでUPしてきた原発基礎資料ですが、まだまだ原発事故前の資料は多数ありますが、今回は、初の原発事故後の資料です。  

 内閣官房参与で原子力の専門家・東京大学大学院教授(工学系研究科 原子力専攻)の小佐古敏荘氏の辞任記者会見資料全文です。小佐古敏荘氏の学者としての良心を感じます。名文として、後世に残ると思います。


 「今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。」


 [参考]

→「かぶん」ブログ:NHK | 科学と文化のニュース | 官房参与が辞任・記者会見資料全文

平成23年4月29日

内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明
          

内閣官房参与

小佐古敏荘


 平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられておりますので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。
 なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方にお届け致しました。

 私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行っている活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。
 特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバーして参りました。
 ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を続けて参りました。
 さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から勅命を受けている空本誠喜衆議院議員とも連携して参りました。

 この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は現実の対策として実現されました。
 ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやっていただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の実施がなされるよう望むところです。

1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい

 この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。

 しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。
 
 とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。

 初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福井県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。

 また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に放射線審議会で国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そう答えるべきであるが、立地指針等にしか現れない40−50年前の考え方に基づく、250mSvの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、再引き上げの議論も始まっている状況である。まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。

2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい

 緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。

 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。

 また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかったかと思います。また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の事故に際して早期から、連携強化を図る必要があるが、これについて、その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求めるものである。

                                                以上

2011.04.30 01:55 2011-03 東日本大震災 | 固定リンク
|

« flair津谷裕貴弁護士殺害事件で妻の良子さんが被告人を殺人未遂罪で刑事告訴! | トップページ
「2011-03 東日本大震災」カテゴリの記事

[E:typhoon]原発基礎資料9  小佐古敏荘内閣官房参与 2011年4月29日付「 内閣官房参与の辞任にあたって」 #jishin #jisin #genpatsu #fukushima(2011.04.30)
[E:heart03]今ならキャンディーズ田中好子さんの肉声のメッセージが聞けます。 By NHK #jishin #jisin #genpatsu(2011.04.25)
[E:thunder] 原発基礎資料8 原子力損害賠償制度の基礎資料 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律 #jishin #jisin #genpatsu #fukushima(2011.04.25)
[E:typhoon]東京電力にモラルハザードを生んだ要因 原発基礎資料7 原子力損害賠償制度の基礎資料 #jishin #jisin #genpatsu #fukushima(2011.04.01)
[E:sun]日弁連 東日本大震災−明日から電話相談窓口を設置します!− #jishin #jisin (2011.03.22)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年4月30日 08:17:32: A5sldP6sZo
>小佐古敏荘氏の学者としての良心を感じます。

良心?笑わせるね。
小佐古は原爆症認定集団訴訟の証人として、いい加減な発言しかしかなった、
良心を持たない御用学者だ。


02. 2011年4月30日 08:17:53: evSC25VapI
記者会見で泣いてましたね。よっぽど辛かったんだ。。

03. 2011年4月30日 08:47:43: 05nGzaMakY
小佐古敏荘内閣官房参与の主張は正しい。
これまで原発推進をする側の学者として仕事をしてきたが、その立場でつくった法や基準が原発の安全性の最低基準であったのに、それすら守らない管内閣の超法規的国民殺し原発事故対応に対して、反対を表明したのである。
ギリギリのヒューマニズムの発露と思う。

昨晩のニュースで細野豪志総理補佐官は、小佐野氏の辞任の説明に対して、原子力安全委員会や安全・保安院の決定が優位性があるとして、小佐野内閣官房参与の明快な正しい主張に対しての弁明すらなかった。
細野総理補佐官は管と一体となり、小佐野内閣官房参与の主張を踏みにじり福島学童と国民殺し政治を進めた悪魔の政治屋として、歴史に名を残すことになる。
世界法廷で管政権の悪行を裁かなくてはならない。


04. 2011年4月30日 09:00:26: NExkSssZHo
政府、東電は、後に刑事訴追を受ける可能性があるから逃げただけ。

05. 2011年4月30日 09:22:16: FpVPO6YryM
03>に同意します。
小左古氏が 最低限の基準でさえ守れなくなって 辞任する事に恐怖を覚えます。
もう 日本を離れたい…

06. 2011年4月30日 09:31:19: rpEdVGN6HQ
NHK科学文化部の担当者、いまごろNHK上層部から呼び出され、叱責されているんだろうなあ。

「ばかもの!!、真実を伝えるとは何事だ!!、NHKの仕事をなんだと思っている!!」


07. 2011年4月30日 12:02:11: UXt56Zh7yo
対策マニュアルは、いろいろな可能性を考慮して、過去の事故などの経験を考慮して作成されたはずである。それを無視して、場当たり的に対応してきたというのは、菅政権の政治主導の吐き違いである。「僕はものすごく原子力に詳しいんだ」などという思い上がりが、そうさせたのだろう。
小佐古氏は原子力村の裏切り者だと思っている政治家もいるのかもしれないが、原子力村を守ることよりも、国民ひとり一人のこと、そして国際社会の中での日本の将来を政治家は考えるべきで、小佐古氏の発言は無視できないはずだ。

08. 2011年4月30日 20:51:42: 6XYLmhf7So
 06さんに同意です。
 http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html
 現在は、未だ掲載されていますね、何時消えるかな?

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

このページに返信するときは、このボタンを押してください。投稿フォームが開きます。

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素10掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素10掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧