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正しく怖がる放射能5 原発ソフトランディングへのシナリオを示せ
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投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 10 日 11:18:35: 6WQSToHgoAVCQ
 

日経ビジネス オンライントップ>ライフ・健康>伊東 乾の「常識の源流探訪」
原発ソフトランディングへのシナリオを示せ
正しく怖がる放射能【5】

2011年5月10日 火曜日


 5月6日、菅直人総理大臣は静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所の全面停止に向けて、経済産業大臣を通じて中部電力に要請を行った、と記者会見しました。(追記 9日の臨時取締役会で中部電力はこの要請を基本的に受け入れる方針を打ち出したとのことです)。

 浜岡原発は「30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫」していると考えられる立地に建てられており、今回の福島第一原発事故を踏まえて防波壁設置など津波対策強化の必要性を指摘、現在浜岡と海とを隔てている高さ約10メートルほどの砂丘では不十分との政治判断を下したものです。

 菅総理は「国民の安全と安心を考」え「重大な事故が発生した場合の日本社会全体の甚大な影響もあわせて考慮」したとしています。

 また総理は電力会社への原発運転・停止の「指示、命令という形は現在の法律制度では決まっていない。中電に理解してもらえるよう説得していきたい」とのべ、中部電力も受け容れる方向での検討と報じられています。

 浜岡原発は1、2号機が既に運転を終了、廃炉の見込みで、現在は4、5号機が稼働しています。点検のため停止中の3号機は、東日本大震災の影響で運転の再開を延期していました。原子力安全保安院は、防波堤の増強など浜岡原発の災害対策強化には2〜3年程度の時間がかかるとの見通しを示しました。

 この問題を巡っては、さまざまなご意見があると思います。また先行き不透明な部分も多く、ご質問などございましたら私のTwitter上でもお答え出来るものがあるかと思います。

「地元に相談すべき問題」なのか

 浜岡原発の地元である静岡県御前崎市では、予想されたことながら、この突然の発表に強い難色を示しています。

 「事前に地元に何の相談もなかった」という声が、客観報道という立場なのでしょう、各種メディアから伝えられて来ますが、さて、この問題は「地元と相談」するような種類の問題なのでしょうか。

 ここを指摘する見解をほとんど見ないような気がしました。

 もちろん地元の「事情」や「気持ち」は分かるのです。市の財政のおよそ4割を原発関連の交付金に頼っている、市内には原発就労者がおよそ3000人いるなどなど、関係者にとって死活問題になっている、それは報じられる通りに理解しています。

 しかし、というより、だからこそ、地元に相談してもこう着状態に陥るだけの問題であるのもまた、明らかでしょう。

 さらに問題は、地元がそれで食べて行くというような話ではなく、いったん原発事故が起きてしまえば、周辺市町村の農業はじめ全産業に重大な危機が訪れ、半径50〜80キロ圏内は立ち入ることも難しい状況が懸念され・・・、どころか、放射性物質汚染で必ず国際問題になるのがわかっている問題で、その安全性を検討、あるいは適切に判断を下し、指示してゆくのは、国として責任を持つべき案件、交付金を出している先の地元に相談する、という性質の問題ではないと言わざるを得ません。

 全国各地に存在する「原発城下町」と呼ばれる地域では「原発推進派」という言葉が意味を持たないほど、地域の産業に原子力発電所が重要な役割を担ってきた、その事実は事実でしょう。しかし同時に、交付金などの財源に依存して、それ以上の地域活性化、もっと言えばリスクを分散し、仮に原発が停止しても町が立ってゆけるような自助努力を、どのように行ってきたのか。

 大きく見れば、保守合同以来の高度成長、その中後半期の政治システムがもっとも効率的に回った例とも言える「原発立国」的なモデルそのものを、再検討しなければならない可能性が高まっている。そういう緊張感を持って、事態を見つめるべきだと思うのです。

 地元こそ、真剣に現状を直視する必要があるはずでしょう。

平和政策としての原子力事業の行く末

 では、原発の推進とはただただ忌避すべき、「悪の枢軸」のごとき代物だったのでしょうか。

 私はそうは考えていません。ことは原子力エネルギー政策以前に、核軍拡と核軍縮という一回り大きなレベルで考える必要があると思います。

 広島・長崎への原爆投下によって第2次世界大戦が終結したのち、米ソ両大国が核軍縮競争を繰り広げた冷戦期、人類が何千回か滅んでもおつりがくるほどの兵器用・高濃縮核燃料が全世界で製造されました。

 核兵器自体、広島長崎のように輸送機で上空まで爆弾を運んで、落下傘をつけて投下するという世代のものから、並行して開発された電子計算機で航路を制御する大陸間弾道弾へとシステムが進化し、古い世代の核は急速にだぶつき、余るようになってしまった。

 さらに、この弾道弾の迎撃網を整備して、仮に一箇所の基地を破壊されても他の地域から発射指令が出せるよう超並列の防衛情報ネットワークが整備されていったこと、これが東西冷戦の終結後、無用の長物にならぬように民生に転用されたのが、現在のインターネットであることなどは、ご承知の通りです。

 軍事防衛ネットワークが民生のインターネットに転用されたように、兵器として開発された核燃料も、民生に役立つものに転化させ、決して実戦使用で人類を滅亡の危機に瀕させてはならない・・・、そういう動機に基づいて「核の平和利用」が推進されてきた。

 理学部で物理学を学び、核兵器については製造、行使に全面的な反対の明確な意見を持っている私は、ここ30年来、原発については、今記したような理解を持っていましたし、これ自体は現在も変わることはありません。

 「核燃料」は、膨大な人知と予算、そしてエネルギーをかけて精製・高濃縮化された資源で、簡単に地中に埋めてしまえばよい、というような代物ではありません。

 これを現在使われているようなタイプの原子炉に実装して発電タービンを回す、という初期の試みは、50年ほど続けてみて、そろそろ難しい状態に差しかかっているのではないか。

 大地震や冷却系などの全面故障はおのおの天災であり事故でもありますが、使用済み核燃料の崩壊熱が問題になるのは揺るぐことのない事実であって、事故でもなんでもありません。

 国連組織で関連の議論に接する際、常に問題として出てくるのは「核物質の社会経済的な価値」という話です。既にエネルギーを生まず、しかしカネ食い虫ではある、お荷物にしかならない使用済み核燃料という代物、旧来は何となく「安全管理」と言っていたわけですが、いま福島でこの事態を引き起こしている主役は「使用済み核燃料の崩壊熱」であって、低濃縮ウラン核燃料の本来の働きではない、という事実に、もっと目を向けるべきだと私は思うのです。

 しばしば懸念されるのは、こうした使用済み核燃料などの放射性物質が何らかのルートで武装勢力に流れ、大量破壊兵器に転用されるリスクです。かつて「貧者の核」としてBC兵器(B=バイオ:生物兵器、ボツリヌス菌弾など、C=ケミカル:化学兵器、サリンガスなど)が盛んに問題とされましたが、これに形の違うA兵器(A=アトミック、核兵器)として劣化ウラン弾のように地域の戦術的核汚染などに使われるようになっては、それこそ人類存亡の危機、かつ音もなく忍び寄る、極めて危険なものと言わざるを得ません。

 反原発の人が悪の極北のように言うMOX(混合酸化物)燃料も、兵器にしか使いようがないと思われていたプルトニウムを少しでも民生に転用できれば、という核軍縮側の動機から検討されたものであることなど、プラスマイナス、バランスのとれた見方をする必要があると思います。

 もちろん動機において優れたアイデアであっても、実際に使ってみて、あるいは開発の過程で危険と分かれば、採用するわけにはいきません。しかし、核を巡る問題はいま紙面やテレビをにぎわせるような表層ではとらえきれない、氷山の本体というべき複雑な事情が存在しています。

 重要なことは、私たちの世代の過ちによって人類全体が滅亡の危機に瀕するような事態に、決して導いてはいけないこと。

 冷戦期に10代を向かえ、「不沈空母」を標榜する中曽根内閣に徴兵制を復活されるのではないか、と恐怖した高校時代の記憶を持つ私の、偽らざるところです。

人類が持続する長期的エネルギー政策シナリオを

 菅総理の今回の「浜岡原発停止」は、思いつきだとか人気取り、あるいは「グリーン成長」を旗印に掲げるG8への手土産などなど、さまざまな言われようをしていますし、実際どれも一定の範囲では首肯できるところもある意見と思います。

 が、何にせよ、票を読むのか日和を見るのか知りませんが、確固たる長期的なエネルギー政策への確信が、日本の政府発表からはほとんど伝わってきません。

 この点、米国オバマ政権のエネルギー政策は、個人をよく知るスティーヴン・チューが詳細に計画立案しており、リスクに対する対応も日本と比較することなどできません。スティーヴンは1997年にノーベル物理学賞を受賞した、歴史に名を刻む科学者でもあります。ちなみにアイザック・ニュートンも後年は造幣長官などを務めました。

 東大あたりに転がっている、国内でしか通用しないつまらない学者でなく、もう少し国際的な風通しで一級と誰もが認める、科学の基礎が分かるなど当たり前のことで、政治的な判断にも胆力を持った人材をきちんと選び、国家百年のエネルギー政策の基を質しつつ、細心果敢に政策を決定、実行してゆくイニシアティヴが、いまの日本の行政府には必須不可欠です。労働組合で調整に終始するような腹芸で何かやろうとすると、すべて失敗するのは「毎年20ミリシーベルト」という線量の決定的失策を見ても分かる通り。原子力屋さんだけに任せておけるレベルの問題では、とうになくなっているという現実を直視しなければなりません。

 これは、東京大学工学部で、原子力に進む課程の3年生学生が、初歩の量子物理すら学ばないカリキュラムだったものを、きちんと履修させるべく科目担当した教官としての経験を踏まえて、言わせてもらっています。原子力まわりだけでごにょごにょやって、どうにかなった時代は、3月11日をもって永遠に終わったと思うべきでしょう。

 政策決定に預かるに値する人材を正しく登用し、今回の原発問題への本質的なソフトランディングの根拠に基づくシナリオを明確にするべきと思います。ヴィジョンが示せてこその政治家でしょう? それがなければただの人です。どうか国を誤らない施策を断行していただきたい。また、過去の誤った決定は、適切な修正の手を打つことに、くだらぬ躊躇のない行政府でなければならないと思います。

(つづく)
このコラムについて
伊東 乾の「常識の源流探訪」

私たちが常識として受け入れていること。その常識はなぜ生まれたのか、生まれる必然があったのかを、ほとんどの人は考えたことがないに違いない。しかし、そのルーツには意外な真実が隠れていることが多い。著名な音楽家として、また東京大学の准教授として世界中に知己の多い伊東乾氏が、その人脈によって得られた価値ある情報を基に、常識の源流を解き明かす。

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著者プロフィール

伊東 乾(いとう・けん)
伊東 乾

1965年生まれ。作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。松村禎三、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズらに学ぶ。2000年より東京大学大学院情報学環助教授(作曲=指揮・情報詩学研究室)、2007年より同准教授。東京藝術大学、慶応義塾大学SFC研究所などでも後進の指導に当たる。基礎研究と演奏創作、教育を横断するプロジェクトを推進。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)で物理学科時代の同級生でありオウムのサリン散布実行犯となった豊田亨の入信や死刑求刑にいたる過程を克明に描き、第4回開高健ノンフィクション賞受賞。科学技術政策や教育、倫理の問題にも深い関心を寄せる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)『知識・構造化ミッション』(日経BP)『反骨のコツ』(朝日新聞出版)『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。
 

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コメント
 
01. 2011年5月10日 13:57:51: lqOPOFnyLE
原子力技術(大規模原発技術と放射性物質の管理処理技術)が不完全なもののまま、あまりにも規模を広げてしまったのが、一因であると思う。したがって、これから一旦は縮小し原子力利用の別のあり方を探るべきであろう。さらに、当初に比べれば周辺技術は驚くほど(宇宙技術にまで)発展しているのだから、古い蒸気タービン技術や集中電力配給技術などにこだわる必要もない。

02. 2011年5月10日 14:58:39: 0GJJznkobY
核廃棄物が出る限り、原子力は封印するほかないだろう。
少なくとも今ある廃棄物を全て「将来にわたって」安全に
処理できる目処が立ってからでないと、子々孫々に禍根を残すことになる。

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