「人間は考える葦（あし）である」の言葉で有名なフランスの思想家で数学者の天才パスカル（１６２３〜６２年）をしても、その斬新な発想に「確信」を持てなかったようだ。同国の数学者フェルマーへの手紙に「もし間違いを犯していれば正してください」と遠慮がちに書き添えている▼数学史に残る「パスカル・フェルマー往復書簡」。ふたりは、手紙のやりとりを通じて、それまでは神のみぞ知ると思われていた未来を数学的にとらえる「確率論」の基礎を築いた（キース・デブリン著「世界を変えた手紙」岩波書店）▼パスカルは賭博仲間に相談されて確率問題に興味を持った。きっかけは何であれ、おかげで傘を持っていくかどうかも、生命保険の保険料も、将来の人口予測も−暮らしの隅々に確率の考え方は浸透した▼浜岡原発の周辺で３０年以内にマグニチュード８の地震が起きる確率は８７％という。「ほぼ確実」と思うのが素直な受け止め方だろう。安全対策が不十分なら、停止するのがまっとうな判断ではないか▼日本経団連の米倉弘昌会長には不満らしい。確率を理由にした停止要請に異を唱え、菅内閣の姿勢を「政治的パフォーマンスだ」と批判した。なるほどそういう面もあるかもしれない。が、別の道があるなら確率論を超える論拠を示すべきだ▼人ごとではない。原発被害の発生確率をゼロに近づける責務は経済界にもある。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/291612.html
　

コメント
01. 2011年5月12日 09:55:39: 7WZekNACgc この予測に基づいて停止させるならそうなるが、この予測当時（1月）では福島や女川は殆ど自信が発生しないことになっていた。 それが大外れだったことは、ご覧の通り。 ならば、浜岡がほぼ確実と言うのも眉唾なら、他の原発が大丈夫と言うのも眉唾。 このような既に外れた予測ら基づいて停止要請をするなど、何を考えているのか、と言いたい。
02. 2011年5月12日 10:35:03: 5KukAUgHR2 　それは誤った考え方。 　確かに従来の地震予測は、福島原発での地震を0%と想定するなど、あまりに杜撰で、明らかに見直しを要するのは確か。その結果どのような数字が出るのか、どのようなデータの洗い直しをし、どのような数式の再定式をするのか、あるいは、そもそも数字を確定的に出すことにどれだけ意味があるのか、むしろ逆効果ではないか、など、これまで排除されてきた人材を交え、徹底的にオープンに議論しなければならない。 　ただし、当然それには時間がかかる。数年でようやく中間報告が出せるくらいのタイムスケジュールだろう。とすれば、それまでは暫定的な地震予測規準で原発を運用しなければならない。いわば暗闇の中を手探りで、恐る恐る崖道を歩くようなものだ。最も安全サイドに立った規準で動くのは当然だろう。一歩踏出す前に、その時点で最大限のリサーチを行い、安全が確証されたルートのみを進む。複数の見解が出たときは、より保守的な意見を採る。それぐらいの態勢でないと原子力プラントのようなものは運用してはならない。 　これは航空機などでも同じはず。例えば、エンジンなどの重要な構造的問題について、複数の同じような確かさの見解が出たとき、洗い出し検討が済むまでは一旦運用停止すべきなのである。実際に航空会社がそれをするかどうかは別として。 　浜岡の地震発生確率は、当然0ベースで見直されるべきである。結果的に大幅に下がるかもしれない。しかし、少なくともそれが確定するまでは、現行の高い確率をベースにすべきである。逆にその他の原発については、もし現行よりも高い危険度が科学的に指摘されている場合には（もちろん、それが科学的に見て十分妥当である場合だが）、より安全サイドに立って、それをベースに判断すべきなのである。（もちろん、暫定措置として）
03. 2011年5月12日 11:31:00: lqOPOFnyLE >確率論を超える論拠を示すべきだ 確率論は、対象とりあつかい数（すう）が多い時に使われるもの。また、確率は先に確率を設定するところから始まる。つまり、大きな地震に対して実はなんの計算根拠を与えていない。 したがって、過去に大地震のあった東海地域に大地震が遠くないうちに起こるだろうということ以上にいうのは、現状の地震学や確率論から無理なのだ。 また、直下地震についても、過去に起こっているところで、またきっと起こるにもという以上のことは言えない。科学的な危険度の計算なぞないのだ。 にも関わらず、原発ができてしまった。できるだけ早期に廃棄するような進め方しかない。 　ちなみに、東海地震予測は、石橋氏の（安政地震以来、遠州灘・駿河湾沖部分のひずみが残っているから、ここだけでも単独に地震になるという）モデルを元に言われたが、当時の考えでは周期９０−１５０年ということであり、すでに１５０年を経て、この説は妥当性が低くなっている（逆に、だからこそ、後数年で起こるという考えもあろうが−−監視体制による測定結果からは、おそらくそのように見られていないだろう） 科学的という言葉で、逆にきわめて非科学的になっている。むしろ、経験などによるリスクに対処する方法（君子危うきに近寄らず、絶対的なフェールセーフ、少しでも対応策を積み重ねておく）こそ、求めるべきものであろう。
04. 2011年5月12日 15:20:28: HYHUspnQ6g わずか０．００００１％の確率でもそれが起きたら破滅するような事象に対しては、確率論は当てはめられないのが普通の感覚。。原発事故は、極値統計学でさえ、扱えない事象だ。社会システムに吸収できないような事故を起こすような技術に、人間は手を出すべきではない。メリットとディメリットの議論が不適切。そういう種類の事故が起きる場合、メリットとディメリットの比較計算自体が成り立たない。つまり、原発には、事故が起きれば社会が滅びるような危険性があるのだが、社会が滅びてしまえば、メリットやディメリットを享受・計算する主体がいなくなり、そういった計算自体に意味がなくなってしまう。社会全体が滅ぶようなこと（破局）と、メリット―ディメリットの計算を天秤にかけることはできない。
05. 2011年5月12日 15:40:52: 7WZekNACgc 浜岡を停止させる判断根拠が、1月の地震発生確率予測によるものだとすれば、他の原発は安全（少なくとも確率的には）だということになってしまう。 従って、この予測に基づいて停止・運転を決めること自体がナンセンスである。 そういう意味で、今回の菅総理の判断は間違っていると言わざるを得ない。 02氏の仰るように最も安全側に立って浜岡を停止させるべきなのだが、それなら他の原発も最も安全側に立って停止さすべきだからだ。 要するに安全だと言う判断が出来るまでは、不安全だとしなければならないからだ。 しかし、新しい予知などは必要ない。 観測網を建設してデータを集めて解析するのに、数十年は掛かるだろうし、今まで東海沖地震の予知につぎ込んだ金の何倍も掛かることになる。 その結果はどうせ外れるのだから。 そんな予知に遣う金があるのなら、いつ原発直近で地震が発生してもよいように、M9級地震に対する耐震補強と15ｍ津波に対する防潮堤建設を急ぐべきである。
06. 2011年5月13日 01:08:49: ozHy4orkZk 来るか来ないかわからないから確率を計算する。そうでしょう。来るってわかったら備えりゃいい。来ないってわかってたら訓練程度でいいでしょう。 で、確率を計算するのにはいろいろなモデリングという作業をします。たんに確率論的な処理だけでなく、かこからの発生頻度、間隔、強さなどを調べてさまざまな確率分布のなかからこれだというモデルを適用して計算します。その過程で間違いもあります。仕方ありません。 　未来のことは確実にはわからないんです。
07. 2011年5月15日 01:06:51: tEuMUcieh 浜岡原発を停止した理由の１つが確率だったので、停止してこまる人は 確率論そのものにケチをつける。 気持ちはわからないでもないが、難解な確率論にケチをつけられる ほど賢い人はめったにいないと思うよ。身のほどをわきまえるべし。

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