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正しく怖がる放射能7 冷却システムは止まれない
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投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 24 日 03:48:00: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110523/220067/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>IT・技術>伊東 乾の「常識の源流探訪」
冷却システムは止まれない!
正しく怖がる放射能【7】

2011年5月24日 火曜日
伊東 乾


 震災後、福島第一原子力発電所が起きた当初から、こういうことがあるのではないかな、と懸念していたことが、実際に起きていたらしい発表が、東京電力からありました。

 東京電力は16日、3月11日の原発事故が発生した直後の詳しいデータを公表しました。この中で、福島第一原発1号機では津波到達前にまず原子炉が停止、続いて非常用冷却装置が通常通り作動し始めたにもかかわらず、そのあと一時停止していたことを明らかにしました。

 東電側の説明によれば「炉内圧力が急激に低下した。このため、手動でいったん停止した可能性がある」とのこと。これが、先ほど書いた「こういうことがあるのではないかな、と当初から懸念していたこと」つまり、セキュリティシステムのヒューマンエラーによる作動不全です。

 これらは、大地震が発生してから津波が到来するまでの、ごく短い時間の間に発生していたことです。その後、津波が到来して、すべての電源が止まったわけですが、手動で非常用冷却装置を止めていた、となると、話が全然違ってきてしまいます。 このあたりの問題を少し考えてみたいと思います。個別のご質問は例によって私のツイッター(http://twitter.com/itokenstein)にいただければお答えできるものがあると思います。

 何かと慎重である東京電力ですら、株主総会が近付いていることもあるからでしょうか、もろもろ考慮の末と思いますが、この手動操作が、このあとすぐに起きたとされる炉心溶融、いわゆる「メルトダウン」に影響を与えた可能性がある、として、さらにデータを詳しく解析する、としています。

行きはよいよい、帰りは怖い?

 この「非常用冷却システムの手動停止」という言葉を見た次の瞬間、私が想起したのは「システムの不可逆性」ということです。

 ・・・などと書いてもわかりにくいですよね。具体的に噛み砕いてみましょう。

 今、ご自宅で突然停電があったとします。あるいは、3月にあれこれ取りざたされた「輪番停電」でも構いません。私は東京都下で1度だけ「輪番停電」を経験しました。あらゆるネオンサインが消え、交通信号すらつかず、おまわりさんが赤い棒を持って立っている。

 病院も電気が落ちてしまった。中央手術室や人工透析など、途中で電気が止まると大変に困る局面でも、停電は容赦なくやってきたと聞いています。昇降中のエレベータの中に閉じ込められた人も数百人に及んだという報道も記憶しています。

 さて、いまこの「停電」が止んで、もう一度電気が通じた場合を考えてみてください。あるいはブレーカーが下がったあと、もう一度上げるとしましょう。

 冷蔵庫や扇風機は、消えた時のまま、また動き始めるものが多いかもしれません。電灯なども、消えていたものがそのままつくことが多そうです。

 蛍光灯はどうでしょうか。蛍光灯はグローランプというもので「点火」しないと明かりがつきません。電気が復旧して、グローランプが普通につけば、また明かりがつきそうですね。

 問題は、電気だけで話が収拾しない部分にあります。

 例えば我が家にあるガス・ファンヒーターはガスが燃料なのに電気で制御されています。コンセントを抜いてしまうといったん消えてしまいます。

 これに再び電気が通じても、そのままではガス・ファンヒーターは再び温風を送ることがありません。もう1度「点火」の作業をしてやらない限り、温風は吹き出してきません。これは「輪番停電」の日に私自身が経験した事例でお話しています。

 さて、こんな具合でいったん電源が落ちてしまうと、そのあと復旧しようとしても、電気が通じるだけではダメ、という断絶が、電気系統以外との接点で起きる可能性がある、そういうことを「手動停止」という言葉を見た次の瞬間に考えました。

 原子炉の緊急冷却系は、言うまでもありませんが、炉内に冷却水を回すシステムは電気だけで済む話ではありません。私はあくまで素人で、物理学を大学・大学院と学んだだけの者に過ぎませんが、水流を電気系統で制御するのですからリレースイッチのようなシステムがあるだろうと想像します。水を動かす物理的なシステムが無数に介在する、複雑な全体を構成しているのだと思されます。また仮に平時の設計で大丈夫に作られていたとしても、震災自体の影響による故障も十分考えられるでしょう。

 こうした全体、いったん「手動停止」という形で、津波の到来前に止めてしまって、そのあとまた通電復旧したとして、果たしてどの程度完全に、本来の設計どおりに原子炉を冷却することができたのだろうか・・・。

 情報に接して最初に考えたのは、こうしたシステム自体の「可逆性」あるいは「停止後の復旧」の確実性でした。

圧の乱高下に動揺して手動停止?

 東電の公表したデータによれば、地震が発生した3月11日午後2時46分、1号機の炉心に制御棒が挿入され「スクラム」が組まれて、発電機全体は緊急停止しました。

 その直後の午後2時52分、直流電源で動く緊急時冷却用の非常用復水器が自動起動します。原子炉の冷却と同時に減圧が始まりましたが、約10分後の午後3時ごろ、非常用復水器は一時停止してしまいます。

 その後再び、非常用複水器は稼働し始めますが、再びすぐに停止。そうこうするうち午後3時30分ごろに大津波が到達。ここでデータが停止してしまうのですが、ここまでの段階で冷却機能が停止していたことが判明しました。

 元来の設計では、この非常用復水器は8時間動き続けるように作られているとのことです。ところが「設計通りに作動しなかった原因は不明」とされてきました。

 東電は記者会見で「原子炉内の圧力が乱高下したため、この現象を抑えるため、作業員が手動で停止した可能性もある」としています。

 東電が公表したデータには中央制御室の運転員日誌、電源復旧作業など各種の操作実績などが記載されているとのこと。事故原因究明のため、経済産業省原子力安全・保安院が東電に公表を求めていたものです。

 こうした「現場の判断」で思い出すべきか、分かりませんが、私は思わず東海村で起きてしまったJCO事故での「経営合理化」に伴う「安全措置外し」を想起してしまいました。

 東海村で起きた「JCO臨界事故」では、あろうことか、作業員が手作業で、ひしゃくでくんでいた「6フッ化ウラン」水溶液が、バケツの中で比重が重いため沈殿して、そこで臨界密度を越えてしまったために起きました。

 どうしてこんなありえないことが起きてしまったか。あえてわかりやすいように書きますが、経営判断による「アホ合理化」がすべての諸悪の根源でした。 これは10年ほど前に東京大学工学部の「知識構造化」プロジェクトというもののスタッフとして、この経緯の詳細な調査報告を見て知ったもので、唖然として言葉を失いました。「失敗事例」の典型として畑村洋太郎さんあたりが紹介されているかとも思います。きわめておろかな技術経営合理化の失敗でした。

 元来設計された安全システムでは、さまざまな場面で、複数の人による独立したチェックが義務付けられていました。

 ところが、そこに入ってきたどういう国賊コンサルか知りませんが、技術も安全性も分からぬバカが、こうした安全の仕組みを1つ、また1つと外していったのです。

 元来は2人の別の人がチェックするはずだった部分が「こんなの無駄」と愚かな素人判断をした経営コンサルによって「1人に合理化」、さらに、命令系統的に数段階にわたっていたチェック担当者は「1人に合理化」、最終的には「不要」と合理化・・・。

 この「合理化」なる名目で行われた愚行の行き着いた果てが「作業員が手でひしゃくでウランフッ化物を汲んでバケツで運ぶ」という、恐るべき事態だったわけです。

 私は「放射能を正しく怖がる」大切さを、このコラムで一貫してお話していますが、正しく怖がらなかったのが、この「経営コンサル」諸氏だったと指摘しないわけにはいきません。

 JCO事故の後始末、その詳細を今、確認できていませんが、多分この「合理化」を提案したコンサルは、あらゆる刑事責任も民事責任も免れていると思います。それを採用したJCOに責任がある。一面でそれは正しいと思います。

 しかし、しかし本当にそうなのでしょうか。

 技術が分からず、頭のないバカコンサルの提出してくる案を、そのまま採用するバカ経営陣は最低で、このような重要なものを扱う資格など一切ないと思います。今の東京電力の経営者も経済学部出身者などが目立つようですが、経済学部程度の原子炉の理工学の基礎的理解欠如の状況で、いったいどういう原子炉安全性の最高経営判断がつくというのか。

 悪いけれど断言させてもらいます。無理でしょう。原理的不可能。そろばん勘定が中心の頭で、安全判断をさせようというのが、そもそも大間違いであり、器量が不足していると言わざるを得ません。

 これは「海水注入のタイミング判断」など、その後のすべての遅れの本質的一因になっていると指摘しないわけには行きません。

原子炉を素人判断で動かすな

 物事には素人が口を出していいことと、絶対にそうさせてはダメなことがあります。

 例えば、人の命に関わる最終的な判断。これはお医者さんであることが、最低必要条件になっています。

 そういう歯止めが、今この国にあるか。例えば文科省の放射線量の「参考値」、あれは最高度の専門医が政治的偏向など無関係にきちんと議論を尽くして、決定されるべきものではないのか。

 よく分からぬ入れ札程度のもので選ばれた素人が、専門性と無関係に労働組合の対立調整よろしく「まあまあ」とやるとすれば、それは「民主主義」ではなく「衆愚制」というのです。

 東京電力はそろそろ直接的な株主総会対策も含め、経営陣の責任を限定したい考えなのでしょうか、踏み込んだ内容の発表が続くようになりました。これに対する官邸の対応は「原子力安全委員長が言った/言わない」みたいな話は見ても、現象の本質的理解に根差す定見を感じることは極めてまれです。申し訳ないけれど、これでは「民主」党というより「衆愚党」というほうが、体をよく表していると思います。入れ札の多数決で決定者を決められない火急の危機に、素人が右往左往してタイミングを逸して大事に至る、そういうことがあるとすれば、たまたまその時その場にいた素人政治家の良しあしという以上に、そういうシステムになっていること、そのものを「正しく怖がら」ないわけにはゆきません。

 率直に言ってわたしは、衆愚制のためにリスクにブレーキの利かない仕組みで固まってる社会に住まわされるは真っ平ごめんです。

 亡くなった児玉清さんが遺された、「この国の為政者があまりに幼稚」というメッセージがストレートに痛かった。できることから一つひとつ、何とかしなければなりません。

 (つづく)
このコラムについて
伊東 乾の「常識の源流探訪」

私たちが常識として受け入れていること。その常識はなぜ生まれたのか、生まれる必然があったのかを、ほとんどの人は考えたことがないに違いない。しかし、そのルーツには意外な真実が隠れていることが多い。著名な音楽家として、また東京大学の准教授として世界中に知己の多い伊東乾氏が、その人脈によって得られた価値ある情報を基に、常識の源流を解き明かす。

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著者プロフィール

伊東 乾(いとう・けん)
伊東 乾

1965年生まれ。作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。松村禎三、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズらに学ぶ。2000年より東京大学大学院情報学環助教授(作曲=指揮・情報詩学研究室)、2007年より同准教授。東京藝術大学、慶応義塾大学SFC研究所などでも後進の指導に当たる。基礎研究と演奏創作、教育を横断するプロジェクトを推進。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)で物理学科時代の同級生でありオウムのサリン散布実行犯となった豊田亨の入信や死刑求刑にいたる過程を克明に描き、第4回開高健ノンフィクション賞受賞。科学技術政策や教育、倫理の問題にも深い関心を寄せる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)『知識・構造化ミッション』(日経BP)『反骨のコツ』(朝日新聞出版)『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。
 

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コメント
 
01. 2011年5月24日 07:17:26: jfzy7T904I
津波の前に地震で配管が壊れ、冷却水が漏れたと考えるのが一番すっきりすると思いませんか?それなのに、ヒューマンエラーの記事は事実を隠そうとしているのではないかと思ってしまう。

02. 2011年5月24日 09:38:45: HYHUspnQ6g
01>さん
Sci氏は原発推進派&世論撹乱のための工作員なので、論点をずらす投稿をもっぱら行っています。おっしゃるように、あの程度の地震で配管が壊れてしまったのであり、津波やヒューマンエラーのせいではないです。

03. 2011年5月24日 18:04:48: vJW61Ise0M
>原子炉を素人判断で動かすな

伊東 乾は中途半端な知識でいい加減な記事を書くな。


04. 2011年5月24日 22:26:40: MEn5PxD5aA
地震で電源が喪失したようだね。
そのため冷却システムが作動せず、メルトダウンを招いた。
他の原発も危ない。

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