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汚染水漏洩を防止する地下遮蔽壁はいつできるか――福島原発震災 チェルノブイリの教訓(12)
http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/873.html
投稿者 sci 日時 2011 年 7 月 08 日 01:07:38: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/13028

【第183回】 2011年7月8日 坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
汚染水漏洩を防止する地下遮蔽壁はいつできるか――福島原発震災 チェルノブイリの教訓(12)
 東京電力は6月17日に、「当面の取り組みのロードマップ」、つまり工程表を改訂している(下図参照)。赤字が追加項目だ(★注@)。

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「T冷却」と「U抑制」をご覧いただきたい。ステップ2の「冷却」は、「循環注水冷却」を3ヵ月から6ヵ月で「冷温停止状態」となっている。これが目標だ。
 冷温停止とは、本来は原子炉圧力容器の中が100度以下の冷温にいたり、核分裂反応が停止するという意味だろうが、福島の場合は違う。
 すでに3つの原子炉の中で核燃料棒は溶融し(メルトダウン)、圧力容器の下に溶岩のように溜まり、一部は格納容器下部まで落ちているといわれる(メルトスルー)。実際にどうなっているかは、数年後か十数年後にふたを開けるまではだれにもわからないだろう。
 いずれにせよ、現状では圧力容器の下部の温度が外側で100度を超えているわけだから、ぐつぐつと沸騰している状態だ。水(当初は海水)をメルトダウンした核燃料に延々とぶっかけて冷やしているわけである。
 水は当然のことながら放射性物質に汚染され、それが建屋の地下に溜まっている。この汚染水は1号機から4号機の建屋地下に9万7760m3、プロセス主建屋と高温焼却炉建屋に2万630m3、計11万8390m3が溜まり、あふれそうになっている(7月5日想定)。
 そこで「循環注水冷却」システムを当座の漏水対策(★注A)として6月27日に稼動したが、トラブルが続出し、ようやく7月2日に運転を開始している。この目的は、汚染水が施設からあふれることによる「海洋への放出リスクと地下水への漏洩リスクを低減させる」(東電資料)ことだ。
次のページ>>汚染水から除去された放射性物質は汚泥とセシウム吸着管に移る

すでに報じられているとおり、循環注水冷却システムによる汚染水の流れは、
(1) 汚染水の油分離装置(東芝)(2) セシウム吸着装置(米キュリオン)(3) 薬液注入・加圧浮上分離・凝集沈殿除染装置(仏アレバ)(4) 淡水装置(日立等)
 となっている。放射性物質をある程度除去し、ゴミや塩分も除去して淡水化された汚染水は再び冷却に回り、これを循環させて汚染水の増加を防ぐ、というものだ。整理すれば単純だが、全長4000mに及ぶ長大な単一システムである。
 改訂工程表では、6ヵ月で「冷温停止状態」とあるが、この結末はわからない。溶融した核燃料を冷やしているわけで、「停止」もなにも、そもそも運転しているわけではない。
 しかし、先が見えなくても延々と続けなければならない。その間に、溶融した核燃料や、発電所内に2000本以上ある使用済み核燃料棒を搬出する方法を考えることになる。
 また、汚染水を除染して再利用し、冷却用の水の問題を解決したとしても、放射性物質が消滅するわけではない。汚染水から除去された放射性物質は、汚泥(スラッジ)とセシウム吸着管に移るだけだ。この超高濃度放射性廃棄物をどうにかしなければならない。
 6ヵ月間で出てくる廃棄物は、セシウム吸着管が400本、スラッジが2000m3という膨大なものだ。汚泥は1立方cmに1億ベクレルの放射性物質を含むと発表されている。この処分方法はこれから考えるのだそうだ。
 そもそも、通常の放射性廃棄物の最終処分方法すら決まっていないのである。おそらく、福島第1原子力発電所内で永久に保管することになるだろう。
 工程表をもう一度ご覧いただきたい。「U抑制」のステップ2の赤字追加項目として、「廃スラッジ等の保管、管理」とあるのがこの問題だ。
次のページ>>なぜ「地下ダム」が必要なのか

 さらに、地下水への漏洩対策として、ステップ2に「地下遮へい壁の検討」が追記されている。これがいわゆる「地下ダム」である。
 汚染水はおろか、溶融した核燃料そのものが格納容器を破り、建屋の床も貫通して地面まで落ち、さらに地下へ浸透する事態も考えられる。土中を突き 進めばやがて地下水脈に当たるかもしれない。すると膨大な放射性物質が地下水を通じて環境へばらまかれることになる。チェルノブイリ原発事故の規模を超え てしまうかもしれない。
 この事態を回避するためには、発電所の周囲に地下遮蔽壁をめぐらせるしかない。これがチェルノブイリの教訓でもある。
 連載第3回でチェルノブイリ事故(1986年4月26日)以降のソ連政府による事故処理を紹介したが、その一部をもう一度書いておこう。
 ソ連の事故対策本部は放射性物質の大量放出を10日間で収束させたわけだが、その後の密封作業の経過は次のとおりである(★注B)。
●4号機の周囲では、遠隔操作によって土の表層を剥ぎ取り、廃棄物処分場へ運んだ。クレーンの運転席は鉛で遮蔽●剥ぎ取った跡地はコンクリートで固めた●周囲のビルの屋根と壁を除染●原子炉敷地を除染、コンクリートで舗装し、防護壁の金属骨組みを構築し、コンクリートで覆った●防護壁とともに、原子炉を埋没密閉する構造体(石棺)を建設●防護壁は深さ30−35メートル、幅60センチの堀のようなもので、発電所の全周をめぐらせ、地下水が浸透しない深さまで打ち込んだ
 完成は1986年11月だと思われる。現在、25年経過し、コンクリートの劣化による放射性物質の漏洩が懸念されており、建屋カバーの新設が準備されている。
次のページ>>旧ソ連は膨大な物資と労働力を投じ、ほぼ7ヵ月で建設
 上記の太字「防護壁」が福島の「地下遮蔽壁」と同じものである。チェルノブイリの「石棺」が有名だが、発電所の全周を地下ダムで防護し、放射性物質の地下水漏洩を防いでいるのである。
 ソ連政府は膨大な物資と労働力を投じ、ほぼ7ヵ月で建設を終えている。しかし、25年経過しても危機は去っていない。ガレキや除染したあとの放射性廃棄物は、発電所内に大きな施設を設けて管理しているといわれているが、実態はよくわからない。
 福島では「地下遮蔽壁」建設の「検討」がステップ2(今後3ヵ月から6ヵ月)であり、実際の建設は「中期的課題」となっている。チェルノブイリのように、汚染水の処理と地下遮蔽壁、そして建屋カバーの建設は同時に進めるべきだと思うが。
 また、ステップ2では「(避難地域の)放射線量を十分に低減」とあるが、これはどうするのだろう。広大な土壌を除染しないかぎり、少なくとも3年後でも現在の放射線濃度は変わらないはずである。除染を開始するのだろうか。その手法はどういうものか。
 工程表に入れたならば、半年で「十分に低減」する方法を公表すべきである。

注@改訂工程表は東京電力のホームページで公開されている。
注A 循環冷却注水システムは、来年の春から夏までに、1号機−3号機別にシステムを構築し、より小さな規模を目指すと東電が考えていることを「日本経済新聞」と「毎日新聞」が7月6日付で報じている。
注B 1986年8月のソ連政府の報告をもとに、リチャード・F・モールドがまとめている(モールド『目で見るチェルノブイリの真実』小林定喜訳、西村書店、1992)

※「福島原発震災――チェルノブイリの教訓」シリーズの過去記事はこちら
(1)チェルノブイリの教訓を生かせ(2)子どもの甲状腺被曝検査の継続を(3)ソ連政府はどのように収束させたのか(4)汚染食品のデータをどう読むか(5)「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか(6)学校の放射線許容量はなぜ迷走しているのか(7)菅首相の「浜岡原発停止要請」は唐突ではない(8)足柄のお茶はなぜ汚染されたか 関東平野の放射能汚染状況(9)旧ソ連政府は現在の日本政府より住民の安全サイドに立っていた(10)実態がわかってきた関東平野の放射能汚染(11)除染を急げば大幅に放射線量は減少する
 

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コメント
 
01. 2011年7月08日 02:27:24: oz33FCcPgo
金欠東電のことだ。

あの土嚢防波堤から考えて、地下遮蔽壁も、10メートルぐらい掘って、
ベニア板で仕切ってはいできました、となるんじゃないか。


02. 2011年7月08日 05:19:04: EixGTEWJBU
>>01
金欠じゃなく、守銭奴東電というべきでしょう。
「東電は逆さ吊りにして、鼻血がもう出ないくらい」(河野太郎言)絞り取れば、
1000億ぐらい簡単に出るんじゃないですか。幹部の個人資産を全部差し押さえてでもやるべき。

03. 2011年7月08日 08:42:21: yAZZCLUgJo
ロードマップを見ると、冷却作業と抑制作業は同時並行でもできるようです。

「抑制作業を実施しない」OR「実施できない」理由はなんでしょう?

東電の作業を見ていると、指示命令系統が2〜3系統あり、それぞれ異なった作業しているような感じがします。それぞれの作業目的は不明ですが。

そのために、環境対策が手つかずの状況なのではないでしょうか?

政府が指導力を発揮すべきだと思うのは、私だけ?


04. 2011年7月09日 23:04:03: h6cbKB908I
環境省ってあったのかな?。
こんなこというと、「放射能汚染は環境とは関係ない」っておこられそう。

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