★阿修羅♪ > 原発・フッ素14 > 342.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
メルトダウンは地震・津波だけで起きるわけではない 小出裕章(週間エコノミスト臨時増刊7/15号) 小出裕章 非公式まとめ
http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/342.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 7 月 15 日 10:14:25: igsppGRN/E9PQ
 

メルトダウンは地震・津波だけで起きるわけではない 小出裕章(週間エコノミスト臨時増刊7/15号)
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/14/economist-jul-1/
2011年7月14日 小出裕章(京大教授)非公式まとめ

週間エコノミスト臨時増刊7/11号(p.74〜75)に、小出先生が「メルトダウンは地震・津波だけで起きるわけではない」というタイトルで談話を寄稿されています。コメント欄にてのりけさまより教えていただきました。

以下、のりけさんより頂いた小出裕章氏の談話を転載いたします。

=====

「メルトダウンは地震・津波だけで起きるわけではない」

原子力発電所は、今回の福島の事故のように地震や津波など発電所の外部要因だけでなく、機械そのものの要因でも壊れることがある。過去のほとんどの事故は外部要因ではなく、機械自体の理由で起きている。

米国原子力規制委員会(Nuclear Commission, NRC)は原発の事故が、小さなものから一番恐れられている炉心溶融(メルトダウン)まで、どの程度の確率で起きるのかを世界で最初に系統的に検討し、1975年に報告書をまとめた。基本的なスタンスは、「炉心が溶けるという破局的な事態は起こりうるが、地球に隕石が落ちてくるほど低い確率だから気にするほどではない」というものだった。

ところが、この報告書に対してさまざまな批判が上がり、NRCは批判を一つ一つ検討したうえで79年に改めて態度を表明した。「報告書で出した確率の値はデータが不確かで信頼してはならない」というものだった。直後に、米国のスリーマイル島の原発で炉心溶融の事故が実際に起きた。NRCは79年の態度表明でかろうじて面目を保った形だった。

想定されていた全電源喪失

それ以降も、炉心が壊れる確率に加え、炉心が壊れてどの程度の放射能が漏れるのか、放射能漏れでどの程度の被害が生じるのかを分析する「確率論的リスク評価」と呼ばれる研究は、米国はじめ世界中で行われてきた。87年に米国NRCが出した報告では、5つの原子力発電所について、それぞれどのような原因で炉心が溶けるのかを示している。冷却材喪失などさまざまな原因があるが、うちGrand Gulf(ミシシッピ州)という福島第一原発と同じ形式の原子炉で、炉心溶融の原因として99%を占めると考えられているのはStation Black Out(全電源喪失)だった。全電源喪失が重大な事態を引き起こすことは、87年の時点で分かっていたのだ。

この確率論的リスク評価はどのように行われるのか。まず、炉心溶融という最悪の事態はどのような原因で起こるかを考える。その原因の一つ一つについて、さらにそれが起きる原因を考える。例えば炉心溶融の原因を「原子炉内の水の喪失」と想定したら、喪失を引き起こす原因として「原子炉に水を送り込むポンプの不作動」などを挙げる。さらに、ポンプの代替手段を挙げ、それが動かない場合には・・と木の枝を広げるように事故が起こりうる道筋を描いていく。

一方で、それぞれの段階で、事故を防ぐ手段が働かない確率を求める。例えばポンプが動かないなら、「停電が起きる」「ポンプが壊れていた」「ポンプの先の弁が閉じていた」など考えられる原因について、それぞれどの程度の頻度で起きるのかの実績を集めたデータベースから算出する。この数字を前述の道筋の図に当てはめ、最悪の事態に至る確率を導く。だがこの方法では2つの問題があり、基本的には過小評価となる。問題の1つは、事故に至る道筋の図はあくまでも推測で、想定しきれない通り道がありうるという点。もう1つは、確率評価の基となるデータベースは、原発のせいぜい数十年の歴史のなかで信頼できるほどの蓄積がないために誤差が生じるという問題だ。NRCが「最終的な確率の値に信頼を置いてはならない」と79年に表明したのもそれゆえだ。その後、30年あまりの間、より精密な確率評価を求めて研究が行われてきたが、要因の考え落としがあり、数値が不確かだという本質的な問題は常に残る。

実際に79年の米スリーマイル島での事故でも、発端はポンプが1つ壊れたことだった。予備のポンプが作動したが、弁が定期点検の際に間違って閉じられており、原子炉に水が入らなかった。原子炉の水位が下がったことで非常用冷却系が作動したが、水位を示す計器が満水だと誤表示され、そのため運転員はマニュアルに従って非常用冷却系を止めた。その結果として炉心溶融が起きた。代替手段が用意されていたものの、それが働かない事態が重なって大事故に至った。

日本でも2004年に関西電力美浜原発3号機(福井県)で配管が破れ、噴き出した熱水を浴びて作業員が死亡する事故があった。配管が長年使っている間に薄くなっていたのだが、それを監視せずに「まさか破れないだろう」と思っていたのだ。

海外で懸念されるテロ、サボタージュ

さらには、機械固有の要因に加えて、外部事象によって起こる可能性がある。今回の地震・津波もそうだが、海外ではテロやサボタージュが懸念されている。テロは爆弾を仕掛けたりして原子炉を壊す大がかりな軍事行動を指すが、サボタージュは原発内で現場の労働者が意図的に何か破壊活動を働くことを指す。例えば、どこかの制御系1ヵ所、あるいはポンプ1個を壊してしまう。その程度のことでも、原子炉全体の破損につながりうる。この外部事象についての確率評価はとても難しく、世界的にも研究や対策が進まないという歴史がある。

日本で原発を進める人々は「原発に限っては絶対壊れない」と言い続けてきた。だが海外で事故の可能性についての研究が次々に発表され、86年にチェルノブイリ原発事故も起きたことで、原子力安全委員会は「シビアアクシデント対策」に取り組まざるをえなくなった。90年代に入って各発電所に、「全電源喪失」が起きた際の対策を考えるよう指示を出し、対策がとられたのは00年代に入ってからだ。

福島第一原発では、炉心が溶けた際には原子炉格納容器が壊れる可能性も捨て切れないとして、格納容器の破裂を防ぐために、中のガスを抜く「ベント」という弁を取り付けた。その弁が今回の事故の際、開けられた。だが、弁を開ける時には格納容器から放射能が漏れることは覚悟のうえのはずで、その放射能を捕らえるために弁の先にフィルターのような装置が必要なのに、そのまま排気筒につながっていた。本当に事故が起こった場合の対策としては考えていなかったのではないか。

日本は原子力技術の後進国だ。核分裂の原理は第2次世界大戦中に発見され、日本を含め各国が核兵器の研究を進めた。戦後、日本の核研究施設は米軍に破壊され、研究が再開されたのはサンフランシスコ平和条約締結後の52年だった。その間、各国が原子力を商業利用する研究を積み重ね、50年代には商業原発が稼動している。

だが米国でも欧州でも、運転中、建設中、計画中の原発の合計数は70年代をピークに低下しており、原発は30年前には斜陽に入っている。大事故が起きる可能性についてどんなに分析して対策を講じたとしても、事故が起こる可能性はゼロにはできない。そして事故がおきてしまえば、途方もない被害が出る。事故が起きなかったとしても原発で生み出された放射性物質は毒性を持ち続ける。そういうリスクは選択すべきではないというのが世界的に広範な考え方だからだ。(談)

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年7月15日 10:51:01: c94xjBVpEs
要するに原子力を利用するかしないかという問題にすぎない。
原子力そのものはこれからも研究されつづけるだろう。
原子力がいったん開放された以上、封印することなどできるわけがない。
たえず研究されつづけ、いざというときに対処する必要がある。

たとえば隣国の韓国や台湾や中国で原子炉の大爆発が生じたとき、なんらかのかたちで原子力の統御技術が
研究が継続されていないと対処できない。

それでなくとも戦略核原潜の「燃料」としては永久に必要なものだ。
一年以上も海底に潜行していられる動力燃料など原子力をおいてほかないし、SFじゃないが、
人間が火星にゆく時代になれば惑星間の移動にもいずれ原子力が使われるだろう。

原子力を統御することはそれほどむつかしいことではない。
カネさえかければほぼカンペキな制御システムはできる。ただ、採算が合わないから電力会社は手抜きしているだけだ。


02. 2011年7月15日 11:05:48: jZpp1nMO7M
予算の範囲内で全てを処した勝俣清水たち歴代全関係者のザンゲが必要だろう、官僚どもも含めて。

03. 2011年7月15日 16:17:40: MzQ0dNuj7k
>>それでなくとも戦略核原潜の「燃料」としては永久に必要なものだ。

戦略核原潜自体が、すでに時代遅れ。
世界で急ピッチで廃船が進んでいる。が、その汚染廃棄分の処理に行き詰まっている。
(要するに核抑止力思想自体が冷戦時代の遺物)

>>カネさえかければほぼカンペキな制御システムはできる

テクノロジーの限界
マーフィーの法則
「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる。」
「何事であれ失敗する可能性のあるものは、いずれ失敗する。」
要するに、失敗の結果が甚大(放射能汚染=人類の生存危機)であるものは技術開発には向かない。
フィードバックが難しいものは、技術開発に限界がある。

今後の核技術の研究は、核利用死滅の為の研究=既存核設備・廃棄物の処理、となる。

若い人は今後、原子力分野より(たとえば)燃料電池研究のほうに進むべきでしょう。


04. 2011年7月15日 18:49:59: SEG0FtGR5A
>01. 2011年7月15日 10:51:01: c94xjBVpEs さん

>原子力を統御することはそれほどむつかしいことではない。
>カネさえかければほぼカンペキな制御システムはできる。

あんた何様?
神様か?
人の一生をそんな風ににもてあそんで良いと思っているのか!
「原子力を統御することはそれほどむつかしいことではない」だって?
だったら何で原発はあっちもこっちもあの体たらくなのだ!
何がほぼ完璧だよ、国民の血税掛けるだけかけておいてその上その「ほぼ」の内でしたで殺されたんじゃたまんないよ!
税金掛けるだけ掛けて「ほぼ」で先祖からの土地も一生の努力もすべて無かった事にされる人の気持ちはどうでも良いんか!
それがお前でもそれは仕方の無い犠牲か?
多少の犠牲は他の人が電気を使う為のひとみごくうか?
火力や水力発電でも間に合うのに!
自分を何様だと思っているんだ!

のぼせるんじゃないよ!お前は凄くいやな人間だな!


05. 2011年7月16日 10:13:06: zxRwWYtUnA
>1

一地方がマルマル破壊されたにも等しい事故が起こってなおかつ、アンタみたいなことを言うヤツって、全く経験から学ばないんだな。

金さえかければ、原子力は制御できるんなら、湯水のごとく税金をぶちこんだ「もんじゅ」など、とうの昔に完成に域に達してるはずだ。

自国で起こした原子炉の爆発の後始末をし終えてから、隣国のまだ起こりもしていない原子炉爆発の心配をするのが順序ってもんだ。思いあがるな。日本は原子力研究ではさしたる技術も持ってない。あの原子力安全委員会のていたらくを見ろよ。


06. 2011年7月16日 16:21:38: 1qmOy4Hy0U
原発を持つ事は、「敵」の兵器を自国に仕掛けさせてあげているようなものじゃない?

今回の福島がそうだとは言わないけど、「事故に見せかけて原発を破壊する」、
と誰かに脅されたら、言いなりにならざるを得ない。国民のための政治どころじゃない。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素14掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素14掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧