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被曝の森はいま
NHK BS世界のドキュメンタリー 2011年5月11日放送
http://www.veoh.com/watch/v209939355MpJjSGC

＞これらの映像は、放射能は人々が恐れるほど危険ではないことを示している。
＞放射能の安全性は、人々の心の問題だ。

どうでしょうか。なるほど、動物たちのいくらかはマウスなど
元気に繁殖しチェルノブイリを楽園となすものもある。
動画が含む内容をいえば、マウスは放射線被曝による細胞損傷修復能に
優れてる。ツバメはよわい。老化が早く、寿命が短い。ツバメの精子の五割以上に
形態的異常が見つかり生殖できない。生存率の顕著な低さ。

さて、人間は？というところなんですね。
ですから、動物が元気だから人間にとってもダイジョウブだ、安全なのだ、
といえるかどうか。まだまだ未知数ではないでしょうか。

3日後、気が付くと原発の爆発映像が繰返しテレビで流されていた。
家は停電が復旧せず、ライトの電池も底を尽く。ホームセンターに買いに行った。
長い行列が出来ていた。列のあちらこちらで地震後の状況を語り合う村人の姿があった。

それは突然聞こえてきた。｢逃げろ!!もう原発はダメだ!!ここに居ちゃダメだ!!｣。
南相馬市から逃げる途中の、農民の声たった。
｢飯舘は原発から離れてっから大丈夫だべぇ｣。
彼の必死の言葉は、飯舘村民に伝わらなかった。

地震の影響はあまりなかったと言っていい。不幸中の幸いだった。
電気や水道の復旧は遅れたが、石巻や南相馬の海沿いに比べたら文句を言えない程度。
放射性物質が水に混入したらしく、使用制限が出た。
ペットボトルが配られ、何とかしのいだ。

テレビでは放射能の話題が増えた。原発に近い所は大変だなと思った。
村の連中も放射能の話をするようになった。
どうやら飯舘村の放射線量が高いらしい。
しかし放射能は見えないし、役場も特に何も言わないので気にして居なかった。

それは突然やってきた。
｢避難してください｣

んなこと言われても、どこさ行くんた?
牛はどうすんだ?

福島市に逃げた。
牛は売った。
家族もバラバラになった。
生活が崩壊した。

もう飯舘の家には戻れないかもしれない。
戻っても、どうやって生活すんだ？
これか俺は生きてゆく意味があんのか?

たった4ヶ月前のことが思い出せない。
どうしてこんなことになっちまったんだべ。
原発の絡んだお金は村に入っていない。電気も貰ってない。
いきなりだ。いきなり生活が崩壊したんだ。
村はいつも通りきれいだ。どこに放射能があんだ?

誰に文句言えばいいんだ？
誰が野菜洗えば食っていいって言ったのは。食ったぞ。
もう文句言う気力も無くなってきたんだ、俺は。
どうやって生きていけばいいか、誰か教えてくれよ。

どこが汚染されてんだって。
もうわけが分からなくなってきたんだ。

原発とは未来を担保にした返済できない借金。
返済期限を踏み倒した今、被ばくの悪影響は人の生存可能な生態系を破壊し続けている。

直接被害をこうむったという実感が持てなくても、放射線によるDNA破壊は日々進む。
認めたくない現実を実感することから逃げて、危機感を察知することが遅れて、自覚症状が出たときにはすべて手遅れ。子孫の代が死に絶えるまで祟る毒に侵される。

科学的な数値を計算することに気を取られると危機感が薄くなってしまうが、封じ切れない放射性廃棄物が起こす現象は「呪い」そのもの。
この国はもう致死量をはるかに超える毒を抱えている。

今必要な核技術は原子力発電のためではなく、核廃棄物を封じ続ける技術とその普及化。
これ以上「被曝者」という生贄を捧げないシステムの構築をしなければならない。