http://news.nna.jp/free_eu/news/20110804gbp001A.html

英北西部の核燃料工場が閉鎖：東日本大震災の影響で［公益］

英国原子力廃止措置機関（ＮＤＡ）は３日、イングランド北西部セラフィールドの核燃料再処理施設内にあるウラン・プルトニウム混合酸化物（ＭＯＸ）燃料プラントを閉鎖すると発表した。このプラントは日本の原子力産業を主要取引先としており、３月の福島第１原発事故を受けてＮＤＡが見直しを進めていた。

このＭＯＸ燃料プラントは1996年、総額14億ポンドを投じて建設され、2001年に操業を開始した。ＮＤＡの管理下で運営され、ソープ（ＴＨＯＲＰ：酸化物燃料再処理プラント）で使用済み核燃料から抽出したプルトニウムを、ＭＯＸ燃料に加工している。

ＮＤＡは昨年５月、東京電力をはじめとする日本の電力会社10社と、プルサーマル発電向けにＭＯＸ燃料を製造することで合意していた。

ＢＢＣ電子版などによると、今回の閉鎖で約600人が影響を受ける見通し。ＮＤＡはこれらの従業員を施設内の他の工場で採用する方針という。ＭＯＸ燃料プラントの完全閉鎖には、数カ月を要する見込みだ。

ＮＤＡは「東日本大震災とその後の出来事を受け（プルサーマル計画に）遅れが生じる可能性が出てきたことに伴う、商業的なリスクの変化を評価してきた」とした上で、「（閉鎖を決めたのは）英国の納税者に将来的な負担をかけないため」とコメントしている。

一方、公共・民間部門の専門職を代表する労組プロスペクトはＮＤＡの決定について、「準備不十分で短絡的」と批判。福島第１原発事故を受け、日本政府との契約が不足していることが一部影響しているといい、「労組との協議もなく、閉鎖後の適切な対応も検討されていなかった」としている。

なお、ＮＤＡはソープへの直接的な影響については否定している。［環境ニュース］

＜用語解説＞

ウラン・プルトニウム混合酸化物（ＭＯＸ）燃料

原子炉の使用済み核燃料中に含まれるプルトニウムを抽出し、二酸化プルトニウムと二酸化ウランを混ぜてプルトニウムの濃度を高めたもの。プルサーマル発電で使用される。