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「『政商』と言われるのは心外だ」 孫正義×堀義人 対談全文書き起こし(4) (ニコニコニュース)
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/384.html
投稿者 五月晴郎 日時 2011 年 8 月 08 日 17:30:40: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: 孫正義×堀義人 対談全文書き起こし(1) (2)(ニコニコニュース) 投稿者 五月晴郎 日時 2011 年 8 月 08 日 17:08:25)

http://news.nicovideo.jp/watch/nw97228

「ニコニコニュース」から ”「『政商』と言われるのは心外だ」 孫正義×堀義人 対談全文書き起こし(4)”を転載投稿します。

=転載開始=

 原子力発電への依存を最小限に抑えるべきという「原発ミニマム論者」のソフトバンク孫正義氏と、「電力安定論者」のグロービス代表堀義人氏は2011年8月5日、公開討論を行った。この討論会は堀氏が自身のツイッター上で孫氏を「政商」と呼んだことがきっかけで開かれたもので、討論中も孫氏は「『政商』と言われるのは心外」だと語った。

 以下、孫氏と堀氏のやりとりを全文、書き起こして紹介する。

■風評被害は「政府のマネージメントの失敗によるもの」

孫正義氏(以下、孫氏): 本来電力会社が自ら起こした事故は、国に頼る、国民の負担に頼るのではなくて、事故を起こした電力会社が無制限で本来(負担を)負うべきだ。それが本当の原発コストだと僕は思います。それに上限を作ること自体が、すでに真の原発コストの議論から外れている。

堀義人氏(以下、堀): どこかで切らないとなりませんよね。例えば私がカゼをひきました、病気になりました。これは原発のせいだということで、それも損害賠償としてやるのか。あるいは九州を含めた地域が観光(客)が減った、それも原発を理由にして損害賠償の対象にするのか。

孫: 原発(の事故)が起こらなければ観光は減らなかったわけです。因果関係としては、原発の事故が起きたから現に観光客が半分に減ってるわけです。それは実際の観光業界にいる人からみたら「たいがいにしてくれ!」ということだと思うんですよ。

堀: 風評被害というのは大きくもなるし小さくもなるわけです。だからこそ「風評」の「被害」と言うわけであって。したがって僕は、その部分の政府のマネージメントが失敗したと思ってるんですよ。その部分のマネージメントの失敗までを、すべて東電のせいにすべきかどうかというのは考えなければいけない。

孫: 日本は「風評被害」とか言っていろいろ隠し過ぎて、「隠匿体質だ」と言って逆に外国人はもっと信用しなくなっているわけです。すべてをさらけ出して、会計基準だってそうじゃないですか。何でも国際基準に合わせてできるだけオープンに、ディスクローズ(開放)する。そして初めて安心感と信頼感が生まれるわけで。風評被害が起きる可能性があるから、「分からないものは全部隠匿せい」とどっかの新幹線みたいな話を言われても困る。

堀: 僕が言ったのは、今回海外のメディアは情報は十分出ていると判断しています。「ウォール・ストリート・ジャーナル」にしても。

孫: 日本よりは。日本よりは出ていると思いますよ。

堀: 日本の原発問題に関する情報は、十分出ているというのが海外のメディアの評価です。

孫: その上で彼らが来ないと判断するのは彼らの自由。それによって起きた被害はやっぱり被害じゃないですか。私の意見を閉じ込めて「風評被害が出るからあんたは黙れ」。そしたら観光客が増えるとかそういう次元の問題じゃない。それは「ウォール・ストリート・ジャーナル」であれCNNであれ、彼らが独自の判断、自らの判断で、自ら信じることを報道しているわけです。それを抑えこむなんて無理です。

堀: いや僕が言ったのは風評被害に関して言うと、何が問題だったかというのは、私は海外のメディアを見ていても「政府の対応」だと思うんです。例えば20キロ圏内を立ち入り禁止にしてしまって、(圏内に)戻るのに2人しか必要ない(と言う)。しかも防護服をあのように着たものが今度は写真が撮られた時には海外のメディアに「うわあこれは大変なことになってる」という印象を与えてしまうわけですね。常にそういったことが(放射線量が)下がっているにも関わらず、どんどん政策によってエスカレートしていくことによって風評被害が発生してきている。これはしっかりとした政府の対応によって僕はマネージできたと考えてます。

孫: じゃあ防護服を着ないで行けば良かったと仰る?

堀: もちろん僕は・・・。

孫: あなたは防護服を着ないで行く勇気があるかもしれないけど、普通の人はリスクがあると思ったら、やっぱり防護服を着て行くんじゃないかと思いますよ。

堀: まぁそれは強制すべきかどうかという問題もある。


■「将来、ガン患者が増えたら原子力専門家は責任を取るのか」

孫: あなたが「風評被害の起きる危険性があるから防護服を着ないで皆さん行ってください」(と言う)。それはあなたの説を自分が信じて自分がそういう行動するのはあなたの自由だけど。心配している方々に、防護服をあなたたちが着ていったから海外メディアが写して「観光客が減った」なんて言われたって、その行ってる本人からすると「何を言ってるの? 私は自分の健康を守る権利は自分にある」ということだと思う。

堀: いや僕はね、自由にしてあげたらいいと思います。例えば(20キロ圏内の自宅に)戻りたいわけですよ、彼らは。戻りたいし、心配だし。強制的に避難させる必要性があったのかというのが僕のポイントであって。それは各人の自由に任せるべきだと僕は思います。彼らが戻る権利の自由も含めて「危険とはこういった物ですよ。この部分に関してこれ位の認識ですよ」ということをオープンに科学的根拠に則って伝えていくということが重要であって、それを是非ともすべきだったと思っています。

孫: 彼らはすべての情報を持っているわけではないわけです。

堀: もちろん。だからこそ・・・。

孫: 政府が持っていて彼らに言ってない情報もある。また彼らは専門家でもないわけですよ。その彼らが十分な専門性と情報を持って自分で判断して、自分の家に帰るのは勝手だと言えるなら、それは僕は行った本人たちからすると「俺は牛に藁を食わせていいのか知らない」、「正確に言われないから大丈夫だと思って食わしたら、あとで言われたって困る」、「何でもっと早く言わなかったんだ」と、逆に彼らはそう怒っているわけですね。ですからそれを野放図に自分の判断で勝手に危険かもしれない所に戻りなさいというのは、逆に僕は不親切だし、危険を助長することになると思う。

堀: 僕は逆に飯舘村の村長さんに聞いても、僕は必要なかったと思ってます、あの飯館村の避難は。

孫: あなたがそう思うのは勝手だけど・・・。

堀: 飯舘村長さんも言ってますし、飯舘村の方々に聞いてもそういう意見です。それは多くの人たちに対して逆に不便を強いてるという状況であって、確かにそれは東電が賠償するんでしょう。それは必要だと思いますが。すべてのものをどんどん含めていくことが本当に必要なのかどうか。あるいはそれによって飯舘村のコミュニティが衰退していくことをいま一生懸命村長さんが必死になってそれを守っているわけですね。

 さらにそういった人々に関して、ほとんど実際に病院から出ていくことによって、放射線では死亡者は出ないだろうと言われていますが、それ以外の「避難」によって20人の人が死んでしまったりとかですね。そういった意味での対応というもの、マネージメントというものを考えて、どこまでが本当に原発の影響であって、どこからが違うのかを分けないと。「すべてが原発だ」「無制限だ」と言ってしまった場合、どこまでを含めていいのかが分からなくなってしまう。おそらくそれが10年後20年後になって、結果が分かると思うんですよね。何によって放射線によって影響があったのか。その時にはもう遅いわけですよね。従って、現時点でしっかりとした判断をしていく必要性があると私は思ってます。

孫: 最終的に十分な情報が行き渡って、一人一人のそこに住んでおられる方々が、十分な情報と十分な専門知識を得て、その上で「自分がどういう状況でも構わない」という状況で行くのは、最後はその本人の勝手かもしれないと僕も思いますが。それでも今の状況は、さらなる大きな事故があるかどうか分からないという状況が今まで続いてて、見るに見かねて、こういう大事故が起きた時の、日本だけでなくてどの国でもそういう避難命令が出たりするわけですね。僕はその命令が出るのがむしろ遅過ぎたと思ってる。

 それはいろんな説があっても構わないと思いますけども、だけど少なくともこの事故が起きなければこんな議論すら必要なかった。この事故が起きなければ、観光客も減らなかった。牛だって野菜だって何だって、こんなに国民がストレスだらけで悩みながら生きていく必要もなかったと僕は思うんです。だから原発というのは、ある意味取り返しのつかない事故になる恐れがある。火力だ水力だというのは局地的な問題で、1個火力(発電所)の事故が起きた、だから全面停止ということにはならないし。もちろん飛行機事故だって自動車の事故だってあるけれども、それはそれぞれ飛行機に乗る人、自動車に乗る人が自分で選択できるという問題だと思うんですよ。

 だから僕は原発についてはこれほど世界中で大騒ぎになるくらい、やっぱり危険だと思う説の人もいっぱいいるというなかで、あとで振り返って取り返しのつかない事故になったら、ガン患者が増えたら、「あなたは責任取れますか」と。専門家だと言ってた人が責任取れますか。いま専門家だといって「100ミリ(シーベルト)大丈夫だ」と言っている方が、あとで責任取れますか? と。そしたらあとでその人は「想定外でした」と言うに決まってる。

堀: いや、これはね。彼らが言ってるのは、あとで学者さんの話を聞いたほうがいいと思いますが、放射線よりもストレスのほうが大きな被害を及ぼすと言ってます。従って、危険だ危険だと言うことのストレスによって、それはもう怖いものに対して「ううっ!」と。これがストレスになって、いま小学校のプールも月1回しか使えない。あるいは学校における運動に関しても屋内でやってる。

孫: それも含めてすべて原発コストです。

堀: それはただマネージメントでしょう。


■「僕の考えを伝えたら、『オバマ大統領と同じ考えだ』と」

孫: 要するに、そういう何の説を言っても、少なくとも半分以上の人か半分くらいの人は、やっぱり心配する人が出るわけです、何を言っても。いろんな説があるんだから、両方の説を信じる人がいて、それが1割なのか5割なのか知らないけども、危ないと思っただけでそれは観光客は確実に1割なのか5割なのか知らないけど減る。肉だって1割か5割か知らないけど、心配だと思う人はそういう説を聞いて、それを信じる人は確実にその分減る。これも含めてやっぱり原発コストだと僕は思う。

堀: 意見の違いは残しておいていいと思う。それは合わない可能性があるし。ただ、いろいろと議論したいことがあるので。一方では原発の事故が起こっても、「止める」と言ってるのはドイツとイタリアとスイス、先進国においては。安保理事国5ヶ国すべてが原発推進です。今日はアメリカの(ジョン・ルース駐日)大使にも会ってきたんですが、僕の考えを伝えたら、オバマ大統領と同じ考えだという風に言ってました。従って、すべて世界各国において原発推進していく、中国に至っては50基進めていく。孫さんだって韓国に行って韓国の原発を評価されてましたよね。

孫: 私は「評価する」なんて一度も言ってません。韓国のメディアがそういう風に書いたというのは一部ありますが。僕がしゃべった内容はちゃんとUSTREAMのアーカイブに残っていますから、それを非難される方はそこを見てから言っていただきたい。

堀: そうですか、わかりました。それは違いました。

孫: 僕はあくまでも韓国は地震が日本よりも少ない、相対論で言うと、地震だらけの日本はより危険だということは申し上げました。韓国ですら、どこの国ですら、人的ミスによる原発のリスクというのはある。だから地震がないからと言って、安心して議論なしに使いまくるということについてはご注意くださいということを僕ははっきり言って、ちゃんとUSTREAMのアーカイブにも残っているので。

 僕は韓国では二枚舌で、どんどん原発立派だと進めて、日本では「危険だ」と言って非難している人がツイッターの中にもおりますが、この際はっきり申し上げておく。それは一部の韓国のメディアが報じただけです。実際は僕のアーカイブが残っているので確認ください。

堀: その点は理解しました。ちょっとその続きを言いたいのですが、中国は50基、原発を作ります。今世界のすう勢は、基本的に原発推進で動いています、一部の例外国を除いてです。

孫: 一方ね、これだけ大きな事故を起こしてまだ懲りずに原発をということの批判もある。

堀: まぁそういう考え方もあると。

孫: 自らの国で大事故を起こしてなくても、理性を働かせて「原発を止めよう」という国もあれば、原爆の唯一の被害国である日本は、「原爆は将来持ちません」と反省して決めてるわけですよね。

堀: もちろん。それは・・・。

孫: 被害国である、人々が沢山住んでいる人口密集地帯のところで大きな事故を起こしたにも関わらずという問題もある。

堀: もちろんいろんな意見がある国があっていいと思うんですね。私が言っているのは世界の趨勢の話であって、今後原発に関してはさらに多くの炉が建設されていくと思う。


■「原発=輝く未来の増大する産業と信じ込んでいた」

孫: 僕もね、原発を今すぐ全世界ですべてゼロにせよとそうでないと泣き喚くという説ではないです。それはそれぞれの国に、それぞれの国の中の内政干渉を外の国民である僕が言うのはおかしい。内政干渉を言い過ぎるといけないので、その国その国の独自の判断下さい。私はイエスもノーも言う立場にない。ただ少なくとも日本国民の一人として、まあ僕が日本国民と思われてるかどうかは別として・・・。

堀: 思ってますよ、私は。

孫: それは別として。少なくとも僕は日本を愛する人間の一人として、この国でこれだけ大きな事故を起こして、無軌道に慌てて再稼働をどんどんやることについてはもう少し慎重にやるべきではないですか。オール・オア・ナッシングでいきなり、原発ゼロ論者ではない。

堀: 僕は途中までだったので、また(話を)続けさせてください。従って世界のすう勢というのは原発を推進していく。その原発はどこが造れるかというと、フランスのアレバ、そして日本の3社、三菱重工・日立・東芝、そしてGE(ゼネラル・エレクトリック)。ウェスティングハウスは今、東芝の傘下に入ってしまって、5社しかない。

 その中で日本とフランス、アメリカが技術に関しては進んでいる。日本としても世界の原発の安全性に対して貢献すべきではないか。もっとさらに安全な原発を作れるわけです。福島第1原発は第一世代、40年前の原発です。かなり古いもので、日本でGEが作っているものです。どんどんテクノロジーは進化していく。孫さんも僕もベンチャー起業家でさまざまなテクノロジーを信じているわけです。僕は太陽光とかのテクノロジーも信じていますし、当然原発もビル・ゲイツ含めて信じているわけであって。日本として国際機関のヘッドなんてほとんどいないです。いまIAEAのヘッド(事務局長)は天野(之弥)さん。日本人です。それだけ日本のテクノロジーというのがものすごく重要視されていて、ここで(原発を)やめてしまった場合に世界への貢献はどうなっていくのか。一方では、化石燃料が枯渇した段階に、孫さん、どうされようとお考えですか? 枯渇した後の人類はどうあるべきだと。

孫: 自然エネルギー、枯渇した後は。枯渇するまでに自然エネルギーが立派に新エネルギーとして立ち上がると僕は思ってます。

堀: 面積の問題とか、雨が降った場合の話とか・・・。

孫: 十分ある。今回いろいろ調べてみて分かった。少なくとも今の化石(燃料)だ、原発だというのに頼っている程度のものは、自然エネルギーの技術開発と、今日本にある未使用の、未利用の土地。洋上風力、バイオ、いろんな新しい技術を使えば、今から化石燃料が枯渇する前に、十分置き換われる。逆に今、堀さんは原発が新しいこれからの日本の輝く未来の技術だという感じで仰いましたが、世界的な事実を言うと、「原発、原発」と言ってガンガン作って売って建ててきたのは30年ぐらい前の話で・・・。

堀: いやいや、そんなことないですよ。

孫: それ以降はどんどん実際の原発の出荷量は減っている。これは事実ですから。あとで確認ください。日本は原発、原発というイメージがすごくありますが、アメリカだってこの30年ぐらい新しい原発はほとんど作ってないはずだし、ヨーロッパだってほとんど作ってない。フランスは別として、他の国々においては世界のトータルの新規の原発の建設数量はどんどん減っていって、だからアレバのあの女性会長(アンヌ・ローベルジョン氏)だってクビになったじゃないですか、赤字で。だから「原発」イコール「輝く未来の増大する産業」だというのは、今まで日本の我々メディアでもそう信じ込んでて、教科書にまであるから、そう思ってたけど。本当は世界の事実としては原発はもはや古い技術で新しい技術は新エネルギーのほうだと、イコール自然エネルギーということだと思う。

堀: ビル・ゲイツは「基本的イノベーション」という・・・。

孫: ビル・ゲイツはまだモノを作ってません。今ビル・ゲイツは研究をしてるだけで、1台もまだ出荷してない。

堀: これは研究段階が重要なわけであって。

孫: 研究開発は構わない。研究開発はいくらでもしても構わない。ただ害を及ぼすのはやめてくれ。研究開発はいくらしても構わんよ。自分の研究所でやってくれ。人が住んでる所で、害を及ぼすような形で振りまくのはやめてくれ。「たいがいにしてくれ!」と俺は言いたい。


■「『安全な原子力』を信じなくてどうする」

堀: 孫さん。原子力のイノベーションというのは、メルトダウンをしない、安全な原子力もあるわけです。それを信じなくてどう考えるんですか。

孫: いや、安全な原子力を・・・。

堀: いや、まだ僕に言わせてほしいんですが、これから化石燃料が枯渇するということは、自動車、飛行機も含めてすべては化石燃料を使えないわけです。その場合、本当に自然エネルギーだけですべてが賄えるのか。今の生活は、例えばiPhoneであったりとかiPadであったりとか、どんどん電力を消費する方向に向かってるわけです。その中で輸送機も含めてこれから増えていく中において、本当に自然エネルギーだけで食料とエネルギーが共存できるのか。これを僕は声高く訴えたいです。面積をどう考えるのか。サハラ砂漠の問題も知ってますけど、すぐかかってしまうし、送電コストがものすごい膨大になってきます。

孫: 送電コスト、僕は調べましたよ。

堀: どのくらいですか?

孫: 十分やっていける範囲。

堀: ああそうですか。

孫: それはあとでまたゆっくり議論できますが。サハラ砂漠のDESERTEC、皆さんご存知かもしれませんが、サハラ砂漠の3%ぐらいの所に今ある技術の、今ある太陽熱エネルギーのものを置いたら、今現在の全世界の地球が使ってる電気を賄えるだけの発電量ができると、こういう説もあります。それは今すぐそれがあるわけです。

 だけど今最も世界で普及し始めているのは、自然エネルギーが年率20%、30%伸びていってて、もうすでに風力だけで全世界の原発の発電容量に匹敵する規模のものがすでに風力で世界でできてて、それを年々ものすごい二次曲線で増えていってる。だから自然エネルギーは頼りにならない、当てにならない。古い技術だというのはとんでもない間違いで、それは今から化石燃料が何十年後か、100年後か、200年後に枯渇するかもしれない。それまでには少なくとも僕は自然エネルギーの今の成長力を考えると、十分に余るほどできるという風に信じています。

堀: まあ、それは可能性は無いことはない思います。そのことは一方では確認しないといけませんし、できなかった場合どうなのかということも考えなければならない。一方で食料はどう考えていくのかを含めてトータルで考えていく必要性があると思いますし、その経済性をどう考えるのか。あるいは、電池が本当にどれだけ発達していくのかを考えなければならないと思いますが。孫さんにおうかがいしたいのが、再生可能エネルギーが200円アップだと仰いましたが、その根拠は?家庭用は200円しか上がらないのですか?これはいくらで売った場合の前提条件ですか?

孫: 3500万キロワットを自然エネルギーで10年後にやって、1キロワットアワー当たりのコストが0.5円上がって、その時に150円から200円になるということが経産省の調べで出ています。経産省も一応それなりに専門家集団として計算してやっている数字なので、それを間違っていると思うならば、僕を責めるのではなく、経産省に言ってください。

会場: (笑いが起こる)

孫: 私は3500万キロワットではむしろ足りない、逆に8000万キロワットくらいまでいくべきだという説の人間で、そうなると200円ではなく460円ぐらい上がるかもしれない。どちらにせよ、1ヶ月に電力の使用量が5000円前後、1家庭あたり平均でかかってる。それが仮に460円くらい増えたとしても、一方、省電力、節電はこの数ヶ月で22%も節電できたんです。ということは10年間で10%くらいの節電は、今は無理して22%かもしれない。でも10年間でコンスタントに、LEDだ何だに変えれば10%くらいは節電できると思う。1キロワット当たりのコストが10%上がっても、10%節電したらチャラパー(とんとん)じゃんと。1家庭あたりの負担コストはチャラパーです。何を悩んでいるんですかと。

 産業界だって今22%節電できている。10%仮に自然エネルギーで上がったとして、つまり経産省が言ってる3500万キロワットじゃなくて8000万キロワットいって、経産省が言っている200円ではなく400円、460円いったとしても、なんぼのもんじゃと。電力代に占めるのは10%も行かないじゃないかと、8%じゃないかと。でも節電が22%もできていると考えたら1家庭あたりの電気に対する家計費負担はむしろ減っているではないかと。


■「うちは20%節電した」「うちはそれ以上やった」

堀: 孫さん。節電に関しては後において・・・先ほどの計算根拠をちょっとおうかがいしたいのですが、0.5円しか1キロワットアワー上がらないんですね? 太陽光を入れて。

孫: 太陽光と風と地熱とバイオといろんなもののミックスですよ。それぞれに何キロワット、というのは経産省がそれなりの仮定をはめて、彼らができるであろうと。僕はそんなささやかな数字じゃなくてもっと頑張ったら、という説ですけど、彼らは現実的に考えて3500万キロワットかなと。彼らがそのミックスを計算して言ってるわけですから、その数字に疑問があったら僕じゃなく彼らに聞いてください。

堀: まぁ、もちろん。その数字を使ってらっしゃるのでおうかがいしただけであって。売電価格が太陽光でいうと20円くらいで考えてるという風に・・・。

孫: いやいや彼ら(経産省)40円前後って言ってるじゃないですか。

堀: 40円? 40円で考えてこの数字。おそらく太陽光のポーション(部分)は相当小さい可能性がありますね。ちょっと調べてみたい。

孫: あとでお調べください。それは経産省がそれなりに、太陽光と地熱と・・・地熱は24時間、年がら年中いけますからね。発電容量に対しては「発電量」は結構あると。ちなみに僕はモデルケースを呼び水としていくつか作りますと言っていますが、メガソーラーの太陽光だけではなくて、地熱も風もやるということを何回も最初から言っています。どっかの誰かが、「うちが風力の会社に頼まれて10億円出資した」、「そのことを黙ってやった」、「けしからん」とか大騒ぎしている人がいますが、とんでもない。私は最初から風(風力発電)もやると言ったじゃないか。聞いてから非難してくれと。地熱もバイオもやると言ったじゃないかと。一通りモデルケースはやってみますと。最初の第1日目から言っていて、それを隠してやったみたいなことを言われるのは心外だと。「政商」だと言われるのも心外だ。

堀: 今日は一言も使っていませんけれど。

孫: 今日は言ってないけど、以前から言ってるじゃないか。以前から何回も仰っているから言っているんだ。

堀: 節電に関しておうかがいしたいのですが。孫さんの会社は節電どのくらいされてますか?

孫: オフィス部門では30%です。

堀: その電波の・・・。

孫: ピーク電力に対して30%です。例えばピークの時というのは、昼の1時〜4時くらいですけれども。その時はiPadタイムというのが我が社にはありまして。PCを全部消せと、全部iPadに代えろと。うちは全社員がiPad、iPhone持っています。iPadにするだけで、iPadには蓄電能力がありますから、ピークでない時間に蓄電しておいて、ピークアワーには蓄電されているiPadからの電池を使ってメールだなんだと仕事をこなしましょうと。それをするだけで節電ってガーンとできてるんです。ですから我が会社の少なくともオフィス部門においては、ピーク電源に対して約30%の節電。世の中からの要求は15%、だけど我々は率先して30%の節電ということをやってます。

堀: トータルでどれくらい節電されてますか。例えば電波も含めて。

孫: いや、基地局を止めるわけにはいかないです。それは病院を止めるわけにはいかないというのと一緒で。我々が基地局を止めたら、皆さんからすると携帯を止められて困ると。ただでさえ電波がつながらないのにとか・・・また言われるでしょ。ねえ。

会場: (笑いが起こる)

堀: いや、僕は「止めろ」と言っているわけではなくて。

孫: だから「止めろ」と言われてもそれは困るけれども。せめてそれはライフラインとして、政府も病院だとか通信の基地局とかは継続しておやりくださいということで。その分我々としては自発的にオフィス部門においては、ピークから30%カットということをやっている。御社はどのくらいやられているのですか?

堀: うちはほとんど微量ですからね、使っているのが。

孫: 微量でも何%?

堀: 15(%)とか20%やってますよ。

孫: 我々は少なくともそれ以上はやっています。(そのことを)申し上げておきます。

会場: (笑いが起こる)

堀: 僕は節電に関して申し上げたかったのは、いま「22%節電やった」と言いますが、それがどれだけの影響を企業、特に製造業に与えているかということです。これは簡単に節電できるじゃないかと言って命令が出ているわけです。そのためにいま、何とかマネージできて、今日もチラッと見たら東北電力で予備率が3%で急遽、東京電力から電力をまわしたと。

 幸い今のところまだ暑くないですから、これで暑くなった段階でどうなるかというのは見なければならないのですが。その節電のためにどれだけの影響を及ぼしているか、それがどういう形で企業の空洞化を含めたあるいは企業の競争力に働いているかというのは、簡単に節電すればいいじゃないかと言いますが、そういう問題ではないと思うのです。しっかりとそういった電力の、経済の柱である電力というものをきちんと安定的に供給していく、しかも可能な限り安い値段で供給していくことが僕は重要だと考えています。

「コンバインドサイクルで発電容量は1.6倍」 孫正義×堀義人 対談全文書き起こし(5)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw97275

(協力・書き起こし.com)

=転載終了=  

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コメント
 
01. 2011年8月08日 18:11:29: rZFD7jqM6Y
堀さんは孫さんより若いが体制の中で生きてきた人――実際の出自、経歴がそうですが――なのが、この対談からもわかります。
同様に対談には、外から体制の隙間を見て起業し体制の一員になった孫さんの一端も出ているように思われます。

対称的な生まれの二人ですが、企業家としての能力に出身は関係ありません。
自分と相手の出身による印象を、どうコントロールするかを含めての企業家の能力ということになると思います。

相手の印象を第三者にどうあたえるかに重心がかかりすぎたり、相手に詰めて訊かれると話をそらしたり、事業家然とした孫さんの言に比べるとPR担当の若手重役みたいな感じが否めない感想です。大きく失敗も成功もせず、そつなくこれからもやっていかれると思います。


02. 2011年8月08日 18:13:34: rZFD7jqM6Y
( )内が抜けていました

(堀さんは)相手の印象を第三者にどうあたえるかに重心がかかりすぎたり〜〜


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