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児玉龍彦・東大教授に聞く 国土への思いが、子どもと妊婦を守る思想の原点 (ダイヤモンド・オンライン) 
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/720.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 8 月 22 日 02:32:17: igsppGRN/E9PQ
 

児玉龍彦・東大教授に聞く 国土への思いが、子どもと妊婦を守る思想の原点
http://diamond.jp/articles/-/13615
2011年8月18日  ダイヤモンド・オンライン

児玉龍彦
(こだま・たつひこ)
東京大学先端科学技術研究センター教授/アイソトープ総合センター長。 1953年東京都生まれ。筑波大学附属駒場中学・高等学校を卒業後、東京大学医学部に入学。77年同校卒業後、東京大学医学部附属病院医師、85年マサチューセッツ工科大学研究員、96年東大先端科学技術研究センター教授(現任)


「私は、満身の怒りを表明します!」――7月27日、東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授は、衆議院厚生労働委員会の参考人として、現在の放射線対策を痛烈に批判した。福島原発の事故で放出される放射線の総量は、広島に投下された原子爆弾と比較して、「熱量で29・6個分、ウラン換算でも20個分」に当たるという、衝撃的な推定値を明らかにし、除染作業と食品汚染検査の徹底を提言した。時間にしてわずか15分程度。だが、その発言はインターネット上で急速に広がり、大きな話題となった。遺伝子解析による創薬研究で世界的に知られる科学者が募らせる、危機感と焦燥――臨床医らしく普段は穏やかな児玉教授の熱い行動の原点には、何があるのだろうか。


――国を痛烈に批判した参考人としての発言は、大きな話題になりました。

児玉 驚きました。まったく予想しないほど多くの方から、励ましや批判、心配を頂いて、有難いですよね。

 一番多かったのは私の発言(「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は何をしているのですか!」)について、東京大学の人にそんなことを言われたくない、という批判です。つまり、東大がこれまで、原発や内部被曝に対する注意をきちんと啓蒙してきたのか、ということですよね。

 第二には、感情的になるな、ということです。あなたは教育者、研究者なんだから、もっと冷静に話すべきだ、と指摘されました。

 第三に、法律違反を奨励するような言い方は止めて頂きたい、という点です。この点は趣旨が伝わらなかったので会見で訂正しました。無論、皆に奨励しようとして申し上げたわけではありません。除染作業中に見つかった高線量の土壌などを、現地に置いて帰るわけにはいきません。現行法で規定されていない緊急の除染と測定を行うため、やむを得ず、二重のビニールに包んだうえで密封式のドラムに入れ車に積んで最上級の取扱資格を持つ者で厳重に持ち帰った、そうせざるを得ない現状だった、という点を訴えたかったんです。

――法を犯してでも必要に駆られて作業をされています。発言後、政治家などで具体的支援を申し出てきた人はいましたか。

児玉 ただちに、民主党で原子力災害現地対策本部長の田嶋要さん(経済産業相政務官)が、先端科学技術研究センター(以下、先端研)の研究室に見えられ、善処を約束されました。みんなの党代表の渡辺喜美さんには勉強会に呼んで頂き、みんなの党として超党派の議員立法をよびかけて下さっています。新党日本代表の田中康夫さんも、テレビ放送に呼んで下さり、立法を支援して下さるそうです。共産党の笠井亮さんも国会議員会館に政策立案の方を集めた場に呼んで下さり、子どもを守る政策を発表してくれています。社民党は(参考人招致に)お呼び下さった阿部知子さんと共に、代表の福島みずほさんからも励ましのお電話をいただきました。

 ほとんどの党派の方が、子どもと妊婦を守ることで一致されています。15日には、首相官邸から招聘され、菅直人総理大臣に訴えに参りました。

――ただ、政権交代の微妙なタイミングですよね。

児玉 それはそうですね。

――児玉先生は熱意を持って「子どもと妊婦の安全」を訴え、感極まるシーンも見られました。もちろん、子どもや妊婦は放射線の悪影響を受けやすいわけですが、特に重視されるきっかけとなったご経験や研究があるのですか。

児玉 国土というものに、思いがあるんです。国土は父や母から受け継いで、子どもや孫に伝えていく物です。つまり我々が所有している土地や家も“借り物”に過ぎません。

 私も、住宅ローンを背負って生きてきました。28歳のとき2人目の子どもができ、住宅ローンでマンションを買い、47歳でそれを売って土地を得て家を建ててきました。まだ65歳の定年まで住宅ローンがあり、土地と家にはこだわりがあります。年老いた母や、お嫁さんや、孫にとって、楽しい家にしたいという思いがあります。弱い家族を守るために建てているわけです。その土地が福島原発事故で汚染されたとき、どう思うでしょうか。

 日本の国土というのは、弱いものを大切にする、子どもと妊婦に優しいものでなければならない。我々の世代の科学者はとてつもなく重い責任を負ったと思っています。子どもや妊婦が住めない汚染された国土を作り、それを当然と思うことは許せません。

――政府の放射線対策は、今なお「子どもと妊婦を守る」視点が欠けています。

児玉 失敗をした人は言い訳を考えてしまいがちです。その点では、政府も、原発を推進した自民党や公明党も、それを進める学者を量産した東京大学も重い責任を負います。子どもと妊婦が安心して住める国土を取り戻すこと、その努力でしか反省は示せないでしょう。

■複雑な生命や社会をみるとき本質を理解すれば「予測」もできる

――低線量被曝の危険性については、いまだ意見の分かれるところです。しかし児玉先生は、現時点で悪影響が疫学・統計学的に証明できていなくても、将来起こると予想される被害を縮小する手を打つべきだと主張されました。

児玉 チェルノブイリの甲状腺癌はヨウ素が大きな原因と考えられます。1991年頃にベラルーシの医師から甲状腺癌の患者が増えていることが報告されましたが、当時は疫学的に明らかでないと言われ、やっと2005年になって患者4000人、死亡者15人が出てからコンセンサスになったわけです。

 1つの経過が終わった後に、原因を探るという学問的作業はそれとして、21世紀に生きる我々は、もっとこれから起こる障害や事態を予測、シミュレーションして事態に対処することが大事です。今、求められているのは、問題解決の学問、「シミュレーションの科学」のはずです。

 しかも、放射線の健康被害に関する知見は、ゲノムの解読前後で一変しています。以前は、細胞がガン化する「メカニズム」ではなく、単なる「確率論」で論じられているに過ぎませんでした。しかし今や、どの染色体が影響を受けて、どんな病気になる、という点が明らかになっています。

 たとえば、チェルノブイリの汚染地域にいた子どもの甲状腺乳頭ガンでは、染色体7番のq11領域の遺伝子が、通常2コピーのはずが、3コピーになる異常がみられる特徴が分かっています。

 内部被曝は、主に食事で生じます。膨大な汚染が基礎になり、食品の汚染がおこると、系統的検査で対応するとしてもそれは受け身の対応です。本当に前向きに対応するなら、土壌中のセシウムの総量を減らすしかありません。

 すでに福島県内の母親7人の母乳から、高濃度のセシウムが検出されていますが、体内のセシウムは時間を経るごとに排出されて下がっていく。とにかく今以上のセシウムを摂取しないことが大切です。今回のセシウム汚染は、3月15日に大半が、21日から数日で一部が放出された一過性のもので、かなり除染で取り除けるのが特徴です。

――これから起こることを予想する、というのは、先生が研究されている「システム科学」の考え方ですね。

児玉 システム科学とは「予測の科学」ということに尽きる、と思います。

 複雑な生命や複雑な社会を見るときは、問題点の表面的な属性を見るだけでなく、本質を動かすメカニズムを理解するのが大事です。人は頭で属性から考えがちです。だから放射能汚染を考えるとき、本質の総量の問題(膨大な放出)か、属性の濃度の問題か、という議論も起こるわけですが、本質から捉えなければいけない。

――未曾有の事態への対応・対策に、最新の知見や技術が活用されていないことも指摘されていました。そんなものなのか、俄には信じられませんが。

児玉 すごくやっぱり、最新の科学の知見を活かすという難しさですね。結局、今の学会や原子力村のなかに、ゲノム科学やイメージングなど最新の科学技術を知る専門家がいないんだと思う。

 一番問題だと思ったのは「プルトニウムを飲んでも大丈夫」(大橋弘忠・東大教授の発言)という発言です。これは政治的な意味の批判ではなくて、科学の方法論として理解してもらいたいのですが、2〜3年の経過をみる動物実験と人体で20年後に実際に出る影響との違いは、当然考えないといけないわけですよね。科学者として、時間スケールの見方は非常に大切なことです。

――先生の提言には法改正や委員会・除染研究センターの設置など、政策も盛り込まれていました。科学者でそこまで言及されるのは珍しいと思います。この政策提言も「問題解決の学問」の延長線上で導きだされたのですか。

児玉 そうです。

 放射線問題は常に、過敏とも言える厳重な法的規制と向き合ってきました。原発事故が起こった途端に、それまでの厳密な法律を忘れ「直ちに健康に問題はない」と言った枝野(幸男)官房長官に、ものすごい違和感を覚えました。

■15歳のとき魅力を知った遺伝子工学 今もそれを追求し続けている

――肝臓内科医、ゲノム研究、創薬と歩んで来られました。臨床と研究の両方を手がけられるのは、先生が先端研に移られた当時珍しかったとか。

児玉 今は、臨床と研究をやることは珍しくないです。ここ(先端研)にも多いですよ。

――アイソトープ(同位元素)に関する知見を、しかし今回のように大規模な測定・除染作業に活かすことになるとは、想像されなかったのではないでしょうか。

児玉 私の原点は、高校の恩師、貝沼喜平先生(生物)の教えにあります。生物部で一年のとき枯草菌の実験を、2年のとき大腸菌の遺伝子工学を、3年でファイX179ファージの実験をやらされ、遺伝子工学の魅力にとりつかれたんですよ。

 15歳の時にたたきこまれた遺伝子工学を活かして、内科医としては病気を治す治療法をつくることを考え、創薬においては病気のメカニズムを明らかにすることを考えているに過ぎません。自分のなかでは、絶えず1つのことと捉えてやってるわけです。今回の一連の活動もそうです。

――児玉先生がかつて貝沼先生に薫陶を受けられたように、今の学生・研究員さんには何を伝えたいですか。

児玉 強いて言えば、「科学者は属性でなく本質を議論しなさい」ということに尽きます。

 貝沼先生は当時にして、「これからはDNAの時代です」と中学生や高校生に教える慧眼を持っておられた。20年、30年、50年後に大切なことを教えられる教師こそが、真の教師です。それと比べると自分はいつも道端のヤギのションベンのような恥ずかしい存在に過ぎない気がしています。

 

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コメント
 
01. 2011年8月22日 07:17:07: CgPxaWt6OI
 ヤギの乳は健康にいいと言われて、子ども時代呑んだことがある。当今のヤギは道端からさっさと安全圏に自主的に避難しているに違いない。結構賢い動物だよ。人間よりはなあ。

02. 2011年8月22日 20:33:03: kv0iZSiaVk
>問題解決のための学問、「シュミレーションの科学」
児玉氏がシュミレーションを問題解決に使っているから良い。


管政府がスピーディのシュミレーション予測を使用せず多数が被曝に
管政府が福一事故原因はシュミレーションの結果、津波とIAEAに報告
管政府が福一の原因調査結果前にストレステストのシュミレーションで気休め

管政府はシュミレーションを問題解決でなく隠蔽に使っていたね>田嶋要さん


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