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「原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査」(第W期 平成17年度〜平成21年度)概要
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/875.html
投稿者 sci 日時 2011 年 8 月 28 日 17:04:13: 6WQSToHgoAVCQ
 

この結論からは、もっと疫学的な調査研究が必要だが
累積線量との相関から考えれば、個人レベル(特に若年層)では低線量でも危険は避けた方が良いだろうし、今後の訴訟で、国が敗北する可能性は高そうだな

http://www.rea.or.jp/ire/gaiyo
 放射線防護の基準である線量限度は、わが国では国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を基礎にして定められています。

 ICRPは、短時間に多くの放射線を受けた広島・長崎の原爆被爆者等に対する健康影響の研究結果に基づき、放射線防護の立場から勧告をしています。すなわち、「放射線の人体に与える影響は被ばくした放射線量に比例した一定の割合で低線量域でも現れる」と慎重な仮定をして、その影響が社会的に容認できるレベルとなるように線量を制限するという考えをとっています。

 しかし低線量域放射線の長期被ばくによる人体への影響は十分には確認されていません。このため、低線量域の放射線による被ばくが健康に与える影響について科学的知見を得ることが必要と考えられています。

 本調査は、原子力発電施設等で放射線業務に従事した者および従事している者を対象とした放射線疫学調査であり、低線量域の放射線が人体に与える健康影響についての科学的知見を得ることを目的としています。

 放射線が人体へ与える影響には、「しきい値」といわれるある一定の量以上の放射線を受けた場合に、被ばく線量に応じて現れる皮膚障害や不妊のような「確定的影響」と、被ばく線量に比例した一定の割合で現れるがんや遺伝的影響のような「確率的影響」とがあります。これらの影響のうち、本調査では主に放射線によるがん死亡への影響について調べています。

調査の実施と経緯

 文部科学省は、原子力発電施設等で放射線業務に従事する者を対象に低線量域の放射線被ばくが人の健康、特にがんによる死亡にどのような影響を及ぼすかどうかを明らかにしようとする疫学調査を、(財)放射線影響協会に委託して、平成2年11月から開始しました。

これまで(財)放射線影響協会ではほぼ5年毎に調査の結果を取りまとめてきました。現在、平成22年3月に文部科学省へ提出した調査報告書「原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査」(第W期 平成17年度〜平成21年度)が最も新しい結果です。
 この第W期調査結果報告書の全文(PDF)はこちらでご覧いただけます。

今回の第W期調査結果は、前回第V期の平成16年度までの調査実績に、その後の平成17年度から平成21年度までの調査実績を加えて集約したものです(第T期調査(平成2年度〜平成6年度)、第U期調査(平成7年度〜平成11年度)、第V期調査(平成12年度〜平成16年度))。
調査の方法

調査の方法 調査は、調査対象者の生死を追跡して生死と死因を把握し、これと被ばく線量との関係を統計学的に解析することによって行います。

 調査対象者は、(財)放射線影響協会放射線従事者中央登録センターに登録された国内の原子力発電施設等で放射線業務に従事する者(放射線業務従事者)のうち放射線業務に従事したことがあるなどの一定要件に該当する者です。

 調査対象者の生死は、放射線従事者中央登録センターから調査対象者の登録番号、氏名、性別、生年月日等の個人識別情報を入手し、次いでこれらの者について原子力事業者等の協力を得て住所を調査し、当該住所地の市区町村長から住民票(除票を含む)の写しを取得することによって把握します。

 次に、死亡が確認された者について、厚生労働省の人口動態調査死亡票と照合することにより、死因を同定します。

 また、調査対象者の被ばく線量の累計(累積線量)は、放射線従事者中央登録センターに登録されている線量記録の提供を受けて計算します。
解析・評価の方法

 収集した死因、被ばく線量情報等は、統計学的に整理し、解析します。

 統計解析では、解析する対象集団について、死因別に死亡率を一般の日本人男性と比較するとともに、累積線量の多少と死因別の死亡率との関係の有無の解析を行います。

 疫学研究では、統計学的に有意な結果が得られた場合にも、それが必ずしも因果関係を検証したことにはならないことに注意する必要があります。

 そのため、統計解析の結果について、@調査に偏りがないか、A交絡因子の影響は取り除かれているか、Bこれまでの同様の研究結果と整合性はあるか、C医学的・生物学的に正しいものであるか等の視点から考察し、評価を行います。

 原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査では統計解析、評価にあたって、外部の放射線疫学、疫学統計学の専門家、学識経験者等で構成する解析検討委員会及び評価委員会を設置し、専門的、客観的な立場からの検討を加えています。

第W期調査の結果の概要

 第W期調査結果については、文部科学省より平成22年9月に原子力安全委員会、同年10月に原子力委員会に報告されましたので、その概要を以下に紹介します。
 

 第W期調査結果報告書の全文(PDF)はこちらでご覧になれます。
1 第W期調査結果の概要

 本調査では、平成11年3月末までに登録された男性従事者(退職者等を含む)203,904人を対象として死亡率の調査を行いました。この対象集団の平均累積線量は約13.3mSv、平均観察期間は10.9年でした。平成3年度以降の追跡調査により、合計14,224人の死亡を確認し、このうち悪性新生物による死亡は5,711人でした。
(1)全日本人男性死亡率と従事者の死亡率との比較

  (外部比較:20歳以上85歳未満における標準化死亡比)(表1)
(ア) 急性被ばくでは放射線の影響が比較的早期に現れるとされる「慢性リンパ性白血病を除く白血病」の標準化死亡比は、1.00(95%信頼区間0.84- 1.18)であり、前回調査(第V期調査)の1.03(0.82- 1.29)と同様、日本人男性死亡率との有意差は認められていません。なお、一般的な低線量・低線量率の疫学調査では慢性リンパ白血病は除外されています。
(イ) 「白血病を除く全悪性新生物」の標準化死亡比は、1.04(1.01- 1.07)で、死亡率が日本人男性死亡率より有意に高いことが認められています。なお、前回調査では、1.02(0.98- 1.06)で、有意差は認められていません。
(ウ) 部位別のがんの標準化死亡比は、「肝がん」1.13(1.06-1.21)、「肺がん」1.08(1.02-1.14)で、死亡率が日本人男性死亡率より有意に高いことが認められています。なお、前回調査においても、「肝がん」1.13(1.04-1.23)、「肺がん」1.08(1.00-1.17)で、いずれも死亡率が有意に高いことが認められています。
(エ) 「非新生物疾患」、「非ホジキンリンパ腫」および「多発性骨髄腫」の標準化死亡比は、各々0.95(0.92-0.97)、0.82(0.68-0.99)および0.69(0.48-0.96)で、死亡率が日本人男性死亡率より有意に低いことが認められています。
(2)従事者内での死亡率と累積線量の傾向性検定

   (内部比較:傾向性検定)(表1、2)
(ア) 急性被ばくでは放射線の影響が比較的早期に現れるとされる「慢性リンパ性白血病を除く白血病」については、前回同様、累積線量の増加にともなって死亡率が増加する有意の傾向は認められていません。なお、一般的な低線量・低線量率の疫学調査では慢性リンパ白血病は除外されています。
(イ) 「白血病を除く全悪性新生物」および「喫煙関連の悪性新生物」については、累積線量の増加にともなって、死亡率が増加する有意の傾向が認められています。しかし、これらの悪性新生物から肺がんを除くと有意の増加傾向は認められていません。
 また、「非喫煙関連の悪性新生物」の死亡率には有意の増加傾向は認められていません。
(ウ) 部位別に見ると、「食道がん」、「肝がん」および「肺がん」の死亡率と、また「非ホジキンリンパ腫」および「多発性骨髄腫」の死亡率については、累積線量の増加とともに死亡率が増加する有意傾向が認められています。
なお、前回調査では、「肺がん」、および「非ホジキンリンパ腫」については、このような有意の増加傾向は認められていません。
(エ) 部位別がんについては、16部位の検定を繰り返したので偶然有意となったことも考えられます。このため多重比較法を採用して検定した場合には、上記(ウ)に示す部位別がんはいずれも有意ではありません。
2.第W期調査の結論

 原子力発電施設等の放射線業務従事者を対象に、平成2年度から平成21年度まで調査した結果を総合すると、以下のことから、「低線量域の放射線が悪性新生物の死亡率に影響を及ぼしている明確な証拠は認められなかったと言える。」と評価されています。慢性リンパ性白血病を除く白血病の死亡率は、日本人男性死亡率との有意差はなく、累積線量と死亡率との関連も認められていません。
白血病を除く全悪性新生物、および喫煙関連の悪性新生物の死亡率は、日本人男性死亡率よりも有意に高く、また累積線量と死亡率との関連が認められています。ただし、これらの悪性新生物から肺の悪性新生物を除いた場合の死亡率、および非喫煙関連の悪性新生物の死亡率には、累積線量との関連が認められていません。
これらの事実を勘案すると、白血病を除く全悪性新生物による死亡率は、外部比較において日本人男性の死亡率より有意に高く、また内部比較において累積線量との有意な関連が認められていますが、生活習慣等による影響の可能性を否定できません。
表1 死因別解析結果一覧

表2  喫煙関連がん等に係る傾向性検定の結果

(最短潜伏期; 10年、 年齢、暦年、地域を調整)
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