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日本の原発再稼働に潜むリスク (WSJ日本版) 
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/617.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 9 月 19 日 00:09:46: igsppGRN/E9PQ
 

日本の原発再稼働に潜むリスク
http://jp.wsj.com/Japan/node_307587
2011年 9月 16日 WSJ日本版


 【東京】京都大学名誉教授で、原子力安全委員会の耐震安全性評価特別委員会で委員長を務める入倉孝次郎氏は、日本の原子力発電所に関するガイドラインについて、地震や津波の最悪のケースを想定しておらず、改定の必要があるとの考えを示した。運転休止中の原子炉の再開を目指す政府の動きがさらに遅れる可能性が高まることになる。

 入倉氏はインタビューで、「新規も含めて(原子力)発電所は、最低でもマグニチュード9の地震と15メートルの津波に対して対策を実施する必要性がある」と指摘した。原子炉のいわゆるストレステストに使われる基準の改定には、数カ月ではなく数年かかりそうだという。

 日本政府は地方自治体に対して、東日本大震災のあとに休止した原子炉の運転を再開するよう促してきた。福島第1原発に対する懸念は、ストレステストにより和らげようとしてきた。

 運転再開ができなければ、日本は原子力発電による電力をすべて失う可能性があるだけに、この問題についてのコンセンサスを得ることは非常に重要である。日本の商業用原子炉は、13カ月ごとに点検を受けなければならない。3月11日の大震災のあと定期点検のために休止した原子炉は、1基も運転再開を認められていない。その結果、全部で54基ある原子炉のうち、11基しか稼働していない状況となっている。これら11基も、来年5月までには定期点検のため休止される。

 規制当局は、すべての原子炉が来年はじめまでにストレステストを受けるよう命じている。ストレステストとは、原発が地震や津波、電力の欠如といった異常な状況に耐える能力を測るものだ。共同通信によると、これまでに休止している13基でテストが始められたという。

 だが、ストレステストの基盤となっている基準は、東日本大震災のような巨大な地震や津波を想定したものではない。2006年にその大半が作成されたガイドラインは、政府内外の専門家から疑問視されている。入倉氏の委員会は来年3月までに報告書を出す予定だが、そこでは既存のガイドラインのなかで修正すべき箇所が示される。

 こうした状況により、政府が原子炉運転再開に向けて動いているにもかかわらず、地方自治体はためらいを見せている。

 福井県の西川一誠知事は15日、東京で枝野幸男経済産業相と会談したあと、現在のストレステストでは不十分と述べ、地方自治体は原子炉の再開の前提として、福島第1原発規模の災害を想定した厳しい基準を求める可能性があることを示唆した。福島県には日本の都道府県中最も多い、13基の原発がある。

 岩倉氏が委員長を務める委員会は、福島からの教訓について研究している。同氏は、新たなガイドラインをつくるプロセスは長期的なものになるだろうと言う。2006年の改訂にも5年がかかり、その後も津波に対処する基準を修正するため、2010年12月まで4年の歳月を要したという。入倉氏は2006年の基準を作成する委員会にも所属していた。取材の中で入倉氏は、そのプロセスに欠けていたと思われるものについて振り返った。

 入倉氏は、最悪のケースについては焦点を当てなかったと言い、津波のような異常値について評価はしたが、それらに注意すべきだとしただけで、必ずしもそれが起こることを考えるようにとはアドバイスしなかったと話す。

 大震災前に決めた基準が非常に楽観的なものとなった理由の1つとして、入倉氏は国内外の原子力業界からの圧力を挙げる。原発運営企業は、原子力安全委員会が過剰なルールを押しつけようとし、最新の工学技術に追いついていないとして批判した。

 入倉氏によると、原発の技術者からは基準を緩めるよう大きな圧力を受けたという。彼らは2006年の基準が厳しすぎ、商業用原子炉では経済的に見合わないと考えた。科学的なデータでは解明できない部分について原発エンジニアたちは、科学が解決できない疑問でも、先進的なエンジニアリングなら解決できる可能性があると話したという。

 業界が2006年に基準を緩めるよう圧力をかけたのに対し、一部では基準が甘すぎるとの批判もあった。たとえば、基準の緩和を求める声に押されて、原発は岩盤の上に建設しなければならないとの要件が、「十分な支持性能がある地盤」での建設に変更され、そうした点が批判された。委員会のメンバーだった神戸大学名誉教授の石橋克彦氏は、ガイドラインが認可される前に、最後の会合で辞任した。同氏は規制が弱められたと考え、それに対する抗議を示したのだ。

 石橋氏はこの記事へのコメントは控えたが、福島第1原発の事故のあと、日本の原発はどれも安全とは考えられないと発言している。だが、入倉氏はこの結論を受け入れず、石橋氏の懸念は2006年のガイドラインにも生かされていると言う。

 入倉氏の委員会は、巨大地震や津波への防御の観点から、福島第1で何が問題だったのかに関して新たな見解を投げかける。東京電力の資料を用いて、同委員会は電源喪失を引き起こすきっかけとなった多数の弱点を発見した。電源喪失が原子炉3基のメルトダウン(炉心溶融)につながり、福島第1原発の大規模な損傷が起こった。

 取材の中で入倉氏は、これまであまり注目されていなかった問題点を指摘した。原子炉を冷やすのに必要な発電機が津波で使えなくなったことは広く知られているが、入倉氏は、地震により地盤が動いたことで外部の送電線が機能しなくなり、外部電源が断たれたという。

 発電所に向かって、あるいは発電所から伸びている送電線は、重要な機器としては分類されていなかった。したがって、送電塔は発電所の他の設備ほどしっかりとした場所には建てられていなかった。その結果、重要な送電塔の1つが、津波に襲われなかったにもかかわらず倒れてしまった。

 入倉氏は、その送電塔が倒れなければ、メルトダウンが起こる前に電力が回復できていたかもしれないと言う。同氏は、分類基準を一度破棄し、重要な原子力機器の定義を広げる必要があると話す。

 また、仮に福島第1原発の海水タンクが海岸近くの外部に露出した場所になかったとしたら、事故は防げたか、少なくとも小さくなった可能性があると、入倉氏は言う。10キロ先の福島第2原発では、海水タンクが頑丈な建物の内部にあり、津波の影響を受けなかったという。

記者: Chester Dawson

 

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