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時代の風:放射性物質汚染とデモ=精神科医・斎藤環「顔なきシステムと闘う」
http://www.asyura2.com/11/genpatu17/msg/168.html
投稿者 ジャック・どんどん 日時 2011 年 10 月 03 日 11:07:55: V/iHBd5bUIubc
 

時代の風(毎日新聞)http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/

時代の風:放射性物質汚染とデモ=精神科医・斎藤環

 ◇顔なきシステムと闘う

 「文部科学省及び群馬県による航空機モニタリング」の結果が、9月27日に発表となった。広域の放射性物質による影響や避難区域等における線量評価や放射性物質の蓄積状況の評価のためになされた調査である。

 この結果を見る限り、放射性物質による汚染の広がりは、予想以上に深刻に思える。茨城県南部や千葉県北西部はもとより、群馬県や栃木県にも高い蓄積量を示す地域(ホットスポット)があるのがわかる。

 群馬県は山間部などで線量が高い地域があったため実測調査を実施したが、土壌撤去など除染の目安とされる毎時1マイクロシーベルトの半分以下で、「健康に影響がないレベル」と発表した。

 しかし汚染地図を見ると、福島県から遠く離れた群馬県にすらチェルノブイリ事故の際の基準でいえば「放射線管理区域」(1平方メートル当たり3万7000ベクレル)に該当する場所があり、あらためて事故の影響のはかり知れなさに愕然(がくぜん)とする。加えて東京都に関してはまだ調査結果が公表されておらず、さらに汚染地域が広がることも懸念される。

 年間100ミリシーベルト以下の低線量被曝(ひばく)による放射線被害は、確率的であるとされる。汚染地域内でも線量のむらは大きいし、体内に取り込まれて内部被曝が生じた場合でも、年齢や性差によって影響は異なってくる。

 それゆえ、影響の大きさを事前に予測する手がかりはほとんどない。いや、実際に障害が生じた場合ですら、内部被曝との因果関係を証明することはきわめて困難だ。なにしろチェルノブイリ原発事故についてすら、健康への影響についてはいまだ一致した見解が得られていないのだから。

 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は2008年の報告で、6000例を超える小児の甲状腺がんは原発事故と関係があるとしつつも、他のがんについては、そうした関連性を示すエビデンス(根拠)はないとしている。しかし医学的エビデンスが存在しないことがただちに「因果関係の否定」にならないのは言うまでもない。

 しかし、もはやエビデンスを待つ段階ではない。東京電力による「想定外」、ないし「人災ではない」といった“言い訳”によって決定的となったのは、絶対に無事故の原発が原理的にありえないという事実だ。だとすれば原子力発電所は、ただ存在するだけで私たちの生を確率によって汚染するという“原罪”を帯びることになる。

 もちろんその電力を求め消費したのは私たちだ。しかし性急に自己責任を問う前に、考えておきたいことがある。

 この種の「原罪」は、もはや単純に、自然にも人間にも帰すことができない。ジャンピエール・デュピュイはそれを「システム的な悪」と呼ぶ(「ツナミの小形而上学(けいじじょうがく)」岩波書店)。

 「私たちの行く手を阻む大災禍は、人間の悪意やその愚かしさの結果というよりも、むしろ思慮の欠如(thoughtlessness)の結果なのだ。(中略)そこでの悪は道徳的でも自然的でもない。その第三種の悪を、私はシステム的な悪と呼ぼう」(デュピュイ、前掲書)

 デュピュイはこの「システム的な悪」について、来日講演でドイツの哲学者ギュンター・アンダースの予言的な言葉を引用している。

 「われわれのせいで黙示録的な脅威にさらされているのに、世界は悪意なき殺人者と憎悪なき被害者が仲よく住む楽園の姿をまとう。そこには一(ひと)欠片(かけら)の悪意も見当たらず、あるのは見渡すかぎりの瓦礫(がれき)ばかりである」(http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/blog/Dupuy_japanese_2011.pdf)。これはヒロシマ・ナガサキの光景についての言葉だが、ここに「3・11後の日本」の姿を重ねずにすますことは難しい。

 システム的な悪。原発事故はその最悪の象徴である。私たちがその存在を求め、依存し、あるいは依存している事実すら忘れていた「電力システム」のもたらした「悪」。このシステムには「顔」がない。それは神のように遍在しながら同時に私たちの分身でもある。ここで生じた悪はただちに私たち全員を共犯関係に巻き込み、全員が共犯であるがゆえに、ただちに「責任」はうやむやになる。

 そう、放射線を浴びるまでもない。システムはすでに私たちを匿名化し、とうの昔に確率的存在に変えてしまっていたのだ。

 デュピュイは講演で次のように主張する。システムの悪における責任の問題を考えるという困難を乗り切るためには、「象徴的思考」に訴えよ、と。フィクションとしての集合的主体(「私たち」や「原子力ムラ」などの)を想定することが、それを可能にするだろう。

 顔を持たないシステムに対抗すること。それは私たちが「顔」や「名前」を持つ存在として「声」を上げることを意味するだろう。すでに都内では数万人規模の反原発デモが繰り返されている。この種の運動が久しくみられなかった「楽園」において、これは喜ばしい兆候だ。支援と擁護と参加をもって、その歴史的意義への肯定に代えたい。=毎週日曜日に掲載

放射性物質除染:1〜5ミリシーベルトでも国負担
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毎日新聞 2011年10月2日 東京朝刊

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久々にまっとうな物言いの、学者の論考でした。

「しかし医学的エビデンスが存在しないことがただちに「因果関係の否定」にならないのは言うまでもない。」その通りです。  

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コメント
 
01. 2011年10月03日 11:16:43: A4GQ7o9O02
「顔なきシステムと闘う」顔なきシステムではなくて、具体的に個々、個人、企業のことがぼやけてしまうのではないかと反省です。

02. 2011年10月03日 11:35:42: 20PrQniAAg
「顔なきシステム」なんかいっているときではない。
そんなことは原発の事故収束から数年立ってから、難解な哲学すきが、仲間どうしでサロンで語ればいいことだ。

いま大事なことはアメリカのようにFBIや議会が動いて、ちゃんと東電幹部や福島の利益誘導の構造暴くために議員たちを国会に召喚するなり逮捕するなりして、事故の原因をさまざまな角度から追究することだ。
それが日本というシステムの欠陥を暴くことになる。
(もっともそんなことはこの痴呆の国では夢のまた夢だが。)

>システムはすでに私たちを匿名化し、とうの昔に確率的存在に変えてしまっていたのだ。

そんなこと知るか! おれは目の前のものしか信じない。
東電幹部、佐藤現福島知事、通産省幹部らを根こそぎ逮捕して、徹底的な取調べをする道がないのなら、将来もこの国は同じことだ。


03. 2011年10月03日 11:43:29: lfp5AKicNA
医学的エビデンス云々よりも、他人様の庭に毒を撒いて撒かれた人の意志を無視する行為はいかがなものかと思う。その程度の汚染なら気にしないよと言ってくれる気のいい人から、除染してくれればいいという人、そんなケチのついた土地は嫌だから相応額で買い取ってくれという人までいろいろいるだろう。放射性物質を撒き散らされた被害者の意見も聞かず、あなたの土地は除染、あなたは放置と決めつけるのはおかしい。
これが許されるなら原発が爆発するとプルトニウムやストロンチウムが飛んでくる80キロ圏の土地の財産価値はほとんどなくなり、セシウムの飛んでくるおそれのある400キロ圏内風下地域の地価は暴落するだろう。

04. 2011年10月03日 11:59:45: A4GQ7o9O02
「しかし、もはやエビデンスを待つ段階ではない。東京電力による「想定外」、ないし「人災ではない」といった“言い訳”によって決定的となったのは、絶対に無事故の原発が原理的にありえないという事実だ。だとすれば原子力発電所は、ただ存在するだけで私たちの生を確率によって汚染するという“原罪”を帯びることになる。」

存在そのものが悪である。


05. 2011年10月03日 12:03:04: A4GQ7o9O02
02、03様 その通りでございます。
未だに緊急事態が続いてるのに、観念・ことばのお遊びはいけません。反省します。

06. 2011年10月03日 14:24:39: JywhpcJSgQ
斉藤先生、精神科医ですが、もし福島の開業医だったら、放射能汚染に怯え暮らし、避難だなんだで家族や友人との関係がギクシャクしてしまい、精神的にまいったひと、不眠に悩むひと、にどういうお話をするのか、伺いたいところです。

睡眠薬や安定剤は対処療法にしかならないけれど、国の発表を信じて、とりあえずお薬飲みましょうね、なのか、ストレッサーから離れて安心して暮らすのが一番、と助言したりするのか。

難しいお話もいいですが、現場の精神科医としての発言も待っています。


07. 2011年10月03日 16:30:07: uhfphjKG6M
>06さん
たとえ本音では、ストレッサーから離れるのが一番と思えども実際は口にすることはないでしょう。仕事が忙しすぎてうつ病になってしまった人に仕事をやめれば軽快しますと言えないことと同じで、他人様の人生にそこまで責任は負えないのではないでしょうか。
加えて、開業医は自営業者なのでよほどの資産家でないかぎり、多くは多額の借金を抱えての開業ではないでしょうか。妻子は逃がしても自分は逃げるわけにはいかないのが現状と思います。

08. 2011年10月03日 20:38:45: vdhStLIsUE
斉藤みたいなタレント精神科医になにを期待するのだよ。w
ばかじゃねえか。w

09. 2011年10月03日 22:04:46: HYHUspnQ6g
斉藤環氏、分析が甘い。もっとフロイトをちゃんと読むべきだ。耄碌・老いたか?

>システム的な悪

そうじゃない。原子力村・原子力マフィア連合が、放射能を巻き散らかしたのだ。こいつらが悪い。こいつらのネットワークが悪いのだ。顔なきシステムとかは、とんちんかんな分析なのだ。

具体的に言うと、「政府(経済産業省―保安院[エネ庁]/文部科学省)・原子力関連企業(東芝・日立・三菱重工・石川島など;裏の顔を軍需産業)・電力会社・マスゴミ(広告費で飼われている)・学会/大学(研究費で飼われている)・自民党(献金で飼われている)」が、原子力村マフィア連合だ。斎藤氏は、こいつらが悪いとはっきりいうべきだ。しかし、明言すればタレント文化人を引退しなければならないだろう―言うなら覚悟をもって言わねばならない。タレントとして出演料・講演料・執筆料は「しのぎ」の一部だから、このような曖昧な言い方をしているのだ。斎藤氏は、脱原発を明言すべきだ―もう十分稼いだだろう。


10. 2011年10月03日 23:33:35: G0fkoMjiOQ
顔なき原発への脱原発で敵意を逸らせる目的に限り東電の非難が許可されるということ。

11. 2011年10月04日 09:49:09: JywhpcJSgQ
06です。>>07さん
医者にとって治療に来るのは「他人様」ではなく「患者さん」であってほしいと思います。>>09さん
>>タレントとして出演料・講演料・執筆料は「しのぎ」の一部だから、このような曖昧な言い方をしているのだ。

同意します。

お医者さんなのに、精神科医なのに、この時代にこういう感覚でいるなんて、どうかしてると思ったんです。
すごく腹がたったんです。


12. 2011年10月04日 18:25:45: 5VmIBssrxo
さすがにネオリベ精神科医も放射能は怖いと見える。

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