【福島・飯舘村】 「先ず帰還ありき」 農業の現実に目を背ける政府
http://tanakaryusaku.jp/2011/10/0002975
2011年10月5日 00:26 　田中龍作ジャーナル

　緊急時避難準備区域に続いて国が解除を目論むのは計画的避難区域だ。緊急時避難区域と同様、除染が頭の痛い問題となる。東電福島第一原発から最も近い所で北西に30キロ離れた飯舘村は、事故から一ヵ月間、たっぷりと放射能を浴びた後、計画的避難区域に指定された。

　菅野典雄村長は先月28日、総額3224億円からなる除染計画をまとめた。除染計画には先々困難を極めるであろう問題が2件ある。1件目は一次貯蔵施設だ。村には国有林が多いことから、いずれかの国有林の一角に施設を設けるものと見られている。

　海抜の高い飯舘村は相馬市、南相馬市などを流れる川の上流にあたる。飯舘村だけでなく下流域の自治体も放射能汚染する危険性があるのだ。

　ある村人（30代男性・自営業）はこんなことを話す。「沖縄県民あげて普天間基地の立ち退きを叫んでも、基地は動かない。貯蔵施設も同じようなことになるんだろうなあ」。

　残る1件は、田畑の除染だ。田畑は通常の除染のような表面剥離では済まない。土壌が柔らかいため放射性物質が深く浸透しているからだ。猛毒プルトニウムは比重が重いためもっと深く浸透している。

　田畑の除染は学校のグラウンドなどと比べると深い所まで土を入れ換えなければならない。ところが、その部分こそが穀物や野菜、果物を育んできた肥沃な農地なのである。田畑の土を深い所まで入れ換えるということは、農地を殺すようなものだ。

　3日夜、福島県民ホールで「飯館村の今後を考える討論集会」が行われた。村で、長年かけて「オリジナルじゃがいも」を開発した女性が発言した。「頑張ってオリジナルのブランドができたのに、原発事故で畑が放射能汚染された。除染しても先が見えない。頑張りようがない」。

　「コストと労力をかけて作っても、汚染された地で採れたジャガイモに果たして値がつくだろうか？」という現実的な意見も出た。

　原発事故後、間もなく飯舘村に入り汚染状況を調べた京都大学の今中哲二助教が答えた。「除染でゼロになることはない。半分になればいい方。まして畑は無理。チェルノブイリも除染はあきらめた」。

　農業の現実に目を背けたまま帰還を急がせる、政府のなりふり構わぬ姿がある。

コメント
01. 2011年10月05日 09:23:58: B3FrSkvLWQ 除染費用３２２４億円という。 村の人口は６７２２人。 一人あたり４７００万円になるね。 家族３人だと、１億５千万円近くになる。 お金が総てではないが、私なら可能か不可能か分からない除染より、そのお金をもらい他所でのやり直しを望むね。
02. 恵也 2011年10月05日 10:13:22: cdRlA.6W79UEw : 1oOcRaMsMw >>　除染でゼロになることはない。半分になればいい方。まして畑は無理。チェルノブイリも除染はあきらめた この話は重い。 除染して半分になったって、そんな放射能入りの農作物は買う人はいないよ。 この今中氏はチェルノブイリを調べ上げ、その記事をずいぶん読ませてもらったが ごく一部に除染をあきらめた話はあったけど、農地の除染だとは思はなかった。 ＩＡＥＡという国際組織が新たに作った神話にも、今中氏は果敢にも個人で調 べて反論してます。 ーーーー引用開始ーーーー ＩＡＥＡによれば神話のひとつであろう、周辺住民における急性の放射線障害の 問題について詳しく報告した。 今月はその他の“神話”や“推測”をいくつか紹介しながら、チェルノブイリ事故 影響の問題をより幅広く検討する。 筆者としては、そうした“神話”や“推測”にこそ重要な事実の断片が反映され ており、そこに科学的アプローチを試みることが私たちの課題だと考えている。 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/GN/GN9705.html
03. 2011年10月05日 10:43:35: DYreqCbjLw >>01 この村はもともと冷害死者の本拠地みたいなものだから、 毎年膨大な補助金を与えて畜産業でもやらせなければ成り立たない場所。 村全体が移転してくれた場合の利益ははるかに大きいはず。
04. 2011年10月05日 12:45:07: 3bncRlqgg6 >>03 冷害死者の本拠地みたいなものだからとは いつの時代の話ですか？江戸・明治・大正の話か？ もう少し調査してからコメントを書け。 飯舘村の予算は大体年間50〜55億ぐらいで、8割近くは地方交付税なのは事実だ。 補助金等を畜産へ直接割り当てしているのは村の予算の1％未満だよ。 村の予算というか最大の事業は公共工事 農業がらみの水路や農道や溜池等々ですね。 医療や高齢者への福祉関連もこの10年でやっとまともになった程度 平成の頭ぐらいまでは、近隣の相馬市や原町市（現南相馬市）や福島市に 入院するのが殆んどだった。 汚染された飯舘村に帰って定住できると、飯舘村の人間が信じていると考えているのかね？ 若い世代を含む家族の場合は無理と分かっている。 無理を承知で帰りたいと願っているのは少数のジジババだけ。 3224億とは政府に突きつけた刃みたいなものだ。 さぁ政府と東電はどの様な落とし前、決着を付けるかを見るためのものだ。
05. 2011年10月05日 12:52:58: FUviF2HWlS 半減期30年の放射性物質は、150年後には32分の1になる。 150年後に安心して農業を始められるように考えたらよい。
06. 2011年10月05日 13:04:00: u3E6Ef3e1Q 国の態度が問題だよ。莫大な費用が掛る上に、結果も疑問な除染を「行う」と計画しただけで、避難区域の住民を元の場所に返そうとする。あるいは「帰れる」という希望を持たせておく。それって、とてつもない「罪悪」じゃないのか？
07. 2011年10月05日 14:44:55: DYreqCbjLw >>04 >>2は、>>1の計算の3224億にプラスして 交付金が毎年40億円（一人60万円）ならその数十倍〜百倍が得になるはず、と言ってるだけなのだが。
08. 2011年10月05日 21:33:12: sgolhP60mA ０１さん　の言うとおり、１人当たり４７００万円はひどい。 こんな計画を提出するなら、村長の経済観念を疑わざるを得ない、選んだ村民も。村の不振もそのせいか。
09. 2011年10月06日 15:21:13: f5tzEg8kPc 「死のまち」などといったら、それだけで被災者の心を傷つけ（たことになって）たたきつぶされます。もっとも、どういうわけか、原発推進派がそれを言ったことは、一度も問題になっていないのですが。 >>06さんのいうとおりですね。 今、福島では、（とくに福島市では）「除染」は、避難させないための口実です。福島市当局は、「避難させると福島の経済が縮小するから、除染で行く」と表明しました。 その背後に、県民を、高線量の中につなぎとめる佐藤雄平―山下俊一の県政があります。これが政府と呼応して、「除染」幻想を煽っています。
10. 2011年10月06日 21:52:57: zAkbk4mkW6 「除染」なんて無理、だいたい除染に使った水や除去した土や瓦礫等の放射能は無くならない、現実逃避でしかない絵空事だ。 費用対効果を考えると、残酷であるが棄県しかない。 又、国をあてにするな、福島県民は団結して国や東電に損害賠償請求すべし。

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