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川内原発1・2号機の廃炉を求める意見書採択を指宿市議会がすることを求める陳情及び意見書案
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/333.html
投稿者 taked4700 日時 2011 年 12 月 14 日 13:04:18: 9XFNe/BiX575U
 

(回答先: 川内原発廃止に関する指宿市議会議員への請願紹介議員になることのお願い 投稿者 taked4700 日時 2011 年 12 月 14 日 12:59:18)

平成23年12月5日
住所:********
氏名:****

 川内原発1・2号機の廃炉を求める意見書採択を指宿市議会がすることを求める陳情

 陳情の趣旨:次に述べる理由により、指宿市議会が川内原発1・2号機の廃炉を求める意見書を採択されることを陳情します。

1.九州電力川内原発は日本列島のほぼ西端にあり、もし福島第一原発と同規模以上の事故が起こった場合、沖縄以外の日本国土が全て居住不可能になるほどの被害を与えること。福島第一原発事故ではその漏れた放射性物質の99%は西風に乗って太平洋上へ降り注ぎました。もし、川内原発で事故が起これば、同様に西風によって汚染は中国地方から四国、関西、関東、東北、そして北海道にまで及んでしまいます。指宿市は川内原発の立地自治体ではありませんが、川内原発からの電力供給を受けてい、九州電力の管内の自治体として、日本全国へ被害を与える可能性の高い川内原発の危険性を指摘し、それを廃止させる義務があります。

2.川内原発を含めて、少なくとも日本の原発は全て大きな地震に対する耐震性が想定でしか担保されていず、現実の耐震性能は甚だ心もとないこと。福島第一原発事故は津波によって起こされたとされていますが、地震直後に少なくも1号炉は配管破断があったことが確実です。3月11日の大地震は確かにマグニチュード9の巨大なものでしたが震源域は福島第一原発から150キロ以上離れたところでした。原発所在地の震度は6強であり、福島第一原発で観測された最大加速度は横方向で550ガルで、2007年の中越沖地震などと比べて決して大きな揺れではありませんでした。中越沖地震では柏崎刈羽原発が同じく横方向の加速度で2058ガルを記録しています。中越沖地震はマグニチュード6.8であり、311の地震の1000分の1ほどの大きさでした。(マグニチュードが1大きくなると30倍の大きさになるため)更に、中越沖地震は柏崎刈羽原発から20キロ程度離れた場所で起こったものでした。もし、川内原発の近くで、または直下でマグニチュードが6以上の地震が起これば、川内原発が大きな事故に至ってしまう可能性は大変に高いのです。

3.実際の耐震設計が出来ていないこと。大きく分けて3つの問題点があります。第1に原発を大きな地震が直撃したことが世界でまだ一例もなく、どんな影響があるか分からないこと。仮に一般のビルや家屋のように建物自体が倒壊しないことが目的であればある程度の推定ができますが、原発の場合、建物自体だけではなく、複雑な配管や各種のポンプや炉心など原発の各部分の耐震性が保証されていなければならず、その耐震性は推定に推定を重ねたものであること。第2に、耐震性の計算に使うモデル波があまり多くなく、現実の地震による揺れの再現ができていないこと。モデル波は現実に観測された揺れの地震波を使います。しかし、原発が大きな地震に直撃された例がほとんどなく、そのため観測例が少ないのです。第3に縦波の影響がほとんど考えられていないことです。地震波は主に2種類あります。波の進行方向に90度の角度で揺れる横波と進行方向と同じ方向で揺れる縦波です。耐震設計で使われるのは横波であり、縦波についてはほとんど耐震設計の計算方法そのものがまだ開発されていません。これは縦波は減衰しやすく多少でも震源から距離があるとほとんど揺れが感じられないためです。関東平野は厚い関東ローム層により覆われてい、そのため関東地方での地震ではまず縦波の影響を受けることがないはずですが、原発は必ず岩盤の上に直接建設され、岩盤はたとえそれが泥岩や砂岩であろうと関東ローム層などの土壌よりも格段に良く縦波を伝えるため、原発はその直下で地震が起こると縦波の影響を大きく受けるのです。また、緊急地震速報は縦波による初期微動を捉えて本震である横波の警告をするものですが、もし直下型の地震が起こると、初期微動であるはずの縦波が減衰せずに原発を直撃し、制御棒が制動する前に縦波によって大きく原発全体が破壊されてしまいます。因みに縦波は衝撃波とも言われ、まるで大きなハンマーで打たれたような影響を与えるのです。

4.2008年に起こった四川大地震は揚子江プレートというユーラシアプレートの一部をなすマイクロプレートの西端での地震でした。そして、その揚子江プレートのほぼ東端にあるのが桜島や新燃岳であり、川内原発なのです。桜島や新燃岳の火山活動が活発化したのは四川大地震の後であり、揚子江プレート周辺で地震活動が活発化したのは確実です。川内原発の周辺に活断層が存在することが確認されていますし、たとえ活断層がなくても地震が起こることは最近の地震学によって確認されています。この意味でも、川内原発は廃止されるべきです。

5.コスト面から言っても、原発は決して優れている訳ではありません。日本だけではなくアメリカでも原発の発電コストは1kw1時間で約5円とされています。しかし、アメリカでは1979年のスリーマイル島原発事故以来一基も新規の原発建設は行われていません。国内の報道でアメリカでの原発建設を日本企業が請け負ったというニュースが何回か流れましたが、どれも実際の着工まで至っていません。311の大震災を受けて正式に工事中止になったものもあります。普通の技術であれば、新規開発後年月がたつにつれてだんだんと学習効果が効き、コストが下がります。しかし、原発に関しては元々軍事技術として安全面に考慮せずにスタートしたため、安全管理が整うに連れてどんどんとコストが上昇しているのです。フィンランドのオルキルオト3号機は30億ユーロの予算で2005年に着工、2009年完成予定でしたが、現在でもまだ完成せず、総費用は約2倍に増加しています。しかもこれは原発建設コストだけであり、例えば使用済み核燃料の保管についての費用は現実にはまだ誰にも分かっていません。また、もし現実に事故が起こり、放射能漏れが起こったときの費用も莫大なものがあります。この二つの費用について、日本政府はさまざな仮定をして故意に費用を安く見積もっています。使用済み核燃料についてはアメリカ方式では100万年の保管が必要とされ、日本方式でも10万年から20万年の保管が必要とされています。縄文時代が2万年前まで行っていませんし、新人類の祖先が地球上に出現したのがだいたい50万年前頃と言われているのですから、その保管期間の長さは人知を超えています。ましてや、日本のように地震が頻発する地域で地層処分など出来るわけがなく、地上保管しか道はありませんが、その場合、保管施設を少なくとも数百年ごとには建て替える必要があり、その費用はどんどんと増加します。原発事故時の補償金額の算定に福島原発事故を使いましたが三重の意味でごまかしがされています。まず晩成障害など現時点で被害金額が確定していないものは一切含まれていません。次に福島原発事故が起こる確率の計算に311前の状況を使っていることです。現実には311の大地震が起こったことにより今後マグニチュード8を超える地震が日本各地で起こる確率は10倍程度に増加しているとされています。更に、福島第一原発事故はその地理的な特徴のためにその損害額も奇跡的に少ないのです。福島第一原発は、常に西風が卓越している日本の東端に位置していたため、ほとんどの放射能は太平洋上へ運ばれてしまったからです。311の地震により本格的に地震活動期に入った日本での原発発電コストは1kw1時間で現在の5円の5倍は軽く超えるはずです。

6.現状で全電力の約3割を原発によって生産しているため、原発の即時廃止は現実的ではないとよく言われます。しかし、これも間違えです。現状で全原発を停止しても、火力発電所がもともと原発のバックアップ用として多数作られているため、それらを使うこと、及び、大企業などでの自家発電を使うことで十分に電力供給が可能です。ただし、化石燃料の大量追加購入が必要でこれらが日本経済を圧迫しますから、一刻も早く自然エネルギーへシフトする必要があります。代替えエネルギーとして最も有望なのが地熱発電です。天候に左右されず24時間365日安定して発電ができるため、太陽光や風力のようにバックアップ電源を必要としません。地熱発電のコストが1KW1時間10円から20円程度とされ、太陽光が同じく40円から50円、風力が20円から30円とされていますが、これらは純粋にそれぞれの発電設備の建設と維持管理にかかる費用です。しかし、太陽光も風力も天候まかせの発電しかできないため、大規模に発電するにはバックアップ電源が必要になります。大規模なバッテリーシステムとかまたは燃料さえあればいつでも発電できる火力発電がバックアップ電源として必要であり、これらのコストは含まれていないのです。これらのバックアップ電源費用を入れると地熱発電の優位さは際立つものがあり、地熱資源量世界第3位の日本でのみ地熱発電の新規開発が滞っているのは大変に残念なことです。地熱発電により、温泉が枯れるとか地震が誘発されるとか言われますが、現在の技術によればそれらの心配をする必要はありません。従来技術のフラッシュ発電から現在実用化されているバイナリー発電、そして、現在実験段階の高温岩体発電、そして現状では夢の技術とされるマグマ発電まで地熱発電の技術の広がりは大きく、また熱電素子を使った発電も将来可能とされています。国土がありさえすればどこでも安定した発電が可能になるはずで、地熱発電設備の世界シェア7割を誇る日本企業を持ち、世界第3位の地熱資源があるのですから、日本は原発をやめて地熱発電にこそ特化するべきです。

7.地熱資源の豊富なアメリカ、アイスランド、ニュージーランド、インドネシア、フィリピンなどで地熱発電の開発が盛んに行われていますが、世界第3位の地熱資源量を持つ日本では1997年以来地熱発電の開発がほぼ止まっています。なぜこのような不合理がまかり通っているか、その理由の一つは総括原価方式という電気代の決め方にあるようです。総括原価方式とは発電にかかった総費用に約3%の利益率を上乗せして電気代を決めていいとする政府方針を指します。日本の電力会社は地域独占ですから、自由競争による価格決定ができません。そのため、政府が売電価格の決定方法を定めていて、それが総括原価方式なのです。そして、総括原価方式ですと、原価をかければかけるほど利益が増えることになります。原子力発電所は1基建設するのに3000億円とか4000億円かかります。原子力は安全だと言うコマーシャルを流したり、その宣伝施設を作るのもかなりな費用が掛かります。普通ならこういった費用が掛からない発電方法である地熱を選ぶはずですが、総括原価方式で電力価格を決定できるので、原子力をやろうということになるのです。更に、原子力は13か月ごとに定期点検をやることになっています。普通、この定期点検に数か月かかります。この間、原発代替えの発電が必要になり普通は火力発電が使われます。また、地震などの影響を受けるとその点検や修理のために原発は一年以上停止してしまうことが多くあります。この時も普通火力発電が使われます。つまり、原発に依存している限り、必ず火力発電が必要になるのです。そして火力発電の燃料は海外から輸入します。この時の輸入価格が問題です。総括原価方式があるために、火力発電の燃料代が高い方が電力会社は儲かるのです。石油や石炭、LNGなどの資源メジャーから見たら、日本の電力会社ほど気前のいい客はいないのです。ここにもたれあいの構図があり、海外から火力発電を続けろという圧力がさまざまな形で日本の各方面へかけられている様子です。これも、日本が原子力を止めることが出来ない理由の一つです。

8.脱原発依存が出来ない理由を探っていくと、もともと原発が日本に導入された経緯を考えざるを得なくなります。原子力が世界に広まるきっかけになったのは1953年のAtoms for Peaceというアメリカ政府による原子力の平和利用宣言です。原子力を戦争のために使うのではなく平和のために使おうという呼びかけですが、現実はそうではなく、当時のソ連とアメリカの対立にその理由がありました。1953年当時、ソ連は相当数の核爆弾を保有していました。それに対抗するアメリカは当時まだ大陸間弾道ミサイルを開発できていなかったため、ソ連の核基地を直接攻撃できない状況だったのです。そのため、ヨーロッパ各国に核武装をさせる必要がありました。しかし、直接核技術をフランスなどへ渡すわけにいかなかったので平和利用を装って核技術の供与をしたのです。これが原子力の平和利用宣言の実態でした。更に、原子力平和利用は、原爆兵器保有とともに発生するウラン鉱山でのウラン残渣の発生や使用済み核燃料の処分の問題を原子力発電所のためのウラン採掘や核燃料関連の問題とすり替えてしまう狙いもあったはずです。原子力発電が行われていなければ、原発保有に伴うこれらの問題は米国内でより大きな反原爆運動を引き起こしていたはずだからです。日本への原発導入は中曽根康弘がAtoms for Peace宣言の数か月前、ヘンリー・キッシンジャー主催のセミナーへ参加したことがきっかけです。このセミナーで原子力を勧められアメリカの原子力施設を見学しています。この翌年の1954年、第五福竜丸事件(ビキニ環礁での水爆実験の死の灰を第5福竜丸が浴びた事件)とほぼ同時に、中曽根康弘らが中心となり原子炉築造費を含めた研究予算要求を国会へ提出し、認められます。第五福竜丸事件が契機となり全国的に原水爆禁止運動が拡大しますが、「第五福竜丸の被爆を矮小化するために、4月22日の時点で米国の国家安全保障会議作戦調整委員会 (OCB) は『水爆や関連する開発への日本人の好ましくない態度を相殺するための米政府の行動リスト』を起草し、科学的対策として『日本人患者の発病の原因は、放射能よりもむしろサンゴの塵の化学的影響とする』と明記し、『放射線の影響を受けた日本の漁師が死んだ場合、日米合同の病理解剖や死因についての共同声明の発表の準備も含め、非常事態対策案を練る』と決めていた。実際、同年9月に久保山無線長が死亡した際に、日本人医師団は死因を『放射能症』と発表したが、米国は現在まで『放射線が直接の原因ではない』との見解を取り続けている」のです。(この部分は、http://ja.wikipedia.org/wiki/第五福竜丸 から引用)中曽根康弘とともに読売新聞社主の正力松太郎などが中心となり、日本への原発導入が進められます。日本は当然原爆を保有しませんから、原爆保有に伴う問題を覆い隠すために原発が導入されたわけではありません。太平洋戦争終了後、戦勝国であるアメリカは敗戦国である日本を二度と戦争のできない三流国家にしようとしていたと言われます。ところが、ソ連、中国、北朝鮮、ベトナムと続く共産化の波を受けて日本を優遇し、資本主義の砦とする政策へ転換するのです。北朝鮮が成立したのが1948年、北朝鮮が韓国へ侵攻するのが1950年でそのための朝鮮戦争が1953年まで続きます。中国やソ連の支援を受けたベトナム共産党政権がフランスからの独立を求めた第1次インドシナ戦争が1946年から1954年です。これらのことがあったためにアメリカは日本優遇に舵を切りますが、当然単に優遇するほど甘いわけではなく、日本が共産化をしないように共産党を締め上げ、同時に財界を優遇し、財界などを通じて日本の富を吸い上げる仕組みを作っていました。国鉄三大ミステリー事件と言われる下川事件・松川事件・三鷹事件はどれも1949年に起こっています。これらは全て当時国内最大の共産主義勢力であった国鉄の労働組合つぶしを意図したものでした。同様に優遇した日本社会や企業をつぶす手段も用意されていたのです。それが原発でした。戦後、優遇された日本企業は家電会社と自動車会社が主なものでした。その中で最大の企業はトヨタでありそのトヨタへの電力供給を主な口実として作られたのが静岡県御前崎市の浜岡原発でした。この地域は東海地震の震源域であり、浜岡原発は震源域のほぼ中央に位置していると言われています。なぜこのような危険な地点に原発が作られたか、報道では東海地震が繰り返しこの地域で起こることが判明する前に浜岡原発の建設が決定されたとされますが、これは虚偽です。日本の地震学会の中心人物であった茂木清夫東大教授が東大地震研究所の月例会で東海地震が繰り返しこの地域で起こることを指摘し、それが全国紙で大きく取り上げられていたのが1969年の秋であり、浜岡原発1号機の設置許可が認可されるのがその翌年であるからです。1号機の着工は1971年であり、福島第一原発の1号機が営業運転を開始したのとほぼ同時期です。東海原発1号機の着工が1960年、敦賀原発1号機が1966年、美浜原発1号機が1967年、玄海原発1号機が1970年、柏崎刈羽原発1号機が1978年の着工です。これらのことから分かるのは、トヨタの本社がある名古屋と首都圏の中間地点に浜岡原発を建設することにより、東海地震が起こったらそれがトヨタや首都圏の壊滅に結びつく仕組みが目立たないように注意深く仕込まれていたということです。これとほぼ同趣旨のことを広瀬隆という作家が「原子炉時限爆弾」という著作で述べています。そして、だからこそ、地震国日本において耐震性が本当には証明されていないにもかかわらず50機以上の原発が作られ続けてきたのです。311の福島第一原発事故の原因究明が進まず、原発廃止の動きが鈍いのも全て将来原発事故により日本社会の破滅が予定されているからでしょう。

9.日本における原発の位置づけは以上のようなものですが、アメリカ国内ではどうでしょうか。アメリカでは現在104機の原子炉が稼働中です。しかし、1979年のスリーマイル島原発事故以来1機も新規に建設された原発はありません。スリーマイル島原発事故は原発運転員の操作ミスによって起こった事故でした。原子炉の圧力容器から核燃料が漏れる直前奇跡的に溶けた核燃料の冷却に成功し、実質的にほとんど放射性物質の原子炉からの拡散は起こらずに済んだのです。事故を起こした2号炉は営業運転開始から3ヶ月でした。1986年のチェルノブイリ原発4号機事故は4号機の運転開始の2年後に起こっていて、当時4号機まであったチェルノブイリ原発の中での最新鋭機でした。新しい原子炉でこうした事故が起こることは不思議なことです。またスリーマイル島原発事故当時「チャイナシンドローム」という原発事故を扱ったハリウッド映画がアメリカ全土で上映中でした。スリーマイル島原発事故で実際にはほとんど放射能漏れが起こらなかったにもかかわらず「チャイナシンドローム」という映画が恐ろしい被害を与える原発事故を描いていたため、アメリカ国内で原子炉に対する安全管理をより徹底する世論が強まり、その結果、さまざまな安全対策が原子炉に施されることになって行きました。これが原子炉の建設費の高騰を招き、新規原発の建設がストップする現状につながっています。ただ、既に100機以上の原子炉が運転されていたので、核弾頭製造のためのウラン採掘や古くなった核弾頭の処分の問題を隠すに足るだけの原子力発電所は充分にできていました。つまり、スリーマイル島原発事故はあらかじめこういったタイミングを見て起こされたと解釈することもできるのです。更に、原発に関してアメリカではもう一つ大きな動きがされています。それは2001年、当時のアメリカ大統領ブッシュによる原子力ルネッサンス宣言です。化石燃料の価格高騰や地球温暖化を背景にして原子力発電の復権を謳ったものでした。これが主に発展途上国への先進国からの原発プラント輸出という動きへつながっていきます。

10.現在アメリカの主要原子炉メーカーはGEとウェスチングハウスの2社であり、GEは日立と資本提携し、ウェスチングハウスは東芝により買収されている。世界の主要な原発メーカーとして後はフランスのアレバ社があるが、ここは三菱重工と提携をしている。つまり、日本の原発メーカーは全て世界の原発メーカーと提携していていることになる。こういった状態で打ち出されたのが原子力プラントの発展途上国への輸出により外貨を稼ごうと言う民主党政権の政策でした。しかし、ここにも大きな問題があることが指摘されています。発展途上国は国内資金が乏しく、原発建設資金のほとんどを日本政府からの融資に頼る事態になっているのです。次に、原発事故が起こった場合の補償が発展途上国政府には財政的にとても無理であり、これにも何らかの日本政府からの保証がされている可能性が指摘されています。また、現実に原発の建設地点が地震発生の可能性の高い場所であったり、冷却水の確保が困難である場所であったりすることが指摘されているのです。更に、将来枯渇すると言われているウラン燃料の確保や不可能とされている使用済み核燃料の処分について日本政府が保証をしていると言う指摘もあります。つまり、うがった見方をすれば、日本の原発メーカーは日本政府の保証により利益を出すことが出来るが、実際には発展途上国へ原子炉時限爆弾を仕掛ける役割を日本は政府ぐるみで負わされていて、もし実際に事故が起こった場合の補償まで背負わされているということなのです。ベトナムやヨルダンへの原発輸出の意味はこういったものなのです。

11.311の大地震により福島第一原発事故が発生し、そのため新規原発建設はほぼストップし、既存の原発についても順次廃炉にしようと言う動きがあります。しかし、これが順当に実現する見込みはあまりありません。原子力発電所事故に伴う損害額などを試算する内閣府原子力委員会の小委員会が10月25日に計算結果を発表しましたが、これが故意にコストを低く見積もったものでした。なぜあからさまな操作をしてまで故意にコストを低く見積もったかと言えば、将来原発再開を予定しているからです。TPPの加盟が11月ごろから急に話題になりましたが、TPPに含まれるISD条項が問題です。日本に進出してきた米企業が日本の電気代が高いので利益が思ったように上がらない。原発の発電コストは安いので原発の再開を求めるとISD条項を使って訴えれば、その主張が認められてしまう可能性が高いのです。政府の公式見解が原発の発電コストは他のものに比べて安価であるとしているわけですし、原発事故の発生確率もあまり高いものではないとしてしまったので、原発再開をせざるを得なくなるはずです。しかし、現実には311の大地震によって日本各地の地震発生確率は大変に高くなっています。マグニチュードが1下がるごとにその発生確率は10倍になるとされています。311の地震はマグニチュード9でしたから、今後ほぼ1年間でマグニチュード8レベルの地震が起こる確率は10回であり、同7の地震は100回、同6の地震は1000回にもなるのです。従来マグニチュード6レベル以上の地震発生は年に数回から10回程度でしたから、今後、日本各地の原発の直下でマグニチュード6以上の地震が起こってしまう可能性はかなり高いのです。

12.福島第一原発事故の影響でかなりの量の放射性物質が環境中へ漏れ出しました。そして、低線量の被ばくなら健康に問題がないと日本政府は繰り返していて、未だに原発周辺地域の除染が可能であるかのようなことを述べています。しかし、低線量の被ばくが安全であると言う証明はされてはいず、却って低線量被曝のほうが細胞に与えるダメージが大きいと言う研究結果さえあるのです。ですから今回の原発事故を受けて疫学調査をきちんとやって被曝の影響をきちんと把握することが重要ですが、これが政府によって放棄されています。3年に一度「患者調査」というものが政府によって全国的に行われます。その年度にどんな病気で何人の方が病院にかかったかの調査です。ちょうど2011年がその調査の年度にあたっていたのですが、福島県や宮城県の放射能汚染地域が、311の地震被災地域であり調査が負担になると言う理由で患者調査から除外されているのです。チェルノブイリ原発事故でも事故の影響が現地政府により隠蔽されていて低線量被曝の影響がはっきりとは確認されていません。そして、本来なら医療先進国として原発事故による放射能漏れの影響を確実に調べることが出来る日本でもその調査が放棄されようとしているのです。そもそも311の災害被災地域で最優先の課題は原発事故の影響をきちんと把握することです。それを政府自らが放棄するのは、低線量被曝の被害を救済することなく放置すると宣言しているようなものであり、今後日本各地で原発事故が起こっても対処をしないと表明していることと同等です。

13.最後に原発事故時の被害の証明の困難さを述べます。原発事故で放出される放射性物質には2種類あります。一つはヨウ素やセシウムなどの沸点が低い放射性物質が原子の状態で大気中へ1個1個の原子のまま揮発し、大気中の酸素で酸化されて、酸化物の分子として環境中へ拡散する場合です。もう一つは原子炉炉心の核燃料が爆発し、中のウランやプルトニウムが微粒子となって大気中へ飛び散る場合です。この場合、幾ら微粒子と言っても、一つの塊の中には数千万から数億の放射性物質の原子が含まれてしまいます。ヨウ素やセシウムならば一つ一つの単位が分子の大きさなので肺から取り込んでも血液に溶け込んで尿として排出が可能です。しかし、ウランやプルトニウムなどの非揮発性の物質の場合は微粒子の大きさが大きいのでほとんどの場合肺の内部にとどまり一生放射線をその周囲の細胞に浴びせかけるのです。ガンマ線なら体外から測定が可能ですが、ウランやプルトニウムの場合アルファ線を出すことが多く、これらはホールボディカウンターでも検出が出来ません。つまりがんを発症してもそれが原発事故に由来する放射性物質のせいだと言うことが確認できないのです。現在日本国内で使われているサーベィメータのほぼ100%はガンマ線のみを計測し、アルファ線の検出はできません。また、仮にアルファ線の検出ができる機械があっても、食品の内部に取り入れられてしまったものからのアルファ線の検出は通常出来ません。アルファ線は食物などの内部にあるとき1mmも飛ぶことが出来ずに周囲の細胞に吸収されてしまうからです。アルファ線核種の検出には検査対象物を焼却し、灰の状態にして検査する必要があるのです。これらの理由のため、アルファ線核種の飛散が起こってしまった場合、一般市民がそれを確認する術はほぼないのです。福島第一原発事故でも、ウランやプルトニウムが環境中へ排出された可能性が指摘されています。放射性物質は目に見えない状態で拡散します。匂いも味もありません。皮ふに付いても、呼吸で肺に取り込んでも、食物や水と一緒に飲食しても、普通は一切わからないのです。また、ウランやプルトニウムはたとえ放射能が無くなっても元々重金属ですから化学毒性があり、それは永遠に消えることがありません。もしも原発の直下である程度の大きさの地震が起これば、制御棒が作動する前に炉心が大規模に破壊されウランやプルトニウムが環境中へ大規模に放出されてしまいます。もし川内原発でこのような事故が起これば、指宿市を含む鹿児島県内はほぼ数時間から1日で居住が永遠に不可能になり、多くの市民は大量の放射性物質を浴びて急性障害で数日で命を落とすことになってしまいます。またその影響は九州ばかりでなく、四国から本州、北海道にまで及ぶはずです。原発は廃止が可能です。地熱発電というバックアップ電源のいらない、安定した発電が可能な資源が鹿児島には、指宿には豊富にあります。今こそ、原発を廃止し、大規模に地熱発電の開発へ踏み出すべきではないでしょうか。


意見書(案)

 川内原発1・2号機の廃炉を求める意見書

 3月11日、東北地方太平洋沖地震がマグニチュード9の規模で起き、その震源域は福島第一原発から150キロ以上離れていたにも関わらず、少なくとも1号機は地震の揺れで壊れたと言われています。川内原発も次に述べる理由により大変に危険であり、経済合理性もないので、その廃炉を求めます。

1.九州電力川内原発は日本列島のほぼ西端にあり、もし福島第一原発と同規模以上の事故が起こった場合、沖縄以外の日本国土が全て居住不可能になるほどの被害を与えること。福島第一原発事故ではその漏れた放射性物質の99%は西風に乗って太平洋上へ降り注ぎました。もし、川内原発で事故が起これば、同様に西風によって汚染は中国地方から四国、関西、関東、東北、そして北海道にまで及んでしまいます。指宿市は川内原発の立地自治体ではありませんが、川内原発からの電力供給を受けてい、九州電力の管内の自治体として、日本全国へ被害を与える可能性の高い川内原発の危険性を指摘し、それを廃止させる義務があります。

2.川内原発を含めて、少なくとも日本の原発は全て大きな地震に対する耐震性が想定でしか担保されていず、現実の耐震性能は甚だ心もとないこと。福島第一原発事故は津波によって起こされたとされていますが、地震直後に少なくも1号炉は配管破断があったことが確実です。3月11日の大地震は確かにマグニチュード9の巨大なものでしたが震源域は福島第一原発から150キロ以上離れたところでした。原発所在地の震度は6強であり、福島第一原発で観測された最大加速度は横方向で550ガルで、2007年の中越沖地震などと比べて決して大きな揺れではありませんでした。中越沖地震では柏崎刈羽原発が同じく横方向の加速度で2058ガルを記録しています。中越沖地震はマグニチュード6.8であり、311の地震の1000分の1ほどの大きさでした。(マグニチュードが1大きくなると30倍の大きさになるため)更に、中越沖地震は柏崎刈羽原発から20キロ程度離れた場所で起こったものでした。もし、川内原発の近くで、または直下でマグニチュードが6以上の地震が起これば、川内原発が大きな事故に至ってしまう可能性は大変に高いのです。

3.実際の耐震設計が出来ていないこと。大きく分けて3つの問題点があります。第1に原発を大きな地震が直撃したことが世界でまだ一例もなく、どんな影響があるか分からないこと。仮に一般のビルや家屋のように建物自体が倒壊しないことが目的であればある程度の推定ができますが、原発の場合、建物自体だけではなく、複雑な配管や各種のポンプや炉心など原発の各部分の耐震性が保証されていなければならず、その耐震性は推定に推定を重ねたものであること。第2に、耐震性の計算に使うモデル波があまり多くなく、現実の地震による揺れの再現ができていないこと。モデル波は現実に観測された揺れの地震波を使います。しかし、原発が大きな地震に直撃された例がほとんどなく、そのため観測例が少ないのです。第3に縦波の影響がほとんど考えられていないことです。地震波は主に2種類あります。波の進行方向に90度の角度で揺れる横波と進行方向と同じ方向で揺れる縦波です。耐震設計で使われるのは横波であり、縦波についてはほとんど耐震設計の計算方法そのものがまだ開発されていません。これは縦波は減衰しやすく多少でも震源から距離があるとほとんど揺れが感じられないためです。関東平野は厚い関東ローム層により覆われてい、そのため関東地方での地震ではまず縦波の影響を受けることがないはずですが、原発は必ず岩盤の上に直接建設され、岩盤はたとえそれが泥岩や砂岩であろうと関東ローム層などの土壌よりも格段に良く縦波を伝えるため、原発はその直下で地震が起こると縦波の影響を大きく受けるのです。また、緊急地震速報は縦波による初期微動を捉えて本震である横波の警告をするものですが、もし直下型の地震が起こると、初期微動であるはずの縦波が減衰せずに原発を直撃し、制御棒が制動する前に縦波によって大きく原発全体が破壊されてしまいます。因みに縦波は衝撃波とも言われ、まるで大きなハンマーで打たれたような影響を与えるのです。

4.2008年に起こった四川大地震は揚子江プレートというユーラシアプレートの一部をなすマイクロプレートの西端での地震でした。そして、その揚子江プレートのほぼ東端にあるのが桜島や新燃岳であり、川内原発なのです。桜島や新燃岳の火山活動が活発化したのは四川大地震の後であり、揚子江プレート周辺で地震活動が活発化したのは確実です。川内原発の周辺に活断層が存在することが確認されていますし、たとえ活断層がなくても地震が起こることは最近の地震学によって確認されています。この意味でも、川内原発は廃止されるべきです。

5.コスト面から言っても、原発は決して優れている訳ではありません。日本だけではなくアメリカでも原発の発電コストは1kw1時間で約5円とされています。しかし、アメリカでは1979年のスリーマイル島原発事故以来一基も新規の原発建設は行われていません。国内の報道でアメリカでの原発建設を日本企業が請け負ったというニュースが何回か流れましたが、どれも実際の着工まで至っていません。311の大震災を受けて正式に工事中止になったものもあります。普通の技術であれば、新規開発後年月がたつにつれてだんだんと学習効果が効き、コストが下がります。しかし、原発に関しては元々軍事技術として安全面に考慮せずにスタートしたため、安全管理が整うに連れてどんどんとコストが上昇しているのです。フィンランドのオルキルオト3号機は30億ユーロの予算で2005年に着工、2009年完成予定でしたが、現在でもまだ完成せず、総費用は約2倍に増加しています。しかもこれは原発建設コストだけであり、例えば使用済み核燃料の保管についての費用は現実にはまだ誰にも分かっていません。また、もし現実に事故が起こり、放射能漏れが起こったときの費用も莫大なものがあります。この二つの費用について、日本政府はさまざな仮定をして故意に費用を安く見積もっています。使用済み核燃料についてはアメリカ方式では100万年の保管が必要とされ、日本方式でも10万年から20万年の保管が必要とされています。縄文時代が2万年前まで行っていませんし、新人類の祖先が地球上に出現したのがだいたい50万年前頃と言われているのですから、その保管期間の長さは人知を超えています。ましてや、日本のように地震が頻発する地域で地層処分など出来るわけがなく、地上保管しか道はありませんが、その場合、保管施設を少なくとも数百年ごとには建て替える必要があり、その費用はどんどんと増加します。原発事故時の補償金額の算定に福島原発事故を使いましたが三重の意味でごまかしがされています。まず晩成障害など現時点で被害金額が確定していないものは一切含まれていません。次に福島原発事故が起こる確率の計算に311前の状況を使っていることです。現実には311の大地震が起こったことにより今後マグニチュード8を超える地震が日本各地で起こる確率は10倍程度に増加しているとされています。更に、福島第一原発事故はその地理的な特徴のためにその損害額も奇跡的に少ないのです。福島第一原発は、常に西風が卓越している日本の東端に位置していたため、ほとんどの放射能は太平洋上へ運ばれてしまったからです。311の地震により本格的に地震活動期に入った日本での原発発電コストは1kw1時間で現在の5円の5倍は軽く超えるはずです。

6.現状で全電力の約3割を原発によって生産しているため、原発の即時廃止は現実的ではないとよく言われます。しかし、これも間違えです。現状で全原発を停止しても、火力発電所がもともと原発のバックアップ用として多数作られているため、それらを使うこと、及び、大企業などでの自家発電を使うことで十分に電力供給が可能です。ただし、化石燃料の大量追加購入が必要でこれらが日本経済を圧迫しますから、一刻も早く自然エネルギーへシフトする必要があります。代替えエネルギーとして最も有望なのが地熱発電です。天候に左右されず24時間365日安定して発電ができるため、太陽光や風力のようにバックアップ電源を必要としません。地熱発電のコストが1KW1時間10円から20円程度とされ、太陽光が同じく40円から50円、風力が20円から30円とされていますが、これらは純粋にそれぞれの発電設備の建設と維持管理にかかる費用です。しかし、太陽光も風力も天候まかせの発電しかできないため、大規模に発電するにはバックアップ電源が必要になります。大規模なバッテリーシステムとかまたは燃料さえあればいつでも発電できる火力発電がバックアップ電源として必要であり、これらのコストは含まれていないのです。これらのバックアップ電源費用を入れると地熱発電の優位さは際立つものがあり、地熱資源量世界第3位の日本でのみ地熱発電の新規開発が滞っているのは大変に残念なことです。地熱発電により、温泉が枯れるとか地震が誘発されるとか言われますが、現在の技術によればそれらの心配をする必要はありません。従来技術のフラッシュ発電から現在実用化されているバイナリー発電、そして、現在実験段階の高温岩体発電、そして現状では夢の技術とされるマグマ発電まで地熱発電の技術の広がりは大きく、また熱電素子を使った発電も将来可能とされています。国土がありさえすればどこでも安定した発電が可能になるはずで、地熱発電設備の世界シェア7割を誇る日本企業を持ち、世界第3位の地熱資源があるのですから、日本は原発をやめて地熱発電にこそ特化するべきです。

7.地熱資源の豊富なアメリカ、アイスランド、ニュージーランド、インドネシア、フィリピンなどで地熱発電の開発が盛んに行われていますが、世界第3位の地熱資源量を持つ日本では1997年以来地熱発電の開発がほぼ止まっています。なぜこのような不合理がまかり通っているか、その理由の一つは総括原価方式という電気代の決め方にあるようです。総括原価方式とは発電にかかった総費用に約3%の利益率を上乗せして電気代を決めていいとする政府方針を指します。日本の電力会社は地域独占ですから、自由競争による価格決定ができません。そのため、政府が売電価格の決定方法を定めていて、それが総括原価方式なのです。そして、総括原価方式ですと、原価をかければかけるほど利益が増えることになります。原子力発電所は1基建設するのに3000億円とか4000億円かかります。原子力は安全だと言うコマーシャルを流したり、その宣伝施設を作るのもかなりな費用が掛かります。普通ならこういった費用が掛からない発電方法である地熱を選ぶはずですが、総括原価方式で電力価格を決定できるので、原子力をやろうということになるのです。更に、原子力は13か月ごとに定期点検をやることになっています。普通、この定期点検に数か月かかります。この間、原発代替えの発電が必要になり普通は火力発電が使われます。また、地震などの影響を受けるとその点検や修理のために原発は一年以上停止してしまうことが多くあります。この時も普通火力発電が使われます。つまり、原発に依存している限り、必ず火力発電が必要になるのです。そして火力発電の燃料は海外から輸入します。この時の輸入価格が問題です。総括原価方式があるために、火力発電の燃料代が高い方が電力会社は儲かるのです。石油や石炭、LNGなどの資源メジャーから見たら、日本の電力会社ほど気前のいい客はいないのです。ここにもたれあいの構図があり、海外から火力発電を続けろという圧力がさまざまな形で日本の各方面へかけられている様子です。これも、日本が原子力を止めることが出来ない理由の一つです。

8.脱原発依存が出来ない理由を探っていくと、もともと原発が日本に導入された経緯を考えざるを得なくなります。原子力が世界に広まるきっかけになったのは1953年のAtoms for Peaceというアメリカ政府による原子力の平和利用宣言です。原子力を戦争のために使うのではなく平和のために使おうという呼びかけですが、現実はそうではなく、当時のソ連とアメリカの対立にその理由がありました。1953年当時、ソ連は相当数の核爆弾を保有していました。それに対抗するアメリカは当時まだ大陸間弾道ミサイルを開発できていなかったため、ソ連の核基地を直接攻撃できない状況だったのです。そのため、ヨーロッパ各国に核武装をさせる必要がありました。しかし、直接核技術をフランスなどへ渡すわけにいかなかったので平和利用を装って核技術の供与をしたのです。これが原子力の平和利用宣言の実態でした。更に、原子力平和利用は、原爆兵器保有とともに発生するウラン鉱山でのウラン残渣の発生や使用済み核燃料の処分の問題を原子力発電所のためのウラン採掘や核燃料関連の問題とすり替えてしまう狙いもあったはずです。原子力発電が行われていなければ、原発保有に伴うこれらの問題は米国内でより大きな反原爆運動を引き起こしていたはずだからです。日本への原発導入は中曽根康弘がAtoms for Peace宣言の数か月前、ヘンリー・キッシンジャー主催のセミナーへ参加したことがきっかけです。このセミナーで原子力を勧められアメリカの原子力施設を見学しています。この翌年の1954年、第五福竜丸事件(ビキニ環礁での水爆実験の死の灰を第5福竜丸が浴びた事件)とほぼ同時に、中曽根康弘らが中心となり原子炉築造費を含めた研究予算要求を国会へ提出し、認められます。第五福竜丸事件が契機となり全国的に原水爆禁止運動が拡大しますが、「第五福竜丸の被爆を矮小化するために、4月22日の時点で米国の国家安全保障会議作戦調整委員会 (OCB) は『水爆や関連する開発への日本人の好ましくない態度を相殺するための米政府の行動リスト』を起草し、科学的対策として『日本人患者の発病の原因は、放射能よりもむしろサンゴの塵の化学的影響とする』と明記し、『放射線の影響を受けた日本の漁師が死んだ場合、日米合同の病理解剖や死因についての共同声明の発表の準備も含め、非常事態対策案を練る』と決めていた。実際、同年9月に久保山無線長が死亡した際に、日本人医師団は死因を『放射能症』と発表したが、米国は現在まで『放射線が直接の原因ではない』との見解を取り続けている」のです。(この部分は、http://ja.wikipedia.org/wiki/第五福竜丸 から引用)中曽根康弘とともに読売新聞社主の正力松太郎などが中心となり、日本への原発導入が進められます。日本は当然原爆を保有しませんから、原爆保有に伴う問題を覆い隠すために原発が導入されたわけではありません。太平洋戦争終了後、戦勝国であるアメリカは敗戦国である日本を二度と戦争のできない三流国家にしようとしていたと言われます。ところが、ソ連、中国、北朝鮮、ベトナムと続く共産化の波を受けて日本を優遇し、資本主義の砦とする政策へ転換するのです。北朝鮮が成立したのが1948年、北朝鮮が韓国へ侵攻するのが1950年でそのための朝鮮戦争が1953年まで続きます。中国やソ連の支援を受けたベトナム共産党政権がフランスからの独立を求めた第1次インドシナ戦争が1946年から1954年です。これらのことがあったためにアメリカは日本優遇に舵を切りますが、当然単に優遇するほど甘いわけではなく、日本が共産化をしないように共産党を締め上げ、同時に財界を優遇し、財界などを通じて日本の富を吸い上げる仕組みを作っていました。国鉄三大ミステリー事件と言われる下川事件・松川事件・三鷹事件はどれも1949年に起こっています。これらは全て当時国内最大の共産主義勢力であった国鉄の労働組合つぶしを意図したものでした。同様に優遇した日本社会や企業をつぶす手段も用意されていたのです。それが原発でした。戦後、優遇された日本企業は家電会社と自動車会社が主なものでした。その中で最大の企業はトヨタでありそのトヨタへの電力供給を主な口実として作られたのが静岡県御前崎市の浜岡原発でした。この地域は東海地震の震源域であり、浜岡原発は震源域のほぼ中央に位置していると言われています。なぜこのような危険な地点に原発が作られたか、報道では東海地震が繰り返しこの地域で起こることが判明する前に浜岡原発の建設が決定されたとされますが、これは虚偽です。日本の地震学会の中心人物であった茂木清夫東大教授が東大地震研究所の月例会で東海地震が繰り返しこの地域で起こることを指摘し、それが全国紙で大きく取り上げられていたのが1969年の秋であり、浜岡原発1号機の設置許可が認可されるのがその翌年であるからです。1号機の着工は1971年であり、福島第一原発の1号機が営業運転を開始したのとほぼ同時期です。東海原発1号機の着工が1960年、敦賀原発1号機が1966年、美浜原発1号機が1967年、玄海原発1号機が1970年、柏崎刈羽原発1号機が1978年の着工です。これらのことから分かるのは、トヨタの本社がある名古屋と首都圏の中間地点に浜岡原発を建設することにより、東海地震が起こったらそれがトヨタや首都圏の壊滅に結びつく仕組みが目立たないように注意深く仕込まれていたということです。これとほぼ同趣旨のことを広瀬隆という作家が「原子炉時限爆弾」という著作で述べています。そして、だからこそ、地震国日本において耐震性が本当には証明されていないにもかかわらず50機以上の原発が作られ続けてきたのです。311の福島第一原発事故の原因究明が進まず、原発廃止の動きが鈍いのも全て将来原発事故により日本社会の破滅が予定されているからでしょう。

9.日本における原発の位置づけは以上のようなものですが、アメリカ国内ではどうでしょうか。アメリカでは現在104機の原子炉が稼働中です。しかし、1979年のスリーマイル島原発事故以来1機も新規に建設された原発はありません。スリーマイル島原発事故は原発運転員の操作ミスによって起こった事故でした。原子炉の圧力容器から核燃料が漏れる直前奇跡的に溶けた核燃料の冷却に成功し、実質的にほとんど放射性物質の原子炉からの拡散は起こらずに済んだのです。事故を起こした2号炉は営業運転開始から3ヶ月でした。1986年のチェルノブイリ原発4号機事故は4号機の運転開始の2年後に起こっていて、当時4号機まであったチェルノブイリ原発の中での最新鋭機でした。新しい原子炉でこうした事故が起こることは不思議なことです。またスリーマイル島原発事故当時「チャイナシンドローム」という原発事故を扱ったハリウッド映画がアメリカ全土で上映中でした。スリーマイル島原発事故で実際にはほとんど放射能漏れが起こらなかったにもかかわらず「チャイナシンドローム」という映画が恐ろしい被害を与える原発事故を描いていたため、アメリカ国内で原子炉に対する安全管理をより徹底する世論が強まり、その結果、さまざまな安全対策が原子炉に施されることになって行きました。これが原子炉の建設費の高騰を招き、新規原発の建設がストップする現状につながっています。ただ、既に100機以上の原子炉が運転されていたので、核弾頭製造のためのウラン採掘や古くなった核弾頭の処分の問題を隠すに足るだけの原子力発電所は充分にできていました。つまり、スリーマイル島原発事故はあらかじめこういったタイミングを見て起こされたと解釈することもできるのです。更に、原発に関してアメリカではもう一つ大きな動きがされています。それは2001年、当時のアメリカ大統領ブッシュによる原子力ルネッサンス宣言です。化石燃料の価格高騰や地球温暖化を背景にして原子力発電の復権を謳ったものでした。これが主に発展途上国への先進国からの原発プラント輸出という動きへつながっていきます。

10.現在アメリカの主要原子炉メーカーはGEとウェスチングハウスの2社であり、GEは日立と資本提携し、ウェスチングハウスは東芝により買収されている。世界の主要な原発メーカーとして後はフランスのアレバ社があるが、ここは三菱重工と提携をしている。つまり、日本の原発メーカーは全て世界の原発メーカーと提携していていることになる。こういった状態で打ち出されたのが原子力プラントの発展途上国への輸出により外貨を稼ごうと言う民主党政権の政策でした。しかし、ここにも大きな問題があることが指摘されています。発展途上国は国内資金が乏しく、原発建設資金のほとんどを日本政府からの融資に頼る事態になっているのです。次に、原発事故が起こった場合の補償が発展途上国政府には財政的にとても無理であり、これにも何らかの日本政府からの保証がされている可能性が指摘されています。また、現実に原発の建設地点が地震発生の可能性の高い場所であったり、冷却水の確保が困難である場所であったりすることが指摘されているのです。更に、将来枯渇すると言われているウラン燃料の確保や不可能とされている使用済み核燃料の処分について日本政府が保証をしていると言う指摘もあります。つまり、うがった見方をすれば、日本の原発メーカーは日本政府の保証により利益を出すことが出来るが、実際には発展途上国へ原子炉時限爆弾を仕掛ける役割を日本は政府ぐるみで負わされていて、もし実際に事故が起こった場合の補償まで背負わされているということなのです。ベトナムやヨルダンへの原発輸出の意味はこういったものなのです。

11.311の大地震により福島第一原発事故が発生し、そのため新規原発建設はほぼストップし、既存の原発についても順次廃炉にしようと言う動きがあります。しかし、これが順当に実現する見込みはあまりありません。原子力発電所事故に伴う損害額などを試算する内閣府原子力委員会の小委員会が10月25日に計算結果を発表しましたが、これが故意にコストを低く見積もったものでした。なぜあからさまな操作をしてまで故意にコストを低く見積もったかと言えば、将来原発再開を予定しているからです。TPPの加盟が11月ごろから急に話題になりましたが、TPPに含まれるISD条項が問題です。日本に進出してきた米企業が日本の電気代が高いので利益が思ったように上がらない。原発の発電コストは安いので原発の再開を求めるとISD条項を使って訴えれば、その主張が認められてしまう可能性が高いのです。政府の公式見解が原発の発電コストは他のものに比べて安価であるとしているわけですし、原発事故の発生確率もあまり高いものではないとしてしまったので、原発再開をせざるを得なくなるはずです。しかし、現実には311の大地震によって日本各地の地震発生確率は大変に高くなっています。マグニチュードが1下がるごとにその発生確率は10倍になるとされています。311の地震はマグニチュード9でしたから、今後ほぼ1年間でマグニチュード8レベルの地震が起こる確率は10回であり、同7の地震は100回、同6の地震は1000回にもなるのです。従来マグニチュード6レベル以上の地震発生は年に数回から10回程度でしたから、今後、日本各地の原発の直下でマグニチュード6以上の地震が起こってしまう可能性はかなり高いのです。

12.福島第一原発事故の影響でかなりの量の放射性物質が環境中へ漏れ出しました。そして、低線量の被ばくなら健康に問題がないと日本政府は繰り返していて、未だに原発周辺地域の除染が可能であるかのようなことを述べています。しかし、低線量の被ばくが安全であると言う証明はされてはいず、却って低線量被曝のほうが細胞に与えるダメージが大きいと言う研究結果さえあるのです。ですから今回の原発事故を受けて疫学調査をきちんとやって被曝の影響をきちんと把握することが重要ですが、これが政府によって放棄されています。3年に一度「患者調査」というものが政府によって全国的に行われます。その年度にどんな病気で何人の方が病院にかかったかの調査です。ちょうど2011年がその調査の年度にあたっていたのですが、福島県や宮城県の放射能汚染地域が、311の地震被災地域であり調査が負担になると言う理由で患者調査から除外されているのです。チェルノブイリ原発事故でも事故の影響が現地政府により隠蔽されていて低線量被曝の影響がはっきりとは確認されていません。そして、本来なら医療先進国として原発事故による放射能漏れの影響を確実に調べることが出来る日本でもその調査が放棄されようとしているのです。そもそも311の災害被災地域で最優先の課題は原発事故の影響をきちんと把握することです。それを政府自らが放棄するのは、低線量被曝の被害を救済することなく放置すると宣言しているようなものであり、今後日本各地で原発事故が起こっても対処をしないと表明していることと同等です。

13.最後に原発事故時の被害の証明の困難さを述べます。原発事故で放出される放射性物質には2種類あります。一つはヨウ素やセシウムなどの沸点が低い放射性物質が原子の状態で大気中へ1個1個の原子のまま揮発し、大気中の酸素で酸化されて、酸化物の分子として環境中へ拡散する場合です。もう一つは原子炉炉心の核燃料が爆発し、中のウランやプルトニウムが微粒子となって大気中へ飛び散る場合です。この場合、幾ら微粒子と言っても、一つの塊の中には数千万から数億の放射性物質の原子が含まれてしまいます。ヨウ素やセシウムならば一つ一つの単位が分子の大きさなので肺から取り込んでも血液に溶け込んで尿として排出が可能です。しかし、ウランやプルトニウムなどの非揮発性の物質の場合は微粒子の大きさが大きいのでほとんどの場合肺の内部にとどまり一生放射線をその周囲の細胞に浴びせかけるのです。ガンマ線なら体外から測定が可能ですが、ウランやプルトニウムの場合アルファ線を出すことが多く、これらはホールボディカウンターでも検出が出来ません。つまりがんを発症してもそれが原発事故に由来する放射性物質のせいだと言うことが確認できないのです。現在日本国内で使われているサーベィメータのほぼ100%はガンマ線のみを計測し、アルファ線の検出はできません。また、仮にアルファ線の検出ができる機械があっても、食品の内部に取り入れられてしまったものからのアルファ線の検出は通常出来ません。アルファ線は食物などの内部にあるとき1mmも飛ぶことが出来ずに周囲の細胞に吸収されてしまうからです。アルファ線核種の検出には検査対象物を焼却し、灰の状態にして検査する必要があるのです。これらの理由のため、アルファ線核種の飛散が起こってしまった場合、一般市民がそれを確認する術はほぼないのです。福島第一原発事故でも、ウランやプルトニウムが環境中へ排出された可能性が指摘されています。放射性物質は目に見えない状態で拡散します。匂いも味もありません。皮ふに付いても、呼吸で肺に取り込んでも、食物や水と一緒に飲食しても、普通は一切わからないのです。また、ウランやプルトニウムはたとえ放射能が無くなっても元々重金属ですから化学毒性があり、それは永遠に消えることがありません。もしも原発の直下である程度の大きさの地震が起これば、制御棒が作動する前に炉心が大規模に破壊されウランやプルトニウムが環境中へ大規模に放出されてしまいます。もし川内原発でこのような事故が起これば、指宿市を含む鹿児島県内はほぼ数時間から1日で居住が永遠に不可能になり、多くの市民は大量の放射性物質を浴びて急性障害で数日で命を落とすことになってしまいます。またその影響は九州ばかりでなく、四国から本州、北海道にまで及ぶはずです。原発は廃止が可能です。地熱発電というバックアップ電源のいらない、安定した発電が可能な資源が鹿児島には、指宿には豊富にあります。今こそ、原発を廃止し、大規模に地熱発電の開発へ踏み出すべきではないでしょうか。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年3月 日

内閣総理大臣
原子力委員会委員長
原子力安全委員会委員長
財務大臣あて
経済産業大臣
資源エネルギー庁長官
原子力安全・保安院長

                     指宿市議会議長  

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