★阿修羅♪ > 原発・フッ素9 > 114.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
人類史上、初めての体験 溶け出した福島第一原発「第3の恐怖」(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/114.html
投稿者 otoppi 日時 2011 年 4 月 11 日 11:52:20: cUHXG0u8x2am6
 

人類史上、初めての体験 溶け出した福島第一原発「第3の恐怖」
2011年4月11日 週刊現代 現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2408

 3号機の異変は水素爆発ではなかった。福島原発の基本設計を担当した人間は実名でこう語る。「何かもっと重大な事故が起きている。報告されていないか、あるいは正確な事態を把握できていないのかどちらかだ」。実はすでに20人以上が大量被爆、あふれ出す高濃度放射性物質のプール、そして新たな危険が迫る。
データは信用できない

「これは・・・驚いたね」

 福島第一原発の基本設計を担当した米GE社の元設計士・菊地洋一氏は食い入るように写真を見つめた。

 菊地氏は福島第一原発6号機('79年運転開始)工事の現場監理も務めた、原発建屋建築のプロだ。

「同じ原子炉なのに、壊れ方がほかとまったく違う。3号機だけが熱でグニャグニャに曲がっているでしょう。アメ状に折れ曲がっている。これは、明らかに水素爆発ではありません。何らかの理由で鉄骨を溶かす800度以上の超高熱にさらされ、鉄骨の骨組みが溶けた。水素爆発では、ここまでの事態にはならない。何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していないのでしょう」

 3月29日、東京電力が公表した無人撮影機による10枚の写真。3号機は、ひときわ無残な姿をさらけ出していた。

「福島第一の最上階の建屋は、実は非常に軽く簡素な作りなんです。内部で大型のクレーンを動かすため、柱を立てられない。そのため、外壁や天井を軽く作る必要があるんです。壁はプレハブ。天井は折り曲げたブリキの板の上に、軽量コンクリートを打ち、その上から防水シートをかぶせて砂をまいた『砂付きルーフィング』です。

 見てください。1号機、4号機は薄い壁や天井が吹き飛んでいますが、鉄骨はほぼ無傷です。水素爆発は、実はプロパンガスなどよりずっと爆発力が小さい。単純な水素爆発であれば、この程度なんです。ところがプルトニウムを含むMOX燃料を使っていた3号機では、大きな熱を発した。この事実とその原因を、まだどこも指摘していません」(菊地氏)

 3号機は、3月14日に白煙を上げて爆発、周辺にいた作業員7名を負傷させた。3号機の爆発の威力は凄まじく、隣接するタービン建屋の屋根にまで穴を開けたことが後に分かった。

 警察、自衛隊、消防が放水を行ったが、23日には黒い煙が上がった。その原因はいまだに特定されていない。さらに24日には3号機タービン建屋にできた水溜まりから超高濃度の放射線が検出され、作業員2人が被曝して病院に担ぎこまれた。

 本誌は、14日から15日にかけて3号機が再臨界寸前の大危機を迎えていたことを報じたが、爆発の状況からも、内部空間が800度を超す高熱に達する異常事態を迎えていたことが明らかになった。

 1号機でも炉内の温度が異常に高まり、2号機では圧力抑制室の損傷と放射能漏れが心配されているが、現段階で「手が付けられない」ほど危険な炉は3号機なのである。

 しかし、菊地氏も指摘するように東京電力も、原子力安全・保安院も、こうした事実を正確に公表していない。欧米からは、「日本政府や東京電力の発表しているデータは、必ずしも信用できない」という声が上がっている。

 実は東京電力でも、原子炉の状態について正確な分析ができていないようだ。3月30日の会見で、勝俣恒久会長は、

「正直に申し上げて、原子炉の状況、格納容器、(使用済み燃料)プールの燃料棒の状況を正確に把握するのが難しい」

 と告白した。炉内の圧力、温度などから間接的に推測するほかないのが現状なのだ。原子炉をコントロールするどころか、今後どういう事態に発展するのか東電も政府も確たる見通しを持っていないことが、明らかになった。

 前出の菊地氏が、さらに驚くべき話を明かす。

「私が福島第一にGEの設計士として赴任していた時期('70年代末)に、2号機の補修が必要になり、外国人の作業員などを集めて作業を開始したんです。ところが、東京電力には、原子炉工事の実施図面が残されていなかった。GEが担当したのは基本設計で、私はアメリカから送られてきた図面のチェックなどをしたんですが、実際の工事は日本の事情に合わせて実施図面を作る必要があります。それがすでに、残っていなかったんです。

 今回の事故で思い出したのは、そのときのことでした。事故への対処が後手後手になったのは、施工時の正確な図面がなかったという事情もあるのではないか」

 実際、今回の震災直後に、「津波で原子炉の図面が流され、どこかにコピーが保存されていないか探し回った」という報道があったが、そもそもはじめから、「図面はなかった」というのだ。大阪大学名誉教授の宮崎慶次氏(原子炉工学)は、収束までに長い時間がかかることは避けられないという。

「いまは、とにかくウランそのものが溶け出さないよう、しっかりと冷やさないといけない。しかしその一方で、冷やすために水をかけすぎると汚染された水が漏れ、溢れてくる。そこの競争です。現場の作業員の方は非常に辛いでしょう。

 スリーマイル島事故のときは、たしか1年以上はそのままの状態で置いておくしかなかった。あのときには日本の旧原子力研究所やメーカーの方も現地に行って除染作業に参加し、研究している。だから経験はあるんです。そのときの経験を生かして、時間をかけてやるほかない」

 スリーマイル島事故では、発生から約16時間後に「残留熱除去系」の装置が動き出し、原子炉冷却に成功したが、それでも1年間放置するほかなかった。

 福島第一は、電源が停止してから数日間放置されたため、炉心の溶融(=放射線の放出)はスリーマイルの比ではない。今後電気による冷却装置が復旧しても、少なくとも1年以上は近づくことさえできない。

 このまま電源が復旧しなければ、延々と「決死隊」が水をかけ続けるほかない。そうなれば、高濃度放射線汚染水がプール状態になって海に漏れ出したり、空中に撒き散らされ、日本中どころか世界中に飛び散ることになる。水をかけ続けて少しずつ収束すればまだ良いが、さらに「最悪の事態」へと発展する可能性も残されている。

 すでにアメリカでも、微量の放射線が検出されたという。水素爆発による建屋破損、周辺地域への放射線漏出につづき、事態は「第3の恐怖」、つまり広域への放射線拡散へと進展した。
チェルノブイリを超える線量

 これに対処するのは、東京・内幸町の東京電力本店2階大会議室に設置された「福島原子力発電所事故対策統合本部」である。

 常駐するのは、海江田万里経産相(副本部長)、東京電力・勝俣会長、武藤栄副社長(原子力担当)、資源エネルギー庁・安井正也部長、自衛隊、消防の幹部ら150人以上。「原子力復旧班」「情報総務厚生班」などいくつもの班が設置され、それぞれが早朝から断続的に会議を行っている。

「原子力安全・保安院には東大工学部を卒業した原子力の専門家・平岡英治次長がいるが、会見にもまったく姿を現さない。東電の対策本部にいることが多いようですが、陣頭指揮をとっているというわけではないようだ。

 資源エネルギー庁の安井部長も京大大学院出身、原子力問題のエキスパートだが、こちらも会見には出てこない。菅直人首相が参与に任命した5名の専門家も、いまのところ取材には応じていません。代わりに事務系の西山英彦審議官や、弁護士出身の枝野幸男官房長官に説明を任せてしまっている。班目春樹原子力安全委員長を除き、原子力問題の専門家がいっさい表に出てきていないんです。国民が不安に思うのも当然でしょう」(全国紙エネルギー問題担当記者)

 原子力安全・保安院の専門家らは、問題解決の主導権を政治サイドに奪われ、

「我々は駒だから」

 とボヤいてすっかり受け身の姿勢になってしまった。

 対策本部には「菅首相の友人」や「有識者」などから様々な「解決案」が持ち込まれ、ひとつひとつその検討を行っている。なかには、東京ドームのような膜ですっぽりと福島第一原発を覆ってしまう案や、ロボットを使う案などが含まれているという。

「原発施設を膜で覆う案は実際に検討され、関係会社に問い合わせをしていますが、実際に施工するために作業員が原発に近づかなければならないし、膜では中性子線などの漏出は遮断できない。あまり現実的な案とは言えないのではないか」(前出・全国紙記者)

 当面すぐに実行に移されるのは、無人散水車から水溶性の樹脂を撒き、漏出した放射線が風に乗って拡散するのを抑えるという「消極策」くらいで、画期的なアイデアはいまのところありそうもない。

 その間も、現場では作業員たちが必死の放水作業を続けているが、このまま数ヵ月にわたって放射線漏出が続ければ、汚染は当然拡大していく。すでに海外では、漏出量が旧ソ連のチェルノブイリ事故を大きく上回ったという報道も出た。実際、チェルノブイリでは放射線漏出は10日で止まったが、福島第一は2週間を超えた。しかも、チェルノブイリ以上に巨大な炉が、4つ同時に放射線漏れを起こしている。このまま進行すれば、総計でどのくらいの放射線が出るのか、想像もできないほどだ。

 それによって海や土壌、水、野菜などの汚染はとめどなく進む。

「現場で指揮をとる吉田昌郎・福島第一原発所長は明るいキャラクターで、ときに大声で本店に意見することもあるなど、官邸からの評価は高い。現場の作業員は皆頑張っています。しかし、めまいなどの症状で入院してしまった清水正孝社長は情けないの一言。もともと資材畑の出身で、こうした厳しい局面はまったく経験してこなかった。早期の社長更迭は確実でしょう」(東電幹部社員)
ドアすら開けられない

 混乱を極めている対策本部をよそに、福島第一原発の現場では、東電の社員をはじめとする現場作業員が不眠不休で働いている。

「いま、福島第一にいるのは約480名。東京電力の社員が8割程度で、あとは関電工や運搬会社など、関連会社・協力会社の社員たちです。新潟の柏崎刈羽、青森の東通の両原発からも応援が入っています。福島第一へ行けと言われて、イヤがる社員はいません。厳しい環境で、仲間が頑張っているのに自分だけ抜け出すわけにはいかない。

 いったん現場から報告のために本店に戻ってきても、用が済んだらすぐに現場に戻っている。二度、三度と現場に入っている人もたくさんいます。すでに、100ミリシーベルト以上の大量被曝をした社員は20名以上。

 40代、50代の管理職が率先して最前線の作業に行っている。高濃度放射線が溜まり、条件が厳しい現場での作業時間は一回10分から15分に限定される。随時交代しながらやっていくほかないんです」(東電技術系社員)

 3月11日の地震発生当初、炉内の温度が上がって圧力が異常に高まり、ベント(弁を使って圧力を逃がす)作業が必要になった。これが3月12日午後以降に遅れたことで、国会では「菅首相の視察のあとに時間をずらしたため、水素爆発を招いたのではないか」と追及された。

 前出の大阪大学名誉教授・宮崎氏も、

「東京電力は手順を間違えたと思う。最初に電源が落ちたときに、早い段階で非常用バッテリーを使って原子炉のベント弁を開け、圧力を逃がして炉内に水を入れていれば、炉心の温度があれほど一気に上がることはなかった」

 と指摘している。

 しかし、この東電社員によるとベントが遅れた理由は別にあるという。

「ベントは、全部で5回行っています。ドライベント(炉内の蒸気をそのまま空中に逃がす)が1回、ウェットベント(圧力抑制室を通して逃がす)が4回です。通常なら電気系統を使って遠隔操作で弁を開けることが可能ですが、電気系統が壊れ、手動でやるしかなかった。手動でベントを行うためには数多くの作業員を組織して厳重に防護服を着、炉の側まで近寄って作業する以外にないんです。今回これに当たったのは、福島でもエース級のベテラン作業員だった。

 ベントの作業が遅れたのは、このチーム編成や防護服の準備などに時間がかかってしまったためです。規制で許された範囲内の被曝で作業を行うため、手順も綿密に確認する必要がある。結果論として批判されるのは仕方がないと思いますが、電源系が落ちたなかですぐにベントをやれるわけではないんです」

 福島第一の作業員たちは、先週号でも報じたように原発1号機から350m離れた「免震重要棟」を拠点とするが、この施設に物資を運ぶのも、簡単ではないという。

「テレビでコメンテーターが、『なぜもっと水や物資、毛布などを運ばないのか』と言っていましたが、免震重要棟のドアを開ける時間が長くなるとその分、放射線が入り込んでくるので、大量の段ボールを運び込むことなど不可能なんです。非常用のご飯を温めるための加熱剤の『ヒートパック』や、缶詰のおかず、カロリーメイト、少量のペットボトルを入れるのが精一杯。

 運搬に使用するバス及び作業車は、福島第一からJヴィレッジまでを往復しています。Jヴィレッジから小名浜コールセンターまでは、また別のバス、そこから先も、また乗り換える。被曝が広がるのを避けるため、バスを換えて乗り継ぐ以外にないんです」(別の東電社員)
もう日本に任せておけない

 もっとも困っているのは水で、シャワーなどはもちろんなく、当初はトイレを流すための水もなかった。一時免震重要棟で暮らした東電社員はこう話す。

「みんな着の身着のままです。私自身は、9日間同じ作業着、同じ下着でした。ウェットティッシュで身体を拭くなど工夫しています。現在は復旧していますが、はじめトイレを流す水がなかったときは、大変でした。建築現場で使うような移動式のトイレを持ち込んで、小は流しっぱなしにすればいいが、大のほうはどんどん溜まって凄いことになる。だから、溜まったらバキュームカーで吸い込んで、どこかに捨てていました。

 作業班によっては夜にミーティングを開き、士気を高めるために気合を入れています。吉田所長が翌日の予定を話し、『明日も頑張ろう』と総括し、必ず最後に『ご安全に』と付け加えるんです。それが慣例になっていました。現場系は打ち合わせのあとユニット所長が一本締めをします」

 最前線で働く作業員たちの姿と、右往左往する東京の対策本部の姿はまさに対照的だ。アメリカなど諸外国も、痺れを切らして動きはじめた。

「独自に放射線量を計測していた米軍が防衛省に接触し、事態沈静化に協力を申し出ている。25日には、原子炉に注入する真水を搭載したはしけ船を、福島へ向かわせた。アメリカ政府は、原子力問題の専門家も日本に派遣しています。『もう日本に任せてはおけない』というのがホンネでしょう」(防衛省担当記者)

 本誌記者も、28日に小名浜港でアメリカ軍の派遣したはしけ船を目撃した。海上自衛隊の5隻の艦艇に守られるように停泊したはしけ船には、米軍がオーストラリアから購入したという大型ポンプが取り付けられ、そこに燃料の注入が行われていた。

 米軍の将兵は小名浜で船を離れ、ここから先は海上自衛隊が福島第一まで曳航するという。はしけ船の上では、作業する白人男性に、日本人の業者が近寄り、通訳を介して設備の使用方法などについて説明を受けていた。

 桟橋に居合わせた東電社員は、

「とにかくいまは、やれることはなんでもやっておこう、ということです。我々が逃げ出すわけにはいかないですから」

 と厳しい表情で話した。

 山口大学監事の坂本紘二氏(前下関市立大学学長)はこう話す。

「各国の専門家が来てアドバイスしてくれているようですが、かつてない事態に、対応が後手後手になってしまっている。仕方がないことですが、とにかくあらゆる叡智と技術に頼って、放射線の封じ込めを行って、終結させてもらいたい。1号機から6号機まで、次々に問題が発生するのはチェルノブイリでもスリーマイルでもなかった事態です。

 そもそも原子力は人間の力が及ばない、本質的に制御不能≠ネものです。そのことを前提に考えなければならなかった」

 前述の通り、福島第一の現場では比較的高齢の社員を中心に「被曝しても構わない」という決死の作業がつづく。

 しかし、こんなことを数ヵ月も続けていたら、いつか現場の作業員は疲労困憊し、力尽きてしまう。そうなる前に、一刻も早く有効な手を打つしかない。坂本氏の言うとおり、いまほど日本人の叡智と技術が問われているときはない。  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2011年4月11日 12:47:04: x1v8EwHn8I
満州事変パート2

02. 2011年4月11日 14:31:39: S4QXiVsLTo

長谷川幸洋「ニュースの深層」


大震災・原発事故「不都合な真実」が突きつける政治、経済、メディアの「パラダイムシフト」


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2355

 地震と津波、東京電力・福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故は、日本の政治・経済はもとより思考の座標軸に影響を与えるのではないか。おおげさに言えば、日本人の世界観にパラダイムシフトをもたらす予感がする。

 抽象的に語るより具体的に語ったほうが分かりやすいと思うので、舌足らずになるのを恐れずにずばり書こう。

 第一に、原発事故は福島の怒りを呼び起こした。それは事故を起こした東京電力に向けられるだけではない。人々は「なぜ首都圏の電力を賄うのに、私たちが危険な目に遭わなければならないのか」と問うている。

 信頼できるベテランの科学ジャーナリストによると、原発を事故から守る壁は原子炉圧力容器とか格納容器だけではない。最終的には「距離という『第6の壁』がある」と言われてきた、という。東京と福島の距離は約230キロである。この距離が首都圏の安全性を担保しているのだ。

 彼は「福島に原発が作られた本当の理由は『首都圏から離れているから』です。かつて、あるシンポジウムで専門家がそのことをあからさまに喋ってしまったことがある。彼はひんしゅくを買ったけど、残念ながら本当だ」と語った。

 いまや福島の人々は、この「不都合な真実」に気づき始めている。

 首都圏の繁栄は危険と隣り合わせだった福島の犠牲の上に築かれていた。もしも首都圏が繁栄を望むなら、福島をどうしてくれるのか。同じ問いは避難してきた福島の人々だけでなく、全国の原発立地地域から発せられるようになるだろう。

 これは地域主権の議論でもある。原発による電力エネルギーの恩恵だけを享受して、危険は引き受けない、という非対称な議論は地域主権の考え方と本質的に相容れない。危険性が地域限定である以上、それぞれの地域がどうエネルギーを確保するかは本来、その地域に委ねられるべき問題ではないか。

 これまでは霞が関中央集権体制の下で、福島のような地域が大きなリスクを背負わされてきた。だが、住民たちはもはや簡単にリスクに対して「イエス」とは言わないだろう。自分たちの置かれた立場を自覚するからだ。

 次が米国はじめ外国との関係である。

 米国は地震と津波の発生当初から「トモダチ作戦」と名付けられた救援作戦を大々的に展開してきた。放射能漏れが深刻化してからは、ウォルシュ米太平洋艦隊司令官が指揮をとって、被災者救援だけでなく原発事故にも日米で共同対処する姿勢を強めている。


 米国が日本を支援するのは、もちろん日本が重要な同盟国であり友人であるからだ。ただ善意だけに目を奪われると、もう一つの側面を見失ってしまう。それは「ここで日本を助けておけば、日本は米国にノーと言いにくくなる」という計算である。

 沖縄の米軍普天間飛行場移設問題に解決のめどが立っていないのは周知の通りだ。米軍によるフクシマ救済作戦が成功すれば、日本はフテンマ移設問題で米国にノーと言えるだろうか。米国の言い分を拒否するのが難しくなるのは当然である。しばらくは米国に頭が上がらない状態になるかもしれない。


■日本への「支援貸し付け競争」という側面


 欧州では、フランスの支援が際だっている。フランスは毛布や水といった物資だけでなく救援専門家グループの派遣、遠隔操作ロボットや大気モニタリング用トレーラー、放射線の防護服や測定用トラック提供など本格的な技術支援作戦を展開している。

 サルコジ大統領は菅直人首相と会談するために31日、来日した。フランスはドイツとともに欧州の中軸を自負し、国際政治や経済、軍事面で常に米国と張り合ってきた歴史がある。原発をもっとも積極的に導入してきた国の一つでもある。

 サルコジの頭には、米国を横目で見ながら「この機会に日本でフランスの存在感を高めておきたい」という思惑があったに違いない。中国やロシアも米仏の行動を注目しているだろう。

 不謹慎な言い方に聞こえるかもしれないが、国際的な日本救援作戦は「日本への支援貸し付け競争」でもあるのだ。日本が各国の支援を必要としているのは間違いないし、感謝すべきでもある。同時に、舞台裏の事情にも目配りが欠かせない。


 第三に永田町への失望感である。

 地震直前まで永田町の焦点といえば、小沢一郎元民主党代表をめぐる政治とカネ問題であり、あるいは前原誠司前外相や菅首相への外国人献金問題だった。そうしたスキャンダルを材料に野党は政権を攻撃し、2011年度予算関連法案を人質にとって衆院解散・総選挙を迫ってきた。

 いま地震と津波、原発事故が人々に迫っているのは、文字通り「命と暮らし」の問題である。それに比べれば、人々の目に政府与党のスキャンダルは、いかにも矮小なものに映るのではないか。

 政治の役割は、つまるところ「国民の命と暮らしをどう守るか、そして生活を豊かにするか」に尽きる。「いまの政権は本来の責務を果たしているか」。今後、何年にもわたって、人々は放射能に汚染された空を見上げながら、否が応でも政治の根本的役割を問いかけるはずだ。


■自分の頭で見通しを考えてこなかったメディアの変化


 経済も大きく変わる。

 東北に生産拠点や子会社を置いてきた企業は表向きの言い分はともかく、ほかに代替する拠点があれば、そちらに機能や役割を移すだろう。計画停電が続き電力供給が抜本的に回復する見通しもない以上、そうしなければ自らの最適生産性が失われてしまう。

 移行過程で職を失う人がいれば、逆に雇用される人もいるはずだ。雇用を維持できる人も転居や家族の転入学を迫られるかもしれない。そういう経験を通じても、人々は雇用と暮らしの根本問題に直面する。

 マスメディアにも触れたい。

 新聞やテレビはこれまで客観報道の建前の下で、基本的に政府や政治家、あるいは企業の言い分をそのまま報じてきた。だが今回の未曾有の事故で、散発的にではあるが、枝野幸男官房長官や東京電力あるいは原子力安全・保安院の説明を右から左に流すだけでなく、独自の解釈や見通しも加えるようになってきた。

 同じ情報を基にしていても、解釈が異なれば見通しや意味づけがまったく異なる場合はしばしばある。たとえば「壊れた原発の上から水を流しても、下から汚染された水がだだ漏れになってしまえば出口なし」というのは少し考えれば、だれでも分かる。

 メディアがずばりと書かなくても、普通の人がとっくに気づいているのだ。

 政府は「出口なし」とは言えないので「次はこうする、ああする」と懸命に弁明する。新聞はじめメディアは政府の言い分を紹介するだけでなく、自らの頭で考えて事態を整理し、見通しを語らねばならない。それが重要な役割の一つであるはずだ。

 残念ながら、メディアはそういう独自の作業をあまりしてこなかった。

 依然として、政府の言い分垂れ流しに終わっている部分も少なくないが「出口なしの危機」に直面して、記者たちはようやく本来の仕事に気がつき始めたようだ。本当に出口がないかどうかは分からないが。

 メディアは政府ではない。政府がなんと言おうと、怖がらずに自分の頭で考え記事を書く。この単純で重要な事実と役割を一人ひとりの記者がしっかりと腹に据える必要がある。

 もう一つ、霞が関と東京電力、学者たちが緊密な「原子力ファミリー」を形成して、互いに利益擁護を図っていた問題も見逃せない。本来、便益と費用、リスクに対して中立、客観的、科学的であるべき人々が原発推進に傾斜して、大きなリスクに目を向けないようにしてきた。背景には、独立性を失って「ポチ」ばかりになっていた事情もあるはずだ。

 危機は終わっていない。それどころか、これから憂鬱な日々は何年も続く。平時において、あいまいにされてきた問題の数々が危機とともに冷徹な本質を赤裸々に露呈して、人々に再認識を迫っている。いまは、その渦中である。

(文中敬称略)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2355?page=4


03. 2011年4月11日 14:47:10: jGKzU7J4XE
>日本人の叡智と技術が問われて
叡智や技術と呼べるものがあったなら、こんな事態にはなっていません。あほくさ。
つまらん談話載せていないで小出さんの話でも取り上げたらどうだ。

04. 2011年4月11日 15:12:38: oz33FCcPgo
3号機は、4号機側の損傷が激しい。鉄骨がグニャグニャだ。
http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/430.html

ここにある核燃料貯蔵プールで高温爆発があったのは間違いない。
遠くからのビデオ映像でもここから炎が噴き出ていた。
水素爆発でないのは明らか。
鉄骨をヨレヨレにするほどの熱が一瞬に出てキノコ雲を作る爆発とは、、、、
言うまでもないだろう。

幸い格納容器の上蓋がすっ飛んでいないのは間違いない。
その上の鉄骨が残っているからね。
でもだからといって格納容器に損傷がないとは言えない。


05. 2011年4月11日 16:57:02: ibwFfuuFfU
「鉄骨を溶かす800度以上の超高熱」

はて、どっかで聞いたような................


06. リベンジ 2011年4月11日 17:32:05: Qd30zXTdWrrwo : nOzs7GL7To
何をごちゃ、ごちゃ、何時までも言っているのか?

原子炉の蓋の高さは地上から30m。建屋の高さは地上から50m。現在残っている建屋の一番低い所は半分以下25m以下。・・何が起きているか想像できるでしょう。

3号機の原子炉の蓋は既に吹っ飛んで、地獄の釜は吹き飛ばされているのです。
そうでなければ、上にあれだけの高さまで噴煙を持ち上げるだけの垂直に掛かる圧力開放はない・・之、常識。
タービン建屋の屋根にあいた、丸い穴は原子炉の蓋、若しくは格納容器の蓋が落下した跡。

今気をつけなければならないのは、盛んに福島で地震が起きている事(起こされて)


07. 2011年4月12日 00:33:10: oz33FCcPgo
>>06
それはないでしょう。
4号機は停止中で、黄色い格納容器の上蓋がはずされているのが見える。
こんな大きなものが吹き飛んだら、屋根の鉄骨は完全になくなるはず。

格納容器が爆発するほどなら、強度的に弱い下部の圧力抑制室が
先にやられるように思う。

爆発時に煙が上だけでなく下に向かって吹き出ているのが
それを示しているのかも知れない。

鉄骨は800度ではあんな麺のようにならない。
少なくとも千数百度は必要。


08. 2011年4月12日 10:00:32: bhNx5VZJdc

現代の日本の縮図がフクシマ原発に凝縮している。
溜まりにたまった「膿」が濃縮されて噴出している。

これが日本だ私の国だ。と歌う者がいた。

まさに、これが日本だ、私の国だ。
国を創るのは国民であるとの認識を強く持たなければとおもう。

負託した政治家も税金を払い雇った公僕も、自らエゴの増殖を繰り返す輩ども大多数で、無関心を教育(飼育)された我々は、なす術を失ってしまったようである。

これが日本だ、私の国だ。
座して死を選ぶか、一人一人が闘って社会を作るかの選択が迫られてきた。



09. 2011年4月12日 10:30:16: Nf8AUEV10I
>>07
鉄骨
東側の壁に張り付いて上に吹き上がってたのが、時間と共に
曲がって降りて来たんでしょ

あれだけの爆発は内部からで無ければ発生しない。


事実、今まで公開された動画を細かく見て行くと、炉心が有る
と思われる所に円形の奈落がポッカリ口を開けている。


基本、公開される画像は肝心の部分は写さないようにしてるから、
瞬間しか映ってないけど


10. 2011年4月12日 11:22:45: EA2ImDqezM
外交に善意はないとは言え、アメリカの「東北震災」へのトモダチ支援に感謝。

アメリカが、バカ空き缶首相が約束した”5年間の思いやり予算1兆円”を返上して、それを震災復興に使ってくれと言ってくれたら、日本人はアメリカを真のトモダチとして尊敬するだろう。

今回のアメリカのトモダチ作戦を心から感謝するとも、沖縄の米軍基地問題は別

切り離して考えるのは当たり前。感情に流されてはいけない。


11. 2011年4月12日 12:21:20: Nf8AUEV10I
>>10さま
友達作戦の予算は68億でしたっけ?
それ以上の拠出は、日本側の負担も求める

みたいな事が報道されていましたね。


その代償と言う訳ではないでしょうが、震災のドサクサに60兆円米国債を
買わされたとの噂もあります。

本当のトモダチなのか、ピンチだろうがお構い無しにカツアゲする、
友達の振りしたたちの悪いヤンキーなのか、


12. にゃ〜ちゃん 2011年4月12日 13:17:57: /oSSDkXpV3oq6 : ll9ijBqn1k
08さん 同感です。

 自分さえ良ければの人間の集まり、買いだめ現象もそのひとつ、寂しいが、醜い日本人。

 映画「善人の条件」のENDINGで、狂った日本社会のためにズタズタにされた主人公が国民に対して言います。「お前たちがこんな世の中にしたんだ〜!!!」というような事を言ってます。まさしくその通りです。

 この映画はVHSしかないのですか? DVDでまた観たいのですが。

 伊丹十三さんが命を賭けて作った「マルサの女2」もこの日本や、この世界を良く現している映画でした。
 

 


13. 2011年4月12日 13:25:08: Aesc3Wflqs
今回NHKのアメリカの友達作戦を好意的に捉えて
激しく宣伝に、違和感のおぼえました
ずいぶんいろんな場面を、針小棒大に放送していた
たった68億なんて安いもんだ(1兆もらったのだから)
いい宣伝になったって所らだ
北朝鮮、キムジョンイルが500万円だったかな、日本に震災見舞い出したって
ヤフーニュースに有ったけど勿論、こんなときでさえNHKは政治優先体質は捨てないからスルー


14. 2011年4月12日 18:06:33: bAeNGmt5TI
うーん、しゃべりすぎると要点が分からん。
要するに猪八戒はチェルノブイリより「安全だ」と言明している。
ということは、もうダメポということを意味する。
それが全てだ。
レベル8ということだ。
冗談抜きだ。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素9掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素9掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧