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「出荷制限」被害は政府無策の責任だ 「自主的な検査、出荷」を民間に求めた、重すぎるツケ
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/593.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 20 日 12:03:13: 6WQSToHgoAVCQ
 

冷凍保存で短期間に消えるのはI131だけで、他は、結構、半減期は長いから
いずれにせよ、きちんと線量を表示して、消費者が選択できるようにしないとだめだな
スーパーなどは今後は、店頭に線量計を置くべきだろう
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110415/219464/?ST=print
変革の時をつかめ 新・ニッポン農業論
「出荷制限」被害は政府無策の責任だ 「自主的な検査、出荷」を民間に求めた、重すぎるツケ

2011年4月20日 水曜日
樫原 弘志

東日本大震災  出荷制限  農業  放射能汚染  和郷園  木内博一  篠原孝 

 福島第一原子力発電所事故以降、関東、東北の産地で広がる農作物の“風評被害の犯人”は誰なのか――。確かに、消費者、流通業者も加担したことにはなるだろう。しかし、政策の不備、リスク・コミュニケーションの不足が拍車をかけたことも間違いない。

 農作物の放射能汚染は、放射性物質を広範囲に拡散させた東京電力に賠償責任があるのは明らかだが、風評被害の広がりを助長した点で、政府の責任も問われるべきだ。検査や管理を徹底すれば、無駄に廃棄する農作物も少なくできるはずである。

仕入れ担当者の言葉足らずが招いた誤解

風評被害の発生で対応を協議する和郷園幹部(右端が木内代表,3月21日)

 3月21日夕、利根川流域の水田の被災状況を調べた後、農事組合法人・和郷園(千葉県香取市)の本社に立ち寄ってみると、代表の木内博一が真剣な表情で電話をかけまくっていた。聞けば、その日の昼頃、遠隔地にある取引先の生活協同組合の1つから「千葉県産野菜の出荷を取りやめて欲しい」という申し入れがあったという。同業者と情報交換しつつ、販売担当の役職員を集めて対策を協議している最中だったのである。

 前日の20日、東京都の放射能検査で、千葉県旭市産の春菊から、食品衛生法の暫定規制値を上回る放射性物質が検出されていた。その事実が21日、取引先の生協の地元の新聞でも大々的に報道され、驚いた生協の仕入れ担当者が、春菊に限らず、和郷園など千葉県産の野菜を出荷する契約先に電話で一斉に伝えたらしい。

 生協幹部との電話のやりとりで、生協の要請は「自主的に検査をして安全性が確かめられるまで、可能なら出荷を控えて欲しい。難しいなら契約通り出荷してもらって構わない」という内容で、「出荷停止」は急いで連絡した仕入れ担当者の言葉足らずが招いた誤解と判明する。

 しかし、木内のもとには、同じように生協から出荷自粛を申し入れられた同業者から相談が相次いでいた。放置すれば風評被害に甘んじる結果になると考えた木内は、風評被害を助長しかねない生協の行動に厳重抗議した。「強硬策を取って損をするのは我々出荷団体」と分かっていても、農業者としてプライドが人一倍高い木内は生協の言いなりになることをよしとしなかったのである。

風評被害防止への対策を求めて要請活動

 和郷園は香取市周辺の青年農家の集団で、集荷・出荷販売額は20億円足らずだが、加工・冷凍部門の株式会社・和郷や都内に持つ直売店なども合わせると年商50億円もの有力な農業ビジネスグループになる。20年ほど前、木内氏がゴボウをカットして生協に納入したのが評判となり、仲間が次々増えて農事組合法人となった。

 卸売市場に出荷すると、仕入れ量が多い量販店の力が強すぎて、出荷団体は量販店の仕入れスタンスに振り回されがちだ。和郷園は、独自ブランド商品の開発や循環堆肥の使用、栽培管理基準の作成など消費者の期待、ニーズに応える農業の実践を心がけ、市場出荷作物との差別化、直販体制を築き上げてきた。しかし、福島第一原発事故による放射能汚染問題はそうした契約出荷団体も容赦なく風評被害の渦の中に巻き込んでいる。

 「小売業界は慢性的なオーバーストア(店舗過剰)。生産者がその犠牲になることがあってはならない」
 「生産者が集まって政府や流通業界に意見を言うために、生産者適正取引協会(仮称)のような組織が必要だ」

 長い間そう考えていた木内は3月26日、民主党に対する農家の提言組織「食と農の再生会議」で事務局長を務め、さんぶ野菜ネットワーク(千葉県山武市)常勤理事でもある下山久信と、生協のパルシステム生産者・消費者協議会の代表幹事で佐原農産物供給センター(千葉県香取市)常務理事の香取政典らに相談を持ちかけた。

 そして、直販・直売中心の農業を展開する16の団体・法人と共同で千葉県契約取引連合会を設立。下山、香取とともに共同代表に就任して、早速、農林水産省や厚生労働省、国会に放射能被害の救済、風評被害防止への対策を求めて要請活動を始めた。

 「誰がどんな責任をもって検査し、公表しているのか。計画的に調査をしなければ、風評が広がるばかりだ」

 木内の怒りの矛先は、暫定規制値を設けながら検査計画の立案や、分かりやすい説明(リスク・コミュニケーション)を怠っている政府にも向かっている。

風評被害が生まれるスキを生んだ

 今回、真っ先に「出荷自粛」を産地出荷団体に申し入れたのは東京都だ。和郷園が取引先の生協から出荷自粛を要請された1日前の3月20日、都は放射能検査結果を添えて、卸売市場長名で千葉県農林水産部長に対し、規制値以上のヨウ素が検出された春菊の出荷団体、JAちばみどり(旭市)からの野菜出荷を自粛させるよう文書で要請した。

 福島県や茨城県でも放射能汚染が確認された農作物が判明しているのに、国がそうした作物の取り扱いを一向に示さない。「国から統一的、かつ具体的な見解が示されるまでの暫定的な措置」というのが都の言い分である。千葉県への要請文書では、都から国に対し、【1】優先的に検査を行う地域、品目を定めること、【2】生産地で安全確認し、出荷規制の必要性、対象地域を決める、などを申し入れたことも記されている。

 つまり、国の対策が後手に回ったから、都がとりあえず野菜すべての出荷自粛を求め、生協など流通業界の一部も追随した。そして、科学的な根拠があいまいなままの買い控え、風評被害が生まれるスキを生んでしまったのである。

 都の要請で1日1億円の出荷を自粛させられたJAちばみどりや旭市はその犠牲者と言っていい。3月21日午後6時、官房長官の枝野幸男が原子力災害対策特別措置法に基づく首相指示として、茨城県産ホウレンソウなど産地や作物を特定する形で農産物出荷制限が発表したが、春菊など千葉県産の野菜は制限の対象外だった。

 枝野の発表に続いて、農相の鹿野道彦が「出荷制限品目以外は科学的な根拠もなく卸売市場が受託拒否してはならない」との見解を公表している。これらを都や県から知らされることもなく、JAちばみどりは都内の卸売市場への出荷自粛を決め、旭市はJAから集めた野菜30品目のサンプルを放射能検査機関に持ち込んでいたのである。

結果的に裏目に出た「安全証明」

 なぜ、旭市産の春菊が政府の出荷制限の対象から外れたのか明確な理由の説明はない。どこの検査データが、どんな基準のもとで出荷制限の判断に活用されているかは全く分からない。木内は、政府の発表内容を知るや、直ちにJAちばみどり幹部や旭市に連絡を取った。政府の決定に反映されるかどうかも分からない独自検査を止め、国や県が放射能検査を整然と進める体制を早期に作るよう要望しようと働きかけたのである。

 千葉県内のJAグループ統括団体、千葉県農協中央会も「自主的な検査、自主的な出荷停止では損害賠償の対象にならないかもしれない」と判断、3月22日に「自主検査は自粛する」と申し合わせ、国・県主導で農作物の放射能検査を進めるよう求める方針を決めたが、すでに手遅れだった。旭市が持ち込んだ30品目の検査はすでに着々と進み、24日には11品目から暫定規制値以上の放射性物質が検出されたことが判明し、「安全証明」は結果的に裏目に出た。

 関係者によると、旭市から検査結果を聞いて驚いた千葉県は、一足遅れて県による検査が進行中であることを理由に旭市に検査結果の公表を差し控えるよう要求していた。まるで、食の安全、消費者保護のためという検査目的などお構いなしである。

 旭市では独自検査で規制値を下回ったから出荷してもいいと判断した一部の出荷業者が出荷を再開し、大手量販店も店頭に並べてしまった。これは法律違反ではないものの消費者の不信を招くような動きとして一部のメディアで批判された。しかし、こうした不始末も、自治体や生産者団体が自営のために検査に駆け込まざるを得なかったことから生まれたものだ。

 週1回の検査を3回連続してパスしたら出荷制限を解除する、市町村など制限区域も細かく分ける――。政府は今月4日になって、出荷制限解除の手順などとともに、地方自治体にも週1回、地域や品目のバランスも考慮した計画的な検査を進めるよう求める通知を出した。だが、遅きに失した感がある。

 これまで「県域」丸ごと出荷制限の対象にしていたのを区域まで細分化したのは一歩前進だ。ただ、該当する市町村すべてで検査をしているわけでもないから、「科学的な根拠もないのに出荷制限に加えられた」と憤る産地の声は収まりようがない。「もともと出荷がないのに制限対象になり、解除を求めようにも検査データが出せない」という自治体すらある。しかも、風評被害が火を噴いた後だから、自衛のために検査を希望する生産・販売業者も急増し、検査機関によっては受け付け中止を宣言するほどのパニックに陥っている。

ホウレンソウは「凍結保存」すれば食用可に?

 もし、放射能汚染食品を徹底管理するなら、国が信頼に足る分析能力を持つ検査機関がリストアップし、検査の発注者が自治体であろうと、民間の小売業者、出荷団体であろうと、すべてデータを国の原子力災害対策本部に集中し、可能な限り説得力のあるデータとともに出荷制限、制限解除を公表すべきなのではないか。生産者が自主検査をしなければ農作物を売れないという環境は、国が責任をもって解消していく必要があるだろう。

 食の安全とは何なのか、データに基づき、冷静に議論すれば、違った世界が見えてくるかもしれない。

 「ヨウ素の半減期(8日)は短いため、3カ月、半年も凍結保存している間に、検出できないくらい安全なレベルに下がってしまう。廃棄しなくても食用として十分に利用できるはずではないか」

 木内はそんなことも考えている。和郷園が本社を置く香取市は4日、ホウレンソウの出荷制限対象になったが、木内はとりあえずの処分法として「凍結」を選んだ。

 出荷制限作物の扱いについて、農林水産省は「畑にすき込んだり、焼却したりしないように」「刈り取ったものは集めて保管する」「刈り取り前のものは放置する」としか農家を指導していない。

 3カ月も保管すれば2000分の1以下にヨウ素が減り、食べても健康にまったく問題がないのなら、ホウレンソウの出荷方法として一般的な「凍結」で食用として扱うことも可能なのではないか。そう考えるのは木内ばかりではないが、今のところ、放置、保管して腐らせている農家や出荷団体がほとんどだ。もちろん、凍結保存しても出荷できる保証はない。出荷できる場合も直前に放射能検査を実施することが大前提だ。

 国の原子力災害対策本部に問えば、「出荷を制限しているから凍結加工もあり得ないはず」という答えが返ってくる。これも、法律上の根拠はあいまいだ。

生鮮食品を少しでも無駄にしない工夫を

農水省で篠原副大臣(中央)に会い、放射能汚染対策を要望する木内代表(左)

 生乳を廃棄した際にも聞こえてきたことだが、生鮮品の長期保存技術が進歩している今、収穫直後に消費することを前提にした規制の運用のあり方も、科学データに基づいて、きちんと指針を作成する必要があるのではないか。木内は自ら理事長を務める日本GAP協会名で厚生労働省などに凍結処理した野菜の扱いについて政府が見解を示すよう要望書を出している。

 「放射能暫定規制値が厳しすぎるのではないか」という声は福島第一原発事故の収拾が長期化するにつれ、次第に小さくなっている。当初、暫定規制値の緩和を求めて政府に要望書を出した木内たちの協議会も、「厳しいくらいの規制値があるからこそ、風評被害が今の程度の範囲で収まっている」(農林水産副大臣の篠原孝)という規制値導入側の説明に納得し始めている。

 放射能による汚染のリスクと長く付き合わざるをえない厳しい環境だからこそ、生鮮食品を少しでも無駄にしない工夫を考えておくことも必要になっているのである。

(文中敬称略)
このコラムについて
変革の時をつかめ 新・ニッポン農業論

自由貿易は脅威か好機か。農業は大きな変革のときを迎えている。逃げるも挑むも生産者の自由だ。だが、環境の変化にあわせて大胆に舵を切り替える勇気があれば、日本の農業にも未来はある。日本の、そして世界の消費者のこころをわしづかみにするニッポン農業の再生に期待する。

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著者プロフィール

樫原 弘志(かしはら・ひろし)

樫原 弘志 日本経済新聞編集委員。
1981年の入社後、財政、金融、経済協力などを担当。99年、FASID(国際開発高等教育機構)リーダーシップアカデミー修了。シンガポール、大分、千葉の各支局長を経て、最近はもっぱら農業、漁業の生産現場の変化を追う。農業とのかかわりは86年のコメ市場開放問題以来。「がんばれマグロ漁業」(日経夕刊連載)で2007年度水産ジャーナリストの会年度賞受賞。
 

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コメント
 
01. 2011年4月20日 13:42:45: rKFDeI2GiA
とにかく、人命が最優先。
内部被曝は、やり直しがきかない。
絶対に危険なものが出荷されいことが保証されないのなら、安全側にマージンをとるのは当たり前のことだと思う。
検査、検査と言うが、そんなに簡単にサンプリング検査で全数の状態が保証されるのか?コントロールができる体制や技術が整っていないのなら、まず疑わしきはとめるのが人命優先の考え方だ。
そんなにきちんとした検査をしていないことは知っていいるし、放射能の測定はそんなに簡単ではなく、誤差範囲も大きい。
野菜が無駄になるとか言っているが、価格下落で廃棄処分にしたりしていることは、無駄ではないのか?回りくどい言い方をしないで、金が欲しいから、直ぐに死んだりしないし、因果関係がわかりにくいものだから、少しくらい混じっても問題ないだろうといえ。換金したいというのが本音だろう。
少なくとも、原発に漏えいがコントロールできるようになるまで、適当なことしないで、被害を最小限にすることを優先しろ。
汚染される物を食べることを頑張っても、あまり意味が無い。それなら、単純に補償してやれ。

02. 2011年4月20日 15:01:03: FbUv5Cu4qA
政府による、「放射線は直ちに健康に影響ない」発言、根拠のない安全宣言や被爆許容量の引き上げ・・。
 国民、とりわけ子供の健康をないがしろにする嘘つき政府など、誰も信用しないよ。
 福島の野菜応援キャンペーンで国民の口に放射能で汚染された野菜をねじ込まれてたまるか!
 東京電力と国の責任で福島とその周辺の県の産品を全て検査し、安全確認済なら、買う人もいるかも知れないけど、政府は、嘘をつきすぎたんです。
信用を取り戻すのは大変ですね。
 売れない野菜は、東京電力に、全量、買い取ってもらえばいいよ。
  

03. 2011年4月20日 15:26:34: u8T2aRIP9Y
風評被害など無いのに、無責任に風評被害だという奴が一番の害悪だ。現時点では、福島県民が放射能を出しているということのみが、風評被害だ。事実無根も甚だしい。

04. 2011年4月20日 17:43:21: Tss4gh3yIE
生鮮食品の放射能汚染が風評被害、日本への観光客激減も風評被害、避難先や渡航先での放射能被曝差別も風評被害。何て他力本願な御人好しで楽観主義的コメントだよ。
地震国日本列島のゆらゆらな不適切地に建設計画した電事連と政府との原子力政策が原因です。曖昧な無責任な表現はやめて子ども達にまで拡散している共食い現象を即刻やめて 誰かが正しいリーダーシップを取り 責任逃れせず、誰かのせいにせず、堂々とした社会作りをしないと手遅れになります。

東電や自浄作用の出来ない原子力悪利用の輩の犯罪を追求し悪玉をヒッタテイ、、、


05. 2011年4月21日 11:25:06: Z9YHyKAMHI
多少でも放射能の付いたものを食べさせないでくれ!

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