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明るみに出ない原発労働者の真実  {JBpress(日本ビジネスプレス)}
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/641.html
投稿者 七転八起 日時 2011 年 4 月 21 日 11:48:51: FjY83HydhgNT2
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5849


 私は1965年2月生まれなので、79年3月28日に起きたスリーマイル島原発事故の時は14歳だった。中学3年生になる直前のことだが、ほとんど記憶に残っていないのは、1月半ばに左腕を複雑骨折したことで頭がいっぱいだったからだと思われる。

 私は中学校のサッカー部に所属していて、茅ケ崎市選抜チームのメンバーに選ばれて、大いに張り切っていた。そんな矢先の大怪我で、手術のあとに2週間ほど入院し、退院後もサッカーができない悔しさに歯噛みしていた。

 86年4月26日のチェルノブイリ原発事故の時は21歳で、北海道大学の学生だった。原子炉が崩壊して、放射性物質が世界中にばらまかれたとの報道には、思わず耳を疑った。地理的にも札幌はソ連と近く、いかなることになるのかと心配しながら、私はマメに新聞に目を通した。

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 チェルノブイリ原発事故のあと、北海道内では反原発運動が勢いを増した。

 当時、北海道知事だった横路孝弘氏は社会党に属していたが、「勝手連」と呼ばれる市民運動の力を背景に83年に初当選した。「勝手連」に結集した人々の多くは泊(とまり)原発の稼働に反対しており、社会党も反原発の立場を取っていたことから、横路知事による建設計画中止の決断が期待された。しかし、横路知事は行政の継続を理由に、自民党系の堂垣内尚弘前知事が進めていた道内初の原発計画を今後も推進すると発表した。

 北海道電力をはじめとする原発推進派は、チェルノブイリ原発事故のあとも、日本の原発の安全性を必死に強調した。しかしながら、81年4月には福井県・敦賀原発で放射能漏れ事故が起きていた。その際、以前にあった同様の事故を会社側が秘匿していたことが明らかになり、原発の安全神話には大きな疑問符がついた。

 チェルノブイリ原発事故に関する報道を通して、私は初めて原子力発電の構造を詳しく学び、沸騰させたお湯の蒸気でタービンを回転させるという基本構造は火力発電と同じなのだと知った。つまり、たかだかお湯を沸かすために原子力を使うわけかと、自分の無知も顧みず、手段と目的のギャップの大きさに本気で驚いた。
より深刻に思われたのが、核燃料の制御についてである。今回の福島第一原発の事故からも明らかなように、一度制御が失われた原子炉は、容易なことでは再び人間のコントロール下に置けない。ウランやプルトニウムといった核燃料は石油とは比較にならない強大なエネルギーを持っているため、原子炉を停止させても10年以上にわたって崩壊熱(放射性物質が崩壊して放射線を出す際に発生する熱)を出し続ける。

 また、使用済み核燃料の処理にも膨大な手間と費用がかかる。電力会社は、バカの一つ覚えのように、原発にすれば電気料金が安くなると力説するが、それはせいぜい数十年単位の短期的な視点に立った場合である。

 万一、チェルノブイリ規模の事故が起きてしまえば、被害額は電気料金の差額とは比較にならない莫大なものになる。しかも人々の健康は損なわれて、地球環境にも甚大な悪影響を及ぼす。だから、純粋に経済的な視点から見ても、原発は我々の暮らしになんら利益をもたらさない。

 そうした考え方は、チェルノブイリ原発事故のあとには、多くの人たちの共通認識になっていたはずである。

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 チェルノブイリ原発事故の以前から、私は自分なりに原発に反対する気持ちになっていた。それは、下請け作業員として全国各地の原子力発電所を渡り歩く労働者(=いわゆる「原発ジプシー」)についての新聞記事を読んだのがきっかけだった。

 さらに、森崎東監督の映画『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』を観たことで、私の意志は固まった。主演の倍賞美津子がドサ回りのストリッパー、原田芳雄が原発ジプシーを演じた映画は、ストーリー展開の面白さといい、社会的な視点の斬新さといい、登場人物たちの魅力といい、まぎれもない傑作である。

 私は北大映画研究会が学祭のオールナイト企画で上映したものを観たのだが、今回インターネットで調べてみると、一度ビデオになっただけでDVD化はされていないという。
長らく絶版となっていた問題の書『原発ジプシー』が現代書館から復刊されるように、森崎監督の映画もどこかの映画館で再上映されないだろうか。DVD化も期待されるが、映画はやはりスクリーンにかけてほしい。上映への期待を込めて、ストーリーはあえて書かないでおく。

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 原発ジプシーの実態については、福島原発での事故に際して復旧作業に動員された下請け作業員たちに関する報道から類推してもらえばいいと思う。

 放射線量を測定する機器さえ持たせることなく、高額の日当を餌にして集めた作業員を有無を言わせず危険な現場に送り込む。

 私がかつて読んだ新聞記事によれば、仕事を仲介した人間が賃金をピンハネするのは当たり前。作業中に浴びた放射線量の合計が法律で定められた数値に近づくと、別の原発に移して働かせるなど、いくらなんでも酷すぎると思われる実態が克明に描かれていた。

 電力会社は、原発で働く作業員は放射能に関する教育を受け、日本の電力を確保するという高い使命感のもとに作業に従事していると、ことあるごとに述べてきた。しかし、それがただのごまかしでしかなかったことは、99年9月30日に起きた茨城県東海村JCOの臨界事故で明白になった。

 『原発ジプシー』や『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言』が描いてきたよりも、現実の原発作業はさらに杜撰で危険だった。

 作業工程を簡略化した裏マニュアルが公然と作られて、しかも実際には裏マニュアルさえ守らずに、ステンレス製のバケツで放射能を帯びた溶液を運ぶという信じがたい方法が取られていた。

 そして、不幸な偶然というよりは、無責任が積み重なった必然的な結果として臨界事故が起き、大量の放射線を浴びて作業員ら100人が被曝、付近住民31万人に避難勧告、のちに社員2名が死亡という大被害をもたらしたのである。
福島第一原発の事故が起きたあと、連日のようにテレビに登場する科学者たちがいる。人相も服装もいろいろで、ネットでは各々に面白おかしいあだ名が付けられているという。ただし、解説内容は基本的に同一で、「ただちに健康に影響はない」という内容を繰り返し述べるだけである。

 <そんなに「安全」というなら、テレビに出るのではなく、原発村の科学者たちはフクシマに行け!>と週刊誌が怒る気持ちも分からなくないが、彼らのうちの誰が現場に行っても邪魔になるだけだろう。

 それよりも問題なのは、原子力発電所の状況をよく知る立場にあるはずの彼らが、平時においてその責任を果たしてこなかったことである。

 東海村の臨界事故の時にも私は同じ憤りを感じたが、原子力の専門家としての自負があるなら、どうして日頃からその目で直に原発の現実を確かめてこなかったのか。

 政治家もそうだが、日本社会においては、高い地位に就くほど現実から遠ざかる。有力者としか話をせず、視察で見せられるのはオブラートに包まれたものばかり。

 ただし、本物の恥知らずではないので、自分がインチキをしていることは薄々分かっている。でも、自分だけが行いを改めたのでは仲間から恨まれるから、みんなと同じように、「知ったかぶり」と「知らぬ存ぜぬ」を使い分けて、その場その場をしのいでいく。

 菅直人総理をはじめとする与野党の政治家たち、それに東電の幹部や原子力安全・保安院審議官といった連中の顔をテレビで見るたびに、「卑怯者め!」と罵りたい気持ちを、私はなんとか堪えている。

 前回のコラムに絡めて言えば、いくら原発に反対する考えを持っていようと、私は原発の存在を許容してきた。また、インチキで卑怯な連中の仲間になりたくないために、社会において責任ある立場に就くような生き方から逃れてきたからだ。

 もちろん私一個の力など高が知れており、仮に大学卒業後に東電や経済産業省に勤めたとしても、原発は廃止すべきだという本音を見抜かれた途端、閑職に追いやられて、飼い殺しにされるのがオチだと考えて、私は市井で暮らすことを選んできた。

 しかし、3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発の制御不能という事態を前にして、「息子たちにすまない」という気持ちを抱いて以来、私の頭からは「責任」の2文字が消えずにいるのも事実なのである。
 

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コメント
 
01. 前田年昭 2011年4月21日 12:26:56: UaJ35nrMu1NB. : HKILAYq7KE
森崎東監督が26年前に原発事故を幻視した『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』が4/23から神戸・Cinema KOBEで上映されます。ぜひ! http://cinemakobe.blog136.fc2.com/ 支配人78歳に心から敬意を表して,エールを!

02. 2011年4月21日 18:34:13: XJfZrU8oaQ
南日本新聞では 決して読むことのできない 出来なかった立派な文章ですね。

   http://blog.goo.ne.jp/howtodominate


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