観光客に依存するハワイ経済は、日本が大規模な地震災害に襲われ、日本人観光客の激減が予想されることから、大きな打撃を受けると考えられる。

　昨年中にハワイを訪れた観光客はおよそ1660万人。そのうち、日本人は約120万人で、7%ほどを占める。人数はさほど多くないように思えるが、日本人観光客はハワイで大量に買い物し、ハワイ州にとっての非常に重要な収入源となっている。

　昨年にハワイ州を訪れた日本人観光客は、総額約19億ドル(約1500億円)の消費を行った。この金額は、ハワイ州が観光収入から得ている額の6分の1以上を占めている。

　今、日本を大震災が襲い、多くの観光客がハワイへの旅行をキャンセル、または延期しているという。AP通信によると、H.I.S.ホノルル支店は3月11日の東北地方太平洋沖地震発生以来わずか3日間で、ハワイ旅行の予約が半減し、キャンセルは通常の3倍に膨れ上がったと明かしたという。

　また、報道によると、スターウッド・ホテルのハワイ・ポリネシア地域担当営業ディレクター、アンジェラ・ベント(Angela Vento)氏は、「今週は、一晩に1,000室もの大量のキャンセルが発生した」と述べた。またキャンセルは、すでに6月分まで発生しているという。

　ベント氏は、日本人が伝統的に仏教の四十九日の法要を守り、喪に服することを挙げ、その期間中の観光客獲得は難しいとの見方を示した。また同氏は、日本人観光客がハワイに戻り始めるのは、少なくとも半年後と考えていると語った。

【Bloomberg】
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=ainHzVUxdrEk
大震災で訪れる日本人減るアジアのリゾート、中国人観光客が頼り

３月18日（ブルームバーグ）：東日本大震災の影響でアジアのリゾートを訪れる日本人観光客は減りそうだ。こうしたリゾートを擁する国は日本人の穴埋めとして、旅行支出が下回る中国人観光客に一段と頼ることになりそうだ。

　　タイや台湾、ベトナム、マレーシア、韓国の政府当局者・議員はこの１週間の観光収入の落ち込みを予想している。世界観光機関（ＵＮＷＴＯ）の最新データによると、日本人の2009年の旅行支出は計250億ドル（約２兆500億円）。１人当たりでは197ドルと、中国の33ドルを大きく上回る。

　　業界団体である太平洋アジア観光協会（ＰＡＴＡ）のディレクター、クリス・リム氏は「日本人の海外旅行先はここ数年、市場が縮小傾向にある」とし、「今後数カ月は、はるかに深刻な落ち込みとなろう」と指摘した。

　　大震災を受けた旅行のキャンセルを受け、アジアの株式市場では旅行関連銘柄が売られた。リム氏によると、アジア諸国では中国人観光客を呼び込む傾向がこれまでにもあったが、大震災によってその傾向に拍車が掛かる見通しだ。

　　10年に日本人が観光客全体の17％を占めたハワイでも観光客は減りそうだ。ＵＮＷＴＯのスポークスマン、サンドラ・カーバオ氏が18日電子メールで送付した資料で明らかにした。ただＵＮＷＴＯは、大震災や中東・アフリカの混乱を考慮しても、世界の観光業が５％拡大するとの見通しを維持している。