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津波とセネカ、そしてサムライの倫理
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/313.html
投稿者 palクン 日時 2011 年 3 月 27 日 00:42:00: mWJq7xP6mpLMg
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5729

釜石の丘の上からは、この町の有名な防波堤を一望することができる。3年前に完成したばかりのこの堤防は、最深63メートルという世界一の水深を誇り、1200億円という巨費を投じて作られたものだ。それが今では壊れてしまっている。
 眺めの良いこの場所からは、防波堤が壊れた結果も容易に見渡すことができる。3月11日の大地震が引き起こした壊滅的な津波により、町の大半が流されてしまったのだ。
 こうした光景を見ていると、釜石(そして、海岸線を南に下ったところにある、地震で損傷した原子力発電所の危機)の教訓は、科学技術で自然を飼いならそうとする人間の努力が無駄であり、逆効果でもあるということだと結論づけたくなるかもしれない。
 本紙(フィナンシャル・タイムズ)の読者投稿欄に今週書かれていたように、古代ローマ時代のストア派哲学者であるセネカは2000年近く前に、死は自然なことであり、死を恐れることこそが最大の問題だと言明していた*1。そして、地震から逃れようとして町を移転させることは無意味だと記していた。
(*1=英字メディアでは、今回の惨事に対して多くの日本人が示す冷静な態度を「stoic」という言葉で表現することが多い。FTの紙面上では読者たちが、語源であるストア派の哲学者セネカの教えについて述べたり、stoicの類語として「Japonic」という言葉を設けるべき時ではないか、などと論じている)

・運命を受け入れ、冷静に振る舞う日本人

 自らの運命をコントロールすることの限界をこのように受け入れる姿勢を、日本人はすぐに理解できる。実際、日本文化には運命論があちこちに見受けられる。
 被災地では、生き残った人々の多くが、自分たちが喪失に対して全般的に冷静かつ現実的な反応を見せているのは、災害は起こるものだと昔から受け入れてきたからだとか、悲しみや痛みを表に出さないことを讃える日本のサムライの倫理がまだ残っているからだと話している。
 確かに、セネカの思想と、禅の影響を受けた教養ある武士たちが信奉した考え方との間には、興味深い共通点がある。例えばセネカは、朝目覚めたら、その日1日に起こり得る悪い出来事をすべて想像するよう説いていた。

・ストア派哲学と武士道の共通点

 「この訓練は、ただの遊びではない」。哲学者のアラン・ド・ボトン氏はこう言う。「その日の夜に自分の住む町が火事になったり、自分の子供が亡くなったりした時に備えるのが狙いだ」
 18世紀の武士、山本常朝も同じようなことを説いている。山本は、武士道の要諦をまとめた大変有名な書物の中で、「不可避の死についての瞑想を毎日行うべきだ」と述べている。「毎日、心も身体も平穏な時に、自身の身体が矢や鉄砲、槍や刀でずたずたにされた時の様子、大波にさらわれ、大地震で死ぬほど揺さぶられた時の様子を思い描くべきである」
 確かに、このように冷静さを養うことは、間違いなく、突然の災難や死に対処する際の助けになる。無事に生きていられる日々への感謝の気持ちも強まるだろう。
 しかし、多大な労力と資源を投じて釜石に防波堤が築かれたことから分かるように、自然災害やリスクに対する日本のアプローチが本質的に運命論的だと結論づけるのはナンセンスだ。
 エスカレーターに乗る時に、足元に気をつけるよう、これほどやかましく注意する国はまずない。また、大物政治家の小沢一郎氏が以前書いていたように、もしグランドキャニオンが日本にあったら、そこには柵が設けられ、「立ち入り禁止」の札が掲げられ、がけの縁には近づかないようにとガイドが注意して回ることだろう。

・限界はあっても、やはり大事な科学技術

 今回の津波を受けて防災システムを強化する動きが弱まることはなく、むしろ確実に強まる。また、その限界が明らかになったとはいえ、大自然の怒りがもたらし得る苦しみを小さくする最高のツールが科学技術であることにも変わりはない。
 不十分なものも非常に多かったとはいえ、被災地の早期警戒避難システムが人々の命を救ったことは間違いない。また、昔ながらの木造家屋は流されてしまったが、頑丈に作られたコンクリートのビルの上階は安全な避難先となった。
 また、専門家は、釜石の防波堤も完全な失敗ではなかったと主張する。防波堤はこの地域を襲った過去3回の津波災害と同じ規模となる今回より小さな波を想定して設計されたが、一定の海の威力は考慮しており、損害を抑え、住民に逃げる時間を多少余計に与えられたと、早稲田大学社会環境工学科の柴山知也教授は言う。
 柴山教授によれば、日本は防波堤と護岸を建て直す一方で、そうした物理的な防御の限界を認識して、住宅地をもっと高い場所や海からもっと離れた場所に移すべきだという。
 当局者とエンジニアたちも当然、自分たちの防災計画のベースとなったリスク評価とシナリオを厳密に再考し、ほとんど過去の地震の証拠だけに頼ることがないようにしなければならない。
 釜石市の避難訓練の設計を手伝った群馬大学の片田敏孝教授は、前例に基づくシナリオに頼ると、人々が未曾有の威力の津波に備え、対応することが逆に難しくなると指摘する。
 日本に住む人はそうした「固定観念」を捨て、あらゆる事態に備えておくよう注意しなければならないと片田教授は言う。

・固定観念を捨て、未曾有の事態に備えよ

 「例えば、富士山が爆発して、東京が火山灰に埋まるかもしれない。起こり得る自然災害は何通りもある。我々はこうした可能性をすべて考慮し、それが起きた場合に社会がどう対応するのがベストか考える必要がある」
 3月11日の津波が残した瓦礫が撤去されるにつれ、波の怒りを免れた人々が覚悟して次の不測の災害に備えているのが難しくなっていく。しかし、努力する価値はある。セネカとサムライは間違いなく同意するはずだ。  

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