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次にスペインが救済される理由 Financial Times
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投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 12 日 07:46:05: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5843
次にスペインが救済される理由
2011.04.12(Tue)  Financial Times
 
(2011年4月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
人口の3分の2が都市部に集中? 50年後の世界のために温暖化対策を - スペイン

皆が「スペインは安全」と言うけれど・・・(写真は首都マドリードの夕暮れ)〔AFPBB News〕

先週指摘したように、欧州の政治家には、危機の解決を永久に先送りするあらゆる動機がある。その間にも、複数のユーロ圏周縁国の債務が増加し続ける。

 ポルトガルは6日、避けられない事態をようやく受け入れ、金融支援を要請した。欧州の当局者たちはすぐに、これが絶対に最後の救済になると宣言した。ブリュッセルの誰もが必死になって、スペインは安全だと主張した。

 欧州中央銀行(ECB)は7日、主要政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とすることを決めた。今回の利上げは事前にはっきり合図が出されていたが、利上げは今後も続くだろう。筆者はECBの主要政策金利が今年末までに2%に上昇し、2013年には3%になると考えている。
ECBの利上げがスペインの不動産市場を直撃

 こうした軌道はECBのインフレ目標と一致しているが、特にスペインに悪影響を及ぼす。経済成長に対する直接的な影響は別として、金利上昇はスペインの不動産市場に打撃を与えるからだ。

 スペインの住宅ローンはほぼすべてが1年物の欧州銀行間取引金利(EURIBOR)に基づいており、1年物金利は現在2%に迫り、上昇している。

 スペインは危機以前に極度の不動産バブルを経験した。米国やアイルランドと異なり、価格はこれまで緩やかにしか下落していない。国際決済銀行(BIS)のデータによれば、スペインの実質住宅価格(1平方メートル当たりの価格を個人消費デフレーターで調整した数字)は、通貨同盟の当初から2007年6月のピークにかけて106%上昇した。

 高値をつけた後は2010年末までに18%下落している。こうした計算は起点となる日に大きく左右されるが、スペインの実質価格は1990年代を通して比較的横ばい傾向が続いたため、これは比較的安全な起点と言えるだろう。

住宅価格はさらに40%下落

 住宅価格の下落はどこで止まるだろうか? 筆者は、この上昇分がすべて帳消しになると見ている。ピークから大底までの下落幅は50%を超え、価格は現在の水準からさらに40%下がらなければならないだろう。

 これは妥当な想定だろうか? 米国では、実質住宅価格は20世紀の大部分を通じて停滞した。供給を調整できる限り、例えば移民などを通じた需要の増加は、価格水準に影響しないはずだ。
スペイン、失業率20.33%に 先進国で最悪水準

スペインの昨年末時点の失業率は20%を超えている(マドリードの公共職業安定所前に並ぶ人々)〔AFPBB News〕

 英国のように、供給に自然あるいは人為的な制約がある国では、状況が異なる。だが、供給条件の点では、スペインはむしろ米国とよく似ている。

 筆者は、なぜ今のスペインの実質住宅価格が10年前より高くあるべきなのか、なぜ価格が上昇し続けるべきなのかを説明する合理的な理由をまだ1つも聞いたことがない。

 スペインの住宅市場に関する最も重要な統計は、空き家の数だ。空き家は現在、およそ100万戸で、これは市場が今後数年間にわたって過剰供給に苦しめられることを意味している。これがさらなる価格下落の要因となる。

 システムにかかるストレス、つまり、景気後退や高い失業率、弱い金融セクター、原油高、金利上昇といったものを考えると、住宅価格が大幅に下落し、水平トレンドラインを割り込む事態さえ予想されるかもしれない。
貯蓄銀行に大きな打撃

 住宅価格の下落と住宅ローン返済額の増加は必ず、まだ高くない返済遅延率と差し押さえ件数を押し上げる。これはスペインのカハ(貯蓄銀行)のバランスシートに影響する。バランスシートはすべての不動産ローンと住宅ローンを原価で計上している。デフォルト(債務不履行)率が上昇するに従って、貯蓄銀行は損失をカバーするために資本を増強する必要が出てくる。

 スペイン政府は必要な資本増強額が200億ユーロを下回るという疑わしい試算をしている。一方、その他の試算では、500億〜1000億ユーロという数字が挙げられている。

最も危険にさらされている資産は、建設・不動産セクターに対する融資で、その額は2010年末で4390億ユーロに上っている。スペインの銀行は、また別のリスクの源であるポルトガルに対しても1000億ユーロの債権を抱えている。

 朗報は、最悪のシナリオの下でも、スペインにはまだ支払い能力があることだ。スペインの公的部門の対国内総生産(GDP)債務比率は、2010年末時点で62%だった。アーンスト・アンド・ヤングは最新のユーロ圏予測で、この債務比率が2015年までに72%に上昇すると予想している。それでもドイツ、フランス両国の水準を下回る比率だ。

 しかし、スペインの民間部門の対GDP債務比率は170%に上っている。経常収支の赤字は2008年にGDP比10%でピークをつけたが、今も持続不能な高さで、2015年までGDP比3%を超す赤字が続くと予想されている。これはスペインがネット(純額ベース)の対外債務を積み上げていくことを意味している。

 スペイン銀行によれば、同国のネットの対外資産負債残高(対外金融資産と対外債務の差)は2010年末時点でマイナス9260億ユーロだった。GDPの90%近い水準だ。
スペインは安全という声明は慢心

 もしスペインの不動産市場に関する筆者の勘が正しければ、スペインの銀行セクターは現在試算されている以上の資本が必要となるだろう。それがいくらなのかは分からない。我々は予想モデルの範疇を大きく外れているからだ。

 価格が急激に下がると、どんな資産査定(ストレステスト)でも捉え切れない大きな内部圧力が生じる。

 多大な対外債務と金融セクターの脆弱性、そして資産価格がさらに下落する可能性という組み合わせは、ある時点で資金調達難が起きる確率を高める。このことはスペインが欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に金融支援を求める次の国になることを意味している。

 スペインは安全だという多くの公式声明について言えば、それは単に、欧州の危機を当初から特徴づけてきた慢心の度合いを測る指標だと筆者は思っている。
By Wolfgang Münchau
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コメント
 
01. 2011年4月13日 11:58:03: cqRnZH2CUM

“強い国”ドイツは共同債に反対だが 「ユーロ高」と「欧州統合」が進む
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110411/219402/?ST=print
日経ビジネス オンライントップ>投資・金融>宿輪先生の通貨のすべて
• 2011年4月13日 水曜日

• 宿輪 純一
ソブリン危機  ユーロ  欧州統合  ドイツ  ユーロ共同債  ユーロ高  欧州版IMF  格付け 


 ECB(European Central Bank:欧州中央銀行)は4月7日、中央銀行が民間銀行へ貸し出しする際に使用する政策金利を過去最低の1.0%から0.25%引き上げて1.25%にすることを決定した。2008年の金融危機の後、日米欧の先進国では初の利上げである。物価の上昇を防ぐ狙いである。以前、解説した通り、ECBは特に「物価の安定」を使命としている。

金利上昇に伴い、ユーロ高が続く傾向
 この金利の引き上げは、前回解説したように、為替相場に影響を与える。今年に入ってからのユーロの上昇は著しい。円高局面を迎えていた日本円に対しても上昇した。
 ECBのトリシェ総裁は、記者会見において「追加利上げの可能性に含みをもたせた」とされている。今後も金利が上昇する可能性がある。記者会見の後、ユーロは、利食いのためにいったん売りに押されたが、今は買い戻されている。今後、日本円の金利が上がる可能性が低いだけにユーロ高の状況が続く可能性がある。
ユーロの信用
 投資を考える場合、“利回り(金利)”も大事であるが、“信用”も大事である。ここで、ユーロを構成している17カ国を見てみよう。順番はGDPの規模による。
(表)ユーロ構成国の主要情報(グレーの部分はPIGS)
国名 GDP
(兆ドル) GDP
比率 GDP
成長率 人口
(万人) 格付
(S&P)
ドイツ 33.1 27.40% 3.30% 8160.3 AAA
フランス 25.6 21.20% 1.60% 6295.5 AAA
イタリア 20.4 16.90% 1.00% 6020.6 A+
スペイン 13.7 11.40% -0.30% 4601.8 AA
オランダ 7.7 6.40% 1.80% 1659.5 AAA
ベルギー 4.6 3.80% 1.60% 1083 BB-
オーストリア 3.7 3.00% 1.60% 837.7 AAA
ギリシャ 3.1 2.50% -4.00% 1118.7 BB-
フィンランド 2.3 1.90% 2.40% 537.8 AAA
ポルトガル 2.2 1.90% 1.10% 1063.7 BBB-
アイルランド 2 1.70% -0.30% 447.3 BBB+
スロバキア 0.9 0.70% 4.10% 542.3 A+
ルクセンブルグ 0.5 0.40% 3.00% 50.2 AAA
スロベニア 0.5 0.40% 0.80% 201.8 AA
キプロス 0.2 0.20% 0.40% 82.1 A-
エストニア 0.2 0.20% 1.80% 133.3 A
マルタ 0.1 0.10% 1.70% 42 A
(出典)日本経済新聞などより筆者作成
 現在の欧州経済の特徴、中でもユーロ圏経済の特徴は“二極化”していることである。一方はドイツなどの“強い”国。こちらはGDP成長率(経済成長率)が高い。もう一方は「PIGS(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)」と揶揄される国々に代表される“弱い”国である。
 ポルトガル政府は利上げの前日6日にEUに金融支援を要請した。巨額の財政赤字を持つポルトガル国債の金利が急上昇したためである。政府は財政再建に着手していたが、議会が再建案を否決したため、こうした事態に陥った。このように、ユーロ経済は一方で利上げをしつつ、もう一方では金融支援をしなければならない。
 今回、ポルトガルに対する支援には緊急融資制度を使う。「EFSF(European Financial Stability Facility:欧州金融安定基金)を中核とするEUが、IMF(国際通貨基金)と共同で創設した制度だ。さらに、ECBも融資を実行する。
 EUは2013年に、EFSFを「ESM(European Stability Mechanism:欧州安定化メカニズム)に転換する予定だ。ESMは「欧州版IMF」と呼ばれる機関で、集中管理機能を持つ独立組織で、より機動的な対応が可能になる。
 またEUは、ユーロ圏全体で資金調達する「ユーロ共同債(Eurobond/E-Bond)」の議論も進めている。
 表に、ユーロ参加国の国債に対する、米格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)による格付け(長期)を記した。ユーロ圏の危機の最近の局面において、スペインとポルトガルも国債が格下げされたために、資金が米ドルに向かい危機が拡大した。こうした事態が再燃することを警戒するEUが、米国格付け会社に対して、EU参加国の国債を格付けすることを禁止する、といううわさまで出ている。
 各国の国債に対する格付けを、欧州全体で、GDP比率を元に加重平均するとAA+となり、意外に高い。ちなみに日本はAA−である。
 この格付けを持った「ユーロ共同債」を発行すれば弱い国でも低利で資金を得ることができる。さらに、ユーロ圏全体で債券を発行することは、財政面での一体化を進めることになる。“ユーロの弱さ”と言われる「通貨は一緒だが、財政が別」という問題に対して、解を示すことができるわけだ。ユーロ共同債を発行できれば、財政的な面の統合が進む可能性もあり、欧州合衆国の設立を目的とする「欧州統合」にとっても一歩前進となる。実現すれば、全体としてユーロの信用を上げる方向に作用するではないか。
 しかし、ユーロ共同債の発行にはドイツが反対している。AAAの格付けを持つドイツ国債よりも金利が高いため、利払いが増すからだ。加えて、ドイツ国民の間では、今回のユーロ圏の危機において、弱い国を支援することへの反対が強い。懲罰を求める声すらある。政権を担当する与党は地方選挙で負けることも多く、国民に不人気な政策に対しては合意できない。
 なお、本稿の内容はすべて筆者個人によるもので、所属する組織のものではないことをお断り申し上げます。

宿輪先生の通貨のすべて
 テレビでもおなじみ! 第一線で活躍中の博士号(経済学)を持つエコノミストで、早稲田大学で教鞭も執る宿輪純一氏が、大きく変わりつつある国際通貨制度を独自の視点で斬る。通貨理論の基本を解説するとともに、現在進行中のパラダイムの転換を分かりやすく読み解く。
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 グローバル化と金融資本主義が進む今、ビジネスパーソンに必須の知識と視点を分かりやすく提供する。
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宿輪 純一(しゅくわ・じゅんいち)
1963年生まれ、麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業
(職歴)1987年、富士銀行に入行。国際資金為替部、海外勤務、決済事業企画部などに勤務。1998年、三和銀行企画部に移籍。決済業務部、UFJ銀行(合併)、UFJホールディングス経営企画部、UFJ総合研究所国際本部などに勤務。
(教歴/兼務)2003年東京大学大学院非常勤講師(3年)、清華大学大学院(中国)顧問、2007年早稲田大学非常勤講師(現職)、2009年上智大学非常勤講師。
(現在)博士号(経済学)を持つエコノミスト。早稲田大学非常勤講師。ボランティア公開講義「宿輪ゼミ」代表。
(専門)通貨、国際金融、市場、決済。マクロ経済、国際経済。企業戦略。
(趣味)映画評論、シネマ経済学。
(委員)アジア開発銀行「アジア債券市場イニシアティブ(ABMI)」、財務省「ASEAN為替制度と金融市場研究会」、経済産業省「グローバル財務研究会」、外務省「アジア太平洋経済委員会」、全国銀行協会「SWIFT委員会」、「大口決済システム検討部会」、「全銀 システム検討部会」ほか。
(単著)『通貨経済学入門』、『アジア金融システムの経済学』、『実学入門 社長になる人のための経済学―経営環境、リスク、戦略の先を読む』(以上、日本経済新聞社)。『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』(東洋経済新報社)。
(共著)『マネークライシス・エコノミーグローバル資本主義と国際金融危機』(日本経済新聞社)。『円安VS円高―どちらの道を選択すべきか』、『決済システムのすべて』、『証券決済システムのすべて』(以上、東洋経済新報社)ほか.
オフィシャル・ウエブサイト:http://www.shukuwa.jp/
過去のコラム:宿輪純一の「逆張り経済論」


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