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OECD対日経済審査報告書 デフレには金融緩和 財政には消費税 復興には国債
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/584.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 23 日 02:10:13: 6WQSToHgoAVCQ
 

デフレには金融緩和 財政には消費税 復興には国債ということらしいが
国債発行と増税は長期的には同じことだから、別に無理して増税する必要はない
結果として10%消費税アップで所得減少と生活困窮する効果と
インフレによる効果のどちらが、どの層にとって、どのくらいマイナスか?
という政治的な選択になる
http://www.oecdtokyo.org/theme/macro/2011/20110421jpnsurvey.html

詳細を見る
http://www.oecd.org/document/62/0,3746,en_2649_37443_47651390_1_1_1_37443,00.html


日本の経済見通しを見る
1
日本の経済見通し
2011 年3 月11 日の東日本大震災は日本における史上最大の地震であり、戦後最悪の災害を引き
起こした。この地震とそれに伴う津波によって膨大な数の人命が失われ、経済的な被害も甚大で
ある。日本政府の試算によると、社会基盤、住宅、民間企業の固定資本の被害総額は2010 年の
国内総生産(GDP)の3.3%から5.2%に及ぶと推定されている。
世界貿易の強さ、為替レート、商品価格に関係した通常のリスクに加え、電力不足がいつまで続
くか、福島原子力発電所の問題、日本政府による復興支出の規模とタイムテーブルなど、日本の
今後の成り行きには多くの不確定要素がある。そのため景気回復の時期や強さを予測するのはき
わめて困難である。
この地震が日本を襲ったのは、日本経済が 2010 年後半の減速から再び景気拡大の軌道に戻った
かに見えた時期であった。この大惨事による直接的な影響は地震と津波による被災地域にとどま
らず、甚大なものとなりそうである。実際に、東北地域にある工場が被害を受けたことにより、
主要工業製品、とりわけ自動車部門のサプライチェーンの混乱が日本国外にまで及んでいる。そ
の結果、日本銀行は4 月の地域経済報告で全国9 地域のうち7 地域について景気判断を下方修正
した。しかし、日本やその他の先進国における過去の災害時の経験では、経済生産は短期的に悪
影響を受けるものの、その後は復興支出の増加に伴って回復することが示されている。このパタ
ーンに従えば、実質GDP 成長率は2011 年に0.8%に低下した後、2012 年は2.3%まで回復する
と予測される。
日本についてのOECD の予測2011-12 年
インフレ調整後の変化率
2008 2009 2010 2011 2012
GDP -1.2 -6.3 3.9 0.8 2.3
消費
民間-0.7 -1.9 1.8 -0.5 1.4
政府0.5 3.0 2.3 1.6 0.1
総固定資本投資-3.6 -11.7 -0.2 2.4 6.7
最終国内需要-1.2 -3.3 1.5 0.5 2.3
在庫積み増し1 -0.2 -1.5 0.6 0.3 0.0
国内需要合計-1.4 -4.8 2.1 0.9 2.3
財・サービス輸出1.6 -23.9 24.0 3.6 8.2
財・サービス輸入0.4 -15.3 9.8 3.8 8.7
純輸出1 0.2 -1.5 1.8 0.0 0.0
1. GDP成長率への寄与度。
資本ストックの損害、電力不足、サプライチェーンの混乱によって2011 年第2 四半期は生産高
の大幅な落ち込みが予想されるが(下図を参照)、2008 年のリーマンショック後の20%減(季
節調整済みの年率)と比べると比較的緩やかなものとなりそうである。2011 年第3 四半期にな
ると、復興関連の固定資本投資により生産高の急激な回復が予想される。
仮訳につき引用の際は
原文を参照のこと。
2
 公共投資の下降傾向は、2012 年末までで総額5.6 兆円(GDP の1.1%)に上ると仮定さ
れる政府の復興努力により上昇に転じるであろう。この支出の2 分の1 は2011 年内に
行われる(財政上の前提に関する下記囲みを参照)。
 企業投資は、地震や津波の被害を受けた企業設備の交換もしくは修理により第3 四半期
から急増すると予想される。
 住宅投資も、3 月の震災により破損もしくは破壊された住宅の修繕や建て替えにより急
速に回復する。
日本の四半期実質GDP 成長率の予測
季節調整済みの年率(%)
2008 2009 2010 2011 2012
-22.5
-20.0
-17.5
-15.0
-12.5
-10.0
-7.5
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
Per cent
-22.5
-20.0
-17.5
-15.0
-12.5
-10.0
-7.5
-5.0
-2.5
0.0
2.5
5.0
7.5
10.0
12.5
Per cent
Revised OECD¹
Consensus²
History Projections
1. 2011年4 月17 日に更新されたOECD 予測
2. 2011年4 月12 日発表の予測者43 名によるESP フォーキャスト調査
固定資本投資とは異なり、民間消費は、阪神大震災後にも見られた消費者マインドの低下ならび
に政府借入を増大させることなく復興費用を調達する施策の影響を反映し、2011 年内は比較的
抑制されたままであると予測される。さらに、電力不足が今夏も続きそうであることから、電力
会社は消費者に節電を呼びかけており、開店時間を短縮している小売店もある。また、消費者は
誇示的消費も控えると思われる。復興支出および住宅投資に弾みがつけば、2012 年には民間消
費、とりわけ耐久消費財への消費が増加しそうである。
したがって、経済の低迷が長期化することはなさそうである。国外では、日本の輸出の56%を
占めているアジア地域貿易に回復の兆しが見られている。加えて、震災前の2011 年初頭から現
れていたいくつかの国内要因が引き続き活動に好影響をもたらすであろう。第一に、2010 年秋
に打ち出された景気刺激策が2011 年上期の経済の支えとなる。第二に、2011 年初めまでに労働
3
市場が著しく改善されており、求人倍率も最低であった2009 年の0.43 倍から2011 年2 月には
0.62 倍まで回復している。
見通しの基礎となっている前提
日本政府による復興支出計画はまだ発表されていないが、1995 年の阪神大震災への対応を基準とした。阪神大震災で
は、日本政府による復興支出は震災後の15 カ月間で3.2 兆円(GDP の0.7%)、6 年間で5 兆円に上った。3 月11
日の震災の被害総額は16 兆円から25 兆円――阪神大震災の被害総額は9.6 兆円――に上ると推定されることから、
復興支出は2012 年末までに5.6 兆円(GDP の1.1%)と仮定している。
OECD 予測は各国政府により発表された財政政策に可能な限り基づいたものとなっている。2011 年度の新規国債発行
額を2010 年度の水準である約44 兆円(GDP の9%)に抑えるという2010 年6 月に定めた財政運営戦略の目標は、
今なお政府の政策として維持されている。したがって、2011 年度の復興費用5 兆円の財源は下記のとおりと仮定され
ている。
 2010-11 年度予算の予備費(1.3 兆円)
 2011 年度予算の公共投資を復興に転用(0.3 兆円)
 子ども手当の上乗せなど財政支出増加の延期 (0.9 兆円)
 予定されていた法人税率引き下げの延期(0.6 兆円)
 その他の増収策(1.9 兆円)
予測の基礎となっているその他の主な仮定:
 日本銀行の政策金利は 2012 年を通じて0%から0.1%の間にとどまると仮定。
 為替レートは 2011 年3 月18 日の1 ドル80.95 円の水準にとどまると仮定。
 原油(ブレント原油)価格は 2011 年第2 四半期から1 バレル110 ドルで一定であると仮定。
 商品価格は 2011 年2 月の水準で一定であると仮定。
OECD 経済局、2011 年4 月17 日作成


http://www.oecd.org/dataoecd/6/5/47651437.pdf
報告書概要を見る
OECD対日審査報告書2011年版
2011年4月
概観
© OECD 2011
2
© OECD 2011
3
要旨
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本における観測史上最大の地震であり、戦後最悪の惨事をもたらした。この惨事により膨大な数の人命が失われたことに深い哀悼の意を表明するとともに、被災された方々に対して心よりお見舞い申し上げる。OECDは、今後日本の関係当局と密接に連携し、この困難な時期に可能な限り日本を支援する用意がある。
震災による損害の全容を評価することは依然として時期尚早であるが、その当初の影響としては、生産を低下させることが見込まれ、その後、復興策によりそうした影響は反転されるであろう。デフレの圧力は、成長への逆風であり続けるであろう。このため、日本銀行は、下方リスクに注意を払いつつ、デフレが克服されるまで緩和的なスタンスを維持すべきである。金融政策の枠組みは、デフレに対する更なるバッファーを保証するため、物価安定の「理解」を引き上げることなどにより改善されうるであろう。
日本の優先事項は、原子力発電所の情勢とともに、人道的また復興に向けたニーズに取り組むことである。これは、必然的に公的支出の短期的な増加へのニーズを生み出す。だが、債務残高の現状を踏まえれば、そうした支出は、歳出の組み換えや、日本の人々の連帯感に訴えかけ、歳入の短期的な増加により賄われる必要があるかもしれない。
財政状況は極めて厳しい状況に達している。慢性的な財政赤字は、2011年には、グロスの公的債務残高をGDP比200%といった先例のない規模まで、またネットの債務残高を115%まで押し上げると見込まれている。それ故に、復興に向けた支出の必要性を考慮する一方で、歳出削減と税収増を含む信頼に値しかつ詳細な中期の財政健全化計画は、最優先事項となるであろう。財政運営戦略は、2020年度までに債務残高比率を安定化させるのに十分な基礎的財政収支黒字を目標とすべきであり、これにはGDP比10%相当の基礎的財政収支の改善が必要となるかもしれない。詳細な財政計画は、急速な人口高齢化による歳出圧力を抑制するための社会保障改革を伴うべきである。赤字削減の大部分は、主に消費税率の引き上げによる歳入側に依るべきであろう。財政目標を達成するためには、たとえ歳出(社会保障費と利払費を除く)が実質一定で保たれるとしても、消費税率を20%相当まで引き上げることが求められるかもしれない。厳しい日本の財政事情を考慮すれば、財政枠組みの改革が、長期金利の急騰といったリスクの軽減を助け、財政目標の達成と信頼性の強化を助けるかもしれない。
新成長戦略を通じて経済成長を維持する。より力強い成長は、債務残高比率を安定化させる上でも重要である。4つの分野 −グリーン・イノベーション、医療・介護、アジアとの経済連携、地域活性化−において需要を増加させるといった新成長戦略の目標は、費用を要する財政政策よりは主に規制改革に依存すべきである。加えて、新成長戦略は、特定の分野に焦点を当てるよりはむしろ経済全体の改革を重視すべきである。グリーン・イノベーションにより需要を押し上げる十分な余地があるが、民間投資を促進するためにも、望ましくは排出量取引制度を通じて炭素への価格付けを行うといった市場ベースの手段が必要となる。財や海外投資、そして外国人労働者の流入にかかる障壁除去による経済連携は、包括的な貿易協定などにより促進されるべきである。高い水準の農業支援により、そうした協定への日本の参加を妨げることは許されるべきでない。
教育分野の改革。生産性向上の鍵となる教育の成果は、幼児教育・保育へのより多くの投資により改善される可能性がある。保育所と幼稚園を一体化するといった新成長戦略の計画は、費用の節約を可能とする一方で、教育の質の向上を助けるであろう。高等教育部門は、質に関する透明性を高めることを通じ競争を強化し、また国際化を進めることにより改善されるべきである。これにより、イノベーションに対する大学のより大きな貢献を可能とする。高い授業料を考慮する場合、奨学金の利用機会を保証すること、また返済を所得に応じたものとすることは公平性を高めるであろう。家計に重い負担を強いる民間の課外教育施設への依存を減らすことも公平性を高めるであろう。もう1つの優先事項は、二極化の拡大という状況下において労働市場のニーズが変化していることを反映するよう、職業教育を改善することである。
労働市場の二極化への取組み。非正規労働者比率の上昇は、企業が雇用の柔軟性を高め、賃金を削減することに役立っているが、そうした労働者は、低い賃金、少ない訓練、不安定な仕事、そして十分でない社会保険制度の適用に直面している。労働市場の二極化を縮小させるためには、非正規労働者に対する社会保険の適用範囲の拡大、よりよい訓練プログラム、非正規労働者に対する差別の防止、そして正規労働者に対する実効的な雇用保護を引き下げるといった包括的な取組みが必要となる。2050年までに、生産年齢人口が40%程度減少すると見込む場合、女性や高齢者を含む日本の人的資源を十分に活用することが不可欠である。女性の労働参加は、保育所の利用可能性を増やすこと、よりよいワーク・ライフ・バランスを促進すること、そして税制を改革することにより押し上げられるかもしれない。多くの企業により60歳に設定されている義務的な退職年齢は高齢労働者の有効活用を促す上でも廃止されるべきである。
© OECD 2011
4
目 次
東日本大震災後の経済見通し 5
金融政策 7
財政政策 9
新成長戦略 13
教育システム 18
労働市場 24
© OECD 2011
5
東日本大震災後の経済見通し
日本は戦後最悪の災害に見舞われている…
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本における観測史上最大の地震であり、津波を伴うとともに、膨大な数の人命の喪失と甚大な経済的損失をもたらした。地震による影響は、火力及び原子力発電所への被害により電力の発電量が著しく減少することによって深刻化している。地震による全体の影響を評価することは依然として時期尚早であるが、GDPの2%程度と見積もられている、1995年の阪神・淡路大震災による資本ストックへの損害を超えるであろう。鍵となる優先事項は、震災の結果生じた深刻な人道的ニーズに取り組むことである。
…それは、2011-12年における経済の経路を方向付けるであろう
2011-12年の間に1¼%程度と見込まれていた経済成長への影響を評価することもまた時期尚早である。2011年初、日本は、2010年の終わりに生じた経済の減速から浮上する兆しを示していた。地震による当初の影響は、その規模と期間については電力供給がどれだけ早期に回復されるかといったことなどに依存するが、経済活動を落ち込ませるであろう。さらに、被災地におけ
日本の景気回復
経済成長への寄与(%ポイント)¹
1. 日本の会計年度が4月に始まることを踏まえ、各会計年度の前半は、暦年の第2、第3四半期を含む一方、その後半は、第4四半期と次の年の第1四半期を含む。
2. 2010年度の後半は、第4四半期の結果とエコノミック・アウトルックNo. 88のおいて公表された2011年第1四半期に関する事務局の予測を組み合わせている。
出典: Cabinet Office, National Accounts, and OECD (2010),OECD Economic Outlook, No. 88 (November 2010).
© OECD 2011
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る負の影響は、世界的なサプライチェーンの混乱などを通じて国内の他の地域や海外に広がるかもしれない。過去の災害における場合と同様、経済活動への下押しの影響は、復興策が民間及び公的部門における投資を押し上げることによって反転するであろう。その結果、長期にわたる経済の低迷は起こりそうにない。地震を原因とする不確実性に加え、世界経済の動向や為替、商品価格に関連して著しい下方リスクが存在する。しかしながら、最も重要なことは、先例のない水準の公的債務残高が、長期金利の上昇に対して日本を脆弱にしていることである。
デフレの圧力は続くであろう
地震による負の供給効果により生じる不確実性や地震に続く復興に向けた支出にもかかわらず、経済成長のペースは、2012年の終わりまでに需給ギャップを解消させるほど十分には早くないかもしれない。その結果、デフレの圧力は持続しそうである。消費者物価指数(総合)(CPI)により計測される物価上昇率は、2010年最終四半期にプラスに転じたが、これは主にタバコへの大幅な増税と食料価格の高騰によるものであった。他方、コアCPIについては、以前よりも緩やかなペースであるが、前年比で0.8%下落した。慢性的なデフレは、2002年から2007年の間の日本における戦後最長の景気拡大にも関わらず、1998年以来、GDPデフレーターを14%程度減少させている。デフレは、実質金利を高止まりさせ企業収益を圧迫し、その結果、賃金や雇用への下方圧力を生むことで成長の足かせとなっている。
消費者物価指数の動向
前年比(%ポイント)
1. OECDの定義による、食料とエネルギー価格を除くコア・インフレーション。
出典: OECD Economic Outlook Database.
© OECD 2011
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金融政策
日本銀行は、デフレの克服を確かなものとするため緩和的なスタンスを維持すべきである…
日本銀行は、金融市場の安定化を目的として大規模な流動性を供給することにより、地震の後迅速に対応した。また、為替レートの変動を抑えるためのG7財務相・中央銀行総裁による多国間のコミットメントの一環として、外国為替市場への介入が行われた。加えて、日本銀行は、企業の景況感の悪化やリスク回避の高まりを防ぐために資産買入プログラムの規模を10兆円(GDPの2%程度)に倍増することを発表した。資産買入プログラムは元来、
i. 長期金利の引き下げやリスクプレミアムの減少のため、3.5兆円の国債、1.5兆円の社債、CP、不動産投資信託の買入を含む、当初、5兆円の追加的な資産買入プログラムを創設する、
ii. 政策金利を0.1% から、ゼロから0.1% の間へと引き下げる、そして、
iii. 「物価の安定が展望できる情勢」になったと判断するまで、実質的なゼロ金利政策を維持することを約束する
といったことにより、デフレと戦うために2010年10月に開始された「包括的な金融緩和政策」の一部であった。日本銀行は、地震による影響を含む下方リスクに注意を払い、現在の緩和的なスタンスを維持するとともに、先行きが悪化した場合には更なる措置を講じる準備をすべきである。そのような場合においては、高いリスクの民間金融資産を購入することには注意を払う一方、長期国債の購入拡大を通じて長期金利を低下させることに焦点を当てるべきである。こうした取組みは、インフレ期待をも上昇させるかもしれない。デフレの克服は、資産価格、特に19年連続の下落の後に1975年の水準まで低下した地価に好ましい影響を与えるかもしれない。
…他方で、金融政策の枠組みを改善する
金融政策の枠組みについても改善の余地がある。2009年12月、金融政策委員会は、ゼロ%の下限を除くことにより、0 から2%程度とする物価安定の「理解」を改定した。この措置は依然として物価安定の理解を非常に低いままに留めている。なぜなら、この範囲のインフレが展望できる情勢になった時には、原則的に物価安定の理解が満たされることになるからである。より高いインフレの目標は、デフレに対して更なるバッファーを提供するであろう。加えて、仮に1つの値を中心とした範囲により表される場合、日本銀行の政策意図はより明らかになり、その結果より信認のおけるものとなるであろう。1つの典型的な目標は2%、プラス、マイナス1パーセントポイントといったものである。物価安定の理解を設定する際のメカニズムを改定するといったこともなされうる。いくつかのOECD加盟国では、インフレの範囲は中央銀行により独立的に設定されるというよりは、政府もしくは政府と中央銀行による協議によって設定されている。そうした取組みは、インフレ目標に対する政府の支援を促し、中央銀行がより独立してその目標を達成することを認めることになるかもしれない。枠組みの変化は、信頼性をさらに高めるとともに物価安定の実現に向けた力強い取組みを確かなものとすることを助け、それ故、今後長期間にわたる財政健全化の過程で経済を下支えすることになるであろう。
© OECD 2011
8
日本における地価1
1. 各年1月1日の地価(住宅地、商業地、工業地全てについて)。
出典: Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism.
いくつかの選択されたOECD加盟国・地域におけるインフレ目標
Introduction date
Current inflation target
Inflation-targeting countries
New Zealand
1990
1 – 3
Canada
1991
2 +/- 1
United Kingdom
1992
2 +/- 1
Sweden
1993
2 +/- 1
Australia
1993
2 – 3
Czech Republic
2010
2 +/- 1
Israel
1997
2 +/- 1
Poland
1998
2.5 +/- 1
Chile
1999
3 +/- 1
Korea
2001
3 +/- 1
Mexico
2001
3 +/- 1
Iceland
2001
2.5 +/- 1.5
Norway
2001
2.5 +/- 1
Hungary
2001
3 +/- 1
Other central banks with a numerical inflation objective
European Central Bank
2003
Below but close to 2%
Switzerland
2000
Not more than 2%
出典: Roger (2010) and OECD Secretariat.
© OECD 2011
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財政政策
財政状況は、極めて厳しい状況に達している…
長期にわたる低い経済成長と減税が歳入を抑制してきた一方、数々の財政刺激策と人口高齢化などに関連した歳出圧力が政府支出を押し上げてきた結果、1993年以来、18年連続して財政赤字が続いている。その結果、グロスの公的債務残高は、200%(GDP比)といった未知の領域まで急速に増加し、ネットの公的債務残高についても、115%程度とOECD地域の中で最も高くなっている。並外れた水準の債務による影響は、現在のところおよそ1¼パーセントといった極めて低い長期金利により軽減されている。しかしながら、日本は、長期金利上昇のリスクを低減させるとともに、持続可能な財政の道筋に戻るための長期にわたるコストを低下させるため、財政健全化に向けた取組みを加速することが必要になるであろう。2010年6月の財政運営戦略は、国及び地方政府の基礎的財政収支赤字を2010年度6.4%(GDP比)から2015年度3.2%(GDP比)に半減させる目標を設定することにより、財政健全化に向けた取組みを再開した。このために、国の一般会計歳出(債務償還費と利払費を除く)は、2011年度から2013年度にかけて、2010年度当初予算の水準を超えないこととされており、この目標は2011年度予算案の中に取り入れられている。しかしながら、その被害の規模を考慮する場合、地震と津波による被害を受けた地域における復興に向けた支出は大きなものになるであろう。1995年の阪神・淡路大震災後、国による復興に向けた支出は、GDP比1%以上(6年間にわたって)に達した。歳出の組み換えや、日本の人々の連帯感に訴えかけ、歳入の短期的な増加により復興に向けた支出を賄うことが重要である。中期にわたり、財政健全化は優先事項であり続ける。
いくつかの選択されたOECD加盟国における公的債務残高1
1. 2000年の時点でOECD地域の中で最も高い債務残高(グロス)比率を有する5つの国。
2. 日本の2009-10年の値、また他の国々の2010年の値についてはOECDによる見込み。2011-12年の値はOECDによる推計。
出典: OECD (2010), OECD Economic Outlook, No. 88 (November 2010).
© OECD 2011
10
…詳細かつ信認のおける 中期的な財政健全化計画が不可欠…
2020年度までに国及び地方政府の基礎的財政収支を黒字化するといった財政運営戦略の長期目標は、債務残高比率を安定化させるには十分ではなく、名目金利が名目成長率をわずかに1½パーセントポイント程度上回ると仮定しても、3%程度(GDP比)の黒字が必要となるであろう。公的債務残高比率を安定化させるためには、基礎的財政収支の10%程度(GDP比)の改善が、その比率を低下傾向にのせるためにはさらに大きな黒字が必要となるかもしれない。2011年中頃に予定されている中期財政フレームの改定は、財政健全化目標を達成するために歳出削減と歳入増加に関する詳細な複数年におよぶ計画を示す必要がある。一般政府の支出(利払費を除く)は、財政刺激策や子ども手当といった新政権による取組みの結果、2007年33.4%(GDP比)から2010年には38%程度にまで上昇することが見込まれている。著しい支出の増加は、緊急的な支出をとりやめることなどによる削減余地があることを示している。特に、公共投資については、1990年代半ばにおける8%(GDP比)以上から2009年には4¼パーセント程度にまで低下したとはいえ、OECD平均を1パーセントポイント程度上回っている。地震に続く復興により公共投資は増加すると考えられる一方で、効率性を高めるようその配分の改善を図りつつ、中期的にはその規模を縮小することができるかもしれない。加えて、公的部門の賃金の伸びは民間部門のそれを大きく上回っており、特に地方政府において、節減の余地があることを示唆している。
バブル経済崩壊後の日本の財政経路
基礎的財政収支1 及び政府債務残高(グロス)GDP比2
1. 1998年におけるGDP比-5%程度、2002-11年にかけてのGDP比-1%から+2%程度の一時要因を除く。
2. 2009-10年の値についてはOECDによる見込み、2011年の値についてはOECDによる推計。
出典: OECD (2010), OECD Economic Outlook, No. 88 (November 2010).
…社会保障支出の改革…
中期財政フレームの改定は、歳出圧力の主因である社会保障の改革を伴ってなされる。人口高齢化のもと、社会保障基金への補助金により、国の社会保障費は、今後10年間にわたり2%(GDP比)程度増加すると見込まれている。医療、介護の質を向上させる必要があるというコンセンサスを踏まえれば、おそらくさらに多くの支出が見込まれる。加えて、社会保障基金の収支は過去10年間にわたり悪化してきており、2009年度には1½%(GDP比)の赤字に達してい
© OECD 2011
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る。社会保障基金は財政運営戦略の財政目標に含まれてはいないが、一般政府の一部であり、公的債務残高の動向に影響を与える。したがって、社会保障については安定的な財源を確保するといった財政運営戦略の基本ルールを守ることが重要である。さらに、医療、介護分野における改革などを通じた社会保障支出の増加抑制策が優先事項となる。
• 介護サービスについて、報酬体系の活用や入院患者医療区分のより厳密な監視により、病院からより適切な介護施設へのシフトを促す。
• 病院が効率性を高める動機を強めるよう、診療報酬を疾病ごとに設定する診断群分類の改革により、支払方式の改善を図る。
• 後発医薬品を報酬支払の基準とすることにより、その利用を拡大する。
• 専門医による不必要な診断を減らすために、ゲート・キーパー制を導入する。
一般政府の収支は年金制度にも依存している。年金制度については、年金保険料率を2017年度までに18.3%に引き上げる、稼ぎ手が一人の夫婦世帯の所得代替率を60%程度から50%程度に引き下げる、そして、男性については2025年、女性については2030年までに年金支給開始年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げるといった改革が行われている。長期推計は経済や人口動態といった前提の影響を受けやすく、将来、追加的な改革が必要となるかもしれない。その場合、年金の支給開始年齢をさらに引き上げることが最善の選択肢となるであろう。
…そして、歳入を増加させる抜本的な税制改革を含む
歳出の増加圧力、及びさらなる歳出削減の余地が限られていることを考慮すれば、財政目標の達成のためには、税収の増加が必要となる。実際に、2011年1月の政府の長期試算は、歳出(社会保障費と利払費を除く)が実質一定で保たれると仮定する場合、2020年の基礎的財政収支赤字が2.5%(GDP比)から4.2%(GDP比)となる(経済シナリオに応じて)ことを示している。追加的な歳入としては主に消費税に頼りつつ、直接税の課税ベースの拡大や労働参加を促進するといった包括的な税制改革を通じて歳入は増加されるべきである。基礎的財政収支を均衡させるためには、消費税率は現行の5%から、5から9パーセントポイント程度引き上げられなければならないであろう。債務残高比率の安定に必要となるであろう3%(GDP比)の基礎的財政収支黒字の達成のためには、さらに6パーセントポイント程度の消費税率の引き上げが必要となり、消費税率は欧州の平均である20%に向かっていくことになるであろう。さらに、2020年代以降に債務残高比率を低下させていくためには、より多くの歳入が必要となるであろう。それ故、消費税率を10%と倍にすることは、持続可能な財政状況を実現させるための第一歩に過ぎないであろう。財政調整の規模や経済成長が続くとする見通しを考慮する場合、東日本大震災により被害を受けた地域における復興の必要性を考慮しつつ、2011年度中に税制改革は詳細を明らかにして公表され、増税はできる限り早く始められるべきである。家計や企業所得への直接的な課税に比べ経済成長への負の影響がより小さいことを考慮する場合、消費税は追加的な歳入の主要な源となるべきである。間接税の引き上げによる逆進的影響は、勤労所得税額控除といったような低所得世帯を支援する施策によって最も相殺されうるかもしれない。しかし、そういった措置自体が財政赤字を押し上げ、その結果として、他の分野での歳出削減やさらなる税収増加が求められることとなる。温室効果ガスの削減目標を達成するための環境関連税もまた歳入増加に向けた政策パッケージの一部となるかもしれない。
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財政政策の枠組みの改革は、長期にわたる財政計画の信頼性を強化することに役立つかもしれない
1990年の資産バブルの崩壊以降における日本の財政状況の大幅な悪化、及び先例のない財政問題の規模を考慮する場合、強固な財政政策の枠組みが中期的な財政計画の信頼性を強化するために重要である。第一に、たとえ予見できない例外的な状況においては見直されなければならないとしても、予算編成は、歳出と税の複数年の財政計画を通じて改善されうる。第二に、中期的な財政目標は閣議決定によるものであり、政権交代により改定されうる。財政目標について、より強い法的根拠を設けることは財政目標に関する信認を高めるであろう。第三に、財政目標の達成に向けた政府の進捗を評価するための、政策策定過程から一定の距離を置いて客観的な機能を果たす会議体は、特に、少なくとも10年間は継続する必要がある財政健全化計画について、その透明性と信頼性を向上させるかもしれない。信頼性のさらなる向上は、長期金利の急騰といったリスクを軽減する鍵となる。
財政の持続可能性を達成するための提言の概要
• 歳出の組み換えや、日本の人々の連帯感に訴えかけ、歳入の短期的な増加によって、震災関連の復興支出を賄うことにより、財政赤字と債務残高の増加を抑制する。
• 社会保障支出の増加を相殺するために、公務員人件費や中期的には公共投資といった分野において歳出削減を行う。
• 優先度が低く効果的でない歳出プログラムを削減する方法を見つけるために、仕分けプロセスを継続する。
• 歳出の増加を抑制し、年金のための健全な財源を提供するために社会保障の改革を行う。
• 東日本大震災により被害を受けた地域における復興の必要性を考慮しつつ、税制改革を速やかに実施する。
• 歳入増加のために、主として消費税や環境関連税といった他の間接税に依拠する一方、その逆進性を相殺するために勤労所得控除といったような措置を導入する。
• グロスの政府債務残高対GDP比を安定化させることを保証するために、2020年度の基礎的財政収支の黒字を約3%といったような十分に高い水準に設定する。
• 信認を維持し、金利の急騰を防ぐことを助けるために、財政運営戦略における中期財政フレームの改定において、詳細かつ信頼に値する分野別の歳出目標と税率引上げのタイムテーブルを盛り込む。
• 複数年の財政計画、財政目標に関するより強固な法的根拠、そして財政健全化計画の実施状況を監視・評価するための政策策定過程から一定の距離を置いて客観的な機能を果たす会議体を通じて、財政政策の枠組みの改革を行う。
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新成長戦略
経済成長は、財政問題への取組みに不可欠であり、新成長戦略は重要となる…
持続的な財政健全化は、政府が推計する½パーセントといった既に低い潜在成長率から経済成長を押し下げる傾向があり、経済成長を支える政策が不可欠となっている。政府の新成長戦略は、グリーン・イノベーション、医療・介護の拡大、アジアとの経済連携、そして地域活性化を通じ新たな需要を創出することにより、2010年代に実質成長率を2%まで加速させることを目標としている。需要は、財政支出、税制、公的金融を含む財政政策や、規制や制度の枠組みの改革により刺激される。しかしながら、厳しい予算事情に鑑みれば、財政政策よりも規制改革を重視し、いかなる支出の増加も財政健全化の求めと整合的となることを保証することが重要となる。加えて、改革は特定の分野に限られるべきではなく、生産性を高めるため経済全体に広げられるべきである。2020年までに生産年齢人口が10%程度縮小すると見込んだ場合、2%の実質成長率目標を達成することは、生産性上昇率が過去10年間の年平均である1%から大きく上昇しなければならないことを示唆している。優先すべき事項は、新たに会社を設立する際の費用を減らし、また競争政策やイノベーションを強化することにより、起業家精神と新規事業を促進することを含む。ベンチャー事業を活性化させること、また日本郵政の計画された民営化を遂行することは、民間部門の活力を育てることにも役立つかもしれない。
ネットワーク部門への参入にかかる規制障壁1
1. 電気、ガス、航空、鉄道、そして通信・郵便を含む。指標は、0から6の値をとり、0が最も規制が緩い。
出典: OECD (2010b), Going for Growth, 2010, OECD, Paris.
…とりわけ、グリーン成長と医療・介護の分野において…
すべての主要国による意欲的な目標を含む公正かつ実効性のある国際的枠組みの構築を前提とする、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%減らすといった日本の目標は、1つの重要な成長源としてグリーン・イノベーションを必要としている。最優先事項の1つは、望ましくはオークション方式を伴う義務的かつ包括的なキャップ・アンド・トレードに基づく排
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出量取引制度(ETS)を通じて、炭素への価格付けを構築することである。炭素税は、ETSが対象としない分野において導入されるべきであり、それは財政健全化に向け歳入を生み出すことにもなるであろう。日本における多くのかつ増加する高齢者の数や比較的低い医療・介護支出を考慮する場合、医療・介護もまた潜在的な成長源となる。しかしながら、医療費等の86%が公的部門により賄われていることを踏まえれば、現行の枠組みのもとで支出を増やすことは財政状況を悪化させるであろう。公的保険の対象とならない診療をより安価で利用可能なものとするため混合診療の範囲を拡大する一方で、全ての必要な診療を対象とするといった公的医療保険の目標は少しその野心を抑えなくてはならないかもしれない。
一人当たり所得の違いの説明(2009年)
1. 購買力平価(2009年)を利用。
出典: OECD (2011), Going for Growth, 2011.
…そして、自由貿易協定を通じた経済連携
新成長戦略の核となる目標の1つは世界経済と日本の連携を深化させることである。現在、日本は、輸入、海外直接投資(FDI)の流入(GDP比)が最も低い水準であり、また労働力人口に占める外国人の割合が最も少ないといった点で、OECD地域の中でも外れた存在となっている。新成長戦略は、貿易障壁や日本への海外投資や人の移動にかかる制限を引き下げることにより、2020年までに人、物、資本の流れを倍増することを目標に掲げている。深化した開放は主要な
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貿易相手国とのEPA交渉や、TPPに参加する国々との議論を2011年に始めることなどによって成し遂げられる。そういった協定は、包括的であるべきであり、また長きにわたって地域貿易協定への日本の参加の主要な障害となっている農業を含むべきである。食料輸入に関するより開かれた開放は、農業部門のリストラを後押しすることに役立つであろう。しかしながら、新成長戦略は、低価格の食料輸入への開放を深める地域連携の結果として低下傾向となるかもしれない日本の食料自給率の上昇をもその目標としている。
経済グローバリゼーション指標
出典: OECD (2010g), OECD Economic Globalisation Indicators.
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農業における生産者支援(推定)の国際比較
農家の収入(グロス)に占める割合
1. メキシコについては、1986-88年の代わりに1991-93年を利用。
2. オーストリア、チェコ共和国、フィンランド、ハンガリー、ポーランド、スロバキア共和国、そしてスウェーデンが両期間のOECD合計に、また2007-09年のEUに含まれる。OECD合計は、非OECD加盟国であるEU各国を含まない。
3. 1986-88年についてはEU12、2007-09年についてはEU27。
出典: OECD (2010a), Agricultural Policies in OECD Countries: At A Glance.
日本の新成長戦略に対する提言の概要
新成長戦略の全体の枠組みの改善
• 長期にわたる財政健全化の必要性や財政運営戦略との一貫性、整合性を保証するために、新成長戦略の財政的なインプリケーションに注視する。
• 民間投資を促すために、特にサービス分野における規制改革を加速させることに焦点を当てる。
• 特に新規事業にかかる行政上の負担を減らすことにより、起業家精神とよりビジネスに配慮した環境を促進する。
• 独占禁止法違反への過料・課徴金の引き上げ、中小企業に対する特例的な措置を含む独占禁止法上の適用除外を減らすことにより、競争政策を強化する。
新たな需要の創造
グリーン成長
• 望ましくは義務的かつ包括的なキャップ・アンド・トレードに基づくETSといった市場ベースの手段を導入することにより、炭素への価格を設定し、グリーン成長投資を促進するための明確な価格シグナルを提供する。
• 税制の枠組の予見性と信頼性を保証する一方、特にETSが対象としない分野において
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炭素税を導入することにより、環境関連税を一層活用する。
• 非経済的な障壁を取り除き、予見可能かつ透明性のある支援の枠組み構築することにより、再生可能エネルギー資源の開発を促進する。最良な選択肢は、時間とともに減少するインセンティブを伴う電力証書制度であろう。
• 炭素に対する適切な価格を保証するために、G20イニシアティブに基づき非効率的な化石燃料への補助金を段階的に廃止する。
医療・介護の改革
• 日本における臨床実験費用の削減、海外の結果の一層の受入れ、そして適切な償還水準を保証することにより、新薬及び医療機器にかかる承認の遅れを短縮する。
• 公的医療保険の適用を受けない診療をより利用可能なものとするために、混合診療の範囲を拡大する。
• 報酬体系の活用や入院患者医療区分のより厳密な監視により、病院からより適切な施設や在宅介護へと介護サービスのシフトを促す。
アジア経済連携
• 主要な貿易相手国との包括的なEPA交渉を加速し、またTPPに参加する。
• 地域経済連携を促進するために、農業保護の高い水準を引き下げ、その構成を価格支援から農家への直接支援にシフトさせる。
• 貿易の更なる自由化、投資や所有にかかる障壁の引き下げ、行政手続の改革の加速、そして労働規制の緩和により、FDIの流入に向けた環境を改善する。
• 日本におけるより多くの外国人学生と高度な技術を有する外国人労働者を認めるために、入国管理に関する規制を自由化する。
地域の活性化
• 全国的な規制改革に焦点を当て構造改革特区の利用を促進し、また新しい特区が国全体にとって大きな利益となることを保証する。
• イノベーション・クラスターの創設を含む地域活性化の促進のために、一層の財政資金を提供するとともに地方政府にさらなる自治を認める。
金融部門の改革
• R&Dや革新的な新規事業に対して、日本では比較的機能していないこうした市場を刺激する政策手段を通じて、ベンチャー・キャピタルといったリスク・マネーの供給を促進する。
• 公的金融機関の規模を縮減し、公的部門への貯蓄の流れを減らすとともに、ベンチャー事業や新規事業のための資金の利用可能性を高める。
• 日本郵政の民営化を遂行する。
• 経済の回復とともに信用保証を縮小し、金融機関に対して中小企業向け貸出の増加を促す政府の政策を緩和する。
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教育システム
経済成長は、教育の質にも依存する…
新成長戦略は、イノベーションにおける高等教育の役割を高めることも目標としている。日本における教育は、量、質の双方の観点から極めて優れている。実際に、高等教育を修了している成人人口の割合は43%とOECD地域の中でも2番目に高く、また質についてもOECDのPISA調査に反映されているように最も高い国の1つとなっている。こうした優れた成果は、OECD平均よりわずかに低い、初等・中等教育における生徒一人当たりの公的支出により成し遂げられている。しかしながら、そうした成果は塾として知られる民間の課外施設での指導への費用などの高い民間部門の支出によって補われている。経済成長への教育の重要性を踏まえれば、教育分野に賢くかつ適切に投資することが重要となる。
PISA調査における生徒の成績に関する国際比較
15歳の生徒の成績(2009年)
出典: OECD (2010d), PISA 2009 Results: What Students Know and Can Do, Volume I.
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…それは、幼児教育・保育へのより多くの投資を通じて改善されるかもしれない…
日本では、幼児教育・保育への公的支出が低い。リターンが大きく、また低所得世帯の子供の不利益を軽減するであろうことからも、この分野へより多くの投資を行うことは是認される。現在、6歳未満の子供の約3分の1は、厚生労働省の管轄のもとにある認可保育所に通い、別の3分の1は、文部科学省の管轄のもとにある幼稚園に通っている。新成長戦略の目標である幼稚園と保育所の一体化は、2つの平行した制度をまとめることによる費用の節約を可能とする一方で、保育所における子供への教育の質を高めるであろう。一体化のもう1つの利点は、幼稚園における余剰収容能力を活用することによって保育所不足を減少させるであろうことである。政府による支出が60%とその大部分が助成される認可保育所において待機児童が生じている。利用可能かつ質の高い保育所の不足は、日本の比較的低い女性の労働参加率を上昇させるための主要な障害として挙げられている。政府は、今後5年間で受入児童数を26万人増やすことを計画しているが、これは女性の労働参加には限られた影響しか与えないであろう。現在、上限価格を含め管理の対象となっている民間事業者により大きな役割を許すことは、保育所不足への取組みに役立つであろう。より長期の観点からは、日本は、親が求めるサービスを提供するといった点について事業者による競争を促進するバウチャー制への移行を考慮しうるであろう。
日本における就学前教育への生徒一人当たり支出は低い1
1. 2007年におけるフルタイムに相当する生徒の年間支出。
出典: OECD (2010a), OECD Education at a Glance 2010.
…また、初等・中等教育の改善に向けた改革を通じて…
日本は、教科書を4分の1程度長くし、授業時数を週当たり1から2時間程度増やすことにより、初等・中等教育を改善するための改革を始めている。日本はPISA調査の成績ではトップ
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に近いが、特に塾への依存を減らすことにより、こうした改革は有益な効果を持つかもしれない。教育の質を高める他の改革は、学校にさらなる自主性を与えること、より優れたものとなるよう学校を促すため児童・生徒や親による学校選択の余地を拡大するといったことを含む。現在、14%の市区町村の学区でのみ学校選択制が認められている。
課外授業(数学)に参加する生徒の割合
週当たりの時間
出典: OECD (2010d), PISA 2009 Results: What Students Know and Can Do, Volume I.
…同様に、高等教育の改革を通じてイノベーションを推進させる
初等・中等教育とは対照的に、日本の大学は、国際比較の中で際立ってはおらず、質を改善するための余地がより多くあることを示している。日本の高等教育における供給の拡大と高校を卒業した生徒数の縮小が収斂している。人口動態の傾向に基づき高校を卒業する生徒数はさらに減少するため、国立、公立大学を含むいくつかの高等機関は、仮に改革に失敗すれば、統合に向けた圧力に直面することになるであろう。大学の自治を十分に考慮した上でなされる統合は、R&Dの分野において大学をより効果的なものにするかもしれないが、地域経済への影響に配慮すべきである。卒業生の労働市場での成果などの高等教育機関の質に関する透明性を高めることが、競争を強化し、その機能を高めるために重要である。外国人学生の割合が比較的小さい大学の国際化を進めることは、優れた外国の高等教育機関を日本に呼び込むことと同様に、その機能を高めることに役立ちうるかもしれない。高い質の大学は、イノベーションにより多くの貢献をするかもしれない。大学は、日本の自然科学系の博士号取得者の大多数を雇っているが、2007年にはR&D の13%を行ったにすぎない。そのうち3%は企業の資金によるものであった。大学、
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企業、そして政府の研究機関間における労働の流動性を高めること、また大学に対する政府の競争的なR&D資金の配分を増やすことにより、大学の役割は高められるかもしれない。
奨学金の利用機会の拡大や塾への依存を減らすことは、公平性を高めるとともに、家計負担を軽減するであろう
日本における高い授業料にも関わらず、現在のところ3分の1程度の学生のみに利用可能である高等教育向けの公的奨学金の利用機会を拡大することは重要である。奨学金の返済を卒業後の収入に応じたものとすることも、低所得世帯の学生が教育に投資を行うことを後押しするであろう。もう1つの公平性に関する懸念は、塾の重要性である。塾は、中学生のおよそ半分に、また小学生の4分の1に対して追加的な教育を提供することにより、子供の発育に悪い影響を与えうる長時間にわたる授業といったことを招いている。塾への依存を減らすことは、学業の成績を著しく高め、家計所得に伴って上昇する塾通いの結果生じる教育成果の不平等を減らすことにもなるであろう。高い試験の成績は学生がより一流の大学に入学することを許し、それは正規雇用と著しく高い生涯所得をもたらすため、こうした不平等は長くにわたって存在し続けうる。公立学校の質を高めること、また、入学試験における多肢選択式の試験– 塾が最も有効である分野 – の重要性を減らすことによって、塾への依存を減らすことができるかもしれない。いずれにせよ、塾は重要な役割を担い続けるであろうことから、低所得世帯に対する利用機会の拡大を図ることが重要となる。幼児教育・保育へのより多くの投資とともに、塾への依存を減らすことは、1.4未満とOECD地域の中で2番目に低い日本の出生率の主要な原因として報告されている家計の重い教育費負担を軽減することにもなるであろう。
高校卒業後の経路
出典: Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (2009c), White Paper on Education, Culture, Sports, Science and Technology, 2009.
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職業教育・訓練の改善は、ますます重要となっている
企業が長期雇用のために新卒者を雇い、企業の中で社員を訓練するといった伝統的なパターンは、固有の技能を有する労働者を雇うことが好まれるなか変化している。新しいパターンは、効果的な職業教育の重要性を高めている。その一方で、大学に通う学生の割合の増加は、伝統的に職業教育の分野で重要な役割を果たしてきた短期大学や専門学校の閉鎖を強いている。変化する労働市場の傾向に対処するため、企業や組合との密接な連携を通して有効な履修課程を構築すること、また、新成長戦略の別の目標でもあるが、企業に評価される職業能力の認定を創設することにより、大学における取組みを含み、職業教育の質を向上させることが不可欠である。企業ベースでの訓練が重要視される中、日本においてこれまで比較的小さな役割を担ってきた職業訓練を拡大することも重要である。ジョブカード制度に含まれる訓練プログラムの拡大は、参加者の就職成果の改善といった成功を条件とするべきである。企業ベースの訓練を受ける機会がほとんどない非正規労働者– パート、契約、そして派遣労働者–の割合が高まっていることを踏まえると、より一層の職業教育・訓練に対するニーズが特に重要となる。
教育システムの改善のための提言の概要
教育成果を改善する
幼児教育・保育
• 質及び量を拡大するため幼児教育・保育(ECEC)へより多く投資する。
• ECECの質を高めるため、新成長戦略の中で述べられているように、保育所と幼稚園を一体化する。
• 家庭へ直接的に給付を行うことなどにより、ECECの民間提供主体の役割を拡大する。
初等・中等教育
• ゆとり教育の利点を維持する一方、計画されているカリキュラムや授業時数の増加を効果的に実施する。
• 学校の自主性を高める。
• 実績に関する情報を増やす一方、より優れたものとなるよう学校を促すために、学校選択を拡大する。
高等教育
• 競争を強化するために、卒業生の労働市場での成果を含む実績に関する透明性を高める。
• 外国人学生の数を増やすことにより、国際化を促進する。
• 日本におけるより多くの外国高等教育機関の設立を促進する。
費用対効果(value for money)を高める
幼児教育・保育
• 保育所と幼稚園の一体化により費用を削減する。
初等・中等教育
• 学校統合に対処するため効率的な枠組みを支援する。
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• 教師の時間をより有効に用いる。
高等教育
• 高等教育部門の統合を促進する。
• 公平性と質を保証する一方、授業料、学生数の上限、そしてプログラムの変更を含む規制を自由化する。
家計負担を減らす
幼児教育・保育
• ECECへの支出の公的割合を高める。
初等・中等教育
• 塾への依存を減らす。
• 低い費用による代替策を構築することにより、課外教育の負担を減らす。
高等教育
• より多くの割合の学生を対象とするために、高等教育向けの公的奨学金を拡大する。
不平等の拡大傾向を反転させる
幼児教育・保育
• 低所得世帯の子供の不利な状況を軽減するため、ECECへより多く投資する。
初等・中等教育
• 塾への依存を減らす。
• 特に低所得世帯の生徒に対して、塾の恩恵をより広く、そして安く利用可能とする。
高等教育
• より多くの割合の学生を対象とするために、高等教育向けの公的奨学金を拡大する。
• 奨学金の返済を所得に応じたものとする。
労働市場と教育の結びつきを促進する
初等・中等教育
• 新成長戦略の中で計画されているように、企業に評価される職業能力認定を創設する。
高等教育
• 増加する割合の若者を教育する大学における職業訓練の役割を拡大する。
イノベーションに対する高等教育部門の貢献を拡大する
• 大学の研究と産業との連携を推進する。
• 優れた大学を創るため公的投資を増やす。
• 競争的に配分される大学向けの公的な研究資金の割合を高める。
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労働市場
労働市場の二極化を縮小することが最優先事項である
日本の労働市場は、賃金や労働時間の柔軟性を含む多くの好ましい特徴を維持している。しかしながら、1990年以降経済成長が著しく減速する中、長期雇用、年功賃金、そして60歳での定年といった伝統的な労働市場慣行は、ますます経済状況にそぐわなくなった。その結果、企業は、より高い雇用の柔軟性を得るため、また労働費用を減らすため、より多くの非正規労働者を雇ってきた。実際に、企業にとっての利点を反映し、非正規労働者は今や雇用者の3分の1を占める。しかしながら、非正規労働者には、仕事や教育による類型を調整した後にでさえ低い賃金が支払われており、訓練を受ける機会も少なく、また社会保険制度によって十分にカバーされていないことから、非正規労働者割合の高まりは懸念を生んでいる。加えて、非正規労働者は、甚大な雇用の不安定さに直面している。例えば、非正規労働者は、2008年から2009年の間の雇用者の減少の3分の2を占めた。さらに、分断された労働市場での限られた流動性は、非正規雇用が正規雇用へ通じる道となっていないことを意味している。政府は、短期的な派遣労働者の利用を法的に制限し、そうした労働者を継続的に雇用することを促す政策を提案している。これは、硬直性に伴う費用を高め、全体として雇用を減らすことになるかもしれない。それよりも、非正規労働者の社会保険の適用範囲を拡大し訓練プログラムを向上させる、非正規労働者に対する差別を防止する、そして、正規労働者に対する実効的な雇用保護を減らすといったことを含む包括的な取組みが必要である。
非正規労働者比率が再び上昇している¹
1. データについては、2001年までは2月時点、2002年以降は第1四半期の値。
出典: Ministry of Internal Affairs and Communications, Special Survey of the Labour Force, from 1984 to 2001 and the Labour Force Survey (Detailed Tabulation) since 2002.
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2000年代半ばにおける相対的貧困率の国際比較1
1. 貧困率は、等価可処分所得が全人口の中央値の50%未満である者の割合により定義される。各国は貧困率が高くなるにつれて、左から右へと並んでいる。所得の概念として、家計の規模を調整した家計可処分所得を用いている。
出典: OECD (2011), Income distribution questionnaire.
女性の労働参加を高め、高齢労働者をより有効に活用することは、人口高齢化に対処するため重要である
非正規雇用の増加傾向を反転させることは、非正規労働者の58%を占める女性の労働参加率を高めることにもなるかもしれない。高い賃金の正規の地位を得ることに伴う困難は、特に子育てのために労働力人口から離れた女性が働くことを妨げるかもしれない。出生率を上昇させるとともに、働き盛りの女性の比較的低い参加率を高めるためには他の改革も必要となる。第一に、保育所の利用可能性を拡大することが重要である。第二に、女性が仕事と家庭での責任を両立することができるよう、よりよいワーク・ライフ・バランスが必要となる。第三に、税制や社会保障制度は、配偶者が働くことを妨げる側面を取り除くために改革されるべきである。女性の労働参加を高めることに加え、今世紀半ばまでに生産年齢人口が40%近く減少することが見込まれる中にあっては、高齢労働者をより有効に活用することが優先事項となる。多くの労働者は、通常著しく低い賃金による短期間の契約に基づき再雇用されるが、現在、大多数の企業は、60歳の時点で義務的な退職を強いている。政府は、義務的な退職を禁止し、年齢ではなく能力に基づくより柔軟な雇用と賃金制度を目指すべきである。要すれば、急速な人口高齢化に対処するため、女性、高齢者、そして若者を含む全ての日本の人的資源をより有効に活用することが不可欠となっている。そういった政策は、新成長戦略の中で想定されているように、高度な技術を有する外国人労働者の流入増加を伴って行われるべきである。
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労働参加と非正規労働者比率の変化(年代、性別)1
1. 非正規労働者比率は、6つの年齢区分: 15-24歳、25-34歳、35-44歳、45-54歳、55-64歳、そして65歳以上区分で利用可能。
出典: Ministry of Internal Affairs and Communications, Labour Force Survey, and Labour Force Survey (Detailed Tabulation).
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労働市場改革のための提言の概要
労働市場における二極化の克服
• 非正規労働者の費用上の利点を減らし、また非正規労働者に対する保障を改善するために、特にコンプライアンスの改善により、職場をベースとした非正規労働者への社会保険制度の適用範囲を拡大する。
• 非正規労働者の人的資本や雇用可能性を高めるとともに、その正規雇用への移行を促すために、訓練と職業相談を増やす。これにより、日本の潜在成長が高まる。
• 非正規労働者に対する差別を防止する。
• 増加する数の非正規労働者を雇うことなく、企業が適切な雇用柔軟性を実現することができるように、正規労働者に対する実効的な雇用保護を減らす。
• 硬直性の費用を高め、全体として雇用を減らすかもしれないため、短期的な派遣労働者の利用を法的に制限することには慎重でありたい。
女性、高齢者、そして若者の労働市場への参加の促進
• 第二の稼ぎ手の就業意欲を減らすような税や社会保障制度の側面を改革する。
• 育児・介護休業法をより適切に施行することなどを通じて、よりよいワーク・ライフ・バランスを促進する。
• 就業意欲を弱めるかもしれない寛容な子供関連の移転を避ける一方、手ごろな価格で、かつ高い質の保育所の利用可能性を高める。
• 高齢労働者の就業環境を改善するために、60歳での義務的な退職を廃止することなどにより、柔軟な雇用及び賃金制度の一層の活用を促進する。
• 労働市場において求められる技能を若者が身に付けるために、ジョブ・カードの拡大などにより、実習と座学を組み合わせた実践的な訓練を重視する。
• 効果的な訓練を保障するため、職業能力の認定に関する標準的制度の構築を促進する。
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本報告書は、加盟国の経済状況の審査を担う、OECDの経済開発検討委員会(the Economic and Development Review Committee)の責任もと公表されるものである。
日本の経済状況及び政策については、2011年3月7日に委員会によって審査された。その後、報告書案は議論を踏まえ改定され、2011年4月15に委員会の総意により最終的な承認を得た。
本報告書は、それ故、2011年3月11日に発生した痛ましい東日本大震災の前に作成かつ審査されたものであった。しかしながら、本公表版は、地震を踏まえ短期的な分析と政策提言を改定するために更新され、委員会による承認を得ている。この惨事により膨大な数の人命が失われたことに深い哀悼の意を表明するとともに、被災された方々に対して心よりお見舞い申し上げる。
委員会のために準備された事務局の報告書案は、Vincent Koenの指導のもと、Randall S. Jones、 Satoshi Urasawa、そしてByungseo Yooにより作成された。リサーチ補助は、Lutécia Danielによる。
前回の対日審査報告書は、2009年9月に出版された。
最新版及びこれまでの報告書に関する情報、また報告書がどのように作成されているかといったより詳細については、 www.oecd.org/eco/surveysを参照。
Further information
For further information regarding this overview, please contact:
Randall Jones, e-mail: randall.jones@oecd.org; tel.: +33 1 45 24 79 28; or Satoshi Urasawa, e-mail: satoshi.urasawa@oecd.org; tel.: +33 1 45 24 83 55. or Byungseo Yoo, e-mail: byungseo.yoo@oecd.org; tel.: +33 1 45 24 88 22
See also http://www.oecd.org/eco/surveys/japan.
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OECD Economic Outlook: More information about this publication can be found on the OECD’s website at
www.oecd.org/eco/Economic Outlook.
Economic Policy Reforms: Going for Growth: More information about this publication can be found on the OECD’s website at www.oecd.org/economics/goingforgrowth.
Additional Information: More information about the work of the OECD Economics Department, including information about other publications, data products and Working Papers available for downloading, can be found on the Department’s website at www.oecd.org/eco.
Economics Department Working Papers:
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コメント
 
01. 2011年4月23日 02:32:16: jy7SkHgPBk
>デフレには金融緩和

この点だけは賛成だが、復興財源にいきなり消費税20%はいかがなものか。

飯田泰之准教授の提案が妥当では。

■飯田泰之氏「一時的な増税を財源とすることは財務の原則に反する」
「短期的には日銀引き受け、中期的には相続税といった「露払い」を経て、
ようやく財政再建の本丸である消費税・所得税・社会保障の一体改革に進むことができる」
( http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20110413-01-1401.html
http://twitter.com/#!/naokimed/status/60364484497256449
飯田泰之=駒澤大准教授

■復興資金の調達はリレー方式で/飯田泰之(駒澤大学准教授)
■必要な資金の総額は40兆円?
(前略)慢性的な財政悪化のなかで、年間の国税収入に匹敵する財源をいかに確保するか。
自民党の谷垣総裁は震災直後の3月13日に菅首相との会談のなかで時限的な増税を示唆し、
櫻井財務副大臣も17日の記者会見で一時的な増税に積極的な姿勢を示している。
今次の震災を奇貨として財政再建のための増税を推進すべきだとの声は強い。
しかしながら、一時的な増税を財源とすることは財務の原則に反する。
避けることができない偶発的なショックは、できるかぎり広く全国的に、薄く時間をかけて吸収する必要がある。
仮に本年から数年間の臨時増税による資金調達を行なった場合、
空間的な負担の分散にはなっても、時間的な意味での負担の分散にはならない。
したがって復興資金は公債によって調達される必要がある。
ただし、大規模な公債による資金調達については二つの懸念がある。
第一の懸念が、どのように返すのかという償還の問題、第二が、すでに大量の公債が発行されているなかでの消化の問題である。
そこで本稿で提案したいのが、二つの懸念に対する短期・中期・長期のリレー方式での対応だ。
短期的な消化の困難を緩和するために、当初の10兆円から15兆円の公債は日銀引き受けにより行なう。
公債の日銀引き受けは法律で禁止されていると考えている人が多いが、
財政法5条では国会の決議を得れば実施できるとされており、これまでも借り換えのためには適用されてきた。
新発債への適用は日銀引き受けによる歳出拡大に歯止めが利かなくなることから疑問視されてきたが、
「震災被害推計額の半分」といった限定を付ければ、それが恒常化する懸念は薄い。
引き受けによる財政支出がもたらす副作用は、教科書的には、インフレと円安圧力であるが、これは現時点では問題ではないだろう。
インフレと円安による景気の下支えは、被災地域以外の日本経済が復興を支えるためにも必要である。(後略)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20110413-01-1401.html


02. 2011年4月23日 10:55:44: mxesNqJnNM
デフレには 雇用拡大、最低賃金の大幅アップ、中小企業への金融支援
財政には 大企業への法人税増税、消費税減税(特に食料品)、高額所得者増税
復興には 日銀による50兆円国債直接引き受け

03. 2011年4月25日 11:40:49: cqRnZH2CUM
『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』

   Q:1209 OECD「消費税増税を」指摘をどう考えるか


   ◇回答

    □真壁昭夫  :信州大学経済学部教授
    □水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

        ■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:1208への回答、ありがとうございました。先週、映画『日曜はダメよ』の
ことを書きましたが、あのあと、またふと思い立って、iTune Storeで、わたしにと
っての「懐かしのメロディ・60年代ポップス」をいくつか購入しました。ムーディ・
ブルースの「サテンの夜」とかイッツ・ア・ビュティフル・デイのファーストアルバ
ムなどです。プロコル・ハルムの「青い影」はオリジナルが販売されていなくて買え
ませんでした。

 ただし、購入はしたものの、それほど熱心には聴いていません。「懐かしのメロデ
ィ」は何度も繰り返し聞くと、そのうち気分が滅入ってくるからです。最初は当然懐
かしく微笑ましいのですが、なぜかふいに気分が落ち込みます。過去に関してはやが
てネガティブな思い出もよみがえってくるからだと思っていました。でも、最近それ
だけではないと思うようになりました。

 60年代という時代は、冷戦が存在し、ベトナム戦争が続いていましたが、乱暴に言
うと「資源は無尽蔵であり大量消費は善」という時代だったと思います。先進国では
学生の反体制運動が起こり、愛と平和を呼びかけるヒッピーと呼ばれる人々がいて、
ウッドストックに代表される大音量・大観衆の野外ロックフェスティバルが大流行で
した。そしてそれら政治と文化のムーブメントはいつしか終わるのですが、その契機
は、オイルショックではなかったかとわたしは個人的に思っています。

 資源は有限だということで、政治的・文化的反抗への許容度が一気に少なくなり、
その後、地球温暖化など環境問題がクローズアップされるようになって、「大量消費
が善」という考え方は完全に時代遅れになりました。ある意味でのどかだった時代が
終焉したわけで、それが人類にとってよいことであるにしても、うまく言い表せない
「息苦しさ」が新たに生まれたような気がしています。懐かしのメロディを繰り返し
聞くとやがて気分が沈むのは、その後の閉塞が織り込まれていない音楽に対して苛立
つからだろうと、最近ではそう思うようになりました。

----------------------------------------------------------------------------

■今回の質問【Q:1209】

 復興費用として消費税の増税が言われるようになりました。また、先週、経済協力
開発機構(OECD)は対日審査報告書を発表し、日本の公的債務残高は「空前の水準」
にあり歳出削減の余地も限られているとして、消費税率は「20%相当まで引き上げる
ことが求められるかもしれない」「増税はできる限り早く」などと指摘したようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000442-reu-bus_all
 この指摘について、どう考えればいいのでしょうか。

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                                  村上龍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 真壁昭夫  :信州大学経済学部教授

 結論から言えば、OECDの提言は正論だと思います。ただし、20%の消費税率
や、増税のタイミングについては、当事者であるわが国自身が考えるべきだと思いま
す。

 OECDが指摘している通り、わが国の財政状況はかなり悪化しており、早急に立
て直しの具体策を考える必要があることは間違いありません。今のところ、国内に余
剰資金があるため、多額の国債発行の消化に問題が顕在化していないだけで、消化能
力の低下が鮮明化する場合には、国債の流通利回りが急上昇することも懸念されます。

 国債の流通利回りが上昇すると、国の利息支払い負担が増加しますから、財政状況
の悪化が加速する可能性が高まります。そうなってからでは手遅れです。政府が早め
に手を打つべきである点については、異論が多くはないはずです。

 一方、「消費税率を20%まで引き上げることが必要になるかもしれない」、増税
のタイミングを「できる限り早く」としている点については、恐らく反対意見もある
のではないでしょうか。OECDは、あくまで外からわが国の状況を観察した上で、
そうした提言を導出しています。そのため、OECD自身は、必ずしも、わが国経済
の状況や国民のモノの考え方について精緻に知っているというわけではないでしょう。

 ということは、OECD提言の基本的な考え方は、真摯に受け止めることが必要だ
と思いますが、実際の政策運営に関しては、当事者であるわが国自身がベストの方法
を考えるべきです。まず、OECDは、財政支出の削減余地が限られていると指摘し
ています。確かに、足許の財政支出の増加分の多くは、人口減少や少子高齢化の進行
に伴う社会保障費の負担が響いています。

 中長期的に、わが国の社会保障制度を改革することが出来れば、財政による負担は
ある程度、軽減することが出来るはずです。また、民主党が現在行っている、子ども
手当や高校の授業料無料化など、いわゆる"ばらまき政策"を見直すことも可能だと思
います。ある財政専門家は、「今の財政支出を、民間企業並みに見直すことが出来れ
ば、消費税率を20%まで引き上げなくてもできる」と断言していました。

 税収についても、大震災の後で、社会全体が自粛ムードになっているときに、OE
CDが言うように、直ぐに消費税率を大幅に引き上げると、経済全体を冷やし込んで
しまうことが懸念されます。それを回避するために、例えば、期限を設けて"災害復
興税"などの名目で税収を増やし、その財源を使って景気を立て直した後、ある程度
の時間をかけて、徐々に税収を増やすことを考えるべきだと思います。その場合、消
費税率の引き上げばかりではなく、所得税やその他の税項目の見直しも選択肢と考え
るべきでしょう。

 もう一つ重要なポイントは、OECDも指摘しているように、わが国経済の成長を
促進するような政策運営も必要です。今回の大震災でかなり明確になったことは、わ
が国の現場の担当者の能力=いわゆる現場力が強いことと、その一方で、全体の動き
を見て、一定方向に誘導するリーダーシップが決定的に弱いことです。経済の現場で
ある民間企業が力強く復興に向かって動き出しても、政府の政策運営や、一部の電力
会社のような当事者能力の欠如した人たちが、復興作業の進行を阻害することが懸念
されます。

 特に、20を越える会議を立ち上げるだけで、未だに、復興に向けての明確な具体
策を示すことのできない現政権に多くを期待することは難しそうです。OECDの様
に、外からわが国を客観的に観察している人たちは、わが国政権の政策運営能力の稚
拙さがよく見えるのでしょう。そのため、できるだけ早い時期に、消費税率を20%
程度まで引き上げるという提唱をしているとも考えられます。

                       信州大学経済学部教授:真壁昭夫

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 水牛健太郎 :日本語学校教師、評論家

 ごく妥当な指摘だと思います。この報告書はあくまでも短期の復興費用と中長期の
財政問題を峻別して、復興費用は短期の期間限定の増税で賄い、それとは別に財政問
題解決のために消費税率を上げるという論理構成になっています。

 しかし、現状の政治情勢を見ていると、復興費用の大義名分で消費税を上げ、その
まま税率を下げずに財政再建へつなげていこうという意図がかなり露骨に感じられま
す。確かに消費税の扱いは政治的に難しく、消費税の導入も税率上げも時の内閣の退
陣につながりました。

 そうした経緯を考えると仕方がないのかもしれないのですが、本来中長期的な課題
である消費税率上げを、震災のどさくさを利用して行うしかないというのは、日本の
政治的な未熟さを物語る光景であることは確かです。

もう一つ重要なことですが、この報告書は日本の教育制度の問題にかなりの紙幅を
割いています。幼児・初等教育への投資が不足していること、高等教育に金がかかり、
奨学金などが不備な現状が社会的な不平等を生み出していることなどの指摘が見られ
ます。さらに正規・不正規の労働市場の二極化の問題の解決に取り組むべきだともし
ています。

 財政の健全化のために全体としての歳出の削減や増税が必要なのは当然のことです
が、だからといって現状の社会問題をそのままに放置したり、費用がかかる政策は一
切控えるべきだなどというスタンスではないのです。

 財政の健全化も、借金をひたすら返すためというのではなく、それにより財政の基
盤を強化し、政策の選択範囲を広げることがその本来の目的だと考えるべきだと思い
ます。

                     日本語学校教師、評論家:水牛健太郎

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04. 2011年4月27日 12:33:06: cqRnZH2CUM
Q:1209 OECD「消費税増税を」指摘をどう考えるか
    □北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト

■今回の質問【Q:1209】

 復興費用として消費税の増税が言われるようになりました。また、先週、経済協力
開発機構(OECD)は対日審査報告書を発表し、日本の公的債務残高は「空前の水準」
にあり歳出削減の余地も限られているとして、消費税率は「20%相当まで引き上げる
ことが求められるかもしれない」「増税はできる限り早く」などと指摘したようです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000442-reu-bus_all
 この指摘について、どう考えればいいのでしょうか。
                                  村上龍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■ 北野一   :JPモルガン証券日本株ストラテジスト

 復興費用をどう調達するか、百家争鳴とまでは言いませんが、与野党入り乱れて様
々な議論があるようです。ただ、一つ肝心な議論が抜け落ちているように思います。
そもそも、いくら資金が必要なのか、さらに言うと、今回の東日本大震災による被害
額はいくらに上るのか、この点が相変わらず曖昧なままなのではないでしょうか。

 確かに、内閣府は3月23日に、東日本大震災による道路や住宅などへの直接的な
被害額が16兆〜25兆円になるとの試算を公表しております。もっとも、4月22
日に行われた経済情勢に関する検討会議で配布された資料にも、引き続き被災地のス
トックの毀損額として、16〜25兆円程度という数字が使われておりました。当初
の見積もりから1ヶ月も経過しているのに、政府は、被害額の推計値を見直していな
いようです。

 この推計値は、本当に正しいのでしょうか。今後、修正される可能性はないのでし
ょうか。修正されるなら、どちらの方向なのでしょうか。被害額はさらに膨らむのか、
それとも縮小するのか。今回の震災後の一連のパターンからすると、被害額は当初の
見積もりよりも減額修正される可能性が高いのではないかと考えております。

 例えば、電力需給もそうでした。3月23日付け日本経済新聞の1面トップは「夏
の電力不足 1500万キロワット」でした。この頃は、東電の供給能力は4500
万キロワットという話になっておりましたが、その後、5500万キロワットまで上
方修正されております。

 原発事故についてもそうです。4月25日付け日本経済新聞によると、燃料が炉心
下部に落ちて圧力容器を貫通するという「メルトダウン」は起きていないということ
ですが、3月16日付けの同紙には、「燃料棒が溶け出して圧力容器の底に落ち、さ
らに圧力容器を溶かして突き抜け、格納容器に落ちる。すると格納容器の底にたまっ
た海水に触れて水蒸気爆発を引き起こす可能性がある」と指摘されておりました。

「想定外」の大震災に見舞われた直後だけに、「もう想定外は許されない」とばかり
に、当初は、悲観的な前提に基づき、保守的な見通しになる傾向があったのではない
でしょうか。それが、時間の経過とともに、より現実的な水準及び評価に向けて修正
されるというパターンが最近目立つように思います。

 そこで、被害額についても改めて考えてみましょう。まず、国土地理院は、空中写
真などを用いて、津波による浸水範囲の判読作業を行っております。4月18日に
「津波による浸水範囲について(第5報)」が公表されました。これによると、青森、
岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県62市町村の浸水範囲面積の合計は561km2
でした。

 これは、「山手線の内側の面積63 km2の約9倍」ではあるものの、被害を受けた
6県62市町村の全面積(12382km2)の4.5%の広さになります。この62
市町村の人口を合計すると359万人です。そこで、市町村毎に、浸水面積の比率を
計算し、それを人口に乗じて、浸水地域の人口を推計してみた。市町村毎に計算した
のは、浸水面積の比率が60%超える地域から1%以下の地域までバラツキが大きい
からです。こうして計算した浸水地域の人口を合計すると26万人になります。

 ここで、GDPと人口の関係を見ておきましょう。前述の6県のGDPを合計すると57
兆円です(2007年)。これは、日本全体(520兆円)の11%です。一方、この6
県の人口を合計すると1629万人、これは日本の総人口(1億2777万人)の1
3%です。GDP比と人口比が概ね等しいとすると、浸水地域のGDPは、(26万人/
1629万人)×57兆円=1兆円になります。

 では、1兆円のGDPを産み出すのに必要な資本ストックはどの程度なのでしょうか。
日本の資本係数(資本ストック/GDP)をみますと、最近は2.4程度になっており
ます。この資本係数をそのまま使うなら、浸水地域の資本ストックは、1兆円×2.
4=2.4兆円になります。一方、政府は前述の試算のなかで、被害額16〜25兆
と推計しておりました。これは、2.4兆円という私の推計の7倍から10倍の大き
さになります。

 東日本大震災における人的被害の9割以上は津波によるものです。仮に、物的損害
にも、この比率が使えるなら、被害は浸水地域に集中していることになります。その
場合、資本ストックの毀損額は果たして16〜25兆円にも上るのでしょうか。今、
復興費用の財源として増税を考えている方々は、約20兆円の復興資金を前提に議論
が組み立てられているように思います。しかし、仮にですが、復興費用が数兆円にと
どまるなら、増税の必要性に疑問符が付くのではないでしょうか。今や、財源論だけ
が独り歩きしている印象もありますが、財源論の前に復興資金の正確な見積もりを出
すべきだと思います。1ヶ月前の推計値と同じというのは解せません。

 さて、OECDの対日審査報告書ですが、最近では1年半に一度の頻度で公表され
ております。今、私の手許に、2009年版のOECD対日経済審査報告書の冊子が
ありますが、その「監訳者まえがき」によると、「本報告書のわが国マスコミでの注
目のされ方は、かなり寂しいのが現状である。こうした現実の前に、本報告書の翻訳
は過去において二度も挫折してきた。2001年にOECD東京センターの尽力で、
再開された翻訳は6回継続し、2006年までの報告書の翻訳を刊行したが、200
8年の報告書は翻訳をだすことができなかった。今回(2009年度版)、OECD
東京センターと明石書店のご配慮で、再度翻訳を刊行することができるようになった
ことは、我々翻訳者一同にとって大きな喜びである」とありました。

 その意味では、2011年版が翻訳されるかどうかは興味深いところです。それで
肝心の「消費税率を20%相当まで引き上げることが求められる」という箇所ですが、
債務残高比率の安定には、3%の基礎的財政収支の黒字が必要で、そのためには、現
在に比べて15%程度、消費税を引き上げなければならないという話になっておりま
す。このように財政再建を急がなければ、長期金利が急騰して手遅れになる。だから
「増税はできる限り早く始められるべきである」と。

 デフレよりも財政再建の優先度が高く、日本国債はバブルであると思うならば、こ
のOECDの提言に従えば良いのではないでしょうか。私は、財政再建よりもデフレ
脱却が重要で、日本国債もバブルだとは考えていないので、OECDの提言に従って、
すぐに増税しなければならないとは思いません。


                 JPモルガン証券日本株ストラテジスト:北野一

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