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今年前半はマイナス成長の見通し=白川  財源含む震災復興ビジョンは5〜7月に=枝野
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/587.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 23 日 12:35:29: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jp.wsj.com/Economy/Global-Economy/node_226894【インタビュー】今年前半はマイナス成長の見通し=白川日銀総裁

2011年 4月 23日 6:58 JST 
 【東京】日銀の白川方明総裁は、東日本大震災後の日本経済について、今年上半期のマイナス成長を見込む民間予測と同様な見方を示した上、景気が一段と悪化する場合には措置を講じると明言した。
白川日銀総裁 Getty Images

白川日銀総裁

 白川総裁はウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信との22日のインタビューで、「少なくとも、第1、第2四半期の国内総生産(GDP)は減少するとみている」と語った。

 中央銀行の総裁がこうした予測を示すことはまれで、白川総裁が今年第1-2四半期のマイナス成長見通しを公式に示したのは今回が初めて。こうした見方は、民間予測の大勢と一致している。

 内閣府の外郭団体である経済企画協会がまとめた4月の「ESPフォーキャスト調査」によると、今年第1四半期(1-3月期)の実質GDP成長率は43人のエコノミストの予測平均で前期比年率0.22%減、第2四半期(4-6月期)は2.83%減となった。

 白川総裁は、震災後の日本経済が直面する主要な問題はサプライチェーンへの打撃だとの見方を示した。

 総裁は「これが問題の核心だ」と表明し、「今回は、需要が蒸発したわけではない。供給が大きく抑制されているため、潜在的な需要が実現しないということだ」と続けた。さらに総裁は、こうした状況を「深刻なサプライショック」と呼んだ。

 白川総裁は、今夏に予想される電力不足も生産面での混乱の長期化につながる可能性があると指摘した。

 東日本大震災とそれに伴う津波で東北地方の生産拠点が打撃を受け、自動車から電子機器に至る様々な製品の全国的なサプライチェーン(供給体制)に支障が出ているほか、被災した福島第1原子力発電所の事故で、電力不足が生じている。

 白川総裁は、7月か8月には電力不足が再び悪化する可能性がある、として、サプライチェーンの問題は少なくとも8月まで続く、との見方を示した。

 同総裁は今月上旬には、供給不足が6月か7月に軽減されることを期待すると述べていた。

 日銀は今月28日に開く金融政策決定会合で経済見通しについて協議するとともに、年2回の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を発表する予定で、これには実質GDPの数値予測が含まれる見込み。

 また、白川総裁は、景気見通しの後退を踏まえ、経済状況が悪化する場合には、日銀は一段の緩和措置を講じる用意がある、とした。

 東日本大震災の3日後、日銀は、マインド面の悪化をめぐる懸念を鎮めるため、リスクの高い資産の買い入れを中心に資産買入額を倍増し10兆円とすることを決めた。

 白川総裁は、「これは、所期の効果を発揮したと思う」と表明し、これらの策が今後数カ月間にどのように効果を及ぼすかを注視している、と述べた。

 日銀は過去には、長期にわたるデフレへの対応が効果を発揮していないとして、内外で厳しく批判されてきた。しかし、今回は必要な対策を講じているとする一定の評価が聞かれる。

 JPモルガン・チェースの首席エコノミスト、ブルース・カスマン氏(ニューヨーク在勤)は、「日本の金融システムが新たな軟調源とならないことを確実にするために必要な策を講じた」との見方を示した。

 カスマン氏は、過去20年のデフレ対策が十分ではなかった可能性を指摘しながらも、現在の日銀が景気の腰折れ回避に向けて一層の策を講じる必要があるかどうかの判断は時期尚早だと述べた。

 カスマン氏は、「流動性という観点から適切な措置が取られた。日銀の追加措置が必要かどうかを判断するには、日本経済がどのような軌道にあるかを見極める必要がある」と続けた。

 企業や家計の資金需要の大幅増に対する銀行の対応能力をめぐって懸念が強まるなか、日銀は資産購入計画の拡大に加え、金融市場に豊富な流動性を供給している。

 日銀による積極的な資金供給の結果、金融機関の手元資金量を示す日銀当座預金額は3月下旬に42兆円超に達した。これは2000年代初期の日銀による量的緩和政策時に記録したこれまでの過去最高額36兆円を大幅に上回る。

 日銀は今回の震災で打撃を受けた被災地の金融機関を対象に、復興支援のための総額1兆円の低利融資制度を創設することを決め、さらに、資金供給を行う際に金融機関から受け取る担保の条件を緩和することも検討し始めている。

 しかし、日本経済に関する不確実性が高いことから、アナリストの多くは日銀が最終的には追加緩和策を取らざるを得なくなるとみている。

 経済協力開発機構(OECD)は今週、日本の経済見通しが悪化する場合には日銀が国債の買い入れ増額などを含む広範な量的緩和措置を導入するなどの一段の措置を取る必要があろう、との見解を示した。

 日銀は現在、市場への資金供給の一環として、月額1兆8000億円規模の長期国債の買い入れを行っている。

 日銀の長期国債保有残高を日銀券発行残高以下に収める「銀行券ルール」の縛りがあるが、日銀の最新データによると、まだ20兆円規模の買い入れ余地が残っている。

記者: MEGUMI FUJIKAWA And TATSUO ITO

財源含む震災復興ビジョンは5〜7月に=枝野官房長官

2011年 4月 22日 18:03 JST
 
 枝野官房長官は22日、ウォール・ストリート・ジャーナル/ダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、東日本大震災の復興計画とその財源について、5月から7月にかけての時期に概要を示す考えを明らかにした。
枝野官房長官 AFP/Getty Images

枝野官房長官(21日)

 同長官は、復興のビジョンと政府支出に必要な財源は同じ時期にはっきりしてくるとし、概要を示す時期は「5月、6月、7月という段階だと思う」と述べた。財源については、「復興目的税は選択肢として十分あり得る」とし、「その場合の税目が消費税なのかそれ以外の税目なのか、国民的な議論が必要」と指摘した。

 復興の財源については、予算の組み替えや増税のほか、「震災国債」の発行など、さまざまな議論が持ち上がっている。経済協力開発機構(OECD)は21日に発表した日本経済に関する提言をまとめた年次報告書で、「歳出の組み替えや、国民の連帯感に訴えかけ、歳入の短期的な増加による復興に向けた支出を賄うことが重要」だと指摘した上で、中期的には財政健全化への取り組みを継続すべきとしている。

 枝野長官はインタビューの中で、「震災によって一時的に歳出が膨らむのはやむを得ないと思っているが、中長期的な目で見れば歳出に対するしっかりとした改革を同時に進めていくことで、将来の消費税率についてもいろいろな選択肢を取り得る状況を作らなければならない」と語った。

 同長官はまた、東京電力に対する政府支援の枠組みについては、来週ぐらいには方向性を出したいと語った。
 

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コメント
 
01. 2011年4月23日 16:28:01: cqRnZH2CUM
小島明のWebコラム
http://www.jcer.or.jp/column/kojima/index280.html
4月21日 サプライショック−需要刺激よりボトルネック対策を

 原発事故を伴った大震災で企業も家計のマインドも萎縮気味だが、いま重要なのは総需要刺激策ではない。被災地の復興のための大規模支出は不可欠だが、経済全体でみるとこれからの問題は電力不足が長期化するなかで生産活動において発生しているボトルネックをいかに緩和するかである。

 BNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎氏は大震災直後から、この電力不足によるボトルネック問題に注目していた。それは電力不足が長期化するとの判断からだ。事故のあった福島原発による直接的な影響を受ける関東圏においては電力不足が経済活動を大きく制約するボトルネックとなっているし、対応次第でその状況が長期化し経済全体の供給制約も長期化しかねない。

 まず、東京電力による当初の“無計画な計画停電”が企業の生産活動に深刻な打撃を与えた現実を直視する必要がある。停電の実施をする前に、各産業・企業から生産活動への影響や在庫の状況、自家発電能力などを聞いていたら、被害は軽減できたはずである。原子力による発電は福島以外の地域にある多くの発電所は点検中だし、点検が終わっても簡単には再稼動できないかもしれない。これから大規模な復興需要が動き出すと、関西地区での電力供給にゆとりがなくなるかもしれない。それによって企業の生産活動が抑制されれば、資材、製品の価格上昇を生む。復興のための大規模な需要は確実に生まれる。そのとき電力不足による生産ボトルネックが生ずると、復興活動そのものも制約される。

 そうした状況で重要なのは被災地の復興のための需要は別として、経済全体の需要刺激ではなく、供給不足対策である。マクロ的に、10余年にわたって続いた需要不足の状況は変わった。不足なのは供給のほうである。

 だとすると、いかにボトルネックを軽減し供給を確保するかが課題となる。ボトルネックを緩和するには電力不足を緩和しなければならない。短期間で発電能力を大幅に高めることはできないから、まずは電力の消費節約が必要になる。ただ、産業の電力消費は長期にわたってほとんど増えておらず、消費が増えているのはもっぱら家庭においてであることに注目する必要がある。家庭での電力消費をいかに抑制するかが課題である。それには電力料金の引き上げではなく、「復興支援のための電力消費税」のようなものを導入してはどうか。電力料金引き上げで電力会社の収入支援をするのではなく、あくまで被災地復興のために一人ひとりが協力する協力税である。

 原子力による発電に制約があり、火力発電依存が高まるだろうから発電用以外の石油消費も抑制したい。それには高速道路の料金をむしろ引き上げるとか、化石燃料全般へ課税するという手もある。

 復興財源を確保するにも、復興需要が本格的に動き出すまでに、電力不足によるボトルネックをいかに緩和するかという視点が肝要ではないか。一部で議論されだした消費税を復興財源確保のために時限つきで引き上げ、期限がきたら増税分を社会保障のための財源に切り替えるというのも一つの発想だろう。

 確かに、企業家マインド、消費者心理は冷え込んでいる。これには過剰な自粛ムードもある。だがボトルネックで生産活動が落ち込んだことがいっそう響いている。後者は需要刺激策ではなく、ボトルネック緩和策がなければ回復しない。

 大震災を境にして日本経済のマクロ環境が需要不足から供給不足に転換したことを再確認したい。

(日本経済研究センター研究顧問)


02. 2011年4月23日 17:14:22: cqRnZH2CUM
思ったほど、復興需要は強くない可能性がある
いずれにせよ増税は早まらない方がいいか
http://www.sumitomotrust.co.jp/RES/research/PDF2/721.pdf
住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
東日本大震災の発生で、企業の銀行借入に対する需要が高まっているという見方がある。しかし、経済活動の下振れに伴って実際に必要な運転資金・設備投資資金は減少すると見られる上に、リーマンショックの時と異なって直接金融市場での混乱が深刻化しているわけでもないことから、銀行借入への需要の高まりは一部、あるいは一時的なものに留まるだろう。
1.震災前の銀行借入需要 〜 企業部門の資金余剰反映して借入需要は弱い状態
震災前の国内企業部門は、フローとしての資金余剰幅(キャッシュフローから設備・土地・在庫の実物投資額を引いた分)を拡大させていた。リーマンショック後に企業収益とともにキャッシュフローは減少したが、実物投資がそれ以上に減少したために資金余剰の度合いが強まったのである(図1)。このため、2009年度後半からは銀行借入をはじめとする企業の資金調達が減少に転じている。リーマンショックが発生した2008年度に、国際金融市場の混乱に直面した企業が念のための手許資金を確保するために銀行借入を増やした反動で、2009年度内の銀行借入減少幅は特に大きくなったが、その反動が出る期間が終わった後の2010年に入ってからも銀行借入の減少が続いている。少なくとも震災前までは、企業部門が資金余剰の状態にあり、そのために銀行借入への需要は弱い状態が続いていた(図2)。
-30-20-100102030T2008UVWT2009UVWT2010UVWCP事業債公的金融機関借入民間金融機関借入有利子負債合計図2民間非金融法人企業の有利子負債(前年同期差、兆円)(資料)日本銀行「資金循環統計」
05101520253050607080901000203040506070809資金余剰額(a-b、目盛右)キャッシュフロー(a)実物投資合計(b)(兆円)(兆円)図1企業のキャッシュフローと投資の推移(資料)内閣府「国民経済計算」(年度)
当部の標準的な経済見通しに基づいて2010年度以降の企業部門資金余剰額を試算すると、2010年度は2009年度と同程度の大幅な資金余剰となり、2012年度まで10兆円前後の資金余剰が続くという結果が得られた(次頁図3)。資金余剰額と有
1
住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
利子負債の間には、前者が拡大すれば後者が減るというある程度安定した関係があり、有利子負債が増加に転じるには、少なくとも資金余剰額が10兆円を下回ることが必要であるというのが過去の経験則である(図4)。これを踏まえると向こう1〜2年は銀行貸出減少が続くと見られる、というのが震災前の姿であった。 -30 -20 -100 10 20 30 40 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 (有利子負債増減、兆円)(企業部門の資金余剰、兆円)図4企業部門の資金余剰幅と有利子負債増減の関係(1990〜2009年度のデータ)(資料)内閣府「国民経済計算」
10.2
2.震災による銀行借入需要増加の持続性
一部報道では、今回の東日本大震災発生を受けて銀行への借入需要が増えているとされる。この先、企業の銀行借入需要はどのように推移するだろうか。
今回の震災で、日本経済の活動水準は大幅な下振れを余儀なくされた。2011年度に入ってからの日本経済の見通しは、前月の調査月報「東北地方太平洋沖地震が日本経済に与える影響について」で述べた通り、国内サプライチェーン寸断や関東圏における電力供給不足という供給制約要因などでしばらく低迷を続けた後、2011年度後半から回復していくというのをメインシナリオにしている。この経済環境を前提として、今後の銀行借入需要がどのように推移するかを検討していく。
震災によって発生する借入需要の種類としては、@資金回収の遅れなどに伴う必要運転資金増加、A毀損した設備の復旧資金、B金融市場混乱による直接金融ルートの機能喪失を受けた銀行借入へのシフト、C念の為の資金確保−が挙げられよう。以下では、それぞれについて見ていくこととする。
@資金回収遅れや在庫増による必要運転資金増加
経済活動の下振れによって売上が減少し、意図せざる在庫積み上がりが起これば、その分運転資金が必要となり、銀行貸出への需要が高まることになる。ではマクロ的な視点から見て、過去に経済活動が下振れ始めた時の運転資金需要は、どう推移したのだろうか。 0.3
4 .7
2.9
16 .9
1 7.2
1 2.8
9.7
7.7
0
5
10
15
20
05 06 07 08 09 10 11 12 13
(兆円) 3 企業部門の資金余剰額試算値
試算

(資料)内閣府「国民経済計算」 (年度)
2
住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
そこで景気後退局面入り直後の必要運転資金額を、法人企業統計季報のデータ(売掛債権・受取手形+棚卸資産−支払債務・手形)から計算したのが図5である。これによると、97〜98年の金融危機発生の時とITバブル崩壊期には、下振れショックが発生した直後は若干増加しているが、2〜3四半期後にはいずれも明確な減少基調となっている。景気に下押し圧力がかかった直後は、資金回収の遅れや意図せざる在庫の積み上がりによって必要運転資金が一時的に増加するものの、しばらく時間が経てば減少した売上高に見合う水準まで縮小していくのが通常のパターンであることがわかる。リーマンショックの時は直後から必要運転資金が減少に転じている。この要因としては、リーマンショックの際の生産減少ペースが過去の後退局面よりも圧倒的に速いなど景気悪化の波及スピードが速かったために急激な在庫削減が行われたことが大きいと見られる。
82 84 86 88 90 92 94 96 98 100 102 012345山一ショック後(基準時=97/4Q)ITバブル崩壊後(基準時=00/4Q)リーマンショック後(基準時=08/3Q)図5マクロデータによる景気後退期の必要運転資金の動き(基準時=100)(基準時からの経過期間、四半期)(資料)財務省「法人企業統計季報」(注)必要運転資金=売掛債権・受取手形+棚卸資産−買掛債務・支払手形
70 75 80 85 90 95 100 105 012345山一ショック後ITバブル崩壊後リーマンショック後(参考)景気後退期の鉱工業生産の動き(基準時=100)(基準時からの経過期間、四半期)(資料)経済産業省「生産・出荷・在庫統計」
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住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
今回の震災による生産下振れの要因としては、過去の生産減少の主因であった需要減退よりも電力不足など供給制約の方が大きい。このため全体としては、需要の読み誤りによる在庫の積み上がりは起こりにくく、逆に減少する可能性の方が高い。これを前提とすると、必要運転資金の水準とともに、運転資金のための借入需要も減っていくと考えるのが妥当であろう。逆に資金回収の遅れなどで一時的に必要運転資金が増加することがあったとしても、その状態は長続きせず、半年ほど経過すれば売上とともに必要運転資金、および銀行借入需要も弱まっていくと見る。
A毀損した設備の復旧資金 〜 被災地以外の設備投資下振れで相殺
震災で毀損した設備の復旧に必要な資金について、内閣府の試算によると、今回の震災による民間企業設備毀損額は9〜16兆円(設備全体の0.75〜1.25%前後)となっている。阪神大震災時の兵庫県における設備投資額の推移を見ると、震災後2〜3年に亘ってこの復旧が行われたと見られる(図6)。毀損した設備が全て復旧されるという前提で、この経験則を今回に当てはめると、2011年度以降3〜5兆円の復旧投資が行われる計算になる。
2.5 3.0 3.5 4.0 9495969798(兆円)図6阪神大震災後の兵庫県における名目設備投資額(資料)内閣府「県民経済計算」
震災
(年度)
この復旧投資が必要な企業において、銀行借入への需要が発生するケースは多いだろう。しかし、震災による経済活動水準の下振れや、先行きの不確実性が高まったことで被災地以外の設備投資が相当程度減るために、設備投資全体では下振れる可能性が高いと見ている(当部は経済見通しにおける2011年度の名目設備投資伸び率予想値を、震災前の+4.6%から震災後▲0.2%に下方修正した)。毀損した設備が完全に元の水準まで復旧されるとは限らないことも踏まえると、設備復旧のための銀行借入需要は個別企業レベルでは出るものの、企業部門全体として「資金余剰のため借入需要は出にくい」という状態を脱するほどの規模には至らないと考えるのが妥当であろう。
B直接金融から銀行借入へのシフト 〜 金融市場が特段混乱しておらず期待薄
リーマンショック直後に銀行貸出が大幅に増えたのは、直接金融ルートの機能低
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住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
下による間接金融へのシフトが最大の要因であった。これは、当時の銀行貸出増加幅拡大の殆どが、直接金融による資金調達割合が相対的に高い大企業向けによるものであったことからも窺える(図7)。
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 TUVWTUVWTUVWTUVW2007200820092010中堅中小企業向け大企業向け銀行貸出合計図7銀行貸出伸び率と貸出先規模別寄与度の推移(前年同期比、%)(資料)日本銀行「貸出先別貸出金」
0501001502002503003502007年2008年2009年2010年2011年AAA格AA格A格BBB格図8社債スプレッドの推移(JCR、5年)(bp)(資料)Bloomberg(注)それぞれの格付の社債利回りと5年国債利回りの差。
リーマンショック時は、CP・社債市場の機能が著しく低下し、これがCP発行レートと社債スプレッド(社債と国債利回りの格差)の急上昇に現れたが、今回は東京電力と関係のないA格・BBB格のスプレッドがリーマンショック時を大きく下回る落ち着いた水準を維持していることに加えて、CP発行金利にも殆ど変化はないため(図8、次頁図9)、直接金融市場の機能は低下していないと判断するのが妥当であろう。4月下旬現在、一般事業会社による普通社債の発行は止まっているが、今後は徐々に復活していくと見る。既に日銀が包括的金融緩和政策の枠組みにおいてCP・社債の買入れという異例の枠組みを設定しており、今後何らかの異常事態が
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住友信託銀行 調査月報 2011 年 5 月号 経済の動き〜震災発生後の銀行借入需要をどう見るか
発生すれば更なる買入れ枠拡大余地があることも踏まえると、電力業界など一部を除いて、リーマンショックの時と同じような規模で直接金融から間接金融へのシフトが起こるとは考えにくい。
図9 CP発行残高と発行レートの推移
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 -40.0-30.0-20.0-10.00.010.020.01234567891011121234567891020082009CP発行残高(銀行引受分)平均発行金利(3か月、目盛右)(前年同月比、%)@リーマンショック前後(資料)日本銀行(%)0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 -40.0-30.0-20.0-10.00.010.020.012345678910111212320102011CP発行残高(電力除一般事業会社)平均発行金利(3か月、目盛右)(前年同月比、%)A今回局面(資料)株式会社証券保管振替機構ホームページ掲載データより住友信託銀行調査部作成(%)
C「念のため資金を確保しておく」ための借入需要
この先、企業が先行きの不透明感によって念の為に資金を積み増す動きが強まるか否かは、原発問題の帰趨など不確定要素に左右される部分が大きいため、現時点では予測が難しい。但し、現時点で直接金融市場には特段の混乱が起きていないこと、そしてこの先の日本経済が徐々に震災前の状態に戻っていくことを前提とするならば、先行きへの不透明感の高まりに伴う予備的な資金積増しの動きは徐々に弱まっていくと考えるのが自然であろう。既に民間企業部門の保有している預金残高が過去最高水準にあることも踏まえると、今後企業が念のために確保する資金を更に増やすために、銀行借入を積み増していく可能性はゼロではないものの、かなり低いと考えている(図10)。
160 170 180 190 200

3.まとめ
以上見てきたような材料を踏まえると、震災後に高まったとされる国内企業の銀行借入への需要は、一部の企業で発生しているケースはあるものの、その範囲はさほど広くなく、企業部門全体で実際に必要な運転資金・設備投資資金は減っていると考えられる。また、実際に必要となる資金以外に、念の為に手許資金を確保する目的で銀行借入を増やした企業もあるが、リーマンショックの時と異なって直接金融市場の混乱が特段見られないことから、緊急時に備えるための借入は一時的なものに留まり、この先徐々に弱まっていくだろう。経済活動が震災前の水準に戻っていくにつれて、銀行借入に対する需要も「企業部門の資金余剰、銀行貸出の伸び悩み(市場全体で資金余剰の状態)」という震災前の状態に戻っていくと予想している。
(花田:hanadah@sumitomotrust.co.jp)


03. 2011年4月25日 13:35:54: cqRnZH2CUM
日経ビジネス オンライントップ>企業・経営>時事深層
“震災緩和”が歓迎される理由

2011年4月25日 月曜日


被災地では、復興を妨げる様々な規制があぶり出されている。行政は一時的特例措置として規制緩和に動くが、期間は限定。規制緩和を起爆剤にするくらいの復興プランが求められる。

 東日本大震災の爪痕はあまりにも大きく、復興の道も険しい。復興にかかる費用の財源について、政府は「復興税」の導入など増税も含めた検討を進めている。しかし、財政的なバックアップだけでは早期の復興は難しい。復興を妨げる様々な法規制の緩和・撤廃を求める声が高まっている。

 「過去の遺産が大事だという思いはあるが、今生きている人とどちらが大切なのか。その折り合いは実に難しい」(宮城県企画総務課)。宮城県は4月8日に210項目にわたる「東日本大震災に対処するための特別立法等を求める要望書」を菅直人首相宛に出した。要望書の中には、国庫支出金交付の要請のほか、規制緩和を求める要望が並ぶ。

 例えば、文部科学省に要請した「特別名勝松島の現状変更の弾力的な運用」では、丘陵部への建物の新築許可を求めた。景観を守る目的で、文化財保護法が規制している現状の変更について緩和を要求したわけだ。

 被災者からは津波の被害を受けた海岸沿いに住みたくないという要望が出ている。だが、その要望を聞こうにも、松島保存管理計画によって一部の高台などのエリアで新築が認められていない。

 文化庁では現在、「被災状況を実地で確認し、今後の対策を練っている状況」(文化庁文化財部記念物課名勝部門文化財調査官の中島義晴氏)という。

復興妨げる規制の山

 経済活動の復興においても、数多くの規制が立ちはだかる。

 今回の震災では、津波によって多くの企業の工場が致命的な被害を受けた。新たな用地を確保して工場の建て直しを模索している企業も少なくない。しかし現行の法制度では土地利用には工業用、商業用など厳しい用途規制がある。

 村井嘉浩・宮城県知事は「規制を緩和して柔軟な土地開発ができるようにしないと、工場建設の用地を確保できないだろう」と指摘する。

 東北地方の主要産業である農業や水産業の復興にも規制の壁が立ちふさがっている。

 両産業の復興を進めるには、民間企業の力を生かすことが不可欠だ。村井・宮城県知事は、「農業法人の設立や水産業の集約による株式会社化などにも厳しい規制がある。民間の活力を得るためにも、政府は速やかにこうした規制の緩和・撤廃を進めてほしい」とも訴える。

 もちろん、政府も一部では規制を緩和している。例えば、震災発生後に相次いで特例措置を連発する厚生労働省は4月18日までに、省内の関係部署や自治体に対して300を超える通知を出した。被災地での外国人医師による医療行為を認めたり、病院間での医薬品や医療機器の融通を認めたりした。

 ただし、これらはあくまでも期間限定の措置。病院間での医薬品などの融通に関する措置を担当する厚生労働省医薬食品局総務課の藤岡俊太郎技官は、「今回の規制緩和は現地の要望を受けた一時的なもの。具体的な期間を区切っていないが、医療環境が正常に戻れば当然、元に戻す」と言う。

 だが、復興に向けた一時的な「特別措置」として政府が進めている規制の緩和・撤廃は果たして、短期的な措置にとどまっていいものか。被災地を元の状態に戻すことだけではなく、その中長期的な復興を見据えた場合、規制の恒久的な緩和は十分に起爆剤になり得る。今ほど、政治主導の真価が問われている場面もない。
このコラムについて
時事深層

日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。


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