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一見優しそうなのに、部下に冷酷で無関心!最もやりづらい氷河期上司のドライな生態
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/622.html
投稿者 sci 日時 2011 年 4 月 27 日 11:26:32: 6WQSToHgoAVCQ
 

少ないサンプルで判断するのは早計だし、世代差よりも個人差が大きいが、
確かに優秀な氷河期は、他世代よりも厳しい競争のせいか、きちんとしている一方ドライな人間が多いかもしれない。
いずれにせよ若い世代ほど少数派で都市に集中しているから、日本の民主主義社会の中では搾取されていくことになるだろう
http://diamond.jp/articles/-/12068
バブルさんとゆとりちゃん【第22回】 2011年4月27日 梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]
一見優しそうなのに、部下に冷酷で無関心!最もやりづらい氷河期上司のドライな生態
周囲から見て「困った人」とレッテルを貼られやすいバブル世代の“バブルさん”、ゆと り世代の“ゆとりちゃん”。当連載では、そんな2つの世代を対象に、就職氷河期世代の“氷河期くん”(またはその他の世代)が会社の人間関係をどううまく 対処すべきなのかを研究していく。親愛なるバブルさん、ゆとりちゃん、どうか温かい目で見守って欲しい。そして同志である氷河期くんには、ぜひ考え方の合 わない上司&部下に対処するときに、参考にしていただきたい。
毎回バブル世代、ゆとり世代に登場いただいているが、本日は番外編として、同世代である氷河 期くん、小山さん(30歳、男性、広告会社勤務)にご登場いただいた。小山さんとは学生時代からの付き合いであるが、私たちの仲間内で最も所得が高く貯蓄 が多く、そして7年付き合った彼女と紆余曲折の末、今年結婚予定(と言うことはつまり、日本人的な価値観として最も成功しているということだ)、趣味は ジャズ鑑賞からアウトドアまで幅広く、友だちや部下の面倒見も良い。
そんな一見死角がないように見える小山さんに話を聞くことにした今回だが、実は裏テーマとして“氷河期上司のドライさ”が隠されている。バブルさんよりタチが悪いかもしれないこの世代の上司の攻略の難しさを、同世代として包み隠さず表現したいと思う。

<今回の氷河期くん>小山裕介さん(仮名)年齢:31歳(1980年生まれ)業種:広告代理店勤務職種:ディレクション&法務関係出身地:東京都(多摩地区)、現在の居住地:世田谷区婚姻:独身、今年9月に結婚予定最終学歴:大卒(法学部)
年収1350万円の氷河期上司の20人の部下をうまく動かす意外な方法
――月に一回ぐらいお会いしている小山さんに改めていろいろ聞くのは変な感じなんですが、まずは現在の職場環境を教えてください。
 某広告代理店で働いています。職種は、各種クリエイティブの制作管理と、法務関係のもろもろを行っています。現在の広告はメディアミックスと言い ますか、例えばポスターとCMとネット広告やステルスマーケティング(※)etc.……といった様々なものをどう分散させるか、と言った複合的な視点が必 要なので、そのあたりのことを専門にやっています。法務については、もともと映画の配給会社に入社したかったので、海外映画の使用権などを勉強するために 法律を学んでおりまして、それが縁でコンテンツ全般の法務も司っています。一度、スキルアップのために通信キャリア某社に転職した以外は、9年間この会社 で仕事を続けています。
(※)広告じゃない宣伝行為の総称。タレントブロガーがある商品を急に良いと褒めだしたり、テレビのワイドショーで今コレが話題、と銘打っているものには要注意。
次のページ>>身を粉にして働いてもらう年収の内訳
――精力的に働いていますよね。給与も高いみたいで、羨ましいなぁ。これ、匿名なんで現在の年収教えてくださいよ。
 かなり変動が多いのですが。会社からの所得は額面で年収1100万円。副業で友だちのプログラマーと共同でアプリ制作を行っていて、この収入が 200万円。それから株式投資を行っていて、これは買ったり負けたりなんですが、平均すると年間50万〜60万円ぐらいの利益は出していると思います。
――……と、言うことは年収1350万円! すごい! ご飯代奢ってください(笑)
 いつも奢ってるじゃないですか(笑)。でも、身を粉にして働いていますし、今の給与に不満はないですが、もらいすぎているとも思いません。僕から すれば、もっと入社時期の早い人とか、大きな声では言えないですが、うちの会社にも天下り入社っぽい人が居るんですが、そういう人のほうが何の仕事もせず に大金もらっていて羨ましいですよ。
――うーん。でも、私なんか身を粉にして働いてもあなたの半分ももらえていないですから……。暗くなるのでお金の話はこれぐらいにしまして、次は仕事環境の話をしましょう。小山さんの部署には何人の人が働いていますか?
 僕が管轄している部下は総勢で20人ぐらいです。ただ、プロジェクトごとに不定期で来るスタッフも居るので、おおむねプラスマイナス5人ぐらいでしょうか。
――部下の数は多いですね。1日の仕事は?
 あまり大きな声では言えないですが、特別な用事がなければ昼過ぎ(13時ごろ)に出社します。ただそれ以前に自宅でメールチェックとか各種の用事 を済ましてきますが。業務内容は守秘義務上あまり細かくは語れないのですが、7割ぐらいがクライアントへの報告業務です。残り3割は法務の仕事。まあ、そ の2つの業務は重なるところもあるんですが。帰るのは終電ぐらいですので、労働時間は9時間〜10時間ですかね。ただ、クライアントとの面会が多いので、 会社に居るのは2〜3時間といったところです。
――労働時間的には人並みと言ったところですかね。たくさん部下が居るようですが扱いづらい部下とか居ませんか?
 まず前提として、あまり管理しようと思ってないんですよ。全部追い切れないのが正直なところですが。できるだけ社員個人に任せるようにします。その方が社員個人の責任感も育ちますし。
次のページ>>バブル上司ともゆとり部下ともすれ違う氷河期上司の本音
――それは良いですね。ただ、20人も居れば管理が必要な社員も居るんじゃないの?
 このチームは私が面接をして選んだスタッフなので、問題のある社員は居ません。……と、言いたいところですが、やはり難しい部下は居ますよ。そう 言う社員は……簡単に言えば、比較的有能な社員とペアを組ませるようにしています。意地でも管理しない。怒ることも嫌だし、同じ事を何回も言うのも嫌なん です。
――でも、それだけでうまくいくとは思わないんだけど。
 まあ、ぶっちゃけますと、有能ではない社員にはできるだけ単純労働に近いものを頼むことにしています。極論を言えば、20人のうち1人がまったく仕事をしていなくても、部署全体の成績的には問題ないんですよ。
――それで、社員は文句を言ったりくさったりしないですか?
 先ほど言ったように、私は会社にほとんど居ないんです。居るとしてもほとんど個室で対応していますので、連絡はメールベースで行っています。だか ら、あまり文句を言われることはありません。部下同士で悪口を言い合っていることはあるかもしれないですが。でも、そうやって不満を持っている社員は辞め ていきますからね。
――自分で面接した社員が辞めるときは心が痛んだりしないですか?
 まあ、今の若者は無理に押しつけてもダメな結果になることが多いですからね。仕事に向かなければ次の道を模索した方がその人のためにも良いと思いますよ。
バブル上司ともゆとり部下ともすれ違う氷河期上司の本音
――小山さんの意見はもっともだと思うんです。ただ、ドライな考え方ですよね。
 ドライですよね。自分でも冷たいと思います。反感を買うと知りつつ、あえて言いますけど、社員を仲間だと思っていない。自分の仕事を成し遂げる道具のような存在。会社に人情なんていらないんですよ。
――小山さんはいかにも氷河期くんらしい、ニュータイプの上司だと思う。バブルさん上司も部下 をあまり叱らない気がするし、手柄を横取りしているイメージもあるけど、でも人間味がある気がする。それに比べると、あなたはかなり冷たいと思うな。とこ ろで、社員と飲みには行く?
次のページ>>浮かばれない世代・氷河期くんはゆとりちゃんと徒党を組むべきだ
 行きません。自分が新入社員のときに、部署の飲み会なんて何の生産性もないと思っていましたから。しかも会社の飲み会は経費じゃないですか。社員 は疲れるし、会社もお金を持ち出すことになるし。だから一切やめたんです。上司からは経費削減で褒められ、部下からは他の部署より居心地が良いと言って褒 められ、喜ぶ人ばかりですよ。
――確かに無駄な飲み会はなければないに越したことはないけど、ただ、先ほどからの小山さんの 発言って、とても個人主義的だし、もっと言えば小泉構造改革的な割り切りというイメージがあるんです。新自由主義っぽい。バブルさんはもう少し中道左派的 というか。大きな政府、大きな飲み会と言うか。このニュアンス伝わります?
 言わんとしていることは分かります。まあ、会社に静かな革命をもたらしているタイプだと思います。
――そこが他の世代からすると厄介なのかもしれません。ゆとり世代も平和主義で、共同体的な生 き方を選んでいると思うんです。つまり、僕らだけが異端であると。もちろん、僕らの世代には引きこもりも多いけど、うまく会社内で管理職にスライドして重 要な任務を任された氷河期くん上司は、得てして競争原理主義的な一面がある。
 そうですね。仕事に対しては、正常な競争が行われることを常に望んでいますよね。部下に対しては、確かに不干渉なところがあるから、一見優しい気がするけど、本当は冷酷な部分があると。特に氷河期世代のなかでも後期、僕らのような若い世代はドライな人が多いですよね。
――今まで上司世代はバブルさんより上の世代が多かったけど、今後は氷河期上司が増えるわけでしょう。そうすると、これからの新入社員はこの氷河期世代とうまくやっていかなきゃいけない。バブルさん上司も大変かもしれないけど、氷河期上司はもっと大変ですね。
浮かばれない世代・氷河期くんはゆとりちゃんと徒党を組むべきだ
――ちょっと話を変えて、どうして氷河期世代は他の世代に比べてリアリストになったのかをもう少し詰めてみましょうか。
 僕は持論があって、もちろん就職が困難であったこともあると思うんですが、それに加え、僕らは持ち家を買わなくなった世代なんですよ。それに都会に住む人は車も買わなくなった。これがリアリストの元凶だと思う。
 僕らの親の世代は30年といった長い住宅ローンをかけて、郊外にちまちました住宅を購入した世代ですよね。で、バブルがはじけて価格が下がって、 長いローンだけが残った。それを見て失敗だと思ったのが僕ら。どうせ家なんて賃貸で良い、あるいは多少利便性の高いマンションを買おうという発想が、リア リストだと思いませんか?
次のページ>>良い時代を知らない氷河期くんとゆとりちゃんの不幸
――なるほど。これは新論ですね。じゃあ、一軒家を買おうという気持ちが高まれば良いんですかね?
 いや、そうしたらまた住宅価値が不当に高くなっちゃうじゃないですか。せっかく住宅の価格が下がってきているのに。
――そっか。あと、バブル世代が多感な時期にバブルの影響を大きく受けたことが多少なりとも人 格形成に関わっているように、思春期に体験したことが大きいと言うのはあるんですよ。僕らは不景気な時期だったから、まあ現実的にならざるを得ないわけ で。そういう意味では、今のゆとりちゃんも、不景気だし震災も来るし、かなり逆境の世代ですよね。
 でも、本当に日本は不景気なんですかね。就職してからこっち、ずっと日本はダメだ、と言われ続けてきましたけど、いまも僕らは普通に働いている し、それなりに生活している。政府の文句は皆言うけど、中東のように革命を起こそうという勢力は生まれてこない。変な世の中ですね。
――確かに、良い時期を知らないから、今が良いのか悪いのかもよく分からない。
 でも、今はなんだかんだで不景気でも生命の危機に及ぶ問題ではないけど、老後のことを考えると不安ですね。僕らの世代は、ゆとりちゃんとともに年金問題についてもっと権利を主張しましょう。Facebookで革命を起こしますか。
――日本の政府の可愛そうなところは、革命なんか起きなくても、あっさり選挙で政権が倒れることですよね。でも、細かくリーダーが変わるから政治家がプロ化しないのかも。ところで氷河期世代の人が首相をやったらどうなるでしょうね。
 ひょっとしたら借金は減るかもしれないけど、人口が多い団塊の世代あたりから不平不満が出て、民意の結果、結局政権が倒れてしまいますよ。
――氷河期くんもゆとりちゃんも、数の上では弱いんだよね。やっぱりこの世代は浮かばれないのか…。
<今回のまとめ>・ジェネレーションギャップを抱える職場では、「管理をしない」と言う管理方法もあるのかも?・部下にとって、本当にやりづらい上司は氷河期上司かもしれない。
質問1 あなたの上司は何世代?
59.1%
バブル世代
30.3%
団塊の世代
6.1%
氷河期世代
3%
それ以外の世代
1.5%
その他
ゆとり世代
 

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コメント
 
01. 2011年4月28日 08:09:47: cqRnZH2CUM
日経ビジネス オンライントップ>企業・経営>「気鋭の論点」

グーグル社員が仕事が楽しいワケを経済学で考える
成功報酬の「歪み効果」は“社員に愛される会社”で解決

2011年4月28日 木曜日


 セールスマンの報酬や賞与を業績にリンクさせるなど、成果主義的な「アメと鞭」の原理はビジネスの世界では日常的である。働く動機を与える為には当たり前と思われているが、最近、経済学の分野でその「常識」に対して相反する研究結果が出て話題になっている。後述するが実は「社員は必ず20%は業務外のことをしなければならない」というグーグルの20%ルールや成果主義の背後にも、これら経済学の最新の知見が生かされているのである。

 まず、経済学のトップ学術誌で紹介された3つの実験結果を紹介しよう。発表された当時、大変話題になったものだ。

成功報酬が効く時、効かない時

実験1
 自動車のフロントガラスを設置する作業で、時間当りの固定給を変更し、設置したガラス1枚当りの成功報酬にしたところ、労働者の努力レベルが上がっただけでなく、より能力の高い労働者を雇用でき、全体の生産性が44%上がった。

実験2
 IQ(知能指数)テストに成功報酬を導入し、1問正解につき成功報酬ゼロの場合、少額の場合と高額の場合を比較した。正解率が一番高かったのはゼロ、次いで高額報酬であり、なぜか少額報酬の成績が一番悪かった。また別の実験で、ボランティアの募金運動でも成功報酬ゼロの時が一番集まった募金の金額が多く、少額成功報酬での努力レベルが一番低かった。

実験3
 成功報酬が少額、中間レベル、非常に高額(平均月給レベル)という3つのケースを設定し、創造的思考能力・記憶・運動技能を試す6つのゲームをさせた。少額と中間レベルでは成績に有為な差が見られなかったが、高額報酬では成績が目立って低かった。

 実験1はエドワード・ラジア教授によるものだ。経済学で言う典型的なプリンシパル・エージェントモデルの結果が当てはまる。

 ここでは、仕事を依頼する人をプリンシパル、依頼される人をエージェントと呼ぶ。フロントガラスを同じ時間内に多数設置すれば収入が上がるので、従業員(エージェント)は以前より頑張って仕事をした。成功報酬の努力効果が得られたわけだ。この努力効果が通常私達が考える「アメと鞭の原理」だが、これに加えて能力の高い労働者を雇用することができるという効果もあった。

能力の高い人が引き寄せられる成功報酬制度

 すなわち成功報酬制度では能力の高い労働者は高収入を期待できるが、能力の低い人にとっては見込める収入がわずかで魅力的な仕事ではない。従って、成功報酬の仕組みを適切に設定して、その内容をあらかじめ知らせておく事で、能力の高い人だけが雇用を求めるようになったのだ。これを成功報酬のスクリーニング(ふるい分け)効果と呼ぼう。

 実験2のケースは、成功報酬の有無がもたらす結果の差を研究したものだ。成功報酬がない場合は、IQテストをちゃんと受けようとか、あるいは困っている人を助けたいなどという内面的価値・モチベーションでエージェントが行動した。ところが成功報酬をもらえるとなるとつい金銭的報酬に目が行き、その結果努力に向けた内面的モチベーションは、「正しい事をするため」から「金銭的な報酬のため」になってしまった。つまり内面的モチベーションが消されてしまったのだ。

 少額報酬ではこの失われた内面的価値・モチベーションの分を相殺しきれず、エージェントの努力のレベルが下がった。このように金銭的成功報酬が内面的モチベーションを下げてしまう現象を「モチベーション・クラウディングアウト(締め出し)効果」という。成功報酬で会社のために頑張ろうと思うやる気のある社員の気持ちをかえって損なうので、これはビジネスに取っては大きな問題だ。

 そして、成功報酬の最も深刻なマイナス点と考えられているのが実験3に出てくる緊張効果と歪み効果だ。

深刻なのは「緊張効果」と「歪み効果」

 これは『予想通どおりに不合理』(早川書房)の著者としても知られる行動経済学者ダン・アリエリー教授による実験結果である。高額の成功報酬がむしろ逆効果になるケースだ。

 最初の問題は、高額成功報酬の「緊張効果」である。簡単なゲームをするだけで1カ月分のお給料がもらえるので緊張、つまりあがってしまう。ゴルフや野球等のスポーツでもここぞという時に実力を発揮できない事があるのと同じだ。高額のボーナスがもらえたり、自分の昇進がかかったりしているプロジェクトなどについて人は一生懸命頑張るが、緊張のあまり必ずしも成果につながらないというのは、誰でも身に覚えがあるだろう。

 また緊張効果とは別に、成功報酬はエージェントの意識を良くも悪くも特定の目的に集中させる。業績評価の対象になるものだけに目が向いて全体像が見えなくなり、総合的な判断や創造的な問題解決ができなくなってしまう。仕事の成功報酬がもらえる一部の側面(売り上げ、費用削減、時間など)だけに目が向き、他の面がおろそかになるため、仕事のやり方や意識にゆがみが出る。これが成功報酬の「歪み効果」だ。

 この歪み効果は問題ある行動につながりかねない。労働時間が評価指標だと、意図的にだらだらと仕事をしたり、必要がないのに残業をしたりすることが起きる。また、今期の営業成績が評価指標だと、売り上げだけに気を取られて食品の産地や賞味期限を書き換えてしまうなどということも起きる。昇進も含めた成功報酬があまりにも狭い領域・業績評価指標に限定されている(と思われている)ためにこういったことが起きる。インセンティブの問題だけでなく、不正にもつながりかねない。

創造性が必要な業務に成功報酬は難しい

 歪み効果の点から特に成功報酬が最も難しいとされるのが研究開発活動だ。研究開発活動ではあらかじめ仕事の範囲・目標や目標達成期限などを決められるものではなく、研究者の自由な発想が必要だ。成功報酬では研究者の努力に対して総括的に報いる事はできず、どうしても歪み効果が出る。高額になればなるほど歪み効果は大きくなり、創造性を必要とする仕事であればあるほど成功報酬が逆効果になりやすい。

 こうした経済学の研究結果が話題を呼び、成功報酬が大変盛んな米国のビジネス界でもその難しさが注目されるようになった。研究開発など創造性を必要とする業務が企業の生命を握っていることから、とりわけ「歪み効果」が注目されている。

 歪み効果の解決方法として有力視されているのは 成功報酬を廃止、あるいは業績評価基準を極端に広く曖昧に変更すると同時に、従業員の内面的モチベーションを培うことである。

 社員に愛される会社にする事で、この会社のためになら頑張ろうという意識を持ってもらうのだ。有能な社員を集めるには十分な固定給を給付するのも重要だが、それだけではなく社員として誇りを持てるように労働環境を整えたり社会貢献を社員とともに取り組んだりするなど、それぞれの会社のやり方で対応している。有名なのはグーグルのケースだ。

 グーグルのエンジニアには「20%タイムルール」というのがあり、20%の時間は会社側から指示されたプロジェクトとはまるっきり関係のない自分の好きな研究をしなければならない。むしろ、会社側から指示されたプロジェクトに関連する研究はしてはいけないほどだ。社員の自主性に任せる事で部署を超えた協力体制が築かれ、Gメールやグーグルニュース など数多くのユニークな商品が20%ルールから生まれたとされている。20%ルールは、研究開発業務での「歪み効果」と「モチベーション・クラウディングアウト効果」に対する対策から生まれたアプローチだ。

 これと正反対に見えるのがROWE (=Results-Only Work Environment) 、つまり完全結果主義の職場環境だ。ROWEは結果さえ出せばよく、それ以外はまるっきり拘束のない労働環境だ。世界最大の家電量販店、米ベスト・バイ(BestBuy)は2002年頃から部門ごとにROWEを開始し、2006年に本社部門の大半についてはほぼ完全に移行した。

 社員の居心地を考え抜いた本社ビルがあるのだが、いつどこで仕事をするかはまるっきり社員の自由である。

「アメと鞭」には限界がある

 出社する必要もなければ、強制的に参加しなければならない会議もない。上司の御機嫌取りも皆無。成功報酬のため「歪み効果」は回避できないものの、その代わり成功報酬のスクリーニング効果の活用と、本来のやる気が削がれてしまうモチベーション・クラウディングアウト効果に対する対策に重点を置いている。

 社員の自由を確保する事により内面的モチベーションを上げ、社員の士気を高めると共に離職率の大幅低減も実現した。優秀な人材のみ集めて能力のない社員には辞めてもらおうという作戦である。ROWEを採用しているのはBest Buy だけでない。米IBM では40%の社員が、米AT&Tでは3分の1のマネジャーが、所属する特定のオフィスなしに働いている。

 米サン・マイクロシステムズでは約半分の社員が好きな場所で仕事をして良い事になっているが、これは雇用とモチベーションに関する問題解決に貢献しているだけでなく、不動産コストだけを考えても、過去5年で4億ドル(約330億円)程度の削減効果があったと推計されている。

 このようにこれまでの単純な成功報酬体制に代わり、それぞれの企業に合った独自の雇用体系が生まれつつある。私たちが日常的に使っている「アメと鞭」の考え方にも見直しが必要ではないか。教育に携わる筆者としても、気になるところだ。
このコラムについて
「気鋭の論点」

経済学の最新知識を分かりやすく解説するコラムです。執筆者は、研究の一線で活躍する気鋭の若手経済学者たち。それぞれのテーマの中には一見難しい理論に見えるものもありますが、私たちの仕事や暮らしを考える上で役立つ身近なテーマもたくさんあります。意外なところに経済学が生かされていることも分かるはずです。

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著者プロフィール

大野 由夏(おおの・ゆうか)

大野 由夏北海道大学経済学研究科准教授。1993年米ワシントン大学から経済学博士号取得(Ph.D.)、オレゴン州立大学、ライス大学で教鞭をとる。4大会計事務所の移転価格エコノミストを経て2010年から現職。研究分野は国際貿易論・産業組織論。ゲーム論を用いて貿易政策が企業の研究活動に与える影響などを分析している。


02. 2011年4月28日 08:10:36: cqRnZH2CUM
日経ビジネス オンライントップ>企業・経営>河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
「オレってただ乗り?」 震災で広まった“不要不急”症候群
それってやっぱり社内失業なの?

2011年4月28日 木曜日


 あれは確か、1年くらい前の話だったと思う。

 オーストラリアの投資銀行に勤める男性社員が、テレビ生中継のインタビューに答えていた時のこと。彼の後ろの席で熱心にパソコンに向かって仕事を“している”、ほかの男性社員の姿が画面に映り込んでいたのだが……、よくよく見てみると、何とそのパソコンのモニターに映っていたのは、女性のセミヌードのグラビアだったのである。

 しかも、その男性は中継の途中でテレビに映っていることに気づいた。振り返って「ヤバイ!」と大慌てした姿まで、電波に乗ってしまったのだ。

 当然ながらテレビ局には苦情の電話が殺到し、会社側でも大問題になった。グラビア画像に夢中だったこの男性が、中級レベルのクライアント投資マネージャーという、そこそこのご身分だっただけに、会社側も困惑を隠せなかったという。

 当時、このニュースを見た友人のS子は、「仕事中にエッチ画像を見てるなんて、最低!」と憤った。

 それに対し、その場にいたM男は「エッチ画像かどうかは別として、何か必死にパソコンに向かってると思ったら、ネットショッピングしてたり、同窓会の連絡してるなんて人はざらにいるでしょ」と反論した。

 「だって会社ってアクセスできない画面とか、結構厳しく管理してるんじゃないの?」と私が聞くと、M男は次のような仕事を“している”ように見えるだけの社員の実態を教えてくれた。

 「それは大きな会社の話。うちみたいな中小はそこまでやってない。だいたい会社の中って、何やってるんだか分からない人が多いからね。会議だって、最近はやたらと時間厳守だから、プレゼンターじゃない限り、何も言わないで終わるなんてざら。考えているフリして昼飯に何を食おうかなんて考えてるヤツ、結構いると思うよ。昔の会議ってダラダラやってた分、必ず全員意見を言わされたから、もっと緊張感があった」

 確かに、大部屋で顔をつき合わせていた昔と違い、パソコンと向き合うのが典型的な仕事スタイルとなった現代では、仕事を“している”のか、“している”ように見えるだけなのかを見分けるのは難しい。

 眠くてボーっとパソコンの画面を見つめているのも、脳みそフル回転させて見つめているのも他人からは区別がつかない。忙しいように見える人が実はヒマしてエッチな画像を見ていることもあれば、頭を悩ませて働いているように見える人が実は好みの写真を必死に探しているだけの場合だってある。

 その逆に、部下と無駄話ばかりしたり、席におらずにフラフラして、ヒマそうに見える上司の行動が、実は重要で意味のある仕事だったりもする。
3月11日以降に変わってしまった仕事や職場の風景

 フリーライダー、ただ乗り、粘土層――。

 このコラムでも扱ってきたテーマではあるが、これらはすべてその人に対して周りが抱く主観的な印象でしかなかった。

 裏を返せば、その人の本当の仕事の価値や、その人の仕事ぶりというのは、他人からは判断のつきにくいものなのだ。

 ところが、3月11日以降、事情が少々変わってきた。

 「あれ? オレって、ひょっとしてただ乗りだったのか?」

 自分の仕事の価値に、自分の存在価値に、こう疑問を感じてしまった人たちがいる。

 「不要不急の仕事、つまり、重要でも急ぎでもない仕事の場合、会社に来なくていい」と、会社から自宅待機の指示を受けて、「オレの仕事は不要不急なのか」とショックを受けたというのだ。

 自分は重要な仕事をやっていると思い込んでいたが、どうやらそうでもない“らしい”。

 「不要不急」という、これまでめったに使われることのなかった言葉がきっかけとなり、それまで自分が信じていた価値観がガラガラと音を立てて崩れ去った。

 職場の風景、人間関係、そして自分の存在価値。さまざまなものが一変してしまったのだ。

 そこで今回は、「不要不急」の仕事について、考えてみようと思う。

 「それまで社内失業とか、自分とは全く関係ないと思っていました。それなりに忙しかったし、それなりに責任ある仕事を任されているって思っていましたから。でも、震災直後に自宅待機の指示が出されて、上司からも『必要がない限りは来ないように』と言われました」

 「社内会議は当然ながら中止になった。社外の方との打ち合わせも、何が何でも今やらなきゃってもんじゃなかったんで延期。ほかにもあれこれやらなきゃいけないことがあると思ってたんですけど、改めて精査すると、別に今やらなくても困らないだろうってことのオンパレードで。スケジュール帳に書き込まれていた仕事は、すべて不要不急だったんです」

 「要するに、オレの仕事はすべて、重要でもなければ、急ぎでもなかった。これまで忙しいと思っていたのも幻想だったのか。ひょっとして、これは社内失業しているってことなのかって、何だかどうしようもない気分になりまして。完全に自信喪失です」

 こう話してくれたのは、中小企業に勤める43歳の男性である。

 不要不急――。震災以降、幾度となく耳にした言葉だ。

 不要不急の外出を控える、不要不急のモノを買わない、不要不急の車はご遠慮願いたい、不要不急のエネルギーを使わない……。

 おそらくこれほどまでに、不要不急という言葉を聞いたことはなかったのではないか、と思われるくらい頻繁に使われた。

 そして、多くのサラリーマンに言いわたされたのが、「不要不急の仕事の場合、自宅待機せよ」との指示だった。報道されただけでも、博報堂、電通、ソニー、富士フイルムホールディングス、鹿島、武田薬品工業、楽天、ノエビアなどなど。名だたる大企業が、続々と「自宅待機」や「出社見合わせ」を命じていた。

 ご承知の通り、その理由は、計画停電に伴う通勤困難と節電だ。

 ところが、そんな企業側の思いとは裏腹に、その通達をネガティブにとらえた社員たちがいた。
「自宅待機」なのに、気がつけば彼は会社に向かっていた

 「這ってでも来い!」と言われれば、「休ませてくれよ!」と思うのに、「休みなさい」と言われて、「はい、休みます」とは素直に思えなかった人たち。

 「忙しい〜」と悲鳴を上げている時には、「ヒマになりたい」と願っていたのに、「ヒマになった」途端、不安になった人たち。

 そして、彼らは、いや、正確には前述の彼は、「休め!」と指示されているにもかかわらず、会社に行ったそうだ。

 「ラッキー! 家でゆっくりしよう!」とは到底考えられず、「だったら、家で仕事をしよう」とSOHO気分にもなれず、気がつけば会社に向かっていた。

 いつもよりゆっくり自宅を出たし、いつもよりラフな服装だったが、「なぜだか行ってしまった」という。

 忙しい人=仕事ができる人、ヒマな人=仕事ができない人、という思い込みから、「僕、ヒマなんです」とはなかなか言えない。

 同様に、不要不急の仕事をやっている人=存在価値のない人、という図式がチラつき、素直に「行かない」選択ができなかった。重要な仕事をしていると信じていたことや、忙しいと感じていたのが、単なる思い込みだったなどとは、認めたくないという気持ちもあったのかもしれない。

 誰だって、自分の価値を、自分の存在意義を感じていたい。仕事があるだけで、自分が重要な仕事をしていると思うだけで、その欲求は満たされる。自宅待機という行為は、「自分の仕事には不要不急なものしかない」ことを認めることであり、それは社内失業していることを認めることでもあるように感じたから、家にジッとしていることができなかったのだ。

 社内失業(企業内失業)という切ない言葉は、2009年度の経済財政白書の発表以降、あちらこちらで使われるようになった。といっても、白書の中では、『雇用保蔵』という言葉が用いられ、「最適な雇用者数と実際の常用雇用者数との差」と定義されている。

 「最適な雇用者数」とは、「適正な労働生産性を平均的な労働時間で達成できる労働者数」。その文言を見たマスコミが、「これって要するに社内で失業してるってことだよね?」とばかりに使いだした。

 2005年から2007年ごろまで、雇用保蔵はほぼゼロだったが、リーマンショック以降の急速な生産活動の縮小に伴って急増する。2008年1〜3月期では、最大38万人(うち製造業は最大6万人)、2009年1〜3月期には、1980年以降で最大の607万人(同369万人)となったのである。

 これは労働人口6689万人の9%程度。「少ない」と安心できる数字ではない。しかも、雇用保蔵は会社員を対象とした数字で、労働人口には自営業者も含まれているため、現実にはもっと多い試算となる。

 「だからさ、40代以上のバブル世代が余ってるんでしょ? さっさと解雇すればいいんだよ。解雇解禁! 大賛成!」

 「いやいや、20代とか30代の方が社内失業してるらしいよ。40代上司が教育しないから結局使い物にならなくて、いつまでたっても仕事を任せられないんだってさ」

 この数字を見た人たちは、それぞれの立場で、それぞれが見える景色によって、声高に叫び始めた。

 どの意見も、そうなのかもしれないね、と思う反面、私には“社内失業”という状態が、いまひとつよく分からない。

 このご時世、会社に全く必要のない人をのんきに囲っておくような企業はめったにないだろうし、“平均的な労働時間”という文言も、少しばかり気にかかる。

 もし、全く仕事がない状態を“社内失業”と呼ぶのであれば、それは明らかに肩たたきで、社内だけの騒ぎではなくなるはずだ。

 だとすると、社内失業とは、やるべき仕事は一応あるにはあるが、
・仕事の量が圧倒的に少ない
・仕事の質が圧倒的に低い
 といったいずれかの状態で、“平均”を下回ることを言うのだろうか。

 それでもやっぱり分からない。だいたい平均的に忙しい人、すなわち、「そこそこ忙しい人」などいるのだろうか。これまでそんな“うらやましい人”には、お目にかかったことがないように思う。「ものすごく忙しい人」か、「メチャクチャヒマ」か、どちらかしかいないと思うのだ。

 例えば、テレビやラジオの現場でも、いくつもの番組を任されている人もいれば、1つか2つしか任されていない人もいる。前者の人は、猛烈に忙しそうだし、後者の人はタレントや関係者と毎晩飲み歩いていたりする。

 しかしながら、1つか2つしか番組を持っていない人が、必要ない人だとは限らない。そういう人がいるおかげで、いくつもの番組が続いていたり、出演者が気持ちよく仕事をできたりすることだってあるのだ。
「やる気があっても同じようには…」と語った企業のトップ

 以前、ただ乗り社員に関して企業のトップの方たちと意見交換した時にも、ある方が興味深いことを言っていたことがある。

 「やる気もない、仕事をしない社員というのは、いらない社員です。それは単なる給料泥棒であり、まさしくただ乗り社員です。でも、だからといって、やる気があれば、同じように仕事を割り振ることができるかというと、そんなことはないんです」

 「10の仕事があったとしましょう。10人の社員で公平に分配して1つずつ仕事をやるのと、2人の社員がそれぞれ3つずつやって、残った4つの仕事を8人でやるのとでは、どっちが効率的だと思いますか。一見、10人で1つずつやった方がいいと思うかもしれませんけど、現実には後者が効率的な場合の方が多いんです」

 「つまり、組織というのは、さまざまな個性の持ち主の集まりです。仕事が多くできる人もいれば、少ない仕事しかできない人もいる。『残りの8人は0.5の仕事しかしていないんだから、少なくとも4人はいらない』なんてことはない。8人とも全員が必要なんです」

 「仕事がたくさんできる人にだって限界がある。仕事のペースが遅かったり、不器用でパフォーマンスが低かったりする社員だっています。組織っていうのは、縦のヒエラルキーがあるように、横でもそれぞれ役目がある。そのあんばいをうまく見積もっていかないと、組織が壊れていく。うまく見積もることができれば、組織もうまく回っていくんです」

 つまり、仕事の量が少なかろうと、仕事の質が低かろうと、自分がやるべき仕事があれば、それは「会社にとって必要な人」であることに変わりはないというわけだ。

 不要不急の仕事であっても、それが仕事として存在する以上、それは「今すぐには必要ないし、今は重要ではない仕事」でも、将来的には、「必要な仕事」なのだろう。不要不急だろうと、はたまた他人よりも任されている仕事が少なかろうと、目の前に仕事がある限り、会社にとってはしっかりやってもらわないと困る大切な仕事なのだ。

 だから、「僕の仕事は不要不急なのか」などと落ち込むことも、「僕は存在価値がないのか」などと心配しなくてもいい。

 「僕の仕事は今すぐにどうしても必要だという重要性の高いものではありませんが、決して必要のないものじゃない。せっかく自宅待機していいと言われたのだから、じっくり会社じゃできないことをやりますよ。世間じゃ僕みたいな人を、ヒマ人とか、社内失業してるとか言うんでしょうね。アッハハ。手を抜いて永遠に不要にならないように、今は力を充電しておきます!」と胸を張れば、それでいいのだ。

 そもそも不要不急じゃない仕事って、何なのだろうか?

 「今、すぐにやらなくてはならない、重要な仕事」、すなわち、衣食住に直結する「今それがないと生きていけない」仕事が、不要不急であるとすれば、いったいどれほどそんな仕事が、世の中にあるのだろうか? いったいどれだけの人が、そんな仕事に就いているのだろうか?

 多分、おそらくきっと、ほとんどの仕事は不要不急で、ほとんどの人は不要不急の仕事をやっているのではないかと、私は思っている。

 例えば客室乗務員(CA)の仕事だって、政府の要請などによる緊急時のフライトでない限り、不要不急だし、お天気キャスターの仕事だって、台風でも来ない限り、不要不急だ。講演会も、授業も、書籍の執筆も、はたまたこのコラムも、不要不急以外の何物でもない。

 いずれの仕事も、「その時間に、自分が、その場所に行かなくていけない仕事、時間通りに終わらせなくてはいけない仕事」ではある。だが、それが「不要不急か」と聞かれれば、答えはノーだ。

 ただ、だからといって全く必要のないものではなく、今すぐに必要でなくとも、後々に必要なものだったり、急ぎではないけどとても大切なことだったり。不要不急な仕事とは、それがなくとも最悪生きていくことだけはできる、というレベルだと思うのだ。

 つまり、世の中、不要不急の仕事だらけ。世間は、不要不急の仕事にかかわっている人だらけ。忙しそうに動き回っている人の仕事だって、不要不急の仕事の山なのかもしれないのだ。強いて言えば、救急救命医くらいしか、常に急ぎで重要な仕事などないのかもしれない、などと思ったりもする。
本当に“不要な仕事”を作るのは自分自身

 ただし、忘れてはならないことが1つだけある。

 それは本当に不要なものは次第に淘汰される、ということだ。

 「どうせオレの仕事は、たいして重要な仕事じゃない」という思いで働いていると、その仕事は本当に「重要でない仕事」に成り下がる。

 「どうせオレはたいした仕事も任されない、存在価値のないヤツだ」と思って働いていると、本当に存在価値のない人になってしまうことがある。

 東日本大震災は、さまざまな形で、「あなたがそこにいる意味」を問いかけた。

 「自分に何ができるか?」「自分にできることは何か?」と、誰もが自分が「ここにいる意味」をまさしく自問した。

 自分のいる意味を問うのはしんどい作業だ。仕事の場合はなおさらだろう。だが、もし「オレの仕事って不要不急なのか」と疑問を感じてしまったのなら、今こそ、目の前の仕事に正面から向き合い、それに価値を持たせられるような働き方をすることだ。意味を見いだすのではなく、意味を問い続ける。その方が重要なのではないだろうか。

 それができない人は、それほど遠くない将来、残念ながら存在価値を失い、それができない人が「いらない」と烙印を押されてしまうことだろう。

 そうならないために、今、何をすればいいか? 不要不急のうちにじっくり考えて取り組んでおいた方がいい。忙しがる前にヒマを大切にし、不要不急の仕事に、自分自身が価値を見いだす。それがデキル人は、社内失業などすることもないだろう。
このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

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著者プロフィール

河合 薫(かわい・かおる)

河合 薫博士(Ph.D.、保健学)・東京大学客員研究員・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『を使えない上司はいらない!』(PHP新書604)


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