(回答先: 整形された米国経済　　金の高騰は妥当か？　Economist 投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 07 日 11:08:30)

銀価格の急落は買いの好機
マーケットウォッチ

2011年 5月 7日 14:08 JST　

　【ジュピター（フロリダ州）】銀相場が突然急落した。最近の売りの広がりで銀価格は高値から一気に20%下落したが、おそらくまだ下げ止まってはいないだろう。
銀塊

Reuters

　では、銀相場はどこまで下落するのか。筆者が注目する材料を下記で検証する。

売り材料

　シカゴ・マーカンタイル取引所（ＣＭＥ）は、銀先物の証拠金率を2週間で4回引き上げた。証拠金率は価格の上昇局面で引き上げる必要があるが、2週間で4回もの引き上げは、銀をショートしている大手銀行がどんな手を使ってでも価格高騰を食い止めようとしているという一部の主張を裏付けるかのような動きである。

　銀価格が心理的節目である50ドルを突破できなかったことも、悪材料の１つだろう。ホットマネー（投機資金）はすでに別の投資先に流れ込んでいる。そのために、上昇局面には必ず見られる調整が起こる。

　そして、単純な利益確定売りもある。多くの投資家がまだ価格が低い時期に銀を買ったため、利益確定の動きが出ている。ジョージ・ソロス氏のファンドなどの大手ファンドは、間違いなく利益確定売りを出しており、筆者自身、そう読者に勧めたこともある。利益を確定することは全く悪いことではない。ソロス氏の銀売却が報じられたことは、金銀相場に響いた。

買い材料

　しかしこれらの短期的な売り材料と並んで、長期的な買い材料もある。

　銀の産業用需要は非常に強い。世界の銀供給量のおよそ75％は、化学試薬や宝飾品、太陽光パネル、プラズマテレビなど様々な製品に使用されている。国際通貨基金（IMF）による最新予想では、世界経済が今年4.5%成長すると見込まれており、銀の需要も間違いなく増加すると思われる。

　また、もう一つの材料として、下落の止まらない米ドル相場が挙げられる。最近ユーロに対して2009年12月以来の安値をつけ、米ドル指数は今年に入ってからすでに7.5%低下。これは、為替の動きとしては非常に大幅な下落だ。金やその他のコモディティと同様に、銀価格はドル建てで価格が設定されるため、これらは通常ドルと反対の動きをする。誰かは必ず痛い目に遭うため、筆者はこれを「痛みのシーソー」と呼ぶ。

　また、銀の需給はタイトな状況にある。銀の加工需要が昨年12.8%増加したのに対して、鉱山生産量は2.5%しか伸びなかった。英貴金属調査会社のゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ（GFMS）によると、鉱山からの供給が銀の全供給量の70%を占めるという。鉱山で生産される銀の3分の2は他の金属の副産物のため、採掘量を増やすのは容易ではない。今年は供給量も増加する見込みだが、需要の伸びに追いつくのは難しいだろう。

　根本的に、最近は調整局面にある金銀相場も、長期的な強気ムードは変わらない。それがなくなるまで、価格の下落や調整は買いの好機と言える。

「チャイナ・シンドローム」

　銀の強気相場は中国やその他新興市場で見られる需要シフトの一面を表している。中国は以前、銀を世界に多く供給していたが、今では輸入する側になった。中国で拡大する中間層は、アメリカ人のようにより多くの食品、車、洋服、貴金属品、テレビなどの電化製品を欲しがっており、同国は銀だけに限らずあらゆるコモディティを輸入している。

　そしてそれは中国にとどまらない。ゴールドマン・サックスによれば、世界中で毎年7千万人が新たに中間層となっている。20年後には主に新興市場で中間層が20億人増えることになり、これらの国の多くは文化的に金銀を好む。

　そのため、バブル相場に今調整が見られても、銀の本当の上昇はこれから始まるのかもしれない。だからと言って、価格下落があり得ないわけではない。もし米ドルが上昇すれば、銀価格は低下するかもしれないし、もし世界経済の成長がとん挫すれば（石油価格の高止まりのため可能性はある）、相場に影響が出ることも考えられる。

　13億の中国人と10億のインド人が銀を買う機会を狙っているようななか、強い需要にもかかわらず銀をショートしたいのであれば、幸運を祈る。おそらく運が必要になるだろう。

　筆者自身は、調整が収束するのを見計らって、また銀を買う予定だ。金価格が最近の高騰を50%押し戻せば、買いのタイミングだろうし、iシェアーズ・シルバー・トラストやシルバー・ウィートンなど銀関連の株式を再度手にする良い機会だろう。

　幸運と良い取引を。

（筆者のショーン・ブロドリック氏は「アンコモン・ウィズダム・デイリー」の天然資源アナリストで「クライシス・プロフィット・ハンター」の編集者。また、『The Ultimate Suburban Survivalist Guide』の著者） 　

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