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米3月貿易赤字、大幅拡大=原油高による輸入増で  でもドルは強い
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投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 12 日 22:03:23: 6WQSToHgoAVCQ
 

貿易赤字にもかかわらず、ドルも円も強い
暫く、リスク回避は続きそうだ


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米3月貿易赤字、大幅拡大=原油高による輸入増で
2011/05/12 (木) 21:43

−Q1・GDP伸び率、小幅上方改定か−

【2011年5月12日(木)】 − 米商務省が11日発表した3月の米貿易・サービス赤字は、輸入と輸出がともに対前月比で増加に転じたが、輸入の伸びが輸出の伸びより大きかったため、前月比6.2%増の482億ドルと、前月(2月)の同3.4%減から拡大に転じ9カ月ぶりの高水準となった。

 輸出は、ドル安を背景に前月比4.7%増の1727億ドルと、1994年3月以来17年ぶりの大幅増となり、輸出金額も過去最高を記録した。しかし、輸入は原油高と原油輸入量の急増とドル安による輸入物価の上昇で、同4.9%増の2208億ドルと、輸出の増加ペースを上回った。

 市場では3月の貿易・サービス赤字は前月比4.1%増の477億ドルと予想していたが、それを大幅に上回っている。原油を除いた貿易・サービス赤字は反対に前月比9.1%減の298億ドルと、赤字幅は縮小しており、いかに、原油の影響が大きいかが分かる。

 商務省が4月28日に発表した2011年第1四半期(1-3月)実質GDP伸び率(季節調整済み、前期比年率換算)の速報値は+1.8%だったが、このときの外需(財とサービス)である純輸出(輸出額−輸入額)のGDP寄与度は−0.08%ポイント(前期は+3.27%ポイント)だった。

 しかし、今回の3月の貿易統計では、1‐3月の3カ月移動平均の赤字幅は469億ドルとなっており、1‐3月期GDPの月平均476億ドル(名目値)をやや下回っている。また、3月の輸出額(1727億ドル)はGDP統計の月平均1667億ドルを上回り強い伸びとなったことから、今月26日に発表される同四半期のGDP改定値は+1.9%に小幅上方改定されると見られている。

■対中赤字、前月比4%減

 また、国・地域別の貿易赤字(季節調整前)では、米国の貿易赤字の大半を占め、米国の赤字拡大の元凶とされている対中赤字は対米輸入が前月比4%減の181億ドルとなったが、前年比は7%増と、依然、高水準となっている。

 一方、中国政府が10日発表した4月の貿易収支は輸出の伸び(前年比29.9%増)が輸入の伸び(同21.8%増)を上回ったため、全世界に対する黒字幅は前年同月の約7倍増の114億ドルに拡大したが、対米黒字は前年比52%増の151億ドルに急拡大している。

 オバマ政権は1月19日の胡錦濤国家主席との首脳会談で中国側が人民元の一層の切り上げを約束したことから、中国が人民元の為替レートを操縦しているかどうかの判定を再び見送ったが、中国の4月の貿易統計が2カ月連続で黒字となり、急拡大したことから、米国の政府や議会、産業界からの人民元の一段の切り上げ問題が再燃する可能性が強まる見通しだ。

 こうした中、今月10日に中国・北京で2日間にわたって第3回「米中戦略・経済対話」が開かれたが、ティモシー・ガイトナー財務長官は人民元の対ドルレートの早期切り上げを改めて要請したものの、進展は見られていない。

 中国政府は昨年6月のカナダ・トロントのG20サミット (主要20カ国・地域首脳会議)開催直前の6月19日に、人民元の一段の上昇を容認すると発表したが、それ以降、人民元の対ドルレートはわずか5%しか上昇していない。また、同長官はドル以外の主要通貨に対しても人民元の上昇を促しているが、貿易加重平均で見ると、人民元は逆に下落しているありさまだ。

 これに対し、アメリカ製造業同盟(AAM)は依然、人民元は対ドルで40%も低すぎるとして、人民元の為替レートを操縦していると認定を遅らせる戦略は効果を発揮していないと批判。また、数百万人もの米国の労働者や企業は、国の支援を受けている中国の輸出企業との競争にさらされており、現在のオバマ政権の対中政策は生ぬるいとし、議会に対しても、人民元の一段の切り上げを促すために対中経済制裁法案を早期に成立させるよう求めているのが実情だ。

 一方、中国側は米国の対中赤字が高水準になっているのは、米国の貿易政策に問題があるとし、ハイテク技術の対中輸出規制や中国企業の対米投資を阻んでいる障壁を取り除くよう主張して、両者は真っ向から対立している。

■貿易赤字、拡大傾向=GDPマイナス要因

 3月の貿易・サービス赤字の過去3カ月の移動平均は469億ドルだが、これは2月までの過去3カ月の同442億ドルから6.1%も拡大。また、1月までの過去3カ月の同418億ドルからでは12%も拡大している。

 また、3月までの貿易赤字は、年率換算では5623億ドルとなる。これは2010年の通年の貿易赤字4957億ドルを13.4%も上回っている。2010年だけでも2009年の3749億ドルを32.2%も上回り、2000年以来10年ぶりの高水準となって、2010年のGDP伸び率を0.5%ポイント押し下げたと見られているだけに、今年のGDP伸び率にはマイナス要因となる見通し。

 ただ、エコノミストは今年の貿易赤字は昨年とほぼ同じ規模になると楽観的に見ている。それでも、リビアの内戦状況が長期化するなど中東・北アフリカ情勢次第では、原油価格の高止まりや、一段高となる可能性もあり、その場合、米国の貿易赤字が拡大の一途をたどる可能性も否定できない。

■東日本巨大地震・津波の影響、見られず=4月以降か

 今回注目されたのは3月11日に発生した東日本太平洋沖地震とその後の巨大津波で東電の福島第1原発が甚大な損傷を受けたのを始め、東北地方の製造業向け部品工場に被害が及んだことで、日本からの対米輸出の減少が懸念されたが、日本からの対米輸出は前月比9.4%増となっており、対日赤字はむしろ、前月比15%増の61億ドルに拡大している。

 これは、日本の製造業はかなりの在庫を抱えているため、対米輸出はスムーズに進んだと見られている。このため、在庫が減少する4月か5月には米国の貿易統計に対日赤字の縮小が現れると見られている。

 また、今回の3月の貿易統計を財とサービスに分けて見ると、財の赤字幅は前月比30億ドル拡大したのに対し、サービスの黒字幅は3億ドル拡大した。これは、つまり、財とサービスを合わせた全体の貿易赤字は前月比27億ドルの拡大なので、ほぼ財だけの赤字と見ることができる。

 その財の赤字については、輸入の増加ペースが輸出の増加ペースを上回ったため、拡大に転じたが、輸入の大幅増加の要因は原油輸入の急増によるものだ。

 2月は原油価格が上昇しているにもかかわらず、輸入量が減少したため、原油輸入は前月比34億ドルも落ち込んだが、減少は一時的で、3月以降の統計では、中東・北アフリカ情勢の悪化で原油価格が急騰していることから、増加に戻ると見られていたが、それを裏付けた格好となっている。

■輸入、4.9%増=原油急増とドル安で

 3月の全体の輸入は前月比4.9%増の2208億ドルと、前月の同1.9%減の2104億ドルから2カ月ぶりに増加に転じた。

 また、サービスを除いた財だけの輸入も同5.7%増の1870億ドルと、増加に転じた。これは、原油を中心に工業用サプライ(石油含む原材料)が同13.3%増)となったことが大きい。また、ドル安で輸入品の価格が上昇したことも要因となっている。インフレ調整後の実質ベースでは同3.7%増となっている。

 特に、原油輸入(季節調整前)は、同31%増の277億ドルだった。これは1バレル当たりの原油価格が前月の87.17ドルから3月は93.76ドルの高値となった上に、輸入量も同21.8%増の2億9512万バレルと、増加に転じたためだ。

 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)6月物は11日の取引で、ドル安に支えられて、前日比0.9%高の99.07ドルとなった。前日の10日は中国の5月のインフレ率が+5.3%と、伸びがやや鈍化したものの、依然高水準のため、金融引き締め観測が強まり、原油相場が5.5%急落したが、それでも依然、高水準に変わりはない。

 また、資本財のうち、自動車・同部品の輸入は前月比11%増の216億ドルとなったが、自動車を除くコアの資本財も同3.9%増の412億ドルと、増加に転じた。通信機器やコンピューター、電子機器は増加に転じたが、半導体と産業用機械が減少、企業の設備投資も低迷している。民間航空機は同33.4%増の9億5000万ドルに増加した。

 対照的に、消費財は医薬品や繊維・衣料品、家具、家電、など軒並み減少し、前月比4.5%減の420億ドルと、個人消費の低迷を示している。 

 第1四半期実質GDPでも企業の設備投資は前期比年率+1.8%と、5四半期連続の増加となったものの、前期の+7.7%の4分の1の伸びに減速している。

 また、商務省が3月29日に発表した3月の個人所得・支出統計(季節調整済み、年率換算)でも、個人消費の名目値は前月比0.6%増となったが、前月(2月)の同0.9%増から伸びが減速している。もともと、個人消費の増加もガソリン価格の上昇によるところが大きかった。ガソリン支出は同4.4%(172億ドル)増の4092億ドル(約33兆1500億円)と、前月の同7.1%(259億ドル)増に次いで高い伸びを維持している。

■輸出、4.7%増=自動車や農産物、工業用サプライが寄与

 3月の輸出はドル安が追い風となり、前月比4.7%増の1727億ドルと、2カ月ぶりに増加に転じた。FRB(米連邦準備制度理事会)の主要通貨バスケットに対するドルの価値を測るドル・インデックス(名目値)は、1月の73.1832から2月は72.2161、3月も71.0182と、ドル安が続いているが4月は69.7484と、一段とドル安が進んでいる。

 輸出の内訳は、サービスを除いた財が前月比6.1%増の1249億ドルと、前月の同2.2%減から2カ月ぶりに増加に転じた。インフレ調整後では同4.8%増となっている。

 これは、主力の自動車・自動車部品に加え、工業用サプライ(石油含む原材料)と農産物、消費財がそれぞれ大幅に増加したためだ。自動車・自動車部品は同16%増の116億ドルと、大幅に増加。自動車・同部品を除いた資本財も同2.6%増の397億ドルとなっている。

 工業用サプライ(石油含む原材料)も同6.4%増の417億ドル、農産物は同6%増の112億ドル、消費財も同5.3%増の146億ドルと、堅調となった。一方で、月によって変動が激しい民間航空機は前月比14.6%減の22億ドルだった。

 サービス輸出は前月比1.1%増の48億ドルとなっている。 (了)
 

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