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欧州がIMFを支配すべきでない理由  世界は繁栄するが、途中で深刻な問題に見舞われる
http://www.asyura2.com/11/hasan71/msg/864.html
投稿者 sci 日時 2011 年 5 月 26 日 18:49:45: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/9175
欧州がIMFを支配すべきでない理由
2011.05.26(Thu)  Financial Times 
「王は死んだ、女王万歳!」というところか。フランス人のドミニク・ストロスカーン氏が国際通貨基金(IMF)専務理事の職を辞する前の段階から、欧州諸国はその後任に同じくフランスのクリスティーヌ・ラガルド財務相を推す方向で結束し始めていた。
 候補者を広く募って選定するという過去の約束は反故にされた。欧州勢は持っているものは手放さないという原則に固執している。アンシャンレジーム(旧体制)はまだ生きているのだ。
http://www.afpbb.com/article/economy/2801378/7237690?ref=jbpress
欧州が後任に推すラガルド氏、米国が支持すれば当確
フランスのクリスティーヌ・ラガルド財務相は、有力候補だが、完璧な候補ではない〔AFPBB News〕
 ラガルド氏は、完璧に尊敬に値する候補者である。まず、同氏はフランス人だ。国際機関のトップに欧州出身者が座る場合、フランス人であることはほとんど必須条件のように思われることが少なくない。
 女性であることも間違いなく有利になる。前任者に強姦未遂の容疑がかけられているとなれば、特にそうだ。
 また、ラガルド氏は米国の有名な法律事務所ベーカー・アンド・マッケンジーの会長を務めたこともあり、英語が堪能だ。とても好感の持てる、素晴らしい人物でもある。
 しかし、ラガルド氏は完璧な候補者ではない。経済学の知識に限りがあるのだ。
 もしIMFのトップに就任したら、彼女は周囲にいる人々の助言を頼りにしなければならないだろう。そして、米国人であるジョン・リプスキー筆頭副専務理事は8月の退任が決まっているため、その後任には必ず、一級のエコノミストを当てなければならない。
 筆者はここまで、ラガルド氏がIMF専務理事の座を手にするかのような書き方をしている。まず間違いなくそうなるだろう。
 現時点で、欧州連合(EU)はまだ32%の投票権を保有しており、米国も16.7%の投票権を持っている。筆者の予想通りに米国がEU支持に回れば、欧州は、欧米諸国を頼りにしている国々の票も容易に集めることができるだろう。
ワシントンにあるIMF本部(右)と世界銀行本部(左)。IMFの専務理事は欧州出身者、世銀の総裁は米国人というのが暗黙の取り決めになっている〔AFPBB News〕
 米国が再びEUを支持する可能性があるのはなぜか? 
 理由の1つは、米国が昔取り交わした約束をまだ放り出していないことに求められる。世界銀行総裁は米国出身者の指定席にするという約束だ。
 実際、米国人は恐らく自分たちに、世銀のトップが米国人でなければ、世銀の各種プログラム(中でも無利子融資を手がける国際開発協会)のために議会から資金を引き出せる可能性はゼロに近いと言い聞かせるだろう。
 欧州の人々に公正を期するために言えば、現在の危機の過程でIMFが事実上、欧州通貨基金として台頭してきたことは、IMFの監督権を望む欧州の欲求に無理からぬ緊急性を与えている。何しろIMFは欧州の西端、東端だけでなくユーロ圏内でも起きた危機への対応において極めて重要な触媒の役割を果たしている。
 2011年4月時点で、IMFの与信残高の79.5%が欧州諸国向けで、52.9%が大陸の東部、26.6%が大陸の西部向けだった。
アジア危機に対処するためトップにアジア人を就けたか?
 これに対して欧州を批判する向きが示す反応は、厳しい糾弾だ。いわく、1990年代後半のアジア危機に対処するためには、IMFのトップはアジア人でなければならない、あるいは1980年代や1990年代の中南米の危機に対処するためには、トップが中南米の人間でなければならないと考えた人がいたか? 
 もちろん、誰もそんなことは考えなかった。ではなぜ、欧州が域内情勢をめちゃくちゃにした後始末をするのに、欧州出身者が必要なのか? 
 先進国が伝統的に繰り返してきた主張は、先進国の国民の方が相対的に有能だから、先進国出身者が国際機関を運営すべきだ、というものだ。現在の欧州の混乱はそうした言い分に対する反証だ、と批判派は指摘する。
ユーロ圏の救済は混迷を極めている〔AFPBB News〕
 筆者の見るところ、欧州の主張は批判派が認める以上に強い。ユーロ圏は極めて特別な(また、筆者の見解ではかなり危険な)建造物だ。
 IMFがギリシャやアイルランド、ポルトガルに融資する時、その他すべてのユーロ圏諸国の通貨と金融の安定に直接影響を及ぼす。これはまるで、例えばカリフォルニアを迫り来るデフォルト(債務不履行)から救うようなものだ。
 ドイツやフランスのような大国の指導者が、自分たちのためにこれほど重大な役割を担う機関の経営陣に全幅の信頼を寄せたいと思うのは、無理からぬことだと筆者は思う。
 実際、まさにこの理由から、筆者は当初、IMFはユーロ圏内の問題に一切関与すべきではなかったと考えていた。それは最終的にIMF自身の独立性を損ねることになるからだ。
偏りのない、独立した助言を得ることが欧州の利益
 欧州のこうした主張にはある程度の力があると思うが、十分ではない。これに対する反論は、IMFからの偏りのない、独立した助言を得ることが欧州の利益になる、というものだ。
 ストロスカーン氏は、欧州にこれを与えることはできなかった。ラガルド氏も独立した存在にはならない。
 だが、誰かが欧州の人々を説得し、債務再編はほぼ確実に必要であり、そうである以上、恐らくは支払い不能状態にある政府への融資を通じた間接的なやり方ではなく、むしろ直接金融システムを修復した方がいい、ということを理解させなければならない。
 結局、現在の危機によってIMFのトップに欧州出身者が就くべきだという論拠が圧倒的に強くなった、とは筆者には思えない。IMFだけでなく多国間の制度的秩序の世界的な正当性と有効性という点で、IMFの次期専務理事の選定を開かれたグローバルな仕組みに移行することの計り知れない強みを理解する必要がある。
急低下する先進国の地位
 世界経済における旧来の先進国の地位、中でも特に欧州の地位が急激に低下していることを認識しなければならない。IMF自身の統計によると、購買力平価ベースで見た場合、世界のGDP(国内総生産)に占める欧州の割合は、2000年の25%から2015年の18%に低下する。これは驚くべき急低下だ。
 EUは依然としてIMFで過剰な代表権を持っている。比重の見直しが行われた後でさえ、インドの投票権のシェアが2.62%なのに対し、オランダのシェアは1.76%もある。
 最善策は、ハイレベルの調査委員会に適任者探しを委託することだろう。また、候補者はIMFの将来について趣意書を提示すべきだ。国際通貨体制の改革をはじめ、行く手には多くの大問題が控えている。そして加盟国が是々非々で候補を選ぶべきだ。
 だが、選定に使われる基準は、実務的な資質をはるかに超えたものでなければならない。経済学に対する理解は極めて重要である。成功を収めた高位の政策立案者としての立証された政治的手腕やタフさ、経験も重要だ。
 選ばれた人は、先導するリスクを進んで取らなければならない。その点では、ストロスカーン氏は抜群に優秀だった。筆者が尊敬する人の中には、欧州出身者を排除する向きもあるが、筆者自身は排除する気はない。だが、現行勢力の大国は、このまま国際舞台を支配し続けられないということを認める時が来た。
変化の風に従わない体制は吹き飛ばされる
 もし旧来の大国が国際機関を運営し続けたら、台頭する新興国は必然的にそうした機関に完全に背を向け、自分たちが支配できる代わりの機関を創設するだろう。そうなれば世界経済の管理運営が分断されることになり、長期的に本当の意味で誰のためにもならない。
 変化の風に従わない体制は、吹き飛ばされる。欧州の人々はいつか、その真実を受け入れる必要がある。彼らは受け入れないだろうが、それは大きな間違いであることが分かるはずだ。
By Martin Wolf
 
 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/9029
悲観的なコラムニストたちの弁護
 世界は繁栄するが、途中で深刻な問題に見舞われる
2011.05.25(Wed)  Financial Times


先日、英エコノミスト誌に務めていた頃からの友人に行き合った際にこんな問いを突きつけられた。「どうして君のコラムはいつもあんなに悲観的で重苦しいんだい?」

 そんなことはない、と筆者は早速反論を開始した。ところが、『Zero-Sum Future(ゼロサムの未来)』などという、これから悪いことが起こるぞと言わんばかりのタイトルで新刊を出したじゃないかと指摘され、言葉に詰まってしまった。

 そこで否定から説明に切り替えた。
ユーロ圏の債務危機、米国の財政赤字、米中の対立・・・

 いいかい、西側諸国は今、経済と政治の深刻なトラブルに見舞われている。欧州は債務危機に陥り、単一通貨ユーロの将来と欧州連合(EU)の社会的安定性が危ぶまれている。米国は財政赤字をコントロールできないうえに、子供じみた政治や、国が衰退しつつあるという誰にでも分かる感覚に対処しなければならない。

 台頭しつつあるアジアの国々、特に中国とインドについては、確かに楽観論を唱えられる理由がまだたくさんある。しかし、政治経済の影響力が西から東に移る流れは国際的な緊張を高めている。

 米国と中国の関係はこれまでよりも明らかに敵対的になりつつある。その結果、気候変動や破綻国家、世界経済の不均衡といった重大な国際問題の解決に向けて協力していくことがさらに難しくなりつつある――。

 しかし、このように自説を語れば語るほど、筆者は不安を覚えるようになっていった。自分の短期的な悲観論はすべて的を外しているのではないか? ひょっとしたら、本当に大きなトレンドはまだしっかり上向きで、人類の将来にはさらなる繁栄と平和が待っているのではないか、などと思い始めたのだ。

 実はこの見方、この友人と同様に筆者のエコノミスト誌時代の同僚だったマット・リドレー氏が展開している説である。リドレー氏は、同誌の楽観的な教義に筆者よりもずっと忠実な人物で、最近も『The Rational Optimist(邦題:繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史)』という優れた著作を発表している。
楽観論者の見る世界

 リドレー氏によれば、歴史というものの特徴は技術の変遷にある。通信手段が発達したり貿易が盛んになったりした結果、世界の人口が常に増加する中でも生活水準は向上し続け、人々はより長く充実した人生を送れるようになっている。

 戦争や飢饉にも断続的に見舞われたが、長期的に見ればほぼすべての人々が昔よりも良い暮らしを送れている。今のメキシコ人の平均寿命は1955年当時の英国人のそれよりも長い。


 この絶え間ない進歩が実現した理由の大半は、科学技術の変化に求められる。そしてその変化を推進したのは、人類の創意と市場経済である。最悪の景気後退に陥っている時でも「どこかで誰かがソフトウエアを改良したり、新しい素材を試したり、あなたや私の生活を将来楽にしてくれる遺伝子を導入したりしている」とリドレー氏は書いている。

 気候変動が世界に災厄をもたらすとの主張に、リドレー氏は懐疑的だ。いつの時代にも技術の進歩は悲観論者たちを欺いてきた、というのがその理由の1つだ。
マルサスをはじめ悲観論者を何度も欺いてきた技術進歩

 18世紀の経済学者トーマス・マルサスは、飢饉の発生を予言したことで知られている。人口が増えているから食料がいずれ不足するというのがその根拠だった。農業革命が食料生産をいかに増加させるかは予想できなかったのである。

 リドレー氏に言わせれば、マルサスの後継者たちは同じ誤りを犯し続けている。「技術は全く変化しないという想定で予測に取り組み、悲惨な未来が待っているという結論に至るのは、よくある落とし穴だ」という。

 筆者はリドレー氏の文章を読んで、科学技術に関心を持つ政治評論家でさえも悲観論を展開しているケースが多いことに気がついた。例えば、ジョージ・オーウェルが希望の光を書くことはほとんどなかった。有名な小説『1984年』では、科学技術が個人を隷属させるのに使われる世界を予測していた。「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」というあれだ。

中東などの反政府デモでは、インターネットや携帯電話が大きな力になった〔AFPBB News〕

 しかし2011年の世界では、携帯電話やインターネットといった技術革新が個人の力を強化し、独裁者を脅かすほどになっている。科学技術楽観論者たちは、こちらの展開を予想していたはずだ。

 科学技術には世界を良い方向に変えていく力があるという考え方は、過去の経験から得た知見であると同時に、未来を信じていることの表れでもある。

 楽観論者たちは、たとえその具体的な方法を語れなくても、科学技術は昔と同じように今日の諸問題から我々を救ってくれるだろうと想定しているのだ。


 筆者がこれまでに会った科学技術楽観論者のうち、楽観度が最も高いのは恐らくビル・ゲイツ氏だろう。彼は食料供給や気候変動といった問題で世界が直面している科学的な難題の複雑さをしっかり認識していると同時に、それらはいずれ解決されると確信している。
世界大戦だって「一時的な乱れ」?

ビル・ゲイツ氏は世界が直面する問題の複雑さをしっかり理解しているが、いずれ解決されると確信している〔AFPBB News〕

 ゲイツ氏については、以前こんな話を聞いたことがある。本当かどうか怪しい面もあるが、それでも彼の見方をうまく捉えているように思える話だ。

 マイクロソフトの創業者であるゲイツ氏が、人類が20世紀に成し遂げた数々の進歩を絶賛していた。それを聞いたある人物が「じゃあ、第2次世界大戦はどうなんですか?」と異を唱えたが、ゲイツ氏はほとんど間髪入れずに「確かに、一時的な乱れは何度かあった」と答えたというのだ。

 実際、筋金入りの科学技術楽観論者にとっては、世界大戦も本当に一時的な乱れでしかない。

 リドレー氏は、「1875年から1925年までの半世紀に欧州の生活水準は想像もできなかったレベルに向上したが・・・知識人たちは没落や退廃、災厄が近づいているという不安にとりつかれていた」と書き、こうした悲観論者たちが滑稽に見えるような面白おかしい事例を数多く紹介している。

 しかし、1875年から1925年までの半世紀には第1次世界大戦があったことや、直後に大恐慌が始まっていることを思い起こせば、この愚かな知識人たちは何かに気づいていたのだという結論を導くこともできるかもしれない。
繁栄への道のりの途中に深刻な問題

 そしてこれこそ、筆者のコラムが悲観的で重苦しいという批判――エコノミスト誌なら恐らく筆者を「悲観論好き」と、下手をすれば「災厄予言者」と揶揄するだろう――に対する反論になると思う。すべてはどのような時間の枠組みでものを見るかによって、そして政治について心配しているか科学技術に熱狂しているかによって変わってくる。

 長期的には、マット・リドレー氏やビル・ゲイツ氏のような科学技術楽観論者の主張が正しいことが裏付けられるのだろう。この世界はこれからもっと豊かになり、もっと平和になり、もっと繁栄するのだろう。ただ筆者は、その間に深刻な「一時的な乱れ」がいくつかあるかもしれないと思っているのだ。
By Gideon Rachman


 

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