★阿修羅♪ > 経世済民72 > 231.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
「政局」の裏で進む増税シナリオ
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/231.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 20 日 23:20:48: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110616/220825/500.jpg
日経ビジネス オンライントップ>$global_theme_name>時事深層
「政局」の裏で進む増税シナリオ

2011年6月20日 月曜日
安藤 毅,小平 和良


社会保障と震災復興の財源確保策として増税の検討が進んでいる。財務省が悲願とする消費税増税に加え、所得税などの引き上げも俎上に載る。菅直人首相の後継が野田佳彦・財務相なら、「増税シフト」加速は確実だ。

 菅直人首相が東日本大震災などの対応に「一定のメド」がついた段階での退陣を口にして以降、「いつ菅首相が辞めるのか」が最大の関心事となった永田町。「ポスト菅」を巡るうごめきや民主、自民両党などによる「大連立」構想に注目が集まる中、首相官邸に設けられた会議を舞台に、増税へ向けた仕掛けが着々と進んでいる。

 社会保障と税の一体改革に向けた政府の集中検討会議(議長は菅首相)と、東日本大震災の復興策を検討する政府の復興構想会議(議長は五百旗頭真・防衛大学校長)の2つがそれだ。

結論ありきの「5%増税」案

 まずは、政府の集中検討会議。今月2日、年金や医療を充実させるため、消費税率を2015年度までに段階的に10%へ引き上げる改革原案を公表した。消費税収の使い道を社会保障に限定する「目的税」化を打ち出したことも含め、民主党の「財政健全化」路線議員などから評価する声も出ている。

 しかし、原案に目を凝らすと、高齢者向け給付の抑制はほぼ手つかずのまま、低所得者の年金加算など機能強化メニューを積み上げたため、給付総額は現行制度より膨らむ。これでは、少子高齢化で揺らぐ社会保障制度を持続可能に、という本来の改革の主眼から大きく外れることになりかねない。日本総合研究所の山田久ビジネス戦略研究センター所長も「歳出削減がなく、『一体改革』になっていない」と話す。

 「消費税5%増」の論拠を疑問視する向きもある。経済産業省幹部は「昨年の参院選直前に菅首相がぶち上げた『消費税10%』の論拠を示した格好だが、結論ありき、と言われても仕方ない」と話す。政府・与党は月内に最終案をまとめ、今年度中に消費税率の引き上げ幅などを盛った税制改革関連法案の国会提出を目指す段取りを描く。

 もう1つの復興構想会議では、月内に決める政府への第1次提言に、10.1兆〜16兆円とされる復興費用を復興債(国債)の発行で調達し、その償還費用を消費税、所得税、法人税の「基幹税」の臨時増税で賄う案を明記する方向が固まった。1次提言の素案には、復興財源について「国民全体で広く復興を支え、今を生きている世代で確保」と明示。復興債は「60年償還ルール」が適用される建設国債や、赤字国債とは一線を画し、あらかじめ償還財源を決めておくという意図が鮮明だ。

 消費税は、国民全体に薄く広く負担してもらえ、巨額の財源を短期間で確保できる利点もある。税率を2〜3%上げれば2年ほどで10兆円超の財源を確保できる計算だ。ただ、政府は消費税を社会保障財源の柱とする方針だ。被災者や低所得者に負担を強いることへの懸念もあり、政府内では慎重な見方が広がる。

 有力視されるのが、所得税の定率増税だ。被災者や低所得者の課税を免除しやすい利点がある。ただ、10%の定率増税で確保できるのは年1兆円。10兆円超の復興費用を所得税だけで賄えば、増税期間は10年超と長期に及ぶ。

 法人税を定率増税する案もある。法人税の10%の定率増税で確保できるのは数千億円から1兆円。仙谷由人・官房副長官は所得税、法人税の税率をともに1割増しする案を提唱し、「必要な財源が10兆円なら5年間で返せる」と語る。たばこ税などの増税説もある。

 政府は1次提言を受けて、政府税調などで増税の税目や、幅、時期の検討に入る。2011年度の追加大型補正予算案と合わせて、8月にも復興債や増税の関連法案をまとめるシナリオだ。

気がつけば「官」の手のひら

 混迷する政治の裏で進む増税構想。ある政務3役は「政治家が政争ごっこに興じている間に、『財務省政権』が強固になった証し」と自嘲気味に語る。

 集中検討会議の「5%消費増税」案を巡っては、社会保障費拡充を狙う厚生労働省の主張を財務省があえて黙認したとの見方が根強い。政府関係者は「年金や医療の充実を訴えれば消費増税やむなしへ世論が傾く、というのが財務省幹部の思惑」と指摘する。

 復興財源論議でも、財務省の周到な用意が際立つ。復興構想会議の運営事務の中心となってきたのは財務省出身の佐々木豊成・内閣官房副長官補や佐藤慎一・内閣官房審議官ら。同会議の検討部会長の飯尾潤・政策研究大学院大学教授は佐々木氏らと密接に連絡を取り合っており、財務省幹部は「部会での復興財源論議は、我々のシナリオ通りに進んでいる」と明かす。

 民主、自民、公明3党が修正で合意し、成立する見通しの復興基本法案にも、財務省の根回しによる細工が施された。復興財源として「復興債」の発行を明記するとともに「あらかじめ償還の道筋を明らかにする」との文言が盛り込まれたのがそれだ。「3党で修正した法案に明記した以上、財源としての増税論議から政治は逃げられない」(財務省幹部)というわけだ。

 「ポスト菅」の有力候補に野田佳彦・財務相が浮上したことも、増税路線の追い風になる。消費増税を目指す仙谷氏らが推す野田氏は、菅内閣の財務相として税と社会保障の一体改革や消費増税の旗振り役を演じてきた。財務省にとっては「身内」のような存在で、省内には増税論議をコントロールしやすくなるとの期待感が広がる。

 進む増税論議だが、国民生活や経済全体への影響を総合的に検討する視点は後回しになっている。

 第一生命経済研究所の永濱利廣・主席エコノミストの試算では、消費税率を2013年度に3%、2015年度にさらに2%引き上げると、上図のケース@のように消費の冷え込みなどから2015年度には実質GDP(国内総生産)を3.3%押し下げる。これに加え、復興財源として所得税と法人税の10%の定率増税を行ったケースBでは、2015年度の実質GDPは3.7%も落ち込む。

 中央大学大学院の森信茂樹教授は「日本経済への影響を考え、消費税上げはデフレ脱却後にすることを政令で定めるといった形にすべき」と話す。

 B型肝炎訴訟の数兆円に及びそうな和解金支払いや2011年度の税収落ち込みなど国民負担につながる要因は目白押し。増税ラッシュへの国民の理解を得るには政策見直しなど歳出削減を急ぐとともに、最適な増税の組み合わせと実施時期を早期に国民に示す必要がある。「ポスト菅」の政権の枠組みがどんな形になろうとも、それが政治の責任だ。
このコラムについて
時事深層

日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。

⇒ 記事一覧
著者プロフィール

小平 和良(こだいら・かずよし)

日経ビジネス記者。

安藤 毅(あんどう・たけし)

日経ビジネス記者。
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
 重複コメントは全部削除と投稿禁止設定  ずるいアクセスアップ手法は全削除と投稿禁止設定 削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告」をお願いします。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民72掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民72掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧