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職場におけるメンタルヘルスケア対策 6割弱の事業所で問題社員 増加傾向
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/255.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 24 日 01:37:29: 6WQSToHgoAVCQ
 

長期的な経済状況の悪化による、雇用と労働環境の変化が大きく効いているようだが
メンヘル問題の社会認知の上昇で、カミングアウトし易くなったための診断名の変更要因もあるだろう
http://www.jil.go.jp/press/documents/20110623.pdf
職場におけるメンタルヘルスケア対策

・6割弱の事業所でメンタルヘルスに問題を抱えている社員がおり、その人数は増加傾向
・メンタルヘルスによる休職・退職者がいる事業所の3分の1が対策に取り組んでいない
・メンタルヘルス問題が企業パフォーマンスに負の影響を与えると約9割の事業所が認識
・メンタルヘルス対策に取り組んでいない事業所でも、過半数が「今後は強化する」
調査結果のポイント
<過半数の事業所で、メンタルヘルスに問題のある正社員がおり、その人数は増加傾向>
6割弱(56.7%)の事業所で、メンタルヘルスに問題を抱えている正社員がいるとしており、そのうちの3割強(31.7%)の事業所は、3年前に比べてその人数が増えたとしている。増減の割合を比べると、減ったとするのは約2割(18.4%)で、増加傾向が見て取れる。企業規模別で見ると、1000人未満では規模階層にかかわりなく、不調者のいる事業所がいない事業所をわずかに上回る程度だが、1000人以上では、不調者のいる割合が72.6%と増えて、いない事業所(26.6%)を大きく上回っている(p2 図表1−1、p3 図表1−2)。
<メンタルヘルスで休職・退職した人がいたのに、1/3の事業所が対策に取り組んでいない>
過去1年間にメンタルヘルスで1カ月以上の休職または退職した労働者がいた事業所について、メンタルヘルスの取り組み状況をみると、「取り組んでいる」事業所が6割強(64.0%)と過半数を占める一方、休職・退職者がいるにもかかわらず「取り組んでいない」事業所が1/3と尐なくないのが目立つ(p9、p10 図表2−2)。
<約9割の事業所がメンタルヘルスと企業パフォーマンスの関係を認識>
メンタルヘルスの問題と、生産性の低下や重大事故など、企業のマイナスのパフォーマンスとの関係をどう考えるかについては、「関係がある」(42.1%)、「密接に関係がある」(22.8%)、「どちらかと言えば関係がある」(21.3%)を合わせて、約9割(86.2%)の事業所が、関係ありと認識しており、「どちらともいえない」は9.6%で、無関係(「あまり関係がない」「まったく関係がない」「関係がない」の合計)だと考えているのは3.4%と尐数だった(p15 図表3−2)。
<メンタルヘルスケアに取り組んでいないところでも、今後は過半数が「取り組み強化」>
今後のメンタルヘルスケアの位置づけについては、強化するべきだと考えている事業所が7割強。メンタルヘルスケアの取り組みの有無別にみると、取り組んでいない事業所でも、積極派(「強化する必要がある」9.1%、「どちらかと言えば強化する必要がある」43.3%)が過半数を超えており、今後の取り組みの広がりが予測できる結果となっている(p16 図表3−4)。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(理事長 山口 浩一郎)
調査・解析部 郡司 正人 新井 栄三
(直通電話)03-5903-6282 03-5903-6287
(URL)http://www.jil.go.jp/
平成23年6月23日(木)
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T.調査の趣旨・目的
自殺者が13年間連続で3万人を超え、このうち約8,600人が労働者であり、「勤務問題」を自殺の原因の一つとしている者は2,600人に達しているなど、労働者の心の健康(メンタルヘルス)に関する社会的な関心が高まり、様々な取り組みが広がりつつある。厚生労働省では、労働政策審議会において、ストレス症状を有する労働者に対する面接指導制度の導入等が提言され、法改正も含めた検討が行われている。
本調査は、メンタルヘルスケアにかかわる検討に資するため、職場におけるメンタルヘルスの実態や、企業の取り組み、企業のメンタルヘルスケアに対する意識など探り、メンタルヘルスケアを進めるうえでの課題を明らかにすることを目的としている。
U.調査の概要
・調査対象:農・漁業を除く全国の従業員10人以上の民間事業所14,000ヶ所。
※帝国データバンクの事業所データベースを母集団に、産業・規模別に層化無作為抽出。
・調査方法:郵送配布・郵送回収
・調査期間:2010年9月21日〜10月5日
・回収数:有効回収数5,250件/有効回収率37.5%
・集計:集計結果は抽出母集団の産業・従業員規模に基づいてウエイトバックしている。
V.調査結果の概要
1. 職場におけるメンタルヘルスの実態
調査によると、6割弱の事業所で、メンタルヘルスに問題を抱えている正社員(以下、「メンタル不調者(正社員)」)がいるとしており、そのうちの3割強(31.7%)の事業所は、3年前に比べてその人数が増えたとしている(図表1-1、図表1-2)。増減の割合を比べると、減ったとするのは約2割(18.4%)で、増加傾向が見て取れる。
メンタル不調者(正社員)の有無を企業規模別(正社員数)で見ると、1000人未満では規模階層にかかわりなく、不調者のいる事業所がいない事業所をわずかに上回る程度だが、1000人以上では、不調者のいる割合が72.6%と増えて、いない事業所(26.6%)を大きく上回っている(図表1-1)。
<図表1−1>
3
<図表1−2>
産業別でみると、医療・福祉で76.6%ともっともメンタル不調者のいる割合が高く、次いで情報通信業の73.0%、製造業が67.9%など。この3産業を企業規模別にみても、他の産業と比べて、不調者の多かった1000人以上規模の割合が高いわけではなく、産業による特性と考えてよさそうだ(図表1-3)。
非正規社員についてみると、契約社員では事業所の23.9%でメンタルヘルス不調者がおり、パートタイマーでは25.7%、派遣社員で13.5%の事業所でメンタルヘルス不調者がいるとしている(図表1-4)。
<図表1−3>
4
<図表1−4>
雇用形態にかかわらず、過去1年間にメンタルヘルス上の理由により連続1カ月以上休職、もしくは退職した人がいた事業所は25.8%(図表1-5)。正社員だけ抜き出すと、23.5%の事業所で休職・退職した人が「いる」としている。これを、産業別にみると、情報通信で55.8%、学術研究、専門・技術サービス業では35.1%、医療・福祉で34.4%、教育、学習支援業で33.0%、製造業は30.6%などとなっている(図表1-6)。メンタルヘルス不調者の有無と上位の顔ぶれはあまり変わらないが、情報通信業が他産業よりも大幅に高い割合で1カ月以上の休職者や退職者を出しているのが目立つ。これを企業規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど休職者・退職者が「いる」割合が高くなっており、30人未満では10.8%なのが1000人以上だと31.2%となっている(図表1-6)。
メンタルヘルス不調による1カ月以上の休職者や退職者には、どんなクラスの労働者がもっとも多いのだろうか。若年層が多いと推定される「役職なし」の割合が66.6%ともっとも高く、次いで「係長クラス」(19.8%)、「課長クラス」(8.1%)と続き、「部長職」「役員」は僅かだった(2.1%、0.1%)。これを、会社規模別にみると、「役職なし」の割合が、300人以上の中堅・大手企業では7割強なのに対して、300人未満の中小企業では4〜6割程度。300人未満では、課長職、部長職の休職者、退職者が若干多くなっている(図表1-7)。
<図表1−5>
5
<図表1−6>
<図表1−7> メンタルヘルス不調で、1カ月以上休職、退職したもっとも多い役職
(企業規模別、無回答除く)
6
メンタルヘルス不調者が現れる原因について、どのように考えているか聞いたところ(3位まで3つ選択した複数回答)、「本人の性格の問題」が67.7%と7割弱を占めてトップ、次いで「職場の人間関係」(58.4%)、「仕事量・負荷の増大」(38.2%)、「仕事の責任の増大」(31.7%)、「上司・部下のコミュニケーション不足」(29.1%)、「家庭の問題」(29.1%)、「成果がより求められることによる競争過多」(12.6%)などの順となっている(図表1-8)。これを企業規模別に見ると、「仕事量・負荷の増大」を理由にあげる事業所の割合が、おおむね規模が大きくなるほど高くなっている。また、30人未満で、「上司が部下を育成する余裕がない」「成果がより求められることによる競争過多」を理由にあげる事業所が、それぞれ10.6%、25.0%と平均を大きく上回っているのが目立つ。「本人の性格の問題」では、他の規模階層と比べて、1000人以上規模の割合が僅かに低くなっている(図表1-9)。
<図表1−8>
<図表1−9>
メンタルヘルス不調者が現れる原因(複数回答、企業規模別、%)
本人の性格の問題
家庭の問題
仕事量・負荷の増加
長時間労働
年休取得の難しさ
仕事の責任の増大
職場の人間関係
上司・部下のコミュニケーション不足
上司が部下を育成する余裕がない
成果がより求められることによる競争過多
専門家等に相談しづらい雰囲気
無回答
【全体】 67.7
29.1
38.2
9.2
1.6
31.7 58.4
29.1
5.6
12.6
1.4
3.4
30人未満
66.4
35.8
28.0
13.3
3.0
26.2
66.0
20.1
10.6
25.0

1.7
30〜49人
80.1
31.2
17.6
8.4
0.9
41.9
54.2
36.4
1.6
15.1
2.2
0.5
50〜99人
69.9
30.1
33.9
5.8
0.5
31.2
67.4
24.8
7.7
10.1
0.4
4.6
100 〜299 人
68.7
27.0
40.0
12.3
2.0
32.6
52.0
30.2
5.1
10.5
2.2
4.0
300 〜999 人
66.6
27.4
41.6
7.0
0.7
30.2
64.5
29.7
4.4
13.5
1.4
2.3
1,000 人以上
63.1
33.7
40.0
6.8
2.3
33.2
56.2
31.6
6.0
14.3
0.5
2.0
7
メンタルヘルス不調を抱えた労働者のその後の状況について、ここ3年間でもっとも多いパターンを尋ねたところ、「休職を経て復職している」(通院治療等を終えた完全復職)の割合が37.2%ともっとも高く、次いで、「休職を経て退職した」が14.8%、「休職せずに通院治療等をしながら働き続けている」が14.1%、続いて「休職せずに退職した」(9.8%)、「休職を経て復職後、退職した」(9.5%)、「長期の休職または休職、復職を繰り返している」(8.2%)の順となっている。4割弱の事業所では完全復職のケースが多い一方、「結果的に退職した」ケースがもっとも多い事業所の割合(「休職を経て退職した」「休職せずに退職した」「休職を経て復職後、退職した」の合計)も34.1%で、ほぼ拮抗する形となっている。
企業規模別にみると、300人以上規模では、300人未満の各規模階層に比べて、完全復職をもっとも多いパターンにあげる事業所の割合が高くなっている。完全復職をあげる割合は、300~999人規模で39.3%、1000人以上規模では43.3%となっており、10〜29人規模、30〜49人規模、50〜99人規模、100〜299人規模は、それぞれ37.4%、32.3%、27.8%、36.6%。また、1000人以上規模では、「結果的に退職した」をもっとも多いケースにあげる割合が16.9%と平均を大きく下回り、「休職せずに通院治療等をしながら働き続けている」をあげる割合が、他の規模階層と比べて高くなっているのが目立つ(図表1-10)。
<図表1−10>
どのくらいの割合の労働者が、休職から復職できているのだろうか。「全員復職できた」とする事業所割合が28.2%ともっとも高く、「ほとんど全員復職できた」(13.0%)を合わせると、4割強の事業所で大多数が復職できていることになる。一方、「全員復職しなかった」割合も16.6%と尐なくなかった。その他、「7〜8割程度」「半分程度」「2~3割程度」「1割程度」が、それぞれ9.8%、9.7%、4.6%、5.4%。これを、会社規模別にみると、規模の大きいところほど、高い復職率を示す割合が高くなっている。1000人以上規模では、「全員」「ほぼ全員」復職の合計が50.6%と過半数を占め、逆に「全員復職しなかった」のは6.0%と平均を大幅に下回っている(図表1-11)。
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<図表1−11>
ここ3年の、メンタルヘルス不調による休職から復職した割合(企業規模別、%)
全員復職できた
ほとんど全員復職できた
7〜8割程度復職できた
半分程度復職できた
2〜3割程度復職できた
1割(以内)程度復職できた
全員復職しなかった
無回答
【全体】
28.2
13.0
9.8
9.7
4.6
5.4
16.6
12.7
30人未満
38.2
7.9
1.3
8.3
0.8
22.4
9.9
11.2
30〜49人
34.5
0.6
2.2
17.5
7.0
-
11.7
26.5
50〜99人
26.5
6.3
5.9
5.7
2.4
6.2
31.6
15.5
100〜299人
26.3
14.1
9.2
8.9
4.0
5.0
18.0
14.6
300〜999人
26.7
14.9
9.7
12.1
7.6
5.6
15.1
8.2
1,000人以上
34.4
16.2
16.9
10.4
3.6
2.9
6.0
9.6
休職者が復職する際に問題となった事柄について尋ねたところ(複数回答)、「どの程度仕事ができるかわからなかった」をあげる事業所の割合が59.9%ともっとも高く、次いで「本人の状態について、正確な医学的情報が得られなかった」(33.7%)、「本人に合う適当な業務がなかった」(21.1%)などの順。「本人が不調を受容できず休職前の職場に復帰することにこだわった」ことを指摘した事業所も約1割(9.5%)あった(図表1-12)。
<図表1−12>
9
2. メンタルヘルスケアの取り組み状況
このような状況のなかで、どのくらいの事業所がメンタルヘルスケアに取り組んでいるのだろうか。メンタルヘルスケアに「取り組んでいる」事業所割合は50.4%で、「取り組んでいない」が45.6%とほぼ拮抗した形となっている。これを企業規模別でみると、ほぼ、規模が大きいほど「取り組んでいる」割合が高くなっており、1,000人以上では75.4%の事業所がメンタルヘルスケアに「取り組んでいる」としている(図表2-1)。
産業別にみると、「取り組んでいる」事業所の割合が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」が88.8%でトップ、次いで「金融業、保険業」の75.3%、「情報通信業」の75.0%などとなっている。「取り組んでいない」割合が高いのは、「鉱業、採石業、砂利採取業」が98.0%ともっとも高く、「生活関連サービス業、娯楽業」(70.4%)、「宿泊業、飲食サービス業」(63.5%)、「卸売業、小売業」(54.3%)などと続く(図表2-1)。
<図表2−1>
過去1年間にメンタルヘルスで1カ月以上の休職または退職した労働者の有無と取り組みの有無の関係をみると、休職・退職した労働者がいた事業所の方が取り組み割合が高くなっている。しかし、休職・退職者がいる場合でも「取り組んでいない」事業所が3割強と尐なくなく、メンタルヘルス不調者がいるからと言って、必ずしも取り組んでいるわけではないことがわかる(図表2-2)。
取り組みの有無と不調者のその後の状況パターンの関係をみると、「取り組んでいる」方が「休職を経て復職している」完全復帰の割合が高く、結果的に退職してしまったパターンでは、「休職を経て退職した」「休職せずに退職した」「休職を経て復職後、退職した」のいずれも「取り組んでいる」事業所の割合が低くなっている。メンタルヘルスケアの取り組みが、復職に関して一定の効果を上げていることがわかる(図表2-3)。
10
<図表2−2>
<図表2−3>
メンタルヘルスケアの取り組みとメンタル不調者のその後のパターン (%)
休職を経て
復職している
休職を経て
復職後、退職した
休職を経て
退職した
休職せずに 退職した
休職せずに通院治療等をしながら働き続けている
長期の休職または休職、復職を繰り返している
その他
無回答
【全体】 37.2 9.5 14.8 9.8 14.1 8.2 3.3 3.1
取り組んでいる 41.8 8.9 13.1 5.7 15.2 10.1 3.1 2.1
取り組んでいない 30.2 9.5 18.0 17.2 11.7 5.5 4.1 3.7
メンタルヘルスケアに取り組んでいない事業所に理由を聞いたところ(複数回答)、「必要性を感じない」をあげる事業所の割合が42.2%ともっとも高く、次いで「専門スタッフがいない」が35.5%、「取り組み方が分からない」が31.0%、「労働者の関心がない」が14.1%などとなっている。これを企業規模別にみると、「経費がかかる」「必要性を感じない」を理由にあげた事業所の割合は、規模が小さいほど高い。「専門スタッフがいない」を理由にあげたところは、300人未満規模で比較的高い割合を示し、300人以上では低い割合となっている。「取り組み方がわからない」では、規模との特段の関係は見られず、大手企業であってもメンタルヘルスケアの取り組み方に悩んでいる様子が伺われる。
過去1年間にメンタルヘルス不調で1カ月以上の休職または退職した労働者の有無と、取り組んでいない理由の関係をみると、休職・退職者がいない事業所では46.5%と約半数が「必要性を感じていない」を理由に挙げ、休職・退職者がいるところでは「取り組み方がわからない」が52.1%と過半数に達し、次いで「専門スタッフがいない」(45.9%)が続く。また、休職者・退職者がいても21.5%の事業所が「必要性を感じない」としてメンタルヘルスケアに取り組んでいないのが目立つ(図表2-4)。
11
<図表2−4>
メンタルヘルスケアに取り組んでいない理由(企業規模別、休職・退職者有無別、%)
取り組み方が分からない
経費がかかる
必要性を感じない
労働者の関心がない
専門スタッフがいない
その他
無回答
【全体】
31.0
8.1
42.2
14.1
35.5
13.9
1.5
30人未満
28.6
12.1
50.1
4.5
32.5
9.1
1.3
30〜49人
17.0
11.1
48.2
8.2
42.4
17.0
-
50〜99人
26.4
10.4
44.7
18.5
36.1
10.8
1.8
100〜299人
33.1
6.9
40.0
13.4
35.4
17.0
1.7
300〜999人
36.0
7.1
43.0
20.7
34.2
8.7
1.2
1,000人以上
29.1
4.4
34.0
5.5
35.1
22.5
1.9
いる
52.1
6.0
21.5
13.6
45.9
15.4
2.2
いない
26.5
8.5
46.5
14.3
33.4
13.7
1.3
メンタルヘルスケアの取り組みの具体的な内容については(複数回答)、「労働者からの相談対応窓口の整備」の割合が55.7%ともっとも高く、「管理監督者への教育研修・情報提供」が51.0%、「労働者への教育研修・情報提供」が41.7%、「メンタルヘルス対策について衛生委員会等での調査審議」が32.2%と続き、そのほか「メンタルヘルスケアの実務を行う担当者の選任」(24.3%)、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査」(20.5%)、「職場復帰における支援」(16.8%)、「医療機関を活用した対策の実施」(15.2%)などの順となっている(図表2-5)。
<図表2−5>
12
メンタルヘルスケアの担い手としてもっとも重視しているのは、「職場の上司・同僚」が38.3%とトップで、「人事労務部門」(18.6%)、「従業員本人の自己責任(セルフヘルスケア)」(14.6%)、「産業医等(健康保険スタッフ)」(6.0%)、「社外の専門家(カウンセラー等)」(5.8%)などと続き、ラインでのケアを重視する事業所が多いことが分かる(図表2-6)。では、メンタルヘルスケアにおける上司の役割について、どのように定めているのだろうか。60.4%と過半数の事業所が「定期的ではないが、部下のメンタルヘルスに注意を払うよう指示」しているのに対して、「特段の役割を定めていない」事業所も25.3%あり、「定期的な面談等で積極的に部下のメンタルヘルスケアを行うよう指示」しているのは12.0%(図表2-7)。
<図表2−6> メンタルヘルスケアの担い手としてもっとも重視するもの (%)
人事労務部門
安全衛生委員会
社内のメンタルヘルスケア専門部門、委員会、プロジェクト等
職場の上司・同僚
産業医等(健康保健スタッフ)
社外の専門家(カウンセラーなど)
従業員本人の自己管理(セルフヘルスケア)
主治医
労働組合
無回答
18.6
5.4
5.2
38.3
6.0
5.8
14.6
2.4
0.1
3.6
<図表2−7> メンタルヘルスケアにおける職場の上司の役割
メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所で、専門スタッフを配置しているのはどのくらいの割合なのだろう。58.1%と過半数の事業所が、産業医やカウンセラーなどの専門スタッフを配置して取り組んでいる一方で、「専門スタッフはいない」事業所も39.3%と尐なくない(図表2-8)。また、専門スタッフのいる事業所の76.5%は医師(産業医、それ以外の医師)を配置しているものの(図表2-9)、そのうちで精神科などメンタルヘルスを専門とする医師が配置されているのは31.4%と3割程度(図表2-10)。専門スタッフの有無を企業規模別にみると、規模が大きいほど「いる」割合が高く、30人未満は40.4%だが、1000人以上では71.0%と差が大きい(図表2-8)。
<図表2−8> メンタルヘルスケア専門スタッフの配置の有無(企業規模別)
13
<図表2−9>
メンタルヘルスケア専門スタッフの内訳(複数回答、%) 医師 (産業医、その他の医師)
保健師又は 看護師
衛生管理者又は衛生推進者
カウンセラー等
その他の専門スタッフ 76.5
18.4
35.1
15.6
5.2
<図表2−10>
メンタルヘルス不調による休職者が復職する場合の手続はルール化されているのだろうか。調査結果によると、「人事担当者がその都度相談してやり方を決めている」事業所の割合が43.1%ともっとも高く、次いで「社内で復職に関する手続ルールが定められている」が32.9%と続き、「復職は、それぞれの職場の上司・担当者に任せている」は17.4%となっている。これを、企業規模別にみると、おおむね規模が大きいほど「手続ルールが定められている」割合が高い。30人未満で「手続ルールが定められている」割合は22.2%なのに対して、1000人以上では53.6%と過半数を占めている。ただ、1000人以上でも、「その都度相談」が34.4%と尐なくなく、メンタルヘルスの取り扱いの難しさが伺われる結果となっている。また、過去1年間にメンタルヘルス不調で1カ月以上休職・退職した労働者の有無別でみると、「手続ルールが定められている」割合が、休職・退職者がいる場合は40.9%と、休職・退職者がいない場合の30.4%を大きく上回っており、状況が深刻なほど、制度化が進んでいるといえそうだ(図表2-11)。
<図表2−11>
14
復職したとしても、様々なサポートがなければ、職場に定着して働き続けることは難しいだろう。しかし、復職後の面談や助言などの支援体制について聞いたところ、「特段の支援措置はとっていない」事業所の割合が31.2%ともっとも高く、次いで「人事労務担当者や上司のみが定期的に面談・助言する」が30.9%と続き、6割強の事業所が専門家のサポートを実施していない実態がわかった。専門家を活用している事業所は、「ルールは決まっていないが、必要に応じて産業医や専門担当者等が面談・助言する」(24.0%)と「社内ルールとして、一定の期間、産業医や専門担当者等が定期的に面談・助言する」(8.8%)を合わせて3社に1社の割合となっている。これを企業規模別にみると、規模が小さいほど「特段の支援措置はとっていない」割合が高くなっており、1000人以上では18.6%なのに対して、100~299人で31.8%、50~99人が44.2%、30~49人では53.3%、30人未満では54.1%となっている。その逆に、おおむね規模が大きいほど、専門家を活用している割合が高くなっており、1000人以上では、「必要に応じて産業医や専門担当者が面談・助言する」事業所が30.3%で、「一定期間、産業医や専門担当者が定期的に面談・助言する」事業所が24.4%となっている(図表2-12)。
<図表2−12> 復職後の支援体制(企業規模別)
メンタルヘルスを扱う上で不可欠なのが、プライバシーの問題だ。病気にかかわる機微情報の中でもとくにメンタル面の情報は取扱いが難しい。メンタルヘルスケアでのプライバシーにかかわるルールをどのように定めているかについては、「特段のルールはないが、気を付けて対応するよう求めている」が46.2%と半数近くを占め最も割合が高く、次いで「プライバシー情報全般に関して定めたルールでカバーしている」が28.1%、「ルールも慣行もなく、特段の対応をしていない」が18.2%などとなっており、制度的にプライバシーの問題を扱っている事業所は多くないのが現状のようだ。企業規模別による違いは大きく、規模が大きくなるに従って、「プライバシー情報全般に関して定めたルールでカバーしている」事業所の割合は高まり、1,000人以上規模では44.0%となっている。逆に、規模が小さいほど、「ルールも慣行もなく、特段の対応をしていない」割合が高くなっている(図表2-13)。
<図表2−13> プライバシーにかかわるルールの状況(企業規模別)
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3.企業のメンタルヘルスケアに関する意識
メンタルヘルスの問題が、今後どのような状況になると考えているか聞いたところ、46.0%の事業所が深刻化する(「深刻になる」「やや深刻になる」の合計)と考えており、「ほぼ現状のまま」が42.1%で、改善に向かう(「改善する」「やや改善する」の合計)と考えているのは9.2%と僅かに過ぎなかった。これを企業規模別にみると、ほぼ規模が大きいほど深刻化すると考える割合が増え、逆に、改善に向かうとする割合が尐なくなる。1,000人以上規模では、53.0%が「深刻化する」と回答し、「改善に向かう」は7.6%と尐数派(図表3-1)。
<図表3−1> メンタルヘルスの今後の状況に関する認識(企業規模別)
メンタルヘルスの問題と、生産性の低下や重大事故など、企業のマイナスのパフォーマンスとの関係をどう考えるかについては、「関係がある」(42.1%)、「密接に関係がある」(22.8%)、「どちらかと言えば関係がある」(21.3%)を合わせて、約9割(86.2%)の事業所が、関係ありと認識しており、「どちらともいえない」は9.6%で、無関係(「あまり関係がない」「まったく関係がない」「関係がない」の合計)だと考えているのは3.4%と尐数だった(図表3-2)。
<図表3−2> メンタルヘルスの問題と企業パフォーマンスへの影響についての認識
メンタルヘルスケアについて、どのように位置づけて考えているか聞いたところ、「どちらかと言えば重要課題」と考えている事業所の割合が48.8%ともっとも高く、「最重要課題」とする事業所(5.5%)と合わせて54.3%が「重要課題」だと認識している一方、「重要課題ではない」と考えている事業所も43.0%(「あまり重要課題ではない」「重要課題ではない」の合計)と拮抗する形となっている。企業規模でみると、ほぼ規模が大きくなるほど、「重要課題」だと認識している割合が高くなっており、1000人以上では、68.5%と約7割を占めている(図表3-3)。
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<図表3−3> 現在のメンタルヘルスケアの取り組みの位置づけ(企業規模別)
今後のメンタルヘルスケアの位置づけについては、「どちらかと言えば強化する必要がある」が55.2%と過半数を占め、「強化する必要がある」(15.0%)と合わせると、強化するべきだと考えている事業所は7割を超え、「あまり強化する必要なない」(20.4%)、「強化する必要はない」(6.1%)の消極派を大きく上回っている。メンタルヘルスケアの取り組みの有無別にみると、取り組んでいない事業所でも、積極派(「強化する必要がある」9.1%、「どちらかと言えば強化する必要がある」43.3%)が過半数を超えており、今後の取り組みの広がりが予測できる結果となっている。企業規模別にみると、強化すべきだと考えている事業所(「どちらかと言えば強化」と「強化」の合計)の割合は、おおむね規模が大きくなるほど高くなっており、1000人以上規模では81.0%と大多数を占めている(図表3-4)。
<図表3−4> 今後のメンタルヘルスケアの位置づけ(企業規模別、ケア取り組み有無別)  

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